調律者は八神家の父   作:鎌鼬

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ギョロ目の更新に夢中になってごめんなさい、しばらくはこっちの更新頑張ります。


第12話

 

 

楽しかった連休も終わり、いつも通りの平日に戻った今日この頃、ふとした気分から散歩しているとアルフに会った。

 

 

「アルフちゃんちぃーす。宝物探しはお休みかな?」

「あんたか・・・ちょっと着いてきな」

「ん?」

 

 

アルフに袖を捕まれて引きずり込まれた先は公園の茂み。木々が生い茂っているので人影は見られない。好き好んでここまで来るやつはいなさそうだし密会するにはうってつけの場所だな。

 

 

「あの・・・あの時はありがとうね。お陰でアイツらからジュエルシードを奪うことができたよ」

「そいつはどーも。こっちとしては足止めしかしてないから大したことをしたとも思えないんだけどね」

「それでも、だよ。それだけだとあんたが言っても私はすっごい感謝してるんだ。だから・・・・・・その・・・・・・あたしなんかで満足できるとは思えないけど・・・」

 

 

そう言うとアルフは顔を赤らめながらおもむろに着ていた服のボタンを外し始めた・・・・・・ファ!?

 

 

「あたしを・・・好きにして・・・いいよ?」

「宝具開帳!! 覇理殱!!(ハリセン) 」

「いたっ!?」

 

 

突然阿呆なことを口にした駄犬にハリセンを叩き込む。対人用宝具覇理殱・・・その効果は突っ込むという過程を省略し突っ込んだという結果を残す・・・・・・どこからハリセン出したとか聞くなよ?

 

 

「なぁに府抜けたことを言っちゃってくれてるのかな~アルフちゃ~ん?そう易々と自分の体を差し出すようなことをしてるんじゃないよ!!お父さんそんな子に育てた覚えないよ!!」

「あたしだって好きでやってるんじゃないよ!!だって・・・・・・プレシアがこうすれば男は喜ぶからって・・・」

「よし、そのプレシアとか言うやつのところに案内しろ、説教しちゃるから」

 

 

ハリセンが痛かったのか涙目になりながらもアルフは頷いてプレシアとか言うやつのところに案内してくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

着いた先は海鳴の中でも高級感漂うマンション、アルフが言うにはここがアルフとフェイトの拠点になってるらしい。

 

 

「異人さんがこんな高級マンションに住むとは・・・ブルジョアか」

「プレシアが資金を出してるんだ、プレシアはフェイトの母親だからね・・・・・・性格はあれだけど」

「おい性格があれってなんだ?」

「さぁこの部屋だよ」

「ねぇ不安になるからキチンと問答に答えてくれない?」

 

 

アルフの言った一言でスッゴク不安になってきた。そんな俺を無視してアルフは部屋に入る、SAN値が削られる思いをしながらも小声でお邪魔しますと口にしてアルフの後に続く。玄関には子供用の靴に小柄とは言えどもハイヒールが一足置かれていた。どうやらプレシアさんはご在宅らしい。アルフがリビングに繋がる扉を開けると・・・・・・

 

 

「あぁぁぁぁぁあフェイトフェイトフェイトフェイトぉぉぉぉぉぉお!!可愛いフェイトフェイト可愛い!!まさしくこの世界に降り立った天使だわ!!異論は認めない!!」

「お、お母さん・・・恥ずかしいよぉ・・・」

「恥ずかしがるフェイトキター!!はっ!!カメラはどこ!?早くこのフェイトを激写して永久保存しなければ!!」

「お母さん・・・・・・」

 

 

紫の長髪の女性がメチャクチャフェイトのことを可愛がっていた。なんだ、ただの親バカか。心配して損した。

 

 

「あ、アルフお帰り。お客さん?」

「ただいま、この間あたしたちを助けてくれた人だよ」

「フェイト!!こっちを見なさい!!出来れば上目使いで!!」

「うん、上目使いも捨てがたいがクッションを渡して抱き締めさせるってのはどうだ?」

「何それ萌える!!よし採用よ!!フェイト!!これを抱き締めて!!」

「後は手で顔を隠す素振りとか。あまりやり過ぎるとプイッとそっぽを向かれたりするんだが個人的にはそれを一押ししたい」

「ふぅぉぉぉぉぉぉぉぉお!!萌 え て き た ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「・・・・・・プレシアが手のつけられないことになってきた・・・」

「母さん楽しそうだな」

「フェイト!?」

 

 

その後暴走したプレシアを煽りながらフェイト撮影会を行っていた・・・・・・この人とは仲良くなれそうな気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・恥ずかしいところを見せてしまったわね」

「いえいえお構い無く。可愛い子供を可愛がるのはごく自然なことだ」

「そう言うならフェイトを膝から下ろしなよ・・・」

「可愛いは正義!!フェイトは可愛い!!つまりフェイトこそが正義!!」

「ダメだこいつ・・・何とかしないと・・・」

 

 

暴走は収まったもののフェイトを放す素振りを見せないプレシアにアルフは肩を落とす。世間一般論では子供を甘やかす親はダメだとか言われているらしいな・・・・・・でも、俺は嫌いじゃないぜ?その甘さby過負荷筆頭風

 

 

「はじめまして、私はフェイトの母のプレシア・テスタロッサよ。好きなものは娘」

「はじめまして、俺は魔術師で協力者の八神時雨だ。大切なものは家族」

「・・・」

「・・・」

ガシィ!!←固い握手を交わす音

「何か通じあっちゃったよ・・・・・・」

 

 

会ってまだ一時間も立っていない・・・・・・しかし俺は理解した、頭でもなく感情でもなく魂で理解したのだ。この人、プレシア・テスタロッサとは親友になれると。

 

 

「で、今日はどういうつもり?アルフなら今日一日貸してあげるわよ。隣の部屋に防音結界を張ってあるから好きにしなさい」

「生憎と和姦主義な物でね、双方の同意の元でわかりあった状態でヤりたいのよ、俺は。てかどうしてそこまでアルフを目の敵にする?」

「あの子がフェイトの為に買ってきた御菓子全部食べたからよ」

「それなら仕方無いな」

「それだけのことであたし売られてたのかい!?それにあんたも承諾してんじゃないよ!!」

「喧しい!!子供の為に買ってきた御菓子を他人に持っていかれた親の気持ちが分からんのか!!」

「なんで泣いてるのさ!!」

 

 

あれは去年のこと、はやての為に買ってきた一日百個限定の御菓子を家に招いた恭也にすべて食われたからさ・・・・・・あの時は激昂して思わず恭也を病院送り一歩手前までボッコボコにしたことはいい思い出だ。恭也曰く、まさか神速まで反応するとは思わなかったとかなんとか。結果、子を思う親の気持ちは最強である。

 

 

「さて、くだらん話はここまでにしてだ」

 

 

プレシアに抱かれていたフェイトがうとうとして眠りについたのを見計らって本題を持ち込む。

 

 

「ジュエルシード、俺からしたら危険極まりない物をどうしてお宅らは集めている?」

 

 

そう、俺がここに来たのはジュエルシードを集めるフェイトたちから目的を聞き出すことにある。もう一方の集団は惰性的、何となくのような感じがしたのだがこちらからは明確な意思があって集めるように感じられる。故にここまで来た。アルフのこともあったけどそれはもう解決したからいいや。

 

 

「・・・・・・アリシアを、私のもう一人の娘を助ける為よ」

「アリシア?フェイトの兄弟か?」

「そうね・・・アリシアはフェイトの姉になるわ・・・アリシア本人はフェイトのことを知らないのだけど」

「・・・詳しく頼む」

 

 

プレシアの口から語られるのは出来の悪い三流小説のような内容だった。一人娘のアリシアとシングルマザーのプレシア、仕事が忙しく構ってあげられない日もあったけどそれでも互いに互いを愛し合っていた。ある日、プレシアの所属する会社が実験を行った。プレシアはそれの危険性に気がつき中止を進言、それを無視して会社側は強引に実験を行い、結果実験場周囲に甚大な被害をもたらした。それに巻き込まれたのはアリシア、彼女はその影響でほぼ死亡している状態になっているらしい。それに絶望したプレシアは長い間アリシアを生き返らそうと狂気的とも言えるほど様々な分野の研究に手を出していた。そんな狂気の日々に歯止めをかけたのはアリシアの言っていた何気ない言葉、

 

 

「お母さん、私妹が欲しい!!」

 

 

年頃の一人っ子なら言い出すような然り気無い言葉を思い出してプレシアは正気を取り戻した。そしてプレシアは狂気の果てに作り出したクローン技術を用いてアリシアのクローンになるフェイトを作り出した。そしてプレシアは決意した。アリシアとフェイトと三人で、失ってしまった幸せな過去を取り戻そうと。

 

 

「・・・チープだ、三流小説によくありそうな内容じゃないか」

「そう言ってるわりにはこっちが引くぐらいに号泣してるじゃないの」

「俺ってばこう言う話に弱いんだよね。基本悲恋のドラマとか見るとエンディングでガン泣きしてるし」

「ほら、ティッシュ」

「あんがと」

 

 

アルフからティッシュを受け取り涙を拭いて、鼻を思いっきり噛む。スッキリしたところで改めてプレシアに向き合う。

 

 

「感動的な話をありがとう。周りの奴から外道だとか蔑まれてる俺でも心が打たれたよ」

「貴方何をやってるのよ」

「昨日まではリニスの知り合いだからという惰性的な理由で手伝うつもりだったがそれはもう止めだ。俺もお前たち家族が笑いあっている姿を見たくなった。ここから先は俺も全面的に協力させてもらう」

「そう・・・・・・ありがとう・・・」

 

 

俺の言葉にプレシアは少し嬉しそうに笑いながら頭を下げてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところでリニスを追い出した理由は?」

「あの子がフェイトが楽しみにしていた御菓子を食べたからよ」

「リニスぇ・・・・・・」

落ちが何とも締まらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後プレシアとアルフに見送られて買い物に向かう途中だったリニスと合流、現在はその帰り道である。

 

 

「そうですかプレシアに会いましたか・・・どうでした?」

「一言で言うなら親バカとしか言えないな、でも俺としては好感が持てる人だった。是非ともアリシアと再会させてやりたい」

「そうですか、なら私も手伝います」

「ありがとな。そう言えばどうしてフェイトの菓子を食ったんだ?」

「あの時の記憶が曖昧なので何とも言えませんが・・・あの御菓子を見たときに異常に引き付けられたんです、あとあれを食べたら何故か体が火照っていましたね」

「プレシアぇ・・・・・・あいつ娘に食わすもんになに仕込んでやがる」

 

 

顔をしかめる俺にリニスは苦笑いをしながら同意する。そうして町の中を歩いていると、

 

 

 

 

 

 

 

突然俺たちの周囲から人が消えた。

 

 

 





うちのプレシアさんは親バカです(確信)。イノセントのプレシアさんの一段階上をいく親バカです。


あとアルフは純粋です。プレシアさんから言われたことを恥ずかしがりながらも実行しました。これは時雨に恩を返したいという気持ちと少なからず好感度があるからできる荒業です。


そしてアルフは性の知識に乏しいです。紳士な時雨だったからセーフでしたがこれがもし鬼畜な時雨だったら間違いなくR18に移行していました。アウト?いえいえ今回はセーフです。



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