調律者は八神家の父   作:鎌鼬

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番外編12章 転生者蹂躙、そして時雨の過去

 

 

いくつもの武器が辺りに突き刺さり、人だった肉片が辺りに散らばっているさながら地獄絵図のような光景の中で五人分の人影が立っていた。内三人は時空管理局執務官のクロノ・ハラオウン、そして世界に転生した神城歩(かみしろあゆむ)内羽雀(うちはすずめ)。そしてこの惨状を作り出した二人は別の世界の転生者である八神時雨と人類史上最古の王であると語られているギルガメッシュ。歩と雀はクロノを守るように前に立ち、時雨とギルガメッシュはその二人を憤怒の表情で睨んでいた。

 

 

「クロノ、お前は逃げろ」

「アユム!?何を言っているんだ!!」

「お願いクロノ、言う通りにして。流石にこの二人相手じゃ守りながら戦えない」

 

 

歩と雀の言葉に悔しそうに歯軋りしながらクロノは転移魔法でこの場から立ち去った。そうして残ったのは転生者三人と英雄王のみ。

 

 

「・・・・・・あんたら、自分が何をしたのか理解できているのか?」

「そうよ!!管理局員を殺すだなんて・・・・・・こんなに大きく原作を壊したら世界がどうなるのかわからないよの!?」

 

 

原作で言うところのGOD編において死傷者が出ていたとは無かったことを知っている二人は時雨とギルガメッシュの行動に怒っていた。原作通りにことが進むから乗り越えられる問題もある、それなのにこの二人は軽率な判断で原作を壊してくれた、これではこの先どうなるかわかったものではない。

 

 

「俺が知るか」

(オレ)が知るか」

「「なっーーーー!?」」

 

 

だか、この世界の転生者からしたら死活問題の問題も、時雨とギルガメッシュからすれば関係の無い話である。二人からすればそんな些末な問題よりもはやてたちに危害を加えようとしたことこそが最優先事項。そんなことなど知らないと返した時雨は歩に殴りかかり、ギルガメッシュは蔵から二本の剣を引き抜いて雀に斬りかかった。

 

 

「お前たちがはやてたちを傷つけたんだろ?」

「貴様らがはやてたちを怯えさせたのであろう?」

「「ならば、そんな(そのような)愚を犯したお前ら(貴様ら)のことなど知らない(知らぬ)」」

「惨めに」

「無様に」

「「血ヘドを吐いて死に失せろ」」

 

 

大切な者を傷つけられた魔術師と英雄王の怒りは言葉では収まらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーーーふっ」

「グゥッ!?」

 

 

歩に殴りかかった時雨は淡々と歩の急所に目掛けて拳を突きだしていた。脳、喉元、心臓、肺臓、肝臓、先程の虐殺を見ていればバリアジャケットなどではこの必殺に耐えることが出来ないことはわかっている。だから歩は必死に拳を捌いていたのだが、

 

 

「(ちっ、ガードした腕が軋みやがる!!やっぱりこいつマトモな人間じゃねぇ!!)」

 

 

受けが受けとして成り立たず、そのままガードした腕が急所になっているような感覚になる。このまま守勢に回っていては勝てないと判断した歩は突き出された拳をはね除けて、

 

 

破滅ノ爪(エンド・エッジ)!!」

 

 

光を放ち巨大化した異形の右腕の爪を叩きつけた。この世界のシグナム曰く、「まともに食らえば私でも一撃で落ちかねない」と言わしめた威力を持った一撃。見たところユニゾンインしているとは言えど小さくないダメージを与えていた、はずだった。(・・・・・)

 

 

「で?」

「なっ!?」

 

 

爪の一撃は時雨の前に展開していた障壁に阻まれて時雨本人に傷ひとつ与えることが出来なかった。そして爪の一撃が防がれたことと展開された障壁に見覚えのあった歩は動きを止める。

 

 

「(これはーーーー闇の書の防衛プログラムの!?)」

 

 

そしてその分かりやすい隙を見逃す時雨ではない。動きを止めた歩の懐に入り、両の手から放った掌底をがら空きの腹部に叩きつけた。

 

 

「ガハッ!!」

 

 

時雨の行う攻撃はすべてコトミネから習った中国拳法を参考にしている。中国拳法の特徴と言えば外部ではなく内部を破壊するための攻撃。破裂こそはしなかったが直接胃、小腸、大腸にダメージを食らった歩は血を吐き出して倒れそうになった。

 

 

「寝てんじゃねぇ」

 

 

それを許さないのもまた時雨。崩れ落ちそうになっていた歩の右腕を掴み、力任せに地面に叩きつけた。イメージとしては子供が手にしたぬいぐるみを振り回しているものに近いだろう。だが違っているのはそれをしているのが人間で、ほぼ自分と同じくらいの大きさである人間でそれを行っている事だった。突然行われたそれに抗える訳もなく歩は顔面から地面に叩きつけられた。鼻の骨が折れて呼吸がしずらくなる。そしてまた地面に叩きつけられた。左足の骨が折れた。また地面に叩きつけられた。腰骨が折れた。また地面に叩きつけられた。また骨が折れた。また地面に叩きつけられた。また骨が折れた。また地面に叩きつけられた。また骨が折れた・・・・・・・・・・・・

 

 

何度地面に叩きつけたのだろうか。辺りに積もっていた雪は歩の血で赤く染められて、時雨に持たれている歩はぼろ雑巾のように白い道化師の衣装を自分の血で染めて白眼を向いていた。

 

 

「邪魔だよ塵虫」

 

 

持ち上げていた右腕から手を離して胸部に渾身の蹴りを放つ。それは防がれるわけでもなく歩の胸に当たり、肋骨を砕き吹き飛ばされて歩は木の幹にぶつかった。

 

 

「ほんと、無様な道化師(ピエロ)だよな」

『まったくだな』

 

 

呟くように時雨は言い、それに賛同するようにユニゾンしていたスノウが答えた。そして時雨は崩れ落ちた道化師に眼もくれずに転生者と戦っているであろうギルガメッシュの元に歩いて向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふははっ!!どうした忍、その程度か!!」

「くぅっ!?」

 

 

時雨が歩を蹂躙している頃、ギルガメッシュはもう一人の転生者である雀と戦っていた。ギルガメッシュが蔵から取り出した剣で斬りかかり、それを雀は直刀で辛うじて捌いている。ギルガメッシュといえば王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)から宝具を射出して戦うというイメージが強いために接近戦が弱いというレッテルが張られることがある。しかしそれは間違いである。相手がセイバーのような白兵戦に特化した相手ならば確かにギルガメッシュは苦戦を強いられるだろう。だが今の相手はそこそこに白兵戦ができる程度のただの人間、ならばギルガメッシュが押される通りはここには無い。

 

 

「このっ!!」

 

 

苛ついたような声と共に雀の眼から血が流れ出る。それが何かの発動の前兆と気づいたギルガメッシュは足下にある雪を雀の前に巻き上げて自信は視界から離れていた。そして雪は突然現れた黒炎によって燃やされて蒸気になって消えた。肩で息をしている雀とは対照的にギルガメッシュは余裕そうに肩で剣を担いでいる。

 

 

「その技、もう見飽きたぞ。対象に焦点を合わせるだけで黒炎を出すが・・・・・・前兆がある上に隙が大きすぎる。その上何かを眼の前に置いてやればそちらが燃えるときたものだ。そんな児戯を何度もされてはこちらが飽きる」

「うる・・・さい・・・!!」

 

 

初見であれば通じていたかもしれないがギルガメッシュは事前にある程度の情報をもらっていた。だから通じないのだが雀からしたらそんなことなど知るはず無かった。

 

 

「(クソッ!!どうしてなの!?相手はただのギルガメッシュの容姿と宝具を持っただけの踏み台転生者なのにどうして写輪眼が通じないの!?)」

「苦戦してるかい?王さま」

「む、時雨か。そっちの道化師はどうした?」

「楽しむ間も無いね、文字通りただの道化だよ。まぁお陰で大分気は晴れたけど」

「そうか、ならばこやつを裁いて終わりとするか」

「私は・・・!!内羽一族最強なのよ!!貴方たちなんかに負けるはずがない!!」

 

 

自分のことなど意にも介せず余裕綽々と言わんばかりの二人の態度に雀は激昂し、海で見せた巨大な荒武者ーーー術名須佐之乎(スサノオ)を発動させた。鎧を纏ったガシャドクロの中に立ち、二人を見下ろした雀はどうだと言わんばかりの表情を向けるが

 

 

「開け、王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)

投影開始(マテリアル・オン)劣螺旋剣Ⅲ(レプリカント・カラドボルク)

 

そんなものは二人には関係など無かった。ギルガメッシュの蔵から射出される宝具と時雨の放つ螺旋剣が容赦なく須佐之乎を削っていく。二人からすればわざわざ的が大きくなってくれたのだ、そこを見逃さない訳がない。

 

 

「(なんでよ!!なんで須佐之乎を見て怯えないのよ!?NARUTOを知らないはず無いでしょ!?)」

 

 

雀が特典として選んだ写輪眼はNARUTOの中で主人公のライバル役のキャラクターが持っている全てを見切ると言われている眼。だが二人からすれば全てを見切った程度でどうしたのだといいたいものだった。

 

 

「どうして!!どうして同じ転生者の私を攻撃するのよ!?」

「は?そりゃあお前たちから先に手を出したからだろうが?こっちのシグナムに斬られた・・・まぁ今ごろリンチにかけられているだろうからこれは置いといて、お前たちははやてたちを怯えさせたんだ。それだけで俺たちが報復をする理由にはなる。俺は家族が大切だ。そうだから手を出されればそれを虐殺したくなる。俺たちが笑えるなら核戦争が起きようが、Tウィルスが流行しようが、巨人が進撃してようが関係の無い話なんだよ。だから俺はお前たちを鏖殺する。時間が立って頭冷えてきたけどそれは変わり様のねぇ決定事項だ」

「(ーーーーなに、こいつ・・・・・・狂ってる!!)」

 

 

時雨の言葉を聞いた雀は思わず一歩下がってしまった。家族が大切だという気持ちは分からないでもない、しかしその気持ちが常識を逸脱しすぎている。事によっては家族よりも優先しなければならないこともあるだろう、しかし彼はそれと家族を天秤にかけたとしても間違いなく家族を取るような人間だと雀は理解してしまった。

 

 

狂人、時雨をカテゴライズするならば間違いなく狂人の部類に分類されるだろう。PT事件の主犯であるプレシアよりも狂った狂人、それが雀が時雨に抱いた感想だった。

 

 

「さてマスター、この雑種はどうする?」

「取り合えず眼球でもくり抜くか。魔眼とは違うカテゴリーだろうけど写輪眼は興味深い、色々と調べさせて貰うとしよう。なぁに、眼は二つもあるんだ。一つ無くなったところで慣れればどうにでもなるさ」

『時雨後ろだ!!』

 

 

そう言って時雨が雀に手を伸ばそうとしたとき、背後から白い影が時雨に襲いかかった。スノウからの警告のお陰で余裕を持って回避することができた時雨はその影を観察する。その影の正体は時雨によって倒されていた歩だった。違うところといえば右手が無くなり左手で白い大剣を持っているところだろうか。歩は時雨にやられてボロボロにされた体を特典である神の道化師(クラウン・クラウン)で拘束して無理矢理に動かしていた。

 

 

「死に体で死に急ぐか道化よ!!」

 

 

そしてその瞬間、時雨とギルガメッシュの気が歩に反れた。それを察した雀は須佐之乎を解き時雨に近づく。時雨はそれに気づくのだがその時に一つ失態を犯してしまった。それは雀の顔を、正確には眼を見てしまったこと。

 

 

月読(ツクヨミ)!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは差ほど遠くはない過去の出来事

 

 

血溜まりに沈む女性を時雨が抱き起こしていた

 

 

「■■■■■ー!!」

「■■■・・・・・・」

 

 

意図的にそうしているのか定かでは無いが時雨と女性の声は酷いノイズに遮られてよくわからなかった

 

 

「殺してくれ・・・時雨」

「あぁ・・・・・・母さん」

 

 

最後のやり取りの時だけノイズは外れた

 

 

そして時雨は母と呼んだ女性を抱き締め

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コキリ

 

 

 

 

 

首の骨を折った

 

 

力を無くした女性は再び血溜まりに沈む

 

 

違うのは息をしていないこと

 

 

そして・・・・・・女性を殺したのは時雨だということだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ・・・!!あぁ・・・・・・!!あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその時にシャマルとザフィーラと合流して無事にこの世界のシグナムをフルボッコにすることができたシグナムとリニスがこの場にやって来た。ヴィマーナに乗っていたシュテルたちから話を聞いて手助けをするために駆けつけたのだった。

 

 

「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

 

 

そして始めに耳にしたのは悲痛な叫び声。その声は二人からすれば馴染み深い時雨の物だった。

 

 

「っ!?時雨!?」

「時雨!?しっかりしろ時雨!!」

 

 

リニスの言葉など耳に届かない。時雨は叫び、体を小さく抱き抱えてガタガタと震えていた。時雨の精神が不安定になったためにユニゾンが解かれたスノウが正気に戻らせようと体を揺さぶるが、

 

 

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・・・・・・・・・・!!!」

 

 

それに気づかない様子で時雨はただひたすら誰かに謝っていた。こらはただ事ではないとシグナムは時雨に害をなしたであろう雀を睨もうとしたがそれはギルガメッシュに遮られた。

 

 

「何をっ!!」

「眼を合わせるな。マスターの二の舞を踏みたいのか。マスターはあれの眼を見ただけであぁなってしまったのだ、我らもそうならぬという保証はない」

 

 

確かに警戒するギルガメッシュは雀の顔を見ようともせずに一挙一動も見逃さぬように雀の手足を見ている。時雨の発狂が面白かったのか雀は高笑いをあげていた。

 

 

「貴方!!時雨に何をしたのですか!?」

「別に?私はただ幻術で幻をその男に見せているだけよ?まぁ内容は本人が体験した過去の中で最悪の出来事、要するにトラウマの無限ループなんだけどね。その内に精神崩壊でもするんじゃないかしら?」

 

 

ギルガメッシュ、スノウ、シグナムは分からなかったが時雨の過去を聞いたことのあるリニスは時雨が見ているであろう幻の内容に心当たりがあった。そしてそれが当たっているのなら時雨がここまで取り乱していることに納得ができる。

 

 

「でもまさか、この男がアイツでトラウマがこれだとは思わなかったわ!!」

 

 

気分を良くしたようで雀は聞いてもいないトラウマの内容を口にした。それはスノウ、シグナム、ギルガメッシュですら衝撃を受けるほどの内容だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさかこいつ!!自分の母親を殺していたなんてねぇ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは時雨の精神世界、見ている内容はただひたすらに母と呼んだ女性を殺しているシーンの連続。慣れないようにか何気ない日常的なシーンも交えながら、それでも最終的には女性を殺すシーンを体験させられていた。

 

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・・・・・・・・・・」

 

 

これは時雨にとっては最大級の心の傷、それを何度も幻とはいえ体験させられるとなればいくら時雨とはいえ精神は磨耗する。涙を流しながら体を丸めてひたすら謝罪する時雨の前に、一人の影が現れた。

 

 

ー悔いているのだろう?ならばそれでいいさ。それにあれは彼女が望んでいたことだった。君が気にやむ必要はないさ。

 

 

聞こえていないと分かっていながらも優しい声色の言葉を時雨にかけた影は浮かんでは消えていくシーンの中でも消えていない、雀が高笑いをあげている物を睨み付けていた。

 

 

ー折角の狂宴を楽しんでいたというのに無粋な輩だ。筋書き無し(アドリブ)の舞台も一興だがここまで無作法だと観客から嫌われるぞ。

 

 

影は衣装を翻し、時雨をトラウマ巡りの無限ループから退避させた。

 

 

ー本来ならばこのような舞台になど立つつもりは無かったのだがな・・・まぁ狂った物語(ストーリー)を修正するもの脇役(エキストラ)の役割と割りきらせてもらおう。

 

 

ー分割思考メイン一番から七番に至るまで緊急停止、加えて八番から二十七番までの分割思考稼働。

 

 

思考切り換え開始(カット)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ・・・久しぶりの現界となるな」

「っ!?自力で月読を解いたの!?」

 

 

リニスとスノウに支えられていた時雨が謝罪の言葉以外にもまともな言葉を口にしたことで雀は驚愕する。しかしシグナムたちは別のことで驚いていた。確かに外見は時雨その人のままである。しかし中身が違っていた。時雨から感じられていたものがすべてなくなり、時雨が姿だけを残して誰かと入れ替わってしまったのではないかと錯覚してしまった。

 

 

正解を言えばそれは正しい。その誰かを知っていたのかリニスは安堵したようにため息をつき、時雨の外見の誰かに話しかけた。

 

 

「貴方が出てきましたか」

「あぁ、あのままではとてもではないが見ていられ無かったのでな。主役(ナイト)が退場することは貴女にとっては好ましく無かったかもしれないがね」

「いいえ助かりました。あのままだと時雨は間違いなく壊れていたでしょうから」

「リ、リニス・・・・・・あれは誰だ?」

「ふむ、この場には初対面となる人物が大勢いる。ならば改めて紹介をした方が良いか」

 

 

平然と誰かと話し合っているリニスにシグナムが疑問を問いかけると誰かは身なりを整え、胸を張ってこの場にいるリニス以外全員の疑問の答えとなる言葉を吐き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我が名はワラキア。魔術師時雨の分割思考から独立し、個別の人格を持つ取るに足らない吸血鬼の死徒だ」

 

 

 

 

そう時雨の顔をしたワラキアは眼から血を流し、尖った八重歯を見せつけるように口角を上げながら答えた。

 

 

 

 






VS転生者、内容はフルボッコである(確信)


主人公格の持っている神の道化師(クラウン・クラウン)と写輪眼程度では時雨とギルガメッシュは止まりません。まぁ少しの気の緩みから月読にかけられましたけど。


さらりと流していますがこの世界のシグナムはリニス、シグナム、シャマル、ザフィーラからフルボッコにされて重傷です。ざまぁ(笑)


少しだけ暴かれた時雨の過去(トラウマ)、時雨の家族を大切にしようとする気質はここから来ています。


ワラキアの詳しい説明は次に持ち越させていただきます。


感想、評価をお待ちしています。



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