時雨復活!!時雨復活!!時雨復活!!
異常な魔力のうねりを感じてその場に急いでいるのは御門、シュテル、レヴィ、ディアーチェの四人。対峙していた魔導師四人もついてきているが彼らからすれば気にする程の存在でもない。ギルからはやてとスノウが拐われたとの連絡を受けていたからだ。彼らの目的ははやての守護、その対象が居なくなれば私事など放り投げるのは当然であろう。コトミネたちは数で圧してくる魔導師魔術師の相手をしているために動けない。だから四人ははやてを探すために戦いを放棄し、探索の最中に感じた魔力のうねりの元へと向かっていたのだ。
そしてその最中、
吸血鬼は
星光の殲滅者は
雷刃の襲撃者は
闇統べる王は
しかと目にした
湧き出して大地を覆う化け物を
化け物の中にいた白い男を
地面に横たわっている闇の書の騎士たちの姿を
闇の書の騎士たちを守るように燃え盛る蒼炎を
そしてその蒼炎を従える死神の姿を
彼らが愛おしいと感じ、父と慕った亡き者の姿を見たのだ
「八神時雨‥‥‥‥ッ!!」
ギルの宝物庫の一射やセイバーの不意打ちを受けても微動だにしなかったはずの男が時雨の姿を見た瞬間にその端正な顔を初めて笑み以外の表情で歪めた。まるで苦虫を噛んだかのように忌々しげに時雨のことを睨み付けるがその視線を受けても時雨はニヤリと持ち上げた口角を下げることは無かった。
「あぁそうだよ。まぁ今はサーヴァントとして
「アラヤかガイアか、それとも抑止力の介入か?」
「人の話を聞けよ寄生虫、俺は復讐者だと言ったぞ?誰が好き好んで
「ッ!!寄生虫‥‥だと‥‥!!」
「あぁそうだよ、お前は寄生虫だ。誰かの肉体に宿らねば現存も出来ない残留思念。現にはやてとスノウが居なければお前はこの場にいることすら叶わない脆弱な存在だろうが」
「殺れっ!!」
時雨の指摘が図星で勘に触ったのか、男は群がっている化け物に指示を出して時雨を襲わせる。八方から襲いかかる化け物の数は二十、それらをすべて知覚しながらも時雨は嫌らしい笑みを崩さない。
「殺れ」
時雨が紡いだ言葉は殺戮許可証、その一言と同時に襲いかかってきた化け物二十は細切れになった。
「なッ!?」
「紹介しよう」
霧散していく化け物に一切の関心を向けることなく時雨は何が起こったのか分からなかった男の為に自分の従者の紹介をしてやった。
「俺の従者のリニスだ」
「はじめまして寄生虫野郎、ライダーとバーサーカーのダブルクラスを持って顕現しましたリニスと申します」
いつの間にか時雨の隣に現れたのは猫の耳と尾を生やした獣人の女性。目は眼帯によって隠されている為に露出はしていないがもしも露になっていたのならリニスが男に向ける視線は殺気を帯びた物になっていただろう。それはそうだ、この男のせいではやてとスノウと闇の書の騎士たちはその人生を狂わされ、時雨が死んだ原因でもあるのだから。
「サーヴァントがサーヴァントを従えるだと!?有り得ん!!有り得んぞ!!」
「テメェだってその汚ねぇ残骸従えて小山の大将気取りじゃねぇか、それとどう違う」
旗色が悪くなったと察した男が転移用の魔法陣を展開し、化け物に守護させるように時雨との間に集めさせる。
「逃げるか寄生虫」
「‥‥‥‥」
「黙りかよ‥‥止めやしねぇよ」
「何?‥‥‥‥何を考えてる」
「現状を見て決めただけだ。こっちには負傷者が四人もいる。で、敵が逃げたいと思ってるなら万々歳だ。邪魔する理由がねぇ」
「‥‥‥‥後悔させてやる」
「ハッ!!俺の生涯なんぞ後悔と未練しかねぇよ。精々見逃してもらったことを感謝しながら悪巧みしてな。既に死神の鎌はテメェの首元にピッタリと引っ付いてるんだからよ」
時雨がジェスチャーで首を切り落とす動作を見せる。見逃されたということを理解すると男は時雨に向かって呪詛を吐きながらその場を去った。
「逃がしても良かったんですか?」
「シグナムたちが動けないのは事実だからな。それにアイツははやてとスノウを殺すつもりはないさ。なんせ二人が死んで困るのは向こうだ。少なくともアイツが目的を果たすまでは二人を死なせない」
「時雨‥‥‥‥なのですか‥‥‥‥?」
地面を這いずりながらシグナムは蒼炎に照らされている時雨のことを見上げていた。
時雨は死んだはずだ
自分の目の前で
それなのに、彼はリニスと共にここにいる
「なんだ?俺のことを忘れたのか?それは寂しいなシグナム」
シグナムの疑問に時雨は、シグナムのよく知っている笑みを浮かべて答えてくれた。
「あ‥‥‥‥あぁ‥‥‥‥ッ!!」
ボロボロと涙を流しながらシグナムは時雨の近くに這いながらよっていく。それを時雨は自ら近付いて、膝をついてシグナムを抱き締めることで答えた。
「まぁ、その、なんだ、悪かったな。辛い役押し付けちまって」
「うぅ‥‥‥‥ッ!!時雨!!時雨ッ!!」
時雨の体は暖かく、力強い抱擁は時雨が間違いなくここにいることの証明となってシグナムを包み込んだ。シグナムは後悔と罪悪感、それと再会できた喜びが入り交じり、時雨の名前を叫びながら時雨を抱き締めていた。
「時雨ぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「お兄さぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」
「父上ぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「時雨さぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」
「フゴッ!?」
時雨の姿を見たシュテル、レヴィ、ディアーチェ、御門に押し倒されるという出来事があったりするのだが。
「さて、それじゃ話し合いと行こうじゃないか、クロノ少年、アーチャー」
場所は代わり、ここはアースラにある会議室。座っている魔導師勢代表のクロノとアルフ、壁に寄りかかっている魔術師勢代表のアーチャー、それに対峙する形で座っているのが時雨と、
「ギュー!!」
「ぬぅ!!」
「レヴィ、ディアーチェ、離れない?」
「イヤ!!」
「断る!!」
「ハァ‥‥ハァ‥‥ハァ‥‥」
「シュテルは離れろ、発情してるじゃねぇかおい」
時雨に抱き付いているシュテル、レヴィ、ディアーチェの闇の書勢。三人は時雨に会えなかったことが寂しかったのか時雨に全力で抱き付いている為に離れようとしなかったのだ。あとシュテルが発情してるのはいつも通りです。
「‥‥‥‥むぅ」
「ドヤァ」
「シュテル、アルフに向かってドヤ顔すんな。本気でひっぺがすぞ」
「ばっちこーい」
「ぜや!!」
両手を広げてウェルカムポーズになったシュテルの胸元をつかんで近くにあったゴミ箱に投げ捨てる!!
「シュテルをゴミ箱にシュゥゥゥゥゥッ!!」
「超!!エキサイティング!!」
「ノリノリだな君らは‥‥」
「なんだねそのノリの良さは‥‥‥‥」
「いつものことなんで気にすんな。あ、アルフ、一人分空いたけど来るか?」
「えっ!?い、いや!!あたしは!!」
「遠慮しなくてもええんやで?‥‥‥‥アルフには色々と悪いことしたからその償いだと思ってさ」
「え、あの、その‥‥‥‥う、うん」
「はい、ギュー」
遠慮しがちに近寄ってきたアルフを時雨は抱き締めてた。レヴィとディアーチェは然り気無くアルフの邪魔にならないような位置に移動している。アルフは顔を赤くして恥ずかしそうにはしているものの、尻尾は嬉しそうにブンブン振られている。ゴミ箱にシュゥゥゥゥゥッ!!されたシュテルは頭からゴミ箱を被ったまま時雨を求めて検討違いの場所をフラフラとさ迷っている。
「‥‥‥‥一応真面目な話の場なのだがな」
「おりゃあ生前には色々と酷いことしてきたからねぇ、その償いのつもりさ。だからこうして話そうとしてるんじゃないか。まぁシグナムたち診てもらってることの礼も兼ねてるんだけどね」
仮面の男(故人)の手によって魔力を抜かれたシグナムたちはアースラの医療室に寝かされている。魔力を抜かれただけだからその内目が覚めるだろうというのが医者の見解だ。その事に恩義を感じない時雨ではない。だからこうして話ができる場を設けているのだから。ちなみにコトミネたちは雑多の魔術師と魔導師たちを殲滅した後に逃げ出したのでこの場には居ない。アースラにいるのはマテリアルズの面々と御門、それとギルだ。
「一つ聞きたい、何故我々だけなのだ?全員に聞かせた方が早いのでは無いか?」
「例え二度手間になったとしても話が通じる奴だけで話し合った方が早いのよ。お前ら以外はなんやかんや感情的な奴が多いからねぇ、だから理性的なお前たちを呼んだわけだ」
「そうか、何も考えて無いように見えて実は考えているのだな」
「考えるときは考える、考えないときは考えない。そのメリハリが大切だからな」
アーチャーの皮肉にも時雨は何でもないように受け流してケラケラと笑って見せた。アーチャーが皮肉屋であることは時雨も知っているし、アーチャーが本気で時雨のことを辱しめていようとしているわけでないことも分かっているからだ。
「よし、まずはそっちがわかってることを教えてくれ。一からレクチャーするのは手間だからな」
時雨の要求を受けてクロノが無限書庫にてユーノを使って集めていた情報を提示した。まとめると以下の通りである。
・闇の書の正式名称は夜天の書で、元は稀少なスキルや技術を集めるためのロストロギアである
・歴代の書の主の一人が夜天の書を改造した結果今の闇の書になった
・全六六六ページを蒐集すると管理人格が現れて星を破壊し尽くす
・完成前に闇の書を破壊、もしくは主を抹殺したとしても転生プログラムと呼ばれる機能によって別の世界に移動する
・完成、非完成問わずにそうなった場合には蒐集されたページはすべて初期化される
他にも細かいことはあるのだがまとめるとこのような感じだろう。クロノからこの情報を聞かされた時雨は満足げに頷いた。
「いや、管理局が大義名分に酔っている馬鹿だけでなくて助かったよ。そこまで分かってるなら話は早い。なら教えよう、闇の書の闇に潜む悪性の正体を」
「事の始まりは闇の書となった夜天の書が地球に現れて、とある魔術師が闇の書の主になったことだ。
その魔術師は良くも悪くも純粋な魔術師でな、闇の書を使えば【根源】に辿り着けるんじゃ無いかと考えたんだ。【根源】ってのはこの世のすべての始まり、アカシックレコードとか色々と呼ばれてる物の事だ。魔術師って連中は手段は違えどそこに辿り着くことを目標としている。
その魔術師は自分の魂を闇の書に書き写した。何?そんなこと出来るわけない?人間の人格ってのは所詮情報なんだよ。記憶すべてを模写することが出来ればそれと同じ別人が作れる。そうしてその魔術師は闇の書の一部となって条件付きで顕現出来るように仕掛けを施した。
しかし奴さん、それだけじゃ足りないと考えたらしくてな。世界の意思とか言うのと契約して余計なものまで組み込みやがった。
不思議に思わなかったか?これまでの闇の書が必死こいて集めた魔力が主が死んだ程度のことで初期化されるなんてよ。その初期化された魔力はその魔術師と
「‥‥‥‥話が大きすぎるな。アーチャー、時雨の言ったことは魔術師側から見てどう思う?」
「‥‥‥‥確かに、【根源】への到達は多くの魔術師にとっての悲願だ。それを果たすために人生を費やして、子孫に望みを託すというのが魔術師という人種だ。しかしそれは無理だ。【根源】に到達しようとすれば抑止力が働く。【根源】への到達を妨げるアンチカウンターが動くぞ」
「だからここまで待ってたんだよ。星を幾つも食い潰してまで蓄えた魔力を使って力任せに抑止力を抑止する。だがそうしたとしても‥‥‥‥地球は無くなるだろうな。抑止力を力任せに抑えるんだ、その反動で地球が無くなってもおかしくない。すべては悲願の為にってか?泣かせるねぇ、笑わせるな。そんなことの為にあいつらを苦しめたんだぜ?涙よりも笑いよりも怒りしか込み上げてこねぇよ」
時雨の話が終わって思わずクロノは溜め息をついてしまった。つまりは今回の事態は一人の魔術師が【根源】とやらに辿り着こうとして起きた事だ。それで世界が滅びるなんてまるで三流小説のようではないか。しかしそれを馬鹿なことと言って切り捨てることは出来ない。その魔術師とやらが顕現したということは【根源】に辿り着ける手筈が整ったと言うこと、世界が滅びるまでのカウントダウンが始まっているのだ。
「だから手を貸せ。俺の身内が死ぬだなんて俺は望んでいない。だからその身内を守るついでに世界を救ってやる。断ってくれても構わない。そうなったら俺一人‥‥いや、リニスと二人ででもあの寄生虫ぶっ殺しに行くからな」
「お兄さん、僕も行くよ!!」
「我もだ!!」
「私も当然行きますよ」
「これで五人っと、後は御門とギル‥‥ユーリにも声かけておくか」
「君が身内に頼る‥‥‥‥それほどのことか」
「あぁ、俺はあいつを許せない。シグナムたちを、スノウを、はやてを苦しめたあいつを許せない。だから使えるのなら死人の手だって使ってあいつを殺してやるよ、復讐者の名の通りにな」
ふとそこで、ノックされて会議室の扉が開く。そこにはプレシアと車イスに乗ったアリシアの姿があった。
「時雨がいると聞いて来たのだけど‥‥‥‥どうなってるのよ」
「ヤッホー」
「プレシアにアリシアか、久しぶりだな。悪い、色々と迷惑かけたな」
「自覚してるなら良いわよ。アルフも嬉しそうにしているみたいだしね」
「ち、違っ!!これは!!」
「隠さなくて良いわよ。それと、ここに来たのはアリシアが貴方に用があるからよ」
「俺に?何のようだ?」
「時雨さん」
アリシアが時雨の名を呼び、自分の胸に手を置いて目をつむった。するとアリシアの体から光が溢れ、集まって金と蒼の装飾の施された鞘になった。これを見たアーチャーは目を見開いた。何故ならアリシアから出てきた鞘はセイバーであるアーサー王の持つエクスカリバーの鞘だったのだから。
「私のことを救ってくれてありがとうございます。私はもう大丈夫です。なので、この鞘をお返しします」
「
「はい、だから貴方はやりたいようにやってください」
「‥‥ありがとよ」
時雨は鞘を受け取り、お礼のつもりなのかアリシアの頭を撫でた。アリシアはそれを払うわけでもなく気持ち良さそうに受け入れている。それを見てプレシアは鬼の様な表情で血の涙を流しながら時雨のことを睨み付けていた。
「ぐぬぬぐぎぎゴギガガガガガガガガガガガガガ」
「プレシアさん!!せめて人の言語で話してくれやしませんかねぇ!?」
「平常と言えば平常だが‥‥相変わらずだな。時雨はこれからどうするつもりだ?」
「頼まれごとに平行しながら俺のやりたいようにやるさ。復讐者のサーヴァントに相応しい行いをな。今は‥‥九時か、なら十二時に動くから着いてきたい奴は準備しておくといいさ」
そう言いながら時雨は血の涙を流しているプレシアを視界に入れないようにしながら会議室から出ていった。どうやらサーヴァントになっても触れたくない者はあるらしい。
「さて寄生虫野郎が。俺の家族に手ぇ出して楽に死ねると思うなよ?」
時雨は闇の書の真実は月にいる間にボスキャラ四天王から聞きました。
↓その時の様子
リニス「え?これを読めばいいんですか?‥‥えーではこれより第704666471回【全く、俺の信念は最高だぜ!!討論会】を始めます」
黄金「【愛するが故に壊す党】代表のラインハルト・ハイドリヒだ」
水銀「【女神こそが至高党】代表のカリオストロだ」
魔王「【人間賛歌を歌い上げようの会】代表の甘粕正彦である!!」
欠片「【人類の真価を見定め隊】の代表のトワイス・H・ピースマンだよ」
死神「え?これ俺も参加するの?‥‥あ~【家族こそが究極主義】代表の八神時雨です」
リニス「それでは皆さんにはこれより各々の信念を心行くまで語り合ってもらいます。その中で信念が相入れないと感じた相手とはムーンセルの用意したフィールドでバトってもらいますのでご了承ください」
死神「なんで俺呼ばれたの?まさかこれに参加させるために?」
~討論~
黄金「愛するが故に壊す‥‥否!!壊さぬよう抱き締めるのだ!!」
水銀「素晴らしい‥‥これが未知か‥‥!!フハハハハッ!!私は今を生きているっ!!!」
魔王「バンザァァァァイ!!バンザァァァァイ!!ォォォォーーーーーーーーバンザァァァァァァァァイ!!!!!!!!」
死神「‥‥なぁにこれ?」
欠片「この討論会の終わりは大体こんな感じだよ。あぁそうだ、君に頼みたいことがあってだね‥‥‥‥」
↑こんな感じで時雨とリニスはトワイスから闇の書の真実を聞いて、とある頼みたいことをされました。
その間、黄金閣下と
感想、評価をお待ちしています。