それではどうぞ。
ヒオウギシティからサンギタウンへ向かう道中を、野生のポケモンたちと戦いながら進んでいく。
「リオ! メタルクロー!」
大抵のポケモンはリオのレベルが高いのか一回攻撃をあてただけで逃げていく。
「これじゃあ修業にならないな」
『そうだね』
話は変わるが前にポケモンの言葉が触れているとき限定でわかると言っていたが今では触れていない状態でもわかるようになった。波導の修業をしていたのがどうしてポケモンの言葉がわかるようになったのかは不思議でならないが、まあ便利だし細かいことは気にしないでおこう。
「今日はもう修業は切り上げてサンギタウンに行こうか」
『うーん、もうちょっと骨のあるやつはいないのかな』
「今度はもうちょっと奥のほうまでいってみよう。そしたらもっと強い奴がいるかもしれない」
『うん、わかった』
今日はもう切り上げだな。そうと決まったらサンギタウンのポケモンセンターに行こう。
しばらく道なりに歩くと夕方になりサンギタウンについた。
ちなみに旅立ってから数日たっている。ゲームのようにほんの数分で隣町に着くなんてことはなく数日はかかる。このかかる時間は移動方法が徒歩である場合である。そしてその間は基本野宿で夜を明かす。また、道路には旅をしている人のための宿泊することができるログハウスのようなものが所々に存在している。そこに泊まることができればその時は運がいいということだ。
野宿等に必要な道具や食糧はなぜかいくらでも入るバッグの中に詰め込んである。ちなみに重さすら感じさせない仕様。とんでもねえな、と初めてこの技術に触れた時は思ったものだ。
さっそくポケモンセンターに行く。ポケモンセンターに着くとジョーイさんが話しかけてくる。
「お疲れ様です。疲れたポケモンを回復させますか?」
「はい。おねがいします」
そう言ってリオをジョーイさんにあずける。
「それにしてもここにくるのは久々だな~」
「久々、ということはここに来たことがあるの?」
「はい、ちいさなころに一度だけ」
「あ、もしかしてメイちゃん?」
「はい、そうです。覚えてますか?」
「ええ、もちろんよ。久しぶりね。今日はどうしてここに?」
ジョーイさんが言うので私は旅に出たことを説明した。
「へえ、確か今12歳だったかしら。その年で旅に出るなんてすごいわね」
「そんなことないですよ。10歳で旅に出た人だっているんですから」
「それでもすごいわよ。あ、もしかしてあなたのルカリオ、あのときのリオル?」
「ええ、そうです」
「進化したのね、おめでとう」
「もう何年も前のことですけどね」
「今日はここに泊るの?」
「はい。そのつもりです」
「そう、ゆっくりしていってね。じゃああなたのルカリオは責任を持って預かります。回復するまで少し待ってね」
そう言っていってジョーイさんは回復の作業に入る。
それにしてもどうしようかな。ここらのポケモンたちだとリオに歯が立たないから全然修業にならない。やはり森の奥にいって鍛えるか? いやそれよりもさっさと次の町へいったほうがいいかな。そういえばポケモントレーナーとあまり出会っていないな。そうかトレーナーがいないということは修業の場としてあまり良くないということか。そうかそうか、そういうことか。よし、明日はもっとトレーナーのいるところで修業するとしよう。
「メイちゃん。回復が終わったわよ」
『メイ~おなかすいた~』
「ありがとうございます。じゃあ晩御飯にしようか、リオ」
晩御飯ということでポケモンセンターの食堂に向かう。食堂についてさっそく今日の晩御飯を頼む。そしてリオと一緒にご飯を食べながら話す。
「リオ、今度はトレーナーの多くいる場所で修業するぞ」
『それはいいけど、どうしてトレーナーがたくさんいるとこなの?』
この問いに対してさっきの考えを話す。
「だから明日はサンギ牧場の近くで修業したいと思います!」
『それなら修業するのにいい場所があるよ』
「えっそんなところがあるの?」
『僕がメイの家族になる前に僕がいたルカリオたちの群れのところだよ』
「でもいいの? そんな簡単に群れに案内して。そういえばリオはどうして群れからでてきたの?」
『案内することに関しては大丈夫。だってメイは変なことしないでしょ? 群れがら出た理由は外の世界を見てみたかったから。出会ったときけがをしていたのはフシデの巣に不用意に近づいてしまったから。こんなところでいいかな』
「へえ、そうだったんだ。じゃあ案内よろしくね」
ご飯を食べ終わった私たちは明日のことに思考を巡らせがら床に就いた。
クルッポー、クルッポー。
外からのマメパトたちの鳴き声を目覚まし時計にして目を覚ます。
「ん~……ふぅ。おはよう。リオ」
『おはよう、メイ』
おもいっきりのびをして、体を起こし、合気道を習い始めてからの日課である朝の体操を始める。リオと一緒に体操をし終えて、顔を洗って、すっきりしたあと朝ごはんを食べに食堂へいき朝食をすませる。
「さあ、じゃあ今日はルカリオたちの群れに案内してもらおうかな」
『うん、わかった。ついてきて』
そういって途中のトレーナーたちを軽く蹴散らしながらサンギ牧場の奥の森の中へ進む。
ちなみにトレーナーと勝負して勝つとゲームと同じようにお金がもらえるのが通例である。賞金額はトレーナーカードに記録される戦績によって決まる。
それとトレーナーカードというのもなかなか使えるものなんだよな。キャッシュカードの機能からクレジットカード、戦績の記録、身分証明までこれ一枚ですべて完了だ。勝負の後の賞金のやり取りも互いのトレーナーカードをかざすだけで終わるし、ポケモンセンターやフレンドリィショップのサービスもこれ一枚で受けられる。他にもいろいろな機能があるがそれは割愛する。その分無くさないようにしなければいけないがな。もし無くして誰かに拾われたりすると悪用されるに決まっているからな。まあなんにせよスゴイ技術だということだ。
それはそうと森の中を進んでいくこと数時間、少し開けた場所に出る。そこには大樹を中心に広場のようになっていた。
『この人は信頼できる人だ。昔この群れにいたシオンが保証する』
リオが突然そう言うと、森のどこからか1匹のルカリオが現れる。
『その言葉に嘘はないな』
そのルカリオがまっすぐにリオを見つめる。
『ああ、嘘はない』
リオは頷く。すると森の中からたくさんのルカリオやリオルが出てくる。
『随分と久しぶりだなシオン。元気だったか』
『色々あったけど元気だよ。あと今はシオンじゃなくてリオって名前だから』
リオは旧友たちと談笑に花を咲かせている。そうしてリオたちを見つめていると1匹のルカリオが話しかけてきた。
『このたびはよくぞこの場所へ参られた。一同歓迎します』
「こちらこそいきなり押しかけてきて迷惑だったんじゃありませんか?」
『なんのなんの一人前のルカリオに認められている人であるなら大歓迎です。して今回はどのような要件で参られたのかな』
「実はうちのリオに見合う修業相手を探していたのです。正直このあたりのポケモンやトレーナーでは相手にならなかったので」
『そうですか、私が見たところだとこの群れの中でも上位の実力を有していると思います。ですからうちのものにとっても良い修業になるでしょう。ところで言葉が通じていることをなんとも思っていないのはなぜですかな』
「えっ、もしかしてあなたは人と話せるのですか? 私もポケモンの言葉がわかるので気づきませんでした」
『なるほど道理であなたから波導が感じられるわけだ。波導には相手の意思を読み取るといったこともできるのです。そしてあなたはその波導の使い手というわけですな』
「へえ、そうなんですか。じゃあ、私はちゃんと波導を使えるようになっていたということなんですね」
『そういうことになりますな』
まさかこんなところで長年の疑問が解けるとは思わなかった。どうしてポケモンの言葉がわかるようになったのかずっと不思議だったんだよな。
「ではそろそろここに来た本来の目的を果たしたいのですがいいですか」
『わかりました。皆のものよく聞け。ここにいるリオと……』
あ、そういえば私の名前を言ってなかった。
「メイです」
『メイ殿はさらなる強さを求めて修業にまいられた。さらにリオはこの群れのなかでも上位の実力を持っていると思われる。そこで実戦形式での組み手でどれほどのものかを確かめる。だれか我こそ相手にふさわしいと思うものはいるか』
『俺が行くぜ』
一匹のルカリオが手を挙げる。真っ先にリオに話しかけていたルカリオだ。
『強くなったのはリオだけじゃないということを証明してやるぜ。リオのトレーナーのメイだっけか、俺の名前はクウトだ。よろしくな』
リオとクウトは向かい合って構える。
『よろしい。それではリオ対クウトの試合を始める。双方用意はいいか。それではよーい、はじめ!』
ありがとうございました。