調律者は八神家の父   作:鎌鼬

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皆の麻婆愛に草不回避な感想をたくさんいただきました。


海鳴農林組合の盆踊りシーン差し替え
「ひーかぁりかーがやぁくこーんーぶーだぁしー・・・・・・」


やりたかったのですがホラーになりそうだったので諦めました。


番外編28章 そーれそれそれお祭りじゃぁぁぁぁぁ!!!!②

 

 

【八神堂】で屋台で買った食べ物を消化する作業を終えた御門とヴィータは再び屋台が並ぶ商店街を歩くことにした。出るときに神父服の男性が時雨が進めていた極楽麻婆豆腐を一心不乱に食べていたが気にしてはいけない。食べるものは食べたので今度は輪投げや射的といった遊べる屋台を見て回ることにする。

 

 

「えっへへ~♪」

「取れてよかったね」

「うん!!」

 

 

嬉しそうに笑うヴィータの手には金魚すくいの屋台で取った金魚二匹が入った袋が握られている。ヴィータが3000円かけてとった努力の結晶である。最後の方は涙目になりながら金魚すくいをするという光景になっており成功したときに周りから歓声が上がったことは語るまでもない。

 

 

「・・・っしょ・・・!!わ・・・・・・い!!」

「ん?何だ?」

 

 

遠くから聞こえてくる声に御門は思わず足を止めた。怒声に近い気がするがどちらかと言えば掛け声のような気がする。ヴィータもこの声に気がつき足を止めるがそれが間違いだった。人混みが別れて声の正体が姿を表す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わっしょい!!わっしょい!!」

「「「「「幼女!!幼女!!」」」」」

「わっしょい!!わっしょい!!」

「「「「「幼女!!幼女!!」」」」」

「」

 

 

声の正体を知ったとき御門はアホみたいに口を開けることしか出来なかった。何故なら現れたのは神輿を担いだ集団。ここまでなら祭りだからという理由で珍しい物では無いだろう、しかしこの集団の格好と担いだ神輿が問題だった。

 

 

集団の格好ははっぴ、熱いのか上を脱いで上半身裸になっているが周りが騒いでいないから警察沙汰にはならないのだろう。しかし何故か全員が袋を被って顔を隠していた。穴のない袋を縄で縛り、大きく【罪】と書かれた袋を。よく見ればはっぴには【幼】と【女】の文字がある。

 

 

そして担いでいた神輿。通常の神輿なら小型になっている(やしろ)を担いでいるのだがこの集団の神輿は

 

 

「こらー!!出さぬかぁぁぁぁ!!」

「あっははは♪」

「それ行けー!!」

「ど、どーゆーことなの!?アリス君!!」

「俺に聞かないでくれ・・・・・・」

 

 

檻に入れられた、少女たちだった(一人男の娘)。前の集団が担いでいる檻に入れられたディアーチェは檻から出ようともがき、はやてとレヴィはこの状況を楽しんでいる様子。そして後ろの集団が担いでいる檻には泣きそうになっているなのはと幼馴染みである藤峰アリスが入れられていた。

 

 

「(もうわけがわからないよ)」

 

 

受け入れがたい現実を前にして御門は思考停止してきまった。そしてこの集団を先導していた袋と目があってしまう。御門の容姿は女子と間違えられるような物ではない。しかし御門の隣にはヴィータがいる。そこに目をつけられた。

 

 

「者共!!であえであえ!!幼女がここにいるぞ!!」

「「「「「幼女じゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」」」」

 

 

先導者の言葉に反応した袋たちが叫びと共に御門たちを囲んだ。この袋たちの狙いは間違いなくヴィータなのだろう。とっさにヴィータの前に出て守るように立ち塞がるが相手は大人で複数人、それに対して御門は一人で子供。一対一でならともかくこの状況は子供一人の力では覆せない。魔法は人目が多すぎることから使えない。

 

 

「「「「「幼女ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」」」

 

 

袋たちが一斉に飛びかかる。そして御門が防御のために身を固めようとした瞬間、背後から黒い影が現れ、

 

 

「ーーーーーーーーーシィッ!!」

「ブハッ!!」

「ゲボッ!!」

「アベシ!!」

「ヒデブ!!」

「ペブホ!!」

 

 

袋たちを一瞬で凪ぎ払った。

 

 

「はふはふ・・・・・・ふぅ、無事かね?」

「コ、コトミネさん!!」

 

 

現れたのは赤い液体の着いた皿と蓮華を神父服の懐にしまっているコトミネだった。何を食べていたか?説明の必要はないと思うが・・・・・・麻婆だ。

 

 

「出たな!!コトミネ神父!!何故我ら【幼女愛好罪人教】の邪魔をする!!」

「説明の必要など無いであろう?私は見ての通り神父だ。道に迷えるものがいるなら道を教えるのが私の勤めだ。貴様らの行いを見て道に迷っていない等と答えるものは恐らくいないだろう」

「コぉぉぉぉトぉぉぉぉミぃぃぃぃネぇぇぇぇ!!!」

 

 

コトミネが現れたことを確認すると他の袋たちが神輿を丁寧に下ろし、熱中症対策らしき飲み物を檻の中の子供たちに渡してからコトミネを囲う。地味に気遣いできてるのがスゴいところである。それを他のところに使ってほしかった。

 

 

「今日こそ!!今日こそ貴様を倒して幼女の幼女による幼女のための新世界を我らは創作する!!」

「ふむ・・・・・・意気込むのは良いのだが私ばかりに気をとられていても良いのかね?」

 

 

ドゴンと、普通ではあり得ない爆発音(・・・)がして袋たちの一部が空を舞った。

 

 

「「「「「「・・・・・・はっ?」」」」」」

 

 

腑抜けた声を出した袋たちは悪くはない。何故なら人が軽々しく吹き飛ばされるという非常識な光景を見てしまったから。

 

 

「あらあら、お外が騒がしいと思ったら・・・・・・何をしているのかしら?貴方たち」

 

 

雨ではなく人が降るというあり得ない天気の中で悠々と現れたのは割烹着を着た一人の女性。手にはボロボロになった袋の一人が持たれて、引きずられて更にボロボロになる。

 

 

「そこにいるのは御門君とヴィータちゃんじゃない。ここは危ないから早くお行きなさい」

「は、はい!!」

 

 

女性に声をかけられ、反射的に返事をした御門はヴィータの手をとって駆け足でこの場から離れる。女性は優しく微笑みながら言ったが女性のーーーーーー時雨のことを知っている御門は気がついた。

 

 

「(目が笑ってなかった・・・・・・完全にキレてらっしゃるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!)」

 

 

御門にできることと言えば巻き込まれないように一刻も早くこの場から離れることだけ。キャッキャと喜んでいるヴィータと共に御門はダッシュでこの場から離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて貴様ら」

「貴方たち」

「「冥府へ向かう覚悟は出来たか」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、一つの宗教団体が潰れ、海鳴に一つの噂が流れた。

 

 

祭りの日に騒ぐバカには【神父の悪魔】と【割烹着の悪魔】が現れて天罰を下すという・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「凄かったな!!人がドーンって飛んで!!」

「はぁ・・・はぁ・・・・・・うん、凄かったね」

 

 

二人の悪魔が暴れている現場から逃げたした御門とヴィータは商店街を抜けて開会式のあった場所とは反対側の広場に出ていた。一先ず切れた息を整えようと座れる場所を探していると・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「跪きなさい!!!!」

「・・・・・・ふぁ?」

 

 

何やらピラミッドのような祭壇と、その上で腕を組ながら跪くように命令しているくぎゅう・・・・・・否、アリサ・バニシングの姿を見つけてしまった。アリサの命令に応じるように何人かは膝をつくが半分いくかどうかのところで動きは無くなってしまう。

 

 

『はい、それではアリサ・バニシングさんの得点は45人ですね!!』

『この歳にしてこの人数ですか・・・将来に期待できますね』

「なにやってんのあの人たち!?」

 

 

何やら解析席らしき場所に座って結果を冷静に解析している二人の男性の姿を見て御門は突っ込んでしまった。

 

 

一人は高町士郎、海鳴にある人気喫茶店【翠屋】の店主にして時雨からリアルサイヤ人と言われる程の戦闘力を誇る有り体に言ってしまえば人中の化け物である。何故かノリノリで実況している。

 

 

そして残るもう一人、士郎がいたことも驚きだったが御門からすれば彼がここにいることの方が驚愕だった。くすんだ銀髪とタンクトップから鍛え上げられた筋肉隆々の体を惜しみ無くさらしている男性の名前は鳳凰院帝王。そう、何を隠そう彼こそが御門の父である。

 

 

『第13回、海鳴女王様コンテスト~女王様とお呼び!!~も残すところ二人となりました!!』

『最高得点は月村忍さんの82人ですが残りの方にも頑張っていただきたいですね』

『それではエントリーナンバー18番、八神ユーリさん、よろしくお願いします!!』

「ユぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅリぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?!?」

 

 

もはや絶叫に近い御門の突っ込みは観客からの拍手で遮られ、ペコペコと頭を下げながらユーリがピラミッドの上に登場した。ちなみに無いと不便という理由からユーリとマテリアルたちは書類上は時雨の養子で八神の姓を名乗っている。

 

 

ユーリは小動物のような仕草を一転してピラミッドの上から人を見渡し、備え付けられていた椅子に足を組んで座って一言、

 

 

「跪きなさい」

 

 

静かに放たれた一言を聞いた審査員たちが三人を残して一斉に跪く。残った三人も足を震わせている様子から何とか持ったといった具合である。

 

 

『出ましたぁぁぁぁぁぁぁ!!!結果は97人!!まさかの90越えです!!!』

『あの歳にしてここまでのカリスマとは・・・・・・末恐ろしいですね』

「(あれユーリさん?然り気無く暴走モードに入ってませんか?何か平行世界で戦った時と同じ雰囲気がして背筋が寒いんですけど?)」

 

 

命令を終えてペコペコと頭を下げながら退場するユーリを見て御門の寒気は余計に強くなった。優しい娘なのに・・・・・・とブツブツ呟く御門の耳に士郎からの放送が届く。

 

 

『それでは最後の挑戦者です!!エントリーナンバー19番、高町桃子さんです!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時の光景を後に御門はこう語った。

 

 

「一瞬、えぇほんの一瞬の出来事でしたよ。あの人がピラミッドの頂点にたった瞬間に全員が跪いたんですよ。あれには驚きましたね・・・・・・ん?あぁ、勘違いしてますね。跪いたのは審査員たちだけじゃないですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

観客を含んだ広場にいた全員(・・・・・・・・・・・・・)が跪いたんです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その年の末、海鳴の流行語対象に選ばれた言葉がある。

 

 

女王様(桃子さん)マジ女王様(桃子さん)

 

 

 

 






海鳴の祭りは魔境、はっきりわかんだね。


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