調律者は八神家の父   作:鎌鼬

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今回はシリアス成分は含まれておりません。

なので久々に後書きを復活させます。




Ⅷ 去った者たちのその後

 

 

空はまるで墨汁をそのままばらまいたかのような濃黒、大地は金属に現れる赤錆が浮き出たよう。本来ならば光源のないはずの世界なのだが問題なく見えているのは些末な事なのだろう。何故ならば、そんなことよりも注目すべき点があるから。

 

 

赤錆が浮き出た大地を駆けるのは人間、いや、人間だった存在。何故過去系なのかと言う疑問はそれらの姿を見れば解決できよう。

 

 

頭はある、手はある、足はある。五体満足でありながら大地を駆けるそれらはどれ一つとして例外なく骨と皮だけの痩せこけ、その上体の至る所が腐敗している。人間であるなら動けないような体を動かしながら腐敗した肉に蛆を張り付けている姿を見て誰が人間だと断言できようか。

 

 

彼らは亡者。生者として世界で生を終えて、この世界に堕ちてきた者たちの成れの果て。

 

 

その亡者たちが一心不乱に走り、向かう先には彩り鮮やかな光弾と目が覚めるような蒼炎が燃え盛っている。

 

 

光弾と蒼炎の原因となっているのは二人。一人は頭と腰から人のものとは思えない猫の耳と尻尾を生やした女性。もう一人は右腕を無くし、残った左腕で一本の刀を振るっている男性。

 

 

「ハッ!!天国になんて行けるわけもなく間違いなく地獄行きだと分かっていたが手厚い歓迎パーティーだなぁおい!!()()()よぉ!!!」

「あぁもう!!喋る暇があるならそれよりも手を動かしてください()()!!!」

 

 

そう、その二人とは堕人(おちびと)となって死んだはずの八神時雨と、彼と運命を共にしたはずの使い魔のリニスだった。

 

 

無論、彼らは生きている訳ではない。自分が死んだときのことをはっきりと覚えているのだから。故にここはあの世、死後の国と呼ばれている世界。そこで二人は亡者たちに襲われていた。

 

 

「てかあの世って本当にあるんだな~この事を覚えたまま転生したら皆に教えてやろうと思うんだけどリニスはどう思うよ?」

「襲われているのにいつもと変わらない時雨にドン引きです。てかなんで彼らは私たちを襲ってくるんですか?私たちここに来たばかりで何もしてませんよ?」

「俺たちが来たから襲ってるんじゃ無いかな?亡者たちは生者のことが羨ましい、そこにさっきまで生きてた俺たちが来た、襲っちゃえ~!!みたいな感じで」

「見境なしとか更に引くレベルじゃないですか~やっだぁ!!道理で股間にぶら下がってる粗末な物が勃ってる訳ですか!!捕まったら間違いなく同人誌展開ですね!!」

「そいつはいい!!薄い本が厚くなる!!‥‥‥‥所でリニス、勃起させた連中の何割かが俺に向かって来ているように見えるのだがどうしたらいいんだろうか?」

「ゲイ?バイ?‥‥‥‥まぁ好かれてるってことですね」

「やっだぁ!!」

「ハッハッハ~Don't mind.」

「無駄に発音良いのが余計に腹立たしいなぁおい!!」

 

 

生前と変わらない様子で会話を続けながらも二人の手は止まることは無い。時雨の蒼炎とリニスの光弾が迫り来る亡者たちを燃やし、穿ち、それを掻い潜って来た亡者たちは例外なく時雨によって斬られている。

 

 

「あぁもううざってぇ!!リニス、伏せろ!!」

「はい!!」

 

 

リニスが伏せたのを見計らって時雨は刀を腰の辺りまで下ろして力を溜める。攻撃が途絶えたことを好機と思ったのか亡者たちは速度を上げて二人に迫っていく。が、歩数にして僅か五歩の間で時雨の準備は整った。

 

 

周断ノ太刀(アマネタチノタチ)焔廻ノ型(エンカイノカタ)

 

 

溜めに溜めた力を一気に解き放ち、時雨はその場で一回転するように刀ーーーーーーーー焔華(ホノカ)を振るった。振るったことで起きたのは迫り来る亡者たちの上半身と下半身が二つに別れた。しかしそれで殺せたのは全体の一割にも届かない。だが亡者たちが別れただけでは終わらない。斬撃の後を追うようにして蒼炎が津波のように亡者たちを飲み込む。蒼炎は空気と亡者たちに残っていた僅かの脂肪を燃料にして二人と亡者たちを分ける焔の壁を作り出した。それでも亡者たちは二人に向かって行くが焔の壁に飛び込み、すぐに蒼炎を絶やさず燃やすための薪にへとなっていった。

 

 

「ふぃ~これで一息つけるな。こっからどうするよ?」

「どうしましょうか‥‥‥‥確かに私たちは死にましたが何時までもこんな所には居たくは無いですし」

「亡者の相手しながら地獄巡りの旅でもするか?俺としてはあまりオススメしたくないけど」

「どうしましょうかねぇ‥‥‥‥」

 

 

二人がこれからのことについて話しているその時だった。二人は唐突に地面が揺れていることに気がつく。そしてその揺れは徐々に大きくなっていき、亡者たちの呻き声に混じって何かを引きずるような音まで聞こえる。音が聞こえる方向を向けばーーーーーーーー

 

 

「あれは‥‥‥‥船?」

「」

 

 

見えたのは鋼鉄で作られた戦艦(いくさぶね)。本来ならば海を走るそれは走ることができないはずの地面を航海していた。いや、それが地面という海を走ることを目的として作られたのであればこの結果も頷ける。その戦艦(いくさぶね)を注意深く観察していたリニスだったが時雨が何も言わないことを不思議に思い、そちらを向いてみれば、

 

 

「」

「時雨!?なんかスゴい顔してますよ!?」

 

 

言葉では言い表せないような表情になっている時雨が居た。

 

 

 

ーーーーーーーー聞こえるか、皐月原時雨とその従者よ

 

 

声が聞こえた。響いて聞こえるが恐らく男の物。声色から判断するに喜びの感情が強い声。それはやって来た戦艦(いくさぶね)から聞こえてきた。

 

 

戦艦(いくさぶね)の先端部に人影が見える。男だ。恐らくは先の声の主だろう。黒い軍服らしき物を身に纏い、羽織っている白いマントが靡いている。そしてその顔は何が楽しいのか、何が嬉しいのかはわからないが満面の笑みを浮かべていた。

 

 

『そこなる亡者共は俺が殺そう。殺傷範囲が広い技だが‥‥‥‥まぁ貴様らならば乗り切れるであろう』

「ちょ!?待てや!!ふざけんなよ!!」

 

 

男の言葉を聞いて時雨は正気に戻り、そしてリニスを押し倒した。

 

 

「え!?い、いきなり青姦プレイですか!?そ、それはちょっと難易度が高過ぎるような‥‥‥‥」

「‥‥‥‥」

「アフン!?」

 

 

トチ狂ったことを言い出したリニスに一先ず無言でビンタをかまして黙らせる。そして周囲に燃えていた蒼炎をかき集めて半球状のドームを作り出した。何故あの男がここにいるのかはわからないが、仮にあの男が時雨の知っている男であるのならばこれからすることは間違いなくヤバイ。

 

 

亡者たちは新たに現れた獲物に向かって走り出す。それを男は戦艦(いくさぶね)の上から人を見る目ではなく、これから屠殺される家畜を見るような目で見下していた。

 

 

『己の弱さを改めようともせずに弱者のままで逝った貴様らなど家畜に過ぎん。それが人として生きた奴等を害するなどこの俺が認めんし、赦さんよ。亡者であるのならば疾く消え失せるがいいーーーーーーーー殺戮のイェフォーシュアよ!!!』

 

 

蒼炎が揺らめき、僅かに外の景色が見えた一瞬、リニスはあるものを見て、時雨が何故こんな行動をしたのか理解できた。

 

 

黒い空に現れたのは小さな鉄の塊。そう、それだけであるのならば何も恐れることはない。問題なのはあの鉄の塊の中身ーーーーーーーー核だ。ただの一回の爆発で多くの命を殺し、その後にも猛毒を撒き散らして多くの命を脅かす人間が作り出した最悪の兵器。

 

 

それかこの地獄に現れた。

 

 

『リトルボォォォォォォォォォイ!!!!!!!!』

 

 

最悪の兵器が男の指示と共に爆ぜた。感じたのは圧倒的な衝撃と溶けてしまいそうな程の熱。時雨がいなければリニスは今ごろ何が起こったのか理解する間もなく消え失せてしまっていたと確信できる程の物だった。衝撃と熱が無くなり、蒼炎のドームが解かれて時雨がリニスの上から退く。

 

 

そこの光景はさっきまでとは変わっていた。大地を覆い尽くしていた亡者たちは一人残らず消えてしまっている。残ったのは熱で溶解した大地とーーーーーーーー鋼鉄の戦艦(いくさぶね)。それだけはあの爆発を受けてなお健在だった。

 

 

「ーーーーーーーー」

 

 

時雨がフラりと立ち上がる。視線の先には戦艦(いくさぶね)、正確には戦艦(いくさぶね)に乗っている男。

 

 

「ーーーーーーーー」

 

 

時雨が駆けた。戦艦(いくさぶね)に向かって。ある程度まで接近すると大地を蹴って戦艦(いくさぶね)に飛び乗ろうとする。それを男は拒む訳でもなく、久しぶりにあった親しい身内にでも向けるような顔で手を広げて時雨を迎え入れようとしていた。

 

 

そしてそれを時雨はーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「久しいな、皐月原時雨y「何さらしてくれとるんじゃボケェぇぇぇぇぇ!!!!」ブォッ!?」

 

 

ーーーーーーーー飛び蹴りで返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ゛ぁ゛‥‥‥‥首が‥‥‥‥首が‥‥‥‥」

「助けてくれたことは感謝するがその方法が核兵器とかふざけてんのかワレェ!?俺たち諸とも殺すつもりか!!アァン!?」

「貴様であるのならばあの程度で死ぬわけが無かろうが」

「カッチーン」

「ハイハイドウドウ、まぁ確かにやり過ぎた感はありますが結果として助かったから良いじゃないですか。この人も反省しているでしょうし」

「やり過ぎたとは思っているし、反省もしている‥‥‥‥だが後悔はせん!!」

「あ、この人反省はするけど同じ間違いを繰り返すタイプの人ですね」

「はぁ‥‥‥‥久しぶりに会ったが開幕から疲れる」

 

 

男の乗っていた戦艦(いくさぶね)に二人は乗って、地獄巡りをしていた。時おり亡者が艦を見つけてやって来るも、正面から艦に引かれて挽き肉になっていっている。

 

 

「時雨、この人のことを紹介してもらっても良いですか?貴方は面識があるみたいなのですが私には無いので」

「あぁ、そうだっけな。こいつはーーーーーーー」

「よい、己の紹介程度ならば自分でできる」

 

 

時雨を遮って男がリニスに向き合う。男の表情はまるで見下しているかのような薄ら笑い、しかしその目は真っ直ぐにリニスのことを射抜いていた。思わず目をそらしたくなったがそらしてはいけないと本能が訴えていたので負けじとリニスも睨み返す。そのリニスの姿を見て男は不意に顔と視線を和らげた。

 

 

「なるほど、皐月原時雨に従うと決めただけあって強い女だ。俺の名は()()()()、誰よりも人を愛する裁定者である」

「あまかす‥‥まさひこ‥‥?」

 

 

聞き覚えのある名前だった。時には時雨の小説の魔王として登場し、最近では正義の法(ジャスティス・ロウ)を名乗っていた男と時雨の父親だと時雨本人が言っていたではないか。時雨の方を向けば彼はリニスが言いたいことを理解したのか静かに首を縦に振った。

 

 

「お前の想像通りだよ。俺の元居た世界で魔王として人と敵対する存在であり、遺伝子的に見て俺の父親だ。まぁ言ってしまえばそれだけの関係だがな」

「ハハッ、まだ女と契ったことが無いというのにすでに子持ちとは愉快極まりない」

「‥‥童貞だったのか。まぁ実子か義理かの違いがあるが俺も同じだしな」

「さて、語るべきことは山程あるのだがーーーーーーーー」

「へぇーーーーーーーー」

 

 

甘粕の手が腰に下げられている軍刀に伸び、時雨の手も焔華(ホノカ)へと伸びる。そしてーーーーーーーー

 

 

「「フンッ!!」」

 

 

お互いの刀を自分の背後に向けて振るった。二つに別れて甲板の上に転がるのは地面に居たはずの亡者。どうやら艦をよじ登ってここまで来たらしい。

 

 

「ここではおちおち話をすることも出来ぬな」

「同感だ、どこか安全そうな場所にまで運んでくれ」

「ーーーーーーーーあぁ、二人は本当に親子なんですね」

 

 

リニスは本当に時雨と甘粕が親子だと言うことを実感した。顔のパーツなどよく見れば似通った場所があるし、先の刀を振るう姿もそうだ。まるで鏡合わせののようにそっくりの動きだった。少なくともリニスが二人のことを親子だと納得するには十分すぎる理由になった。

 

 

戦艦(いくさぶね)が赤錆の大地から離れ、空へと飛び上がる。気づけたのは大地を削る音がなくなったからだ。

 

 

「‥‥‥‥時雨、この艦飛んでません?」

「飛んでるなぁ。まぁ甘粕の艦だから不自然じゃないな」

「いやいやいや、艦が飛んでるって事だけで不自然過ぎやしませんか!?」

「あぁ、そういえばリニスは甘粕の異能を知らないんだっけ?こいつの異能はざっくり言ってしまえば【意思の力】だ。甘粕は意思の力だけで概念や物理法則を覆す。さっきの核兵器やこの艦みたいな兵器を創るのも容易いし、それらにあり得ない行動を取らせることも簡単だ。それに甘粕は見た目は二十歳やそこそこに見えるが実年齢は百を越えてる。なんでも意思の力だけで細胞の老化を止めて全盛期の身体を維持してるんだそうだ」

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥バグキャラ?」

「安心しろ、あっちにはもっとぶっ飛んだ奴も居たから」

「ホンット人外魔境だったんですね‥‥‥‥時雨の居た世界は」

 

 

甘粕と時雨とリニスを乗せた戦艦(いくさぶね)は濃黒の空を行く。進路の先には黒の中にポツンと一つだけ浮かんでいる青い月。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「着いたぞ、ここから先は少し歩きになるがな」

「おいおい‥‥月の(さかずき)まであるのかよ!!ふざけてるなぁおい!!」

 

 

結論から言ってしまえば三人を乗せた戦艦(いくさぶね)は青い月にへとたどり着いた。月との間にあるはずの宇宙空間を通過することなく。そして時雨は月の上にある蒼い太陽のような球体を見て驚愕を隠さずにそう叫んだ。

 

 

「時雨?あれがどうかしましたか?」

「あー‥‥聖杯って言ったら分かるか?」

「確かアーサー王とか色んな人が探した聖遺物でしたか?所有者となった人間の願いをなんでも叶えるとかいう」

「その認識で間違ってない‥‥‥‥あれが聖杯だ」

「‥‥‥‥はい!?」

「とはいってもお伽噺に出てくるような代物じゃないがな。要するに願いを叶えることができるかどうかが聖杯の判断基準なんだ。コトミネから聞いた話じゃ聖堂教会は聖杯らしき物を幾つか見つけているらしいし、ジュエルシードも聖杯と言えないこともない。そいでこれが月の聖杯ムーンセルだ。正体は月にあるとされてる超高性能のスパコンだと思えばいい。【地球を観測すること】、それがムーンセルの唯一にして絶対の使命。ムーンセルは地球が生まれてからずっと地球を観測し、そのすべてを記録しているんだ」

「はぁ‥‥‥‥あれ?でもそうなると時雨の言っていた願いを叶えるっていう聖杯の定義を満たしていないんじゃ?」

「ここからが重要なんだ。観測する上で必須とも言える事柄が出てくる。それは予測だ。予測し、観測することでムーンセルはより多くの情報を集める。あぁはならなかったからこうなった、ではこうなった場合の結末はどうなるかという具合にな。そうして予測されたif(もしも)を観測しているうちにムーンセルに一つの機能が生まれた‥‥‥‥それまでムーンセルは観測することで未来を予測していたが、逆に未来予測を確定させた上でそうなるように観測することができるようになったんだ。分かるか?いわゆる因果の逆転だ。こうしたからこうなるんじゃなくて、こうなると決まっているからこうしたっていう事象の逆転だよ」

「それを使えば望みを叶えることができる‥‥‥‥!!」

「そう、しかも質の悪いことにそれは未来だけじゃなくて過去にも有効なんだ。つまりムーンセルを掌握することができれば地球を好き勝手できる訳だ」

「最悪じゃないですか」

「俺が取り乱した理由が分かったか?」

「えぇ‥‥よくわかりましたよ」

 

 

甘粕の案内する先に着くまでの間に時雨は噛み砕いてあの蒼い太陽の危険性をリニスに説いた。正確にとは言えないが概ねの内容としては時雨の説明に間違いはないだろう。時雨からすれば冬木とかいう町で行われる聖杯戦争よりも月の聖杯の方が厄介であった。

 

 

冬木の聖杯には呼び出したサーヴァントの魂を魔力として蓄えることで願いを叶えることができる。それはつまり魔力が無くなってしまえばその聖杯には願いを叶える力が無くなるということ。しかし月の聖杯は冬木の聖杯とは違い、魔力を蓄える必要など無い。聖杯戦争を開いたのはあくまで人を観測するというムーンセルの使命を果たすための行動でしかない。つまりは月の聖杯は無制限に使うことができる。どちらの方が厄介であるかなど、再度語る必要は無いだろう。

 

 

「(最悪俺がムーンセルを掌握してしまうか‥‥もしくは破壊だな。所有者が居ないかまともな奴なことを祈ろう)」

「ーーーーーーーー着いたぞ」

 

 

甘粕の足が止まることで時雨とリニスの足も止まる。ここに着いたときよりも蒼い太陽に近づいた場所には誰かが居た。数は三。それらの顔を確認しようとしてーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ーーーーーーーー」

「」

 

 

リニスは言葉を失い、時雨は白目を向いて絶句した。

 

 

一人は黄金だった。靡く髪は黄金の鬣。向けられる瞳の色も黄金。まるで黄金比のように整った顔は美しい等ではなく畏怖を感じさせた。

 

 

黄金に向かい合うように立つのは影だった。若者であり、老人であり、男であり、女であり、目の前にいるはずなのにハッキリと認識することができない。それでいて黄金に霞むことなくその存在感を現している。

 

 

黄金と影から少し離れた場所にもう一人居た。白衣を纏い、眼鏡をかけた青白い顔は黄金と影を前にしてしまえば霞む他無い。しかし彼らに劣るとは言えど、その存在は他の人間よりも際立っていた。

 

 

「待たせたな、こやつらが皐月原時雨と従者のリニスである。貴様らも名乗るがいい」

 

 

甘粕はその三人に臆することなくそう告げた。甘粕のあり方はどこまでも王道だった。例えそれは黄金と影を前にしても変わることは無い。

 

 

そして甘粕の言葉に従うように三人は己の名前を口にしたーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「卿が甘粕の息子か。私はラインハルト・ハイドリヒだ」

「ヘルメス・トリスメギストス、カリオストロ、カール・エルンスト・クラフト、ノストラダムス、パラケルスス、クリティアン・ローゼンクロイツ、ジェフティ‥‥等と様々な呼び名があるが好きに呼んでくれて構わないよ」

「やぁはじめまして、私はトワイス・H・ピースマンだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(地球オワタ\(^o^)/)」

 

 

地球の滅亡は近い(確信)

 

 

 






魔王、黄金、水銀、平和男の登場!!まさかのボスキャララッシュに作者も驚愕を隠せない!!


どうしてこうなったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!


ふぅ‥‥醜態を失礼しました。


まぁ色々と出てきましたけど‥‥地球の終わりが近いことは間違いないですね!!(白目)


感想、評価をお待ちしています。



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