アカメが斬る!!のアニメ化祝!!
マインの声はクギュウかと思っていたら田村さんでござった。
アィィィエェ!?タムラタムラナンデタムラァァァァ!?
そんな心境の今日この頃。下手な忍殺語すいません。
人がいなくなり、世界の色が変わる。この体験なら前にもしたことがある、ジュエルシードが発動したことで誰かが結界を張ったのだ。つまり俺たちはジュエルシードを封印しなければここから出ることが出来ないということになる。
「またジュエルシードですか・・・ここまで頻繁に発動すると何か作為的な物を感じますね」
「ジュエルシードを見つけ易くするために誰かが強制的に発動してるんだろ?ところで買った物の中に要冷蔵の物とかあったっけ?」
「えっと・・・無いですね」
「んにゃら焦らず行くか」
「そうですね」
そう言ってリニスは飛翔し、俺は駆け出す。どうやらナハトヴァールというデバイスを得ることが出来ても俺は飛ぶことが出来ないようだ。なにかしらの方法を考えないと不味いな。
「リニス、他の魔導師は?」
「離れたところに二つ・・・これはフェイトとアルフですね。それと二人とは反対方向に四つ、敵対してる魔導師だと思います。それぞれジュエルシードからは離れていて私たちが一番近いですね」
「そいつは上々、とっとこ封印するとしよう」
「了解です。ところでいつもの仮面はどうしました?」
「忘れた」
「そうですか」
話ながらもスピードは緩めない、車の走っていない道路を自動車顔負けの速度で走り抜ける。魔術で強化してるからこのくらいはチョロいチョロい。
そうして走ること数十秒、広い交差点にたどり着きその中心に浮かんでいるジュエルシードを見つけた。しかしそのジュエルシードは異常だった。本来なら蒼いはずなのだがそれの色は黒、しかも血液の用に赤いラインが脈を打っている。
「時雨」
「あぁ言わなくても分かる・・・あれはヤバイ」
一刻も早く封印しなければならないはずなのに俺たちは異常なジュエルシードを前にして動くことができなかった。何かアクションを起こしてそれに反応するのが一番ヤバイパターンだ。ここは一先ず様子見で・・・
「ハァァァァァァ!!」
「ヤァァァァァァ!!」
「「ジュエルシード封印!!」」
「何考えてやがるあの馬鹿共が!!」
と、そこへフェイトと白い魔導師がやって来て何を考えたのか異常なジュエルシードを直接デバイスで挟みやがった!!ショックを受けたジュエルシードは当然の如く反応、肌で感じられるほどの膨大な魔力を撒き散らした。離れたところにいた俺たちは兎も角、近くにいたフェイトと白い魔導師はその魔力を諸に受けて弾き飛ばされる。そして撒き散らされた魔力はジュエルシードに集まり、地面から黒い煙を吹き出し始めた。
「リニス、要警戒だ」
「当然です」
煙が吹き出したことを確認した俺は即座に攻刀と守剣を投影、リニスも自身の武器である杖を構える。あのジュエルシードがどうしてあんな色をしていたかわからないが良くない物だということはひしひしと伝わってくる。そうして煙が晴れてジュエルシードがあった場所に現れた者を見て攻刀と守剣を落としそうになった。
ーーーーその体躯は傷だらけの鎧に包まれ
ーーーー手には武器は無いが構えに隙は在らず
ーーーーその身から溢れる殺意は無差別に向けられている
「URAAAAAAAAAAAAA!!!!!」
鼓膜が破けるほどの雄叫びを上げ、狂戦士が現れた。
「クソッタレがぁぁぁぁぁ!!!」
「時雨!?」
狂戦士の姿を確認した瞬間、時雨は武器を捨てリニスを抱き抱えてその場から逃げ出した。突然の逃走にリニスは訳を聞こうとしたが時雨の普段は見せない焦りの表情を浮かべていたことで口をつぐんだ。時雨が焦ることはほとんどない。どんなことがあっても余裕綽々、想定内だと言わんばかりの態度で対処するからだ。その時雨が焦って逃げ惑っていることからリニスは事態の深刻さを知った。そして狂戦士から離れたビルの影まで逃げ込んでようやくリニスは解放された。しかし時雨はまだ落ち着きを取り戻していない。
「クソッ・・・落ち着け・・・落ち着くんだ・・・!!」
何とか冷静になろうとタバコを加えてジッポライターで火を着けようとするが焦りで震えた手ではそれも叶わない。
「なんで・・・なんで火が着かねぇんだよ!!ジッポは火を着けるための道具だろうが!!!」
なかなか火の着かないジッポライターを怒鳴りながら投げつける。怒鳴ったことが幸いしたかの多少は落ち着きを取り戻し、邪魔になった前髪を書き上げながらジッポライターを広い直す。
「・・・らしくもない。ほら、ちゃんとジッポの火だって着くじゃないか」
さっきまでとはうって変わった落ち着いた様子でジッポライターの火を着ける、今度は正しく火が着いた。そしてタバコに火を着け煙を吐き出すと同時に隠れていたビルの一部が吹き飛んだ。
「畜生!!」
「時雨!!あれは一体!?」
悪態を吐きながら逃げる時雨にリニスは問いかける。崩壊するビルの影から現れたのは道路の脇にあるような街灯を手にした狂戦士の姿。リニスの目が確かであるのならあれは間違いなくただの街灯であってデバイスの類いではないはず、それなのにあの狂戦士が手にしたそれはビルを崩壊させて尚原型をとどめたままであった、ただの街灯であるというのに。
「ジュエルシードの奴ふざけたことしやがって!!あれはサーヴァント・・・・・・過去に偉業を成し遂げた英雄って呼ばれる奴の一人だ!!」
「英雄!?」
時雨があれのことを知っていたことはさておきリニスは目の前にいるのが英雄だということに驚いた。
英雄、それは過去に偉業を成し遂げ現代にまで名を残す成功者たちの総称。学問で偉業を成し遂げた者もあれば武功で名を上げた者もこれに該当する。ならば目の前にいるのは間違いなく後者の英雄であろう。
「しかもあれはサーランスロット!!アーサー王の元に集まった円卓の騎士たちの中でも最強で!!しかもアーサー王本人から至高の騎士と言われるほどの英雄だ!!」
アーサー王に円卓の騎士、この二つを知らないものはそう多くは無いだろう。何しろこの二つはあまりにも有名だ。過去にブリテンを守るために選定の剣を引き抜き戦場を駆け巡ったアーサー王、そしてその王に仕えんと集まった騎士たちによって結成された円卓の騎士。王に仕える円卓の騎士たちの中でも最強で至高の騎士と謳われたランスロットはサーヴァントとしては間違いなく上位のクラスに入る。逃げることは間違いではない、寧ろ逃げることを勧めたくなるほどの相手である。そんな英雄を前にして二人は、
「勝機はありますか?」
「・・・無いこともないな」
「なら良しです」
折れなかった、寧ろ闘志をたぎらせているようにも見える。先程まで慌てふためいていた時雨さえ調子を取り戻していつも通りの表情を浮かべていた。二人に出来ることは退くか挑むか。退いたところでジュエルシードをどうにかしなければこの結界は解かれることなく残り続ける。ならば挑むことしかできない。そして挑むのなら勝つ、これが時雨とリニスの共通の考えであった。
「AAAAAAAAAAAAAAAAAA!!! 」
叫びを上げながら狂戦士は突進する。砲弾のような加速をする狂戦士の前に立つのは時雨、その手には攻刀と守剣が握られていた。
「ーーーーーーーーシッ!!」
狂戦士の行う攻撃はまさしく暴風であった。狂化してなお衰えることのない技の冴えは連撃でありながらすべてが一撃必殺、サーヴァントならばいざ知らずただの人間である時雨がこれを食らえば良くて瀕死、悪くても死亡である。それに対して時雨が選んだ行動は真っ正面に立ち攻撃をいなし続けることであった。防ぐことなどしない、まともにぶつけ合えば攻刀はもちろん守剣であっても使い物にならなくなるのはわかっていたから。故に流す。かする程度の攻撃はすべて放置し、確実に自分の命を奪うような一撃だけを横から僅かに力を加えて軌道を反らす。
ーーーー肩をかする程度の攻撃、放置
ーーーー頭部に迫る攻撃、流す、髪にかすった
ーーーー左脇に迫る攻撃、流す、服が切り裂かれた
ーーーー右足腿をかする程度の攻撃、放置
放置、流す、かする、放置、流す、かする、放置流すかする放置流すかする放置流すかする放置流すかする放置流すかする放置流すかする・・・・・・徐々に身を削られながらもミス一つ許されない綱渡りのような攻防を時雨は乗り越えた。仕切り直す為に後ろに飛び退く狂戦士、ここでリニスが動いた。
「ジエットスマッシャー!!」
狂戦士が時雨から離れた時を見計らい砲撃をぶつける、それを狂戦士は街灯を楯にすることで防いだ。防ぐ際に僅かに見せた狂戦士の硬直に時雨も畳み掛ける。
黒塗りの弓から至近距離で放たれた螺旋剣は楯になっていた街灯をへし折り狂戦士の腹部に突き刺さる。螺旋剣の勢いに押されて地面を削りながら狂戦士は離れていくが強靭な脚力で勢いを殺し踏みとどまる。螺旋剣は砕けるが狂戦士の鎧にヒビが入った程度で明確なダメージがあるようには見えない。
「堅いな」
「それでも武器は奪いました」
「甘いぞリニス、あいつは武器を選ばない」
会話する二人を脇目に狂戦士は近くにあったガードレールを引き抜く。白かったガードレールが狂戦士に持たれた瞬間に黒く染まり、狂戦士は新たな武器を手にした。
「どうなっているのですか?」
「
目蓋を切ったことで流れる血を服の袖で拭いながらリニスの疑問に答える。【騎士は徒手にて死せず】は己が武器と認識する物をDランク相当の宝具にへと変化させる、例えそれが瓦礫などでも認識さえしていれば宝具へと早変わりしてしまうのだ。刀身にヒビが入って使い物にならなくなった攻刀と守剣を捨てて新しく投影する。
「(どうする・・・またさっきみたいな攻防が出来るとは考えにくい、カードを使えればいいんだがそんな隙をあいつが見せてくれるはずがない。一旦退いて体制を建て直すべきか?)」
相手はサーヴァントという規格外とも言える存在、故に時雨は切れる手段をすべて使ってでも勝とうとしていた。自分一人ならまだしもこの場にはリニスもいる、だから出来るだけ安全になおかつ確実な勝利方法を分割思考の中で模索していた。
「A・・・AAA・・・・・・AAAAAAAAAAAA!!!」
ここに来ての狂戦士の咆哮、警戒を強くする時雨の前で狂戦士は明確な変化を見せた。黒く染まっていたガードレールが白に戻り地面に落ちる。陽炎のように揺らめいていた黒い煙が消える。これはつまり先程まで使用していた
「アロンダイト?」
「サーランスロットの剣の名前だ。こっから先は気を抜いたら死ぬぞ」
時雨の警告を素直に受け止め一挙一動すら見逃さないと狂戦士を凝視する。そして離れていたはずの狂戦士は一瞬にしてリニスの前まで現れて剣を振りかざしていた。
「(・・・え?)」
目を離していた訳でもなく不注意だったわけでもない、ただ圧倒的に狂戦士が速すぎたのだ。
神速とも言える速度で狂戦士とリニスの間に時雨が割って入った。攻刀と守剣を交差させてアロンダイトの一撃を受け止めようとするもアロンダイトは神造兵器であるのに対して攻刀と守剣はただの魔除けの剣、結果は火を見るよりも明らかであり攻刀と守剣は砕かれ時雨は吹き飛ばされて瓦礫の山に突っ込んでいった。
「時雨!!!」
牽制に魔力弾を放ちながらリニスは瓦礫に埋もれていた時雨を起こす。全身は裂傷だらけ、直前まで物理障壁を全開で張っていた為か致命傷にはなっていないが胸に大きな傷が出来ており意識を失っていた。出血が酷くこのままでは命に関わってしまうだろう。時雨を連れてこの場から逃げようとしたリニスの前に狂戦士が立ちはだかる。狂気に満ちた目は真っ直ぐに時雨を見つめていた。
「っ!!殺させません!!時雨は殺させません!!」
時雨を守ろうと狂戦士の前にリニスが立つ。狂戦士とリニスの実力の差は明らかでありアロンダイトの一振りで容易く自身の命を刈り取ってしまうこともリニスは理解していた。それでもリニスは狂戦士の行く手を阻む。主を守るために、そして愛した男性を守るために。そしてリニスの命を刈り取るべくアロンダイトがゆっくりと振り上げられた。
「(ーーーーあっ?)」
時雨の意識が戻る。体の具合を確かめようとすると全身が痛む、もしかするとどこかの骨が折れているのかもしれない。それでも五体満足であることを確かめれると目の前にはリニスの背中とアロンダイトを振りかざしている狂戦士の姿があった。
「(あっーーーーあ、あぁぁぁぁぁ!!)」
その光景に時雨の中にある過去の光景がフラッシュバックした。
ーーーー短く揃えた銀髪の女性
『どうした小僧?行く場所がないのか?』
ーーーー泥にまみれて生きていた自分を拾い上げてくれた恩人
『ウチに来るといい、まぁそれ相応には働いてもらうがな』
ーーーー彼女は母となって自分に人の暖かみと名前を与えてくれた
『今日からお前は時雨だ』
『時雨、飯の時間だぞ』
『銃の撃ち方はこう構えて・・・そう、筋がいいな』
『時雨、風呂に入るぞ』
『時雨』
『時雨』
『時雨・・・・・・』
彼女と過ごした日々が浮かんでは消えていき、最後に写し出されたのは・・・・・・・・・彼女を囲む同じ服装の人間数人と、血溜まりに沈む彼女の姿だった。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「っ!?時雨!!」
現実に戻った時雨は叫びながらリニスの服をつかんで引きずり倒し、自分の体を楯にするように抱き締める。目標がいなくなったことによりアロンダイトはリニスには当たらなかったが時雨の背中に浅くはない傷を着けた。
「殺らせるかよぉぉぉぉお!!!」
傷が出来たことなどお構い無しと言わんばかりに時雨は狂戦士に向かって空中に投影した刀剣を数十本射出する。
「殺らせるか・・・・・・殺らせるかよぉ・・・・・・もう誰にも奪わせはしねぇよ!!!」
コートの中からカードを一枚掴み取り、中身も確認せずに握り潰す。奇しくもそれは鉈を持った犬のような顔をした人間のカード、バーサーカーのカードであった。時雨の手に石斧が現れて狂戦士に突進する。その様は砲弾のようであり、自身が放った刀剣の射出によって舞い上がっていた破片も意に介せずに狂戦士に向かっていった。
「AAAAAAAAAAAA!!!!」
それに呼応する形で吠える狂戦士、ここに至高と称された湖の騎士と神話の英雄を身に宿した時雨との戦闘が実現された。それを表す言葉を口にするならば嵐と言うのが相応しい。アロンダイトと石斧による撃ち合いはあまりの速さに側にいたはずのリニスの目には写らなかったのだ。それでも撃ち合う金属特有の高い音だけは絶え間無く耳に届く。強化してなお衰えることのない技の冴えを魅せる狂戦士に対して時雨は自身の反射神経とカードから流される英雄の戦闘の記憶のみで撃ち合っていた。しかも守る姿勢など一切見せない決死の攻撃で。
この英雄が持っている十二の命をストックするというまさしく呪いとも言える祝福である宝具
「死ねぇぇぇぇえ!!!」
「AAAAAAAAAAAA!!!」
一際高い音が鳴り響いて狂戦士が弾き飛ばされる。この撃ち合いに勝ったのは時雨だった。それでも狂戦士は己の狂気に従い時雨にへと飛びかかる。武芸に疎いリニスにでも分かる、あれは石斧程度では受け止めきれない一撃であると。それに対して時雨はどこからか現れた黄金の弓に石斧をつがい、狂戦士にへと照準を合わせた。
「ーーーーーーーー
決着は一瞬だった。黄金の弓から放たれた石斧は九つに分かれて狂戦士の体を貫いた。
これが神話の英雄たるバーサーカー、ヘラクレスが真の宝具。無限に再生をするヒュドラを射殺した
「A・・・Aa・・・・・・」
体の大半を消失した狂戦士は時雨の側に降り立つと膝を着くことなく、立ったまま消滅しその場にジュエルシードを遺した。
「はっ・・・ざまぁ・・・見ろ・・・」
「時雨!!!」
それを見届けてから時雨は地面に倒れ付した。リニスが側に駆け寄ると同時に結界は消失する。それ以上この場に止まる意味はなく、一刻も早く時雨を治療する為にリニスは時雨と落ちていたジュエルシードを拾い上げて転移して立ち去った。
と、いうことで時雨&リニスVS狂戦士のランスロットでした。超ギリギリの辛勝、リニスに怪我が無い分時雨がボロボロになってしまいました。
いつのまにか海鳴市が冬木市に・・・・・・っ!!
ランスロットが現れた原因はジュエルシードですが大元の元凶は他にもあります。無印編ではそれを明かすつもりはありません。A's編で明かすつもりなのでそれまでお待ちを。
・・・・・・書ければ良いのになぁ・・・・・・
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