「おお派手にやっているねぃ」
「フェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイトフェイト・・・・・・・・・」
「プレシア落ち着け、めっさ怖いから」
巨大な画面で高町と戦うフェイトを見てブツブツと呟いているプレシアを恐れながらも何とか宥めようとする。こいつマジ怖いんだよ、フェイトフェイト呟きながら目から光無くしてるし瞳孔も心なしか開いてきてるし。
俺たちがいる場所はプレシアが以前研究に使っていた施設、名称【時の庭園】。地球以外でいい場所がないか聞いてみたところ、ここでよければと言われて使うことにしたのだ。広さや建物の雰囲気からしても申し分無い物件である。さしずめ勇者の敵がいる魔王の城っていったところか?実際プレシアの格好も悪の女幹部が来ている服っぽくなっているから雰囲気に一致していて面白い。
『撃ち抜け、ファイア!!』
「きゃぁぁぁぁあ!!フェイトぉぉぉお!!」
「叫ぶなって、つうか何あれ?超必殺技?拘束してから滅多撃ちってオーバーキル過ぎるだろうが」
「フェイトは私が育てた」ドヤァ
「ドや顔うぜぇ・・・・・・まぁ、これで終わる程度ならフェイトは余裕でジュエルシード集めれたんだろうけどな」
画面に写るのはフェイトの攻撃を耐えきり、更に拘束までかけて魔力を集束する高町の姿。ここまでポンポン高火力の魔法使えるって羨ましいね、俺もいけないことは無いけど宝石のバックアップ何かを使ってようやくといったところ、うちの家計が火の車になることは避けられないので実質使うことができない。
『受けてみてフェイトちゃん!!これが私の全力全開!!スターライト!!ブレイカぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!フェイトぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
「どっからどう見ても最終奥義のオーバーキルですね、本当にありがとうございました」
画面いっぱいに広がる桃色の光、あれは生半可な防御じゃその防御ごと叩き潰されてしまうな・・・・・・加えて自前の魔力よりも周囲からの魔力のほうが遥かに多い、つまり少しでも魔力が残って集束する時間があればあれはいつでも使えるということ・・・・・・やべぇ、速攻で倒す以外に対策が思い付かない。
「あぁ・・・・・・フェイトぉ・・・・・・」
「おらプレシア、落ち込むのはいいがさっさと動け。生憎ここまでの展開は
「わかってるわよ・・・・・・」
落ち込みながらもプレシアは魔法陣を展開すると数秒後には画面の中にいるフェイトたちのところに紫の雷が降り注いでいた。
「これでいいのかしら?」
「あぁ、これでこの場所は管理局にバレた。後は管理局が来るまで待っていればいい」
「・・・・・・本当に良いのかしら?上手く行かなければ貴方は良くても共犯者扱い、最悪死ぬかも知れないのよ?」
「問題ないね~リニスに帰還用の転移魔法陣組んで貰ってるし更々死ぬつもり無いし。そもそも成功するか失敗するかなんていう確率は二分の一なんだ。ビビってたんじゃ上手く行くものも上手く行かない、大切なのは思いっきりの良さだ」
「極論な上に暴論ね」
「極めてようが暴れてようが論には代わり無いさ」
画面に写る管理局に回収されるフェイトたちの姿を見ながらタバコに火を着ける。上手く行けばいいのになぁと頭の隅で考えながら、終わったら心配をかけた家族たちに何かお返しをしてやりたいなぁと考えながら。
それから数時間後、時の庭園に武装した管理局員たちが十数人雪崩れ込んできたのを隠れた天上裏から俺は見ていた。その管理局員の大半がプレシアを包囲して残りの数人が部屋の奥を調べようとする。それを確認してからランスロットから譲り受けた宝具の一つ、
変身が上手くいったことを確かめてから下を見てみれば奥の部屋に隠されていたアリシアを見つけられて激昂したフリをしたプレシアが管理局員相手に無双していた。これは酷い、どこぞの一騎当千だよ。そして管理局員が回収されて一人も居なくなったことを見計らい天上から飛び降り、
「・・・え?」
細身の剣、いわゆるレイピアを投影してプレシアの背中から突き刺した。肉を掻き分ける感触と共にプレシアの腹から血塗れの刀身が飛び出した。
「ご苦労だったね、プレシア・テスタロッサ。ここから先は私がやるから君は休んでいてくれたまえ」
「ピース・・・マン・・・!!貴方・・・裏切るつもり・・・!?」
「裏切る?何のことだい?元より、私と君の目的は大きくかけ離れていた。故にこうなることは至極当然の事だよ」
レイピアを勢いよくプレシアから抜き取るとプレシアは地面に音を立てて倒れた。内臓の重要な器官は避けて刺したから心配なのは出血のことだけ、まぁそこは本人からどうにかすると言われているので任せるとしよう。
『貴方は・・・・・・』
「やぁ、はじめまして。君たちがプレシアの言っていた時空管理局だね。私はトワイス・ピースマン、君たちからしてみれば私がこの事件の黒幕だよ」
困惑した表情で画面に写るリンディに向かってピースマンの雰囲気を崩さないままに話しかける。その端に写っているフェイトは何のことだか分からないような表情を浮かべているが俺の計画を話していないから当たり前のことだ。その意外性が俺の筋書きを完璧にする。
「ここまで来てバレてしまったのではしょうがない、素直に白状させてもらうとしよう。私はジュエルシードが欲しかった、そしてプレシアに近づいた。彼女の愛娘の一人であるアリシア・テスタロッサの蘇生を持ち掛けてね」
『アリ・・・シア?』
「あぁ、彼女は組織の強引な指示で失敗すると分かっていた実験を行い、予想通りに失敗した。そして彼女の娘を殺した。そこからプレシアは狂気に堕ちた、そしてその結果、彼女は使い魔とは異なる魔導生命体を産み出すことに成功した。それがそちらにいるフェイト・テスタロッサだ。フェイトはアリシアのクローン、いわば代わりの御人形だそれをプレシアは愛した。それでもプレシアはアリシアを諦めきれなかったのだろうな、私が持ちかけてきた話に二つ返事で是と答えてくれたよ」
「ピースマン・・・!!アリシアを・・・アリシアを・・・!!」
「まだ生きていたのかい?まぁ約束は約束だ、確率は低いがやれるだけはやってみよう」
白衣の中から試験管を一本取り出し蓋を開けて中身を床に垂れ流す。その中身は水銀、溢れた水銀は瞬く間に体積を増していき奥の部屋に向かって自身を伸ばしアリシアの入ったカプセルを持ってきた。そしてアリシアに現在のアロンダイトの鞘である
「あぁ・・・アリシア・・・アリシア・・・!!」
「彼女のことは君たちに任せよう。私は、熾天にて待たせてもらうとしよう」
そこまで言って腕を振り予め用意していた術式を発動させると画面にノイズが走り何も写らなくなった。同時に向こうからの音声も遮断される。この術式の正体はただのジャミング、プレシアから教わっていたそれを魔術に直して発動させたのだ。これで向こうに音声も映像も届くことはない。
「さて、生きているかい?プレシア」
「えぇ・・・何とかね、手加減しなさいよ」
「それは無茶な相談を」
さっきまで親の敵のような目で俺のことを睨んでいたプレシアの視線が緩くなる。そう、プレシアを刺したことからアリシアにアヴァロンを埋め込むことまでの一連の流れが俺の計画。これで管理局はフェイトを操っていたプレシアよりもそのプレシアを裏から操り、裏切ったトワイス・ピースマンに目が向く。これで情状酌量の余地ありと判断されればプレシアの罪は軽くなる。それでも幾つかの罪は着くかもしれないがそれでもあのままよりも何倍もマシなはずだ。
「これで・・・アリシアが生き返るのね?」
「確実とは言えないがな。俺の知る限り瀕死の少年にアヴァロンを埋め込んで生きている事例があるから可能性はあるはずだ」
「・・・ありがとう」
「礼を言うなよ、俺からすればここからが本番だ」
軽く礼を言って、プレシアはアリシアを背負い、血の吹き出る腹を押さえて部屋から転移して消えていった。転移した先は打合せ通りなら地球の海鳴教会、そこで『たまたま居合わせた親切な神父』から手当てを受けるはずだ。これでこの時の庭園に残されたのは俺だけになった。プレシアから教わった護衛用の兵器を起動させて空中に浮かぶ管理局から奪い取った十九個のジュエルシードを眺めながら玉座に座る。
「さぁ踊れ踊れ
ここからは私のシナリオ通りに踊ってもらうぞ
根元悪たる
さぁ
この
カット」
役者染みた台詞を言いながら余計な思考をすべて遮断し、クライマックスに相応しい舞台を作ることに集中した。
時雨の黒幕化、加えてアヴァロンの使用です。しのぶんから貰ったアヴァロンはここで使わせてもらいます。
時雨の黒幕化はプレシアの罪状を少しでも軽減させる為にです。原作でもフェイトはプレシアから虐待云々で罪状を軽くして貰っていたのでそれを応用、プレシアは操られていたということにして罪状の軽減を図っています。
アヴァロンの使用は前々から思っていたこと。正義の味方を志していた少年もケリーにこうして命を救われていたのでそれを使わせてもらいました。てかそれ以外に時雨にアリシアを助けさせる方法が思い付かなかったんです。
あと時雨がピースマンさんになったのは作者の趣味です。ピースマンさんかミドリキャベツさんかどっちにしようか悩んで結局typemoon繋がりでピースマンさんにしました。
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