調律者は八神家の父   作:鎌鼬

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無印編最終話です。ここまで来るのが長かった・・・・・・っ!!予定では二十話いかなかったはずなのにオーバーするし、やりたいこと色々思い付くし、早くA 's編書きたいし、他の作品始めちゃうし・・・・・・


まぁ右折左折ありましたが無事に最終話まで書くことができました。





第22話

 

 

さて、唐突だと思うがことの顛末から話そうか。

 

 

時空管理局は今回の事件をトワイス・ピースマンが犯人だと確定し、正式名称をTP事件と名付けた。ピースマン捕縛寸前まで追い詰めるものの時の庭園が崩壊を始めたことでこれを断絶。その後、崩壊した時の庭園跡から虚数空間の発生を観測したことからピースマンは崩壊に巻き込まれて死亡、もしくは虚数空間に落ちたものだとされた。

 

 

プレシア・テスタロッサ

彼女はピースマンに指示されていた物の時空管理局に攻撃した等の罪は消えず本局で正式に裁かれることになった。しかしクロノ執務官、リンディ艦長の両者がプレシアがジュエルシードを求める原因となった実験事故の証拠を集めるなどしており、管理局への無償奉仕等を付け加えれば情状酌量の余地ありと判断される可能性があると言っていた。プレシアの魔導技術は管理局からしても喉から手が出る程に欲しいものらしく悪いようにはならないだろうと推測される。

 

 

フェイト・テスタロッサ

プレシアの指示に従ってジュエルシードを集めていたので管理局のロストロギアに関する法に引っ掛かり彼女もプレシアと同じく本局で裁かれることになった。しかしピースマン捕縛の際に管理局に協力的な姿勢を見せていたことを理由にリンディ艦長が管理局の入局を進める。プレシアはこの事に難を示していたがフェイトのお母さんの手伝いをしたいと言う発言を聞いて暴走、鎮圧後のリンディ艦長との三者面談の結果、嘱託魔導師として管理局に奉仕をしてもらい後に正式に管理局へ入局するという話で纏まった。ただしフェイトがこれからの成長で他にやりたいことが出来るかもしれない可能性を考慮してこの話はプレシア、リンディ艦長、フェイトだけの口約束程度に留まっている。

 

 

アルフ

フェイト・テスタロッサの使い魔でやはり上記の二人同様に管理局で裁かれることが決まった。二人の判断に対してアルフは二人が決めたならと不満は無いように思える。裁判後に二人と同様に管理局への奉仕をする模様である。

 

 

アリシア・テスタロッサ

今回のT P 事件の現況にして被害者でもあり加害者でもあるとも言える人物。ヒュードラ事件と呼ばれる違法実験の影響を受けてほぼ瀕死の仮死状態でプレシアにより保存されていたがピースマンの手により蘇生、十数年まともに動いていなかったために全身の運動能力の低下や言葉をうまく話せない等の症状が見られるものの今後のリハビリによって回復する物だと判断されている。プレシアとフェイトはアリシアが蘇生したことに喜んでいたがアリシア本人は状況が把握できていないらしく呆けた表情であった。彼女からすればここは未来で母親が老け、自分と同い年の見知らぬ妹が出来ていれば当たり前だろう。簡単に言ってやれば浦島太郎状態である。蛇足ではあるがフェイトがアリシアのクローンであることはリンディ艦長とクロノ執務官の二人によって箝口令が敷かれているために口外されることは無いと思われる。シリア執務官がこれに反対したがプレシアの一撃によって気絶し、記憶操作によってフェイト=アリシアのクローンの記憶を無くされているために問題ない物とする。

 

 

リニス

プレシア・テスタロッサの元使い魔。些細な口論から契約を破棄されて地球へ転移、そこで魔力資質のある人間と契約を交わし一命を取りとめる。TP 事件には管理局側の外部協力者として加わり事件の解決に貢献した。プレシアから一緒に来ることを提案されたがこれを今の主人を理由に拒否した。今後彼女が管理局と交流を持つことは無いものだと思われる。

 

 

高町なのは・藤峰アリス・相井神悟

地球出身でありながら魔力資質があり、TP 事件の解決に貢献した少年少女。アリスは親が元管理局員だったこともあり自前でデバイスを所持、なのははジュエルシード発掘者のユーノ・スクライアにデバイス【レイジングハート】を渡されたことで魔導師として目覚めた(神悟のデバイス入手方法については不明、本人曰く女神からの贈り物だと公言している)。管理外世界とは言え魔導師として目覚めたことの責務をリンディ艦長に説かれてむやみに魔法を公言しないことを約束した。神悟は即座に管理局へ入局することを決めたがなのはとアリスは決めかねている模様である。

 

 

魔術師

TP 事件での外部協力者の一人であり上記のリニスの現在の主人でもある。協力する際に名前、人相などの情報を残さないことを条件としていたために公式の記録には残っていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っと、こんな感じかねぇ?」

 

 

自室に備え付けられたパソコンのモニターに書かれた文字を流し見て間違いがないことを確認してから文章を保存して電源を落とす。ジュエルシードを巡る騒動から数日後、俺は今回のことの顛末を纏めていた。これは癖だな、前からこうやって面白いことがあったときに纏めてたし。

 

 

あの後、無事にギルガメッシュの座から帰ることができた俺とリニスは翌日にアースラに移動してプレシアたちの処分がどうなったか、他の協力者たちはどうするかを話し合った。プレシアたちの処分とガキたちのこれからは文章で纏めていた通りである。腹を打ったと訴えていたリニスだったが簡易検査の結果は異常なし、一日休んだらスッカリ元気になっていた。あと一つ言うことがあるとするなら・・・・・・

 

 

「まさかお前がこっちに来るとはな」

「あそこに居ても暇でこっちが面白そうだったからね」

 

 

俺はベットの方向を向きそこに腰を掛けて黄金のゲーム機で遊んでいる金髪の少年、ギルガメッシュに話しかける。そう、子ギルはどうしてだか座から俺たちに着いてきて地球にやって来たのだ。しかも完全な受肉状態、王の財宝解放可能というとんでもないハイスペック状態でだ。もうこれにはギルガメッシュだからで納得するしかない。放っておくのも心配だし再びコトミネに相談してひとまずギル・キレイソンという名前で戸籍を作ってもらった。名字から察しがつくと思うがコトミネの養子になってもらっている。まぁコトミネのところよりも家にいることの方が多いけどな、比率にして9対1ぐらいか?

 

 

「しかもなんで俺に令呪が宿る?嫌がらせか?」

「良いじゃないか、必要ないとは言っても僕の主になれるんだよマスター」

「マスター呼びやめい、なんかぞわぞわする」

 

 

子ギルからマスター呼びされて背中に言い様のない寒気が走るのを感じながら左腕の服の袖を捲り上げる。するとそこには手の甲から肘に掛けて広がっている入れ墨のような紋様、令呪と呼ばれる物があった。子ギル曰く俺がマスター扱いになっているらしいのだが御せる気がしない、もし子ギルが大人バージョンなら俺は間違いなくギルガメッシュの手によって散り様で興じさせるような事態になっていただろう。そこだけが救いと言えば救いか。

 

 

ピンポーン・・・・・・

 

 

家中にインターフォンの無機質な音が響く。耳に神経を集中させているとリニスと、聞こえにくいが誰かの声が聞こえる。ほんの数言だけ言葉を交わした後でリニスは俺の部屋にやって来て、

 

 

「時雨、アルフが来ましたよ」

 

 

予期せぬ来客を教えてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんね、急に押し掛けちゃったりして」

「いんや、気にしてないから大丈夫だよ」

 

 

アルフの来訪から十数分後、俺たちは近くの公園に来ていた。ここはあれだな、プレシアに間違った知識を教えられたアルフが間違った方法でお礼をしてこようとしてきた場所だな。ただしいるのは林の奥でなく公園のベンチ。平日なこともあってなのか人はゼロである。その公園のベンチにアルフと俺は人一人分のスペースを空けて座る。

 

 

「フェイトのところに居なくても良いのか?」

「今は地球の魔導師・・・なのはと会ってるから。それにプレシアと執務官たちもいるし大丈夫」

「つまり今は監視もなく野放し状態と・・・不用心だねぇ」

「あはは・・・プレシアはともかくあたしたちは管理局に協力した実績もあってある程度融通の効く立場にいるからね。リンディから寄り道しないように念押しはされたけど」

「そいつは良かったな」

 

 

監視はされていないと言ったが公園の隅、一般人が視認できないギリギリの距離のところで隠れるようにして浮かんでいる球体を見つける。恐らくあれは監視用の魔力スフィアと呼ばれる物だろう。クロノとリンディは候補から除外すると残るのは必然的にシリアだけになる。足首だけを動かして地面を叩き、ワンアクションで認識阻害と防音の結界を張る。強度は紙同然なのだが攻撃するようなことはないだろう。

 

 

「覗き見はいかんよ」

「どうしたんだい?」

「ん、リニスが覗き見しようとしてたから妨害しといた」

「リニスぇ・・・・・・ホントリニスも変わったねぇ、あたしが知ってるリニスは真面目な性格だったのに」

「真面目も悪くないけどそれだとストレスが溜まると思ってはっちゃけるように言ったらああなった。まぁ真面目なリニスも良いけどふざけてるリニスも悪くないぞ?」

「あたしは慣れるまで時間がかかりそうだよ・・・」

 

 

心労か・・・胃薬でも送るか?でも狼に胃薬って大丈夫だっけ?

 

 

「・・・・・・ホント、ありがとうね。関係なかったはずなのに色んなことをやらせちゃったりして」

「・・・はぁ、アルフは気に負いすぎだぞ?俺はただやりたいことをやっただけだっての。

プレシアの話を聞いて共感したから手を貸した。

フェイトの頑張りを見て助けたいと思ったから手を貸した。

それにあの夜に自分の身を差し出してでも大切な人を守りたいと強く思っていたお前の姿を見て力になりたいと思ったから救った。

それだけの話だ。後は全部俺の自己責任、一々感謝謝罪する必要はないっての」

「それでもありがとうだよ。時雨のお陰であたしたちは救われたんだから」

「・・・・・・そりゃあどうも」

 

 

あぁダメだ、面と向かってお礼を言われるのは慣れてないからどうしても素っ気ない態度になってしまう。社交辞令程度ならともかくアルフは心の底からの言葉だから尚更だ。

 

 

「そろそろ話し出して一時間経つぞ?戻らなくて良いのか?」

「・・・もうそんなに時間が経ったの、もっと色々話したいことがあるのに」

「なに、裁判を終えたらまた来るといい。引っ越すつもりも予定も無いし仕事で出ているとき以外は大抵家にいるからまた会えるさ」

「・・・うん、そうだね」

 

 

するとアルフは空いていたスペースを詰めて俺に近づき、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

軽く、本当に当てる程度に唇を俺の頬に押し付けてきた。

 

 

「・・・・・・ファ!?」

「じゃあね・・・はおかしいか、またね時雨。また会える日を楽しみにしてるよ」

 

 

と、慣れないことをして赤くなっている顔で笑顔を作り俺に別れの挨拶をして公園から転移して姿を消した。

 

 

「・・・マジですか」

 

 

アルフからキスされた頬を軽く擦りながら突然の行為で呆けている思考を纏める。まぁ時間は短かったけど密度のある時間だったからそういう感情を向けられてもおかしくないかなとは今さらになって思うけど・・・予想外でした。

 

 

「はぁ・・・・・・またな、アルフ」

 

 

ベンチに深くもたれ掛かり呟くようにして届かない言葉をアルフに送る。ロマンチストだなぁとは思うけどしたいからしてるんだ、別にいいだろう。

 

 

混乱した思考は回復してきたけど、

 

 

「昼飯作るのは少し遅れるかもな」

 

 

今はこの余韻を楽しむことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歪んだ願いを求める魔導師たちの争乱は終わりを告げた

 

 

本来なら存在しない演出者(キャスト)の手によって本来ならあり得ない終幕(エンドロール)でありながら誰もが満たされる結末を持って

 

 

しかし続くのは最悪を関する魔導書による物語

 

 

果たして部外者(イレギュラー)たちの存在によって調律者(八神時雨)はどの様な立ち回りを見せるのだろうか

 

 

このまま書き上げてしまいたいところだが今回はここで筆を置くこととしよう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

調律者は八神家の父

ジュエルシード編 終了

 

 

 

 

 

 






という訳で無印編終了です。最後はピースマン風に書きたかったのですが上手くいかなかったですね。


ここから番外編を数話ほど書いてからA's編に行きたいところです。


まだ一区切りを終えたところではありますがここまで見てくださった方々、感想をくださった方々、評価をしてくれた方々にこの場を借りてお礼を申し上げたいと思います。


ありがとうございました!!これからも【調律者は八神家の父】をよろしくお願いします!!



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