ポケットモンスター鳴   作:史縞慧深

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最近スランプ気味です。
ちょっとまずいかも。
それではどうぞ。


49話 作戦会議とアドバンテージ

コンテストが終わって一週間ほど経った。この一週間はずっとバトルサブウェイに入り浸っていた。これはしばらく実戦から遠ざかっていた皆の実戦感覚を取り戻すためでもあったりする。というのは後付で、実際は単なる興味。この世界におけるバトルサブウェイの仕様を確かめたかったのだ。まあ、予想通りレベル差の暴力がまかり通る世紀末空間だったんだけれども。私はシングルトレイン、ダブルトレイン、マルチトレインをそれぞれ20連勝し、シングル担当のノボリさん、ダブル担当のクダリさん、マルチ担当のノボリ、クダリコンビを下してスーパーシングル、スーパーダブル、スーパーマルチへの挑戦権を得るところまで行った。これ以上やると流石にきりがないのでやめた。どこまでいけるか試したいところではあるがそれは暇になったらということで。ちなみにマルチでのコンビはミスティだ。あと、バトルサブウェイに挑戦しているときにまたゲームのキャラクターと会った。名前はモミジとカゲロウ。出典は例のシリーズ。私に負けて涙目だった二人は可愛かったです。こんなところだね。この一週間のうちにあったことは。そして現在はポケモンセンターでみんなと朝食中。

 

「今日はついにライモンジムに挑戦しようと思います!」

 

私は気合を入れるように言う。

 

「今回は長かったね。もうこの街に来てから一か月以上たってる」

 

ミスティの言う通り確かに長かった。最近はずっとコンテストのために時間を割いていたからね。

 

「そうなのか。いつもはどれくらいでジムに挑戦しているんだ?」

 

アリアがそう言うので私が答える。

 

「う~ん、決まった期間はないんだけど、早かったときは確か街に着いて三日でジムに挑戦したんだったかな」

「なるほど、それならば確かに長いな。それはそうとして、ジム戦に勝つ自信のほどはどうだ?」

「ん~、まあ、多分大丈夫じゃないかな。使ってくるポケモンが私の予想通りならね」

 

ゲームではカミツレさんはエモンガとゼブライカを使ってきた。この二匹ならこちらには有効な技を持っているリオがいるし、特にライカは相手のメイン技である電気タイプの技を無効化できる。油断せずにいけばレベル差がない限り、負ける要素は見当たらない。

 

「ほう、随分と自信があるようだな」

「だけど、一つ心配なことがある、でしょ?」

 

そうなんだよねえ。ミスティは今までのことを知っているから私の心配事も当然わかる。私はうんうん頷く。

 

「その心配事とは?」

 

私は今までのジム戦の出来事をアリアに説明する。

 

「なるほどな。バッジの個数に比べるとレベルの高いポケモンを使われればそう簡単にはいかないということか」

「そういうこと。まあ、それでも勝ってきてはいるんだけどね。毎回ひやひやするよ。まさかの一発逆転がないかってね」

 

私は肩をすくめて言う。

 

「それは仕方ない。拮抗した勝負ほどそういうのに気を付けなきゃいけないから」

「ミストラルの言う通りだ。劇的な勝負というのは得てしてそういうものだからな」

「だから、私はそういう勝負にならないように相性差と圧倒的なスピードとパワーでねじ伏せる」

「のが理想で現実は?」

「そうはいかないっていうのが現状……」

 

私の言葉にミスティが追加の言葉を入れて現実に引き戻す。私は溜息交じりに事実を受け止める。

 

「ふふふ、頑張れ。応援しているぞ」

「私も」

 

まあ、これも試練だと思って頑張るとしますか。

 

「ありがと。二人とも。じゃあ、早速作戦タイムといきますかね。みんな聞いて! 今回のジム戦についての話があるから」

 

朝食を食べ終えたリオたちをこちらに向かせて私は話し始める。

 

「この街のジムは電気タイプのジムだ。というわけで、メインで戦ってもらうのはまず電気タイプを無効化できるライカ、電気タイプに有効打のあるリオ、電気タイプの技を喰らいにくくかつ同じ電気タイプとも戦えるユウヒ、あなたたち三人だ。まあ、もしかしたら出番がない子もいるかもしれないけどそれは我慢してね」

 

私の言葉にライカ、リオ、ユウヒは頷く。

 

「それで、カティ、イヴ、ルカは今回はお休みかな。恐らくバトルに出すことはないと思うから」

 

カティ、イヴ、ルカも頷く。

 

「こんなところかな。後はバトル中に指示するからね。はい、じゃあ作戦タイム終了」

 

さてと、じゃあ、ちょっと休憩したあとジムに向かいますか。

 

「……メイはいつもこんな簡単にしか作戦を立てないのか?」

「そうね。いつもこんな感じ。私だったらもうちょっと考えるところだけどメイの場合は今のところこれだけで十分だから」

「そうなのか。ふむ……」

 

ミスティとアリアは何やらこそこそ話している。

 

「ん? 二人ともどうかした?」

「いや。なんでもない」

「なんでもな~い」

「え~? 何々? 気になるじゃん」

「メイの作戦タイムの短さに驚いただけだ」

「そうそう」

「なんだ。そんなこと。これ以上はバトル中に指示すればいいだけだと思ったんだけど、いけないかな?」

「そうだな。私としてはもう少し、なんというか、方針みたいなものを事前に話してくれると嬉しいかもな」

 

アリアはそう言う。その方がいい? とリオたちに訊くとその方がいいという返事がきた。

 

「う~ん。なるほどねえ。じゃあもっと細かくいこうか。まずはカミツレさんの出す可能性のあるポケモンは……ちょっと多すぎるから少し大雑把に行くよ。まずは単純に電気タイプの弱点を突けるタイプ。こいつは地面タイプの技が効くからライカはそれ中心で攻めていく。リオとユウヒはきあいパンチの方が威力が出るからそっち中心ね。」

 

これに当てはまるのは全国の大半の電気タイプで生息地域をイッシュ地方に限定するとゼブライカ系統、デンリュウ系統、エレキブル系統、ジバコイル系統、サンダースになる。

 

「次に特性が浮遊の電気タイプ。この場合ライカはドラゴンタイプの技を中心に、リオ、ユウヒは変わらずきあいパンチ。あとでんじふゆうという技を使ったポケモンも同じように攻めていくよ」

 

特性が浮遊のポケモンはシビルドン系統。でんじふゆうは教え技だから多分ほぼすべての電気タイプが使えたはず。

 

「次に飛行タイプを持つ電気タイプ。ぶっちゃけエモンガなんだけど、これはリオのストーンエッジとれいとうパンチが効くからそれでいく。もしライカかユウヒで戦うことになったら、ライカはドラゴンタイプ、ユウヒは電気タイプの技中心で攻めていく」

 

他にも伝説のポケモンのサンダーとボルトロスがいるがこれは除外。さすがに伝説のポケモンは出してこないだろう。後スピンロトムもそうだがロトムというポケモン自体滅茶苦茶珍しいみたいだしこいつも除外。

 

「最後にバチュルとデンチュラが出てきた場合、こいつらは虫タイプを持っているから地面タイプが弱点じゃないんだ。でもライカはそれでも地面タイプの技が一番威力がでるからそのまま。リオとユウヒは得意な技が軒並み半減させられるからこいつらが出てきた場合は交代する。ああ、それで、こいつらに有効なのはカティだからもしかしたらカティにも出てもらうことになるかもしれない。さっきと言ってることが違うけどいいかな?」

『アタイにも出番があるかもしれないってことね! わかった!』

 

よしよし。こうして考えてみると私は今まで雑すぎたな。反省。

 

「これくらいかな。皆、今まではちょっと雑すぎたね。ごめん」

 

すると皆は許してくれた。皆いい子すぎるだろ……。

 

「そこまで詳しく知っているのか」

「いやいや。これくらいは基本だよ。今話したのは相性のことだけだしね」

 

本当はそれぞれのポケモンの種族値、基本となる努力値振り、基本的な戦法、覚えている技、持っている道具なんかもあるんだけど流石にそこまで全部説明していると時間が足りないしこの知識を無暗に晒すわけにもいかない。これは私だけのアドバンテージだから譲れない。それにこれらの知識が通用しない可能性は私自身が証明してしまったからなぁ。その最たるものは二つの技の同時使用だ。この世界は技の自由度が半端ない。きっとまだまだいろんなことが出来るだろう。

 

「そうなのか。メイは意外とすごいトレーナーなのだな」

「でしょ?」

「そうね。普段の行動のせいで忘れがちだけどメイはすごいトレーナー」

 

ふっふっふ、ドヤア……。と、調子に乗るのはこれくらいにして。

 

「それでは、ジム戦に行くとしますか!」

 

そうして私たちはライモンジムに向かった。

 




ありがとうございました。

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