調律者は八神家の父   作:鎌鼬

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番外編5の章 平行世界の家族と邂逅

 

 

ひとまず目的の服屋を見つけられた俺たちは中に入り服を買うことにした。スノウは長袖の上からポンチョを被り、下はホットパンツにタイツという冬物と言って良いのかわからない格好だが本人が選んだのならそれで良いのだろう、全体的に黒っぽいがそれがスノウの銀髪と合っている。リニスは長袖とズボンを購入して俺のコートを羽織っている、どうせならここで何か防寒具を買ってほしかったのだがリニスにこれで良いと言われて断念、嬉しそうにコートを羽織るリニスとそれを少し羨ましそうな視線で見ていたスノウが印象的だった。それにはぐれてしまった全員に合いそうな防寒具をいくつか買って店をあとにする。その時の俺の格好だがーーーーーーーー

 

 

「なんであの店女性用の服しか無いんだよ、子供用なら両方あったのに」

「まぁまぁ似合っているから良いじゃないですか」

「あぁ、よく似合っているぞ」

「だからといって軍服はねぇよ」

 

 

そう、俺が買ったのは軍服。それもナチスの親衛隊がモデルになった物らしい。しかもそれらしい装飾や勲章まで再現されている無駄に完成度の高いものだ。男物の服がないか聞いたときにこれしかないと言って差し出されたのがこの軍服となぜか神父服・・・・・・コスプレかと叫んでしまった俺は悪くない。神父服は見るからに安物だったのでこちらの軍服を選んだのだがお値段税込9800円でした・・・売れ残りだろ。

 

 

「にしても本当に似合ってますね、着させられてるというよりもキチンと着こなしていますし」

「仕事で軍に潜入することが何度かあったからな・・・それでだろうよ」

「軍に潜入・・・どんな仕事だそれは」

「てかナチスって聞くとヘルシング思い出すな。まぁ少佐とか大尉とか好きだけどお気に入りナンバーワンはアンデルセン神父」

「なら婦警はもらいますね?」

「・・・私はペンウッド卿だ」

「「あーなるほど」」

 

 

確かにペンウッド卿も格好よかった。特にあの最後、意気揚々とやって来たミレニアムをしたり顔で道ずれにしたシーンは鳥肌物だった。「彼は無能だが男の中の男だ。裏切るぐらいなら自殺してしまうだろう」と他のメンバーから言われるのがよくわかった。

 

 

「さて、漫画雑談はここまでにしてだ。そろそろはぐれたやつらと合流するぞ」

「シャマルとは連絡とれました。御門とヴィータと一緒に近くにあったファミレスに居るそうです。あとお金がないから支払いをよろしくとも言っていました」

「シャマルの小遣いから引いておくと伝えてくれ」

「ふぁっきゅー、だそうです」

「はやてとは連絡が取れました。ただギルが大人になったとか口にしていて混乱している様でしたが」

「・・・ハイ?」

 

 

ギルが、大人に、なった?え、まじで英雄王?AUOしちゃったの?まさかの問題浮上ですかそうですか。

 

 

「・・・そのギルの態度は?」

「敵意は無さそう、交遊的であるそうだ。今はギルが出した乗り物を使ってこちらに向かっていると言っている」

 

 

 

敵意無し、交遊的なら大丈夫か?・・・ひとまずは様子見だな。このままこちらに協力してくれるならいいが最悪牙を向けてくることもある・・・そうなったなら刺し違えても守るけど。

 

 

「了解、あとはシグナムとザフィーラだな」

『シグナム、ザフィーラ、聞こえるか?』

『毛皮を寄越せぇぇぇぇぇえ!!』

『断ると言っている!!悔しければ生やしてみろ!!』

『出来るわけ無いだろうが!!』

『何やってんのさ!!テメェラ!!』

 

 

念話を繋げたら二人が言い争っていた・・・・・・これから判断するに寒さからザフィーラは狼になった、それを羨ましく思ったシグナムが毛皮を剥ぎ取ろうとしている・・・・・・シグナムが寒さで壊れた。

 

 

『喧嘩やめい!!とりあえず服買ったからファミレスに来い!!そこで合流するぞ!!返事は!!』

『『ジ、ジークハイル!!』』

『なんでわざわざその返答を選んだ!?エスパーか!?』

 

 

言葉が荒くなりながら二人を静めると帰ってきた返事がまさかのドイツ物でした。なんでそれだよ、俺が着ている服のことわかってその返事したのか?

 

 

「二人はどうしでしたか?」

「喧嘩してたから怒鳴ってファミレスに来るように伝えといた。来たら説教だな」

「シグナム・・・ザフィーラ・・・」

 

 

俺の返事にスノウは少し呆れながら二人の名前を呟いていた。俺たちが主になったからなのか騎士たちの性格が本来よりもオープンな物になっているらしい・・・・・・シグナム、ザフィーラ、ヴィータまでは良かったけどシャマル見てガチヘコミしてたからな。それを慰めたのは記憶に新しい。

 

 

「そいじゃファミレスに行くか」

 

 

そう言って先頭に立ち歩き出そうとしたとき、景色が変わった。寒い中でもちらほらといた人影がすべていなくなる・・・・・・うん、結界ですねこれ。

 

 

「ここでもかよ・・・・・・いい加減飽きるわ。リニス、コートの中には何も残ってないよな?」

「はい、コートに仕込んであった宝石や武器は全部時雨に渡してあります」

「魔力反応・・・来るぞ!!」

「集めなきゃ・・・・・・魔力を集めなきゃ・・・・・・」

 

 

俺たちの目の前に現れたのは暗い顔をしながらブツブツと呟き赤い服に身を包み、お下げを二本ぶら下げた少女。

 

 

「ヴィータ?」

「ヴィータですね」

「魔力反応も確かにヴィータの物だが・・・ヴィータはファミレスにいるはずだよな?」

「えぇそうです、だからここにいるには転移でもしなければいけないんですけど・・・どこからみても戦闘体制に入ってますよね?」

 

 

あの赤い服はヴィータのバリアジャケット、それを着ているということはヴィータは戦闘体制に入っているということ。

 

 

「だから・・・魔力を寄越せぇぇぇぇぇえ!!」

「リニス、スノウ、散開。俺が動き止めとくからその隙にバインドで」

「「了解」」

 

 

リニスとスノウが横に逃げる中でもヴィータ(仮)はまっすぐに俺に向かって来る。元々の狙いが俺だったのか、それとも逃げなかった俺を狙っているのか・・・まぁどっちでもいいか。

 

 

「なぁ、俺に見覚えは?」

「ぶち抜けぇぇぇぇぇえ!!」

「会話は通じないっと」

 

 

俺の質問を意にかけずにヴィータ(仮)はデバイスである鎚、アイゼンを振りかぶる。ここは代わりはないようだな。さて、突然だが鎚というのは破壊の一点だけ見れば非常に優秀な武器である。例え重装備で固めていたとしても鎚の一撃は盾を割り、鎧を穿ち、確実に肉体を破壊する。それは鎚の尖端が振り回す振り下ろすことで生まれる遠心力によって爆発的な破壊力を産み出すからだ。ならどうすればいい?

 

 

「死中に活ありってね」

 

 

アイゼンの尖端が当たる直前になってヴィータ(仮)に突っ込む。こうすれば一番の驚異である尖端には当たることはない。柄の部分に当たるが尖端に当たることを考えれば安いものだ。これでヴィータ(仮)の懐に入ることは成功、頭をつかみ地面に叩きつける。コンクリートで叩きつけたことでつかんだ手からミシリと骨の軋む音が伝わる。

 

 

「グゥッ!?」

「おっと」

 

 

脇を抉るようにして放たれた蹴りをのんきな声を出しながら危なげなくかわす。それでつかんでいた手を放してしまいヴィータ(仮)には逃げられてしまう、がここまでくれば、

 

 

「なっ!?バインド!?」

「お疲れさん、リニス、スノウ」

「にしてもえげつないことしますね」

「鉄槌の騎士相手に接近戦を選んで尚且つ頭を地面に叩きつけるとは」

「だらだらと消耗戦やるよりもこれが手っ取り早いんだよ」

 

 

ガチガチに縛られたヴィータ(仮)を前にしてリニスとスノウから手厳しい突っ込みをいただき尋問に移ろうとしたとき、ヴィータ(仮)は一言呟いて姿を消した。

 

 

「ごめんねはやて・・・ねぇ、一体何があったんだか?」

「何が起きてるのか把握するだけで手一杯なのに新しい厄介事を持ち込まないで欲しいですよ」

「騎士が主に謝るとは・・・まさか闇の書かんけふぃ!?」

「まーたネガティブ思考入ってんぞー」

 

 

長考からネガティブに入りそうになったスノウの頬を摘まんで現実に戻してやる。むっ、この手触りはなかなか・・・癖になりそうだ。

 

 

「ぬぁ、ぬぁにを・・・!!」

「頬を摘まんでるだけですけど?考えることは良いことだ、人類は思考して進化をしてきたからな。でも思考に溺れるな、頭使いすぎると肝心な時に固まった考えしか出来なくなる。考えるときには考えろ、動くときには思いっきり動け。案ずるより産むが易しって時もあるんだからよ」

「・・・ふぁかりまひた。ひかひ、いつむぁでつむぁむのだ?」

「もうちょいやらせて、案外これ癖になる」

「時雨ぇ・・・・・・」

 

 

モニュモニュとスノウの頬で遊んでいたら結界が崩れた、と思ったら新しい結界を張られた。

 

 

「またかぁ!!」

「二度目って・・・・・・もう少し間隔を開けてほしいです」

「・・・魔力反応、今度はシグナムの物だ」

「そしてまた括弧仮かよ」

 

 

スノウの探知にブツブツと文句を言っているとバリアジャケット姿のシグナムがやって来た。ヴィータ(仮)と違いがあるとすれば虚ろな目をしていないところか。

 

 

「時空管理局所属のシグナムだ、お前たちには重要参考人としてアースラまで同行願いたい」

「・・・・・・リニス」

「ええ・・・」

「・・・・・・スノウ」

「あぁ・・・・・・」

「「「俺(私)たちの知っているシグナムがこんなに凛々しいはずがない!!」」」

 

 

俺の知ってるシグナムはもっと・・・・・・乙女思考が入っていて最近になって家事にも興味が出てきたのか手伝ってくれている優しい奴なんだ!!こんな暇さえあれば一日中剣を振り回していそうな武士道キャラじゃない!!

 

 

「テスタロッサの師匠のリニス、それにリインフォースの闇の欠片か・・・・・・」

「どーしますリニスさん?スノウさん?なんか闇の欠片とか厨二臭いこと言ってますよあのお侍さん」ヒソヒソ

「かなり遅れて出た厨二病でしょうか・・・・・・」ヒソヒソ

「というよりも一般人からしたら私たちも厨二的な存在なのだがな・・・」

「「あかん、それ言ったらあかん」」

 

 

まぁあのお侍さんが厨二かどうかは置いといてだ。どうやらここではヴィータ(仮)の言動から俺がいない世界だと仮定できる。なら面の割れているリニスたちよりも俺が前に出てやろう。

 

 

「しっつもんでーす!!嫌だと言ったらどーなりますかー?」

「無論実力行使に出させてもらう。手荒だとは思うがお前たちはここにいてはいけない存在なのだ。プログラムとは言え、苦しまずに介錯を勤めよう」

 

 

わーおバイオレンス発言!!ってか俺もプログラム扱い?

 

 

スノウ→夜天の書の管理人格、つまりはプログラム

 

リニス→俺の使い魔、つまりは実体

 

俺→人間、何故にプログラム扱い?

 

 

まぁ俺の扱いはどうでもいいのだが・・・・・・つまりはこのお侍さんはリニスとスノウに危害を加えようとしているのだな?オーケー、ならお前は敵だ。

 

 

「こいつらに手を出すつもりなら・・・・・・お前を殺す」

「・・・・・・話し合いで通じると思ったのだがな」

 

 

そう言うとお侍さんはシグナムのデバイスであるレヴァンティンを構える。なら俺は少し遊んでやろう。

 

 

「我らは神の代理人、神罰の地上代行者」

 

 

発動のキー無しで攻刀と守剣を投影、そしてそれらを体の前で交差させて十字を作りあげる。

 

 

「我らの使命が、我が神に逆らう愚者をその肉の最後の一片までも絶滅させること・・・・・・AMEN !!」

「「(アンデルセン神父キター!!)」」

 

 

リニスたちが喜んでいる気がするが無視して侍に突っ込んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃のシャマル&ヴィータ&御門

 

 

「ねぇねぇシャマル、アイス頼んでもいい?」

「えぇ良いわよ、御門君も好きなもの頼みなさい」

「じゃあココアを・・・・・・でも支払いは大丈夫なんですか?僕サイフ持ってませんよ?」

「それを言ったら私もよ。大丈夫、時雨さんが払ってくれるだろうから♪」

「時雨さん・・・・・・」

 

 

ファミレスでのんびり待機中、数分後にリニスから念話が届きシャマルはふぁっきゅーと叫ぶことになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃のシグナム&ザフィーラ

 

 

「・・・・・・なぁザフィーラ」

「・・・・・・どうしたシグナム」

「今思ったんだが・・・・・・バリアジャケットを着れば寒さを凌げたのでは無いだろうか?」

「それを言うな・・・・・・」

 

 

時雨からの念話で冷静さを取り戻した二人は至極簡単な解決方法に肩を落としながらも争奪戦の傷跡の残る現場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃のはやて&ギル様

 

 

「フハッハッハ!!どうだはやてよ、このヴィマータの乗り心地は?」

「スゴいな~風が気持ちえぇよ、それにこの毛布も暖かいわぁ」

「うむ、それはメディアという名の魔女の持っていた金羊の皮の原典であってな・・・・・・」

 

 

ギル様が宝物庫から取り出したヴィマータに乗って移動中、然り気無くはやてはドラゴンを呼び出せる毛皮で暖をとっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃のプリヤメンバーズ

 

 

「寒っ!?」

「え!?なんで雪降ってんの!?」

「寒い・・・」

 

 

雪降る中、ビルの屋上にやって来ていた。ちなみに服装は制服で、彼女たちのいた世界の季節が夏だった為に半袖仕様、これは寒い。パニックになっているイリヤをクロと美遊が宥め、ルビーとサファイアの助言からこの世界がもといた世界とは別の平行世界であることが判明、ひとまずビルから出て散策することになる。

 

 

 






今回は時雨コスプレ、VS闇の欠片ヴィータ、エイメン時雨でした。


まぁわかる人はわかったかもしれないですが、時雨たちがやって来たのはGODの世界です。


まぁ本来なら闇の書事件が終わってからになるはずなのですが・・・・・・作者は時雨の世界ではGODをやるつもりはありません(断言)!!なのでタイムスリップ&ワールドトリップしてGODの世界に行かせました。


あとは・・・・・・マテリアルズを出したかったからです。


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