プレシア陣営、時空管理局、その他が睨みを効かせる公園の中に男の娘、クロノ少年を担いで登場する。着いたときにフェイトとアルフから嬉しそうな視線を向けられるがアイコンタクトで知らんぷりしろと伝える。通じるか不安だったがどうやら分かってくれたようだ・・・ただしアルフ、俺を見て尻尾を振るのはやめろ。バレるだろうが。
「おいおい武装ガッチリじゃないです~ここが日本だってこと理解してるか?銃刀法違反って法律知ってるか?」
「時雨がそれを言いますか」
「俺はいいんだよ。ウチはウチ、他所は他所ってね」
「絶対それ言葉の意味違うと思いますけど」
リニスから突っ込まれる中でも三陣営からの視線が俺たちから離れることはない。よしよし、もくろみ通りに上手いこと全員の気が引けているな。
「・・・貴方がたはいったい何者ですか?」
「海鳴市監督役であるコトミネ・キレイソンと契約を結んでいる八神時雨だ」
「私は時雨の使い魔であるリニスです」
「俺は緊急事態においては独自の判断で状況に介入することを許可されている。つまりだ」
人指し指を黄緑の髪をした女性にビシィ!!という効果音が着きそうな勢いで向ける。人に指を指してはいけません?知らんなぁそんなこと。
「お前らの思い通りにはいかないってことだよ!!ロリコンショタコンの変態共!!」
「「「「「・・・・・・はぁ!?」」」」」
この場にいる全員から疑問の声があがる、うん態とですよ~狙って言ってますよ~。
「ちょ!!ちょっと待ってください!!どうして私たちがロリコンショタコン扱いされるのですか!?」
「あ?違うのか?純粋無垢な少年少女たちを大勢で囲い、武力を持って意のままに操ろうとする・・・・・・どっからどう見てもロリコンショタコンの犯罪者の典型的な行動ですね本当にありがとうございます」
「・・・サイテーですね」
「いやいやいやいや!!違いますからね!!私たちは当然の行動をしているだけであって!!」
「「犯罪者として?」」
「違います!!」
いやー真面目な奴を弄るのは楽しいねぃ!!そして時空管理局の指揮官らしき女性はいい具合に混乱している。動くならこのタイミングだろ。
「・・・アルフ、行くよ」
「あぁ!!」
全員の気が弛んだ一瞬の隙をつきフェイトとアルフは高速で公園から離脱した。
「っ!!逃がしません!!」
「行かせるかよ犯罪者ぁ!!」
フェイトたちの後を追おうとした女性に向かい投影した剣を上から降らせて足止めする。これに驚き怯んだ隙にフェイトたちは転移して消えた。そして女性は忌々しげに俺を睨んでくる。
「・・・公務執行妨害ですね」
「流石は犯罪者、自分の欲望を押し通すために公務執行妨害と来たか」
「流石は少年少女に欲情する性犯罪者汚い」
「~~~~~ッ!!!」
顔を赤くして地団駄を踏む姿は胸がすくような気持ちになる。あぁ良いねぇ、自分の立場が優位だと思ってる奴が格下だと思ってる奴に振り回される様っていうのは。
「まぁここから先はヌクモリニティ溢れる交渉だ。大人しくここを引けばお前たちの犯罪行為は俺たちの胸の中にしまっておこう。だからさっさと無様に尻尾巻いて元居たところに帰れ!!」
「・・・ただの脅迫に聞こえますが」
「脅迫?脅迫ってのはもっと外道な交渉のことを言うんだよ。例えば・・・応じなければこいつの命は無いぞ、ていう具合にな」
「っ!!ク、クロノ!!」
全員の視界に入るようにクロノ少年の髪を着かんで首に守剣を当てる。それを見た全員が面白い具合に動揺してくれた、よし場の流れは俺にあるな。
「・・・貴方の目的は?」
「だから言ったろ?俺の望みはお前らの社会的抹殺だってな」
「言ってない!!」
『失礼します、少しよろしいでしょうか』
シリアと名乗った女性で遊んでいると空中に彼女と顔付きのよく似た女性の写ったモニターが現れた・・・・・・若いから姉だと考えてしまうかもしれないが高町家の桃子さんを見た俺はわかる、この人は母だな。
「どちら様で?」
『私はこの子たちの母親のリンディ・ハラオウンと申します。貴方の欲求通りに彼らは引かせましょう』
「っ!?母さん!!」
『シリア黙りなさい、これは艦長命令です』
「話がわかる人が出てくれて何よりだ」
『それと、少しお話をしたいのですがよろしいですか?』
ふむ・・・・・・あちらからのお誘いか。まぁあちらとしてもこちらの情報が欲しいだろうし当たり前の判断だろうな。それに対する俺の答えは・・・・・・
「茶と茶菓子は出るよな」
虎穴入らずんば虎児獲られず、踏み込ませてもらうぜ。
その後、俺とリニスはアースラとか言うガンダムにでも出てきそうな戦艦の中に転移された。まぁ転移してくれた奴が俺のことを睨んでいたがノータッチにしといてやろう。あと何故か高町たちも着いてきてフェレットがいきなり男の娘になったことに驚いた。男の娘率高くないか?そして案内された先には・・・日本文化を適当に詰め込んだような和室。なんか日本の文化を勘違いした外人が作りそうな部屋だな。そこに俺は足を崩して、他は正座で畳の上に座った。正座って苦手なんだよな、どうしてあんな座り方が出来るのかいまだに理解できない。
「待たせてしまったわね」
そこに現れたのはさっきのモニターに写っていた女性とその後ろに不満そうな顔をしたシリアが着いていた。何言われたか知らんが顔に出すなよ、立場はいいかもしれないが中身がそれに伴っていないな。
「私はリンディ・ハラオウン、この船アースラの艦長をやっています」
「わ、私は高町なのはです!!」
「ユーノ・スクライアです」
「藤峰アリスです」
俺とリニス以外の紹介が終わるまでに身支度を軽く整える。こういうのは第一印象が肝心なのだ、見た目だらしない奴とキチンとした奴が並んでいたら後者を信用したくなるのは当たり前のことだ。例え中身が腹黒いやつだとしてもな。
「はじめまして。私は姓を八神、名を時雨と申します。役職はこの海鳴の町を裏から支える一般の民間協力者といったところでしょうか?」
「リニスと申します。彼、八神時雨の使い魔で彼の家政婦も兼任しています」
俺たちの懇切丁寧な対応に隣に座っていた三人は目を見開いて驚いていた・・・お前らが俺のことをどんな風に見ていたかわかった気がするよ。
「あらあら、そんなに固くならないでももう少し砕けてもらってもよろしいのですよ?」
「いえいえ、初対面の人間にそんな態度を取るわけにはいきませんよ。それに・・・こちらの腹の内を見せるほどにそちらを信用している訳でもありませんしね」
「なっ!?」
「なるほど、確かにあのような対応をされれば警戒するのは当たり前でしょうね」
「分かっていただけたなら幸いです」
「フフフッ」
「フフフッ」
「ハハハッ」
俺とリニス、リンディは微笑みながら笑っているが目が笑っていない。俺とリニスはともかく・・・リンディも艦長を任せられている立場なのだからこう言ったことにも慣れているみたいだな。
「(大人たちが怖いの~)」
「(なのは我慢して、僕も怖いから)」
「(黒い、黒すぎるぞ。こんなもの子供に見せるんじゃねぇよ)」
「かあ・・・・・・リンディ艦長、そろそろ本題に」
「あら、そうね」
シリアに急かされリンディが本題に入る。内容はジュエルシードを集めてくれたことに関する感謝と軽い説教、加えてジュエルシードを含めたロストロギアが如何に危険であるかということに関する講義。聞けばロストロギアはピンからキリまであるがそれ一つで一つの次元を消してしまえるほどの驚異であること。そして時空管理局はそのロストロギアを回収して全次元の平和を守るために勤めていること。
うん、無茶苦茶だわ。その話を聞いた感想がこれなのはしょうがない。あらかじめリニスから聞いていたのだが改めて聞かされてそう思った。まるで組織が絶対的な正義であるかのような物言い。リンディはそうは思っていないようだがシリアはそれを信じて疑っていないようだ。下手すれば独裁的な政治と大差ないぞ。しかもそれをまったくわかっていないようなのだから余計に質が悪い。リニスが管理局を嫌っていた理由はわかったし、シグナムたちが管理局を警戒していたことも理解できる。要するにこいつらは正義の名に酔っているだけの偽善者に過ぎないのだ。リンディやクロノのように自分の正義を貫いているなら良いのだがこいつらはそんた大層な物を持っていない、言い方を変えれば人形みたいな物だな。つうかロストロギアの定義で言ったら地球にロストロギア級の物なんてごろごろ転がってるぞ。俺の持ってる宝具もそうだし、吸血鬼の真祖や死徒もそうだしな。
「ですのでこれからのジュエルシードの捜索は私たちが行います」
「なので貴方たちは魔法のことを一切忘れてそれまでの生活に戻ってください」
「プハッ!!」
「・・・・・・何が可笑しいのですか」
「いや、自分の言ってることを理解出来ていないバカさ加減が余りにも滑稽なんで」
魔法のことを忘れてそれまでの生活に戻ってください?何を言ってるのだろうかこいつは?リンディの言ったジュエルシードの捜索を任せろと言うのは理解できる、それが彼女たちの仕事だからな。でもシリアの言ったことはなんだ?忘れてしまえ?何を言ってるんだ、こいつらはすでに世界の裏事情に片足どころか半身まで浸かっている状態なんだぞ。そんなやつらに記憶操作もしないで忘れろと言ったところで忘れる訳がない。こいつらは魔法で得られる刺激を知ってしまった。それはタバコや麻薬の快楽を味わったことに近い。しばらくは耐えられてもいずれ耐えられずに再びそれに手を出してしまうかもしれない。故にこいつらに残されている道は二つだけ、魔法の記憶を消してしまうか頭の先までどっぷり浸かり込むか。
「それに聞きますがこの船にクロノとそこの奴並の戦闘力を持つ人間が何人いますか?端から見た感想ですがそのクラスが何人か居ないとあの少女たちを捕まえることは出来ないと思います」
「っ!!あのとき!!貴方が邪魔をしなければ!!」
「あのときは彼女たちが事前に戦闘をしていて疲弊していたからですよ。そんなことも理解出来ないのですか?執務官さん?」
「・・・・・・そうね、八神さんの言う通りだわ」
「母さん!!」
リンディの反応にシリアは公式の場にいることも忘れて素を出してしまう。こいつどうして執務官になれたんだろ?クロノのレベルが高かっただけか?
「シリア執務官、貴女は退出なさい」
「母さん!!」
「シリア執務官、これは艦長命令です」
「・・・・・・っ!!」
リンディの命令という言葉に逆らう訳にもいかなかったのかシリアは俺を睨んで部屋から退出した。一回こいつは指導し直すことを勧めたい。
「八神さん、娘が失礼をしました」
「いえいえ、お気になさらず」
「八神さんの指摘の通りにこの艦にはクロノとシリア並の魔導師は存在しません。人道を無視して数で押せばあの娘たちを捕らえられるかも知れませんが不本意な犠牲が出るのはこちらとしても望みません。そこでなのですが・・・貴方たちが良ければ我々に手を貸していただけないでしょうか?もちろんこれは強制ではありません。各々思うところもあるでしょうし後日連絡をしていただければ構いません」
要するに俺たちに傭兵の真似事を頼みたいと・・・・・・その判断は間違いではない。こいつらはフェイトたちとは交戦済みで善戦もしている。そして俺はこの土地の管理者紛いの立場にいるのだから助力を乞うのは当然のことだ。それなのにこの場ではなく時間を置いたのは子供たちを使うことに抵抗があったからだろう・・・やっぱりこの人は親だな。
「わ、わかりました!!」
「こちらも問題ありません」
「わかりました」
三人はリンディの言葉に頷き部屋から出ていった。そうなると部屋に残されたのは俺とリニスとリンディの三人だけになる。
「さて八神さん、貴方は自分のことを魔導師ではなく魔術師だと言いましたね。詳しく教えていただけませんか?」
「教えてもよろしいのですが貴方方に買い取っていただきたい物がございます」
「買い取っていただきたい物?それは?」
「こちらです」
そう言ってコートの中から封印済みのジュエルシードを二つ、畳を上に置く。これにはリンディも目を見開いて驚いていた。
「子供の立ち入る隙はなし、ここからは大人のビジネスタイムです」
最後の交渉で時雨が得た物
・日本円にして現金二千万円
・戦艦アースラの情報
・乗組員の情報
リンディさんが得た物
・ジュエルシード二つ
・時雨からの協力
時雨はアースラの情報を得るためにジュエルシードを二つ差し出しました。現金はついでです。これによってアースラの情報ほとんどがフェイトたちに流れて原作よりもフェイトたちは有利な立ち位置に立てました。そしてこのジュエルシードは最初に封印した奴です。時雨の手元には大樹のと月村邸のとランスロットの三つが残っています。
あとシリアの小物臭が半端じゃない。最初はシリアを時雨のヒロインにしようかなとか考えていたのですが却下しました。シリアは・・・・・・オリ主(笑)にでもあげようかな?あ、ちなみにオリ主(笑)はジュエルシードに取り込まれたあと気絶しながらも何故か無傷で生還、アースラの医療室に運ばれています。どうでもいいと思った人はコメントか感想に『源氏サイコー』、『八神サイコー』、『時雨サイコー』と書いてください。
リンディさんの対応は原作よりも良識人化しているのは仕様です。だって作者が原作のリンディさんのあの対応がおかしいと思ったからです。そのお陰で時雨のリンディさんに対する評価はそこそこ高いです、クロノ君も高いです。ただしシリアの評価は最低クラスです。まぁシャマルに比べれば高いですが・・・・・・
評価、感想お待ちしています。