調律者は八神家の父   作:鎌鼬

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ⅩⅩ last night ⑦

 

 

「ーーーーーーー何故だ」

 

 

苛立たしげな声を出しているのは魔術師。最大の障害である時雨を闇の書に取り込み、あとはこの場にいる全員を殺して【根源】へと向かうだけだった。獣でしかなかった残骸を媒体に英霊を呼び出すことで残骸は一騎当千の無双とも言える軍勢になった。

 

 

そうなれば脆弱な人間たちは皆殺しにされる。魔術師の中ではそうなっていたがーーーーーーー

 

 

「ーーーーーーー何故!!まだ生きている!!」

 

 

誰も死んでいなかった。いや、それどころか残骸が明らかに押されている。無限に沸き出すはずの残骸が四方に囲まれて、眼に見えて分かるほどに数が減っている。

 

 

それは勝利を確信した魔術師からすれば信じられない光景だった。

 

 

「クソッ!!ならば、ペイルライダー!!ギルガメッシュ!!」

 

 

そこで魔術師は残骸とは異なる呼び出した正規の英霊であるペイルライダーとギルガメッシュを頼ることにした。対人類サーヴァントであるペイルライダーと対英霊サーヴァントであるギルガメッシュの二騎さえいればあの集団を殺せると考えたからである。

 

 

魔術師の右目がペイルライダーの、左目がギルガメッシュの視界を映し出す。魔術師の予想ではそこには自分の邪魔をしようとした者たちが屍になって転がっている風景が映り出すはずだった。

 

 

しかし、実際にはーーーーーーー

 

 

「ーーーーーーーなぁ!?」

 

 

右目が映し出すのはリニス、ザフィーラ、シャマルが増殖したペイルライダーを蹂躙している光景。左目が映し出すのはギルガメッシュを押しているシグナムの姿。どちらも魔術師が予想していた物とは異なる光景。

 

 

「何故だ、何故だ、何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!何故邪魔をする!!【根源】への到達こそが!!魔術師の悲願であることを知らないのかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

自分の思った通りに行かないことに癇癪を起こしたのか、魔術師の眼は血走り、力任せに頭を掻きむしっている。

 

 

「こうなれば私が動くしか無いのか‥‥‥‥まずはあいつらだ」

 

 

魔術師の背後に特大の魔法陣が複数現れる。その魔法陣一つ一つに込められた魔力は異常で、魔術を嗜んでいる物ならば、その魔法陣すべてが魔法の領域に迫っている大魔術であると分かることができた。

 

 

魔術師の矛先は残骸を蹂躙している集団。まずはこの集団を消し飛ばし、その次は残骸をペイルライダーとギルガメッシュの元に向かわせる。そうすれば自分の邪魔をする者たちを殺すことが出来ると、魔術師は信じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、そうはいかない。魔術師の手が崩れ落ち、背後に現れた魔法陣すべてが崩れる。

 

 

「ーーーーーーーは?」

 

 

何が起きたのか理解できない魔術師が無くなった手を呆然として見る。そしてーーーーーーー

 

 

「ッ!?ガバッ!!グボッ!!」

 

 

魔術師の口から、耳から、鼻から、目から、黒い泥が溢れ出る。この泥の正体は【此の世全ての悪】(アンリ・マユ)が産み出した悪性。それが魔術師から溢れ出している。そして魔術師はようやく()()()()()()()()()()()()()()かっ()()()()ことに気がついた。

 

 

するとどうなるか?今までの魔術師は闇の書に蓄えられていた魔力を使い、【此の世全ての悪】(アンリ・マユ)の権現を自分が使えるようにしていた。闇の書とのリンクが無くなればーーーーーーー当然、魔術師が【此の世全ての悪】(アンリ・マユ)の魔力を供給しなければならなくなる。その結果、魔術師と【此の世全ての悪】(アンリ・マユ)との契約が強くなり、【此の世全ての悪】(アンリ・マユ)が魔術師を飲み込もうとしていた。

 

 

「(何が!!一体何が起きた!?私の組み込んだ術式は完璧だったはず!!それがここに来て崩れるなど断じて有り得ん!!ならば何故ーーーーーーー)」

 

 

自分は完璧だと信じて疑わない魔術師はどうしてこうなったのかの原因を探るために思考を巡らせる。そうして百に届くような思考の果てに、ようやくその原因が思い付いた。

 

 

「(ーーーーーーーーー八神、時雨か!?)」

 

 

そう、八神時雨。闇の書にあった魔法によって取り込んだはずの存在。時雨が原因ならば納得が出来るしそれ以外の要因は考えられない。

 

 

魔術師は自身を飲み込もうとする【此の世全ての悪】(アンリ・マユ)に必死の抵抗(レジスト)をしながら自身の心理層の最奥ーーーーーーーーー管理人格(スノウ)から闇の書の魔力を搾取する為の空間に潜る。リンクが切れかかっているとはいえまだ完全に途絶えた訳ではなかったので魔術師は無事にそこに辿り着く事ができた。

 

 

魔術師が最後に見たときには絶望した表情のスノウが闇に包まれた空間で蕀に拘束されて磔になっている姿だった。しかし今は違う。闇に包まれた空間は純白の世界にへと姿を変えていた。

 

 

そしてその世界の中心には蕀の拘束から解放されているスノウと、傷だらけになりながらスノウを抱き締めている時雨の姿があった。

 

 

『八神ぃ‥‥‥時雨ぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!』

「あん?なんだ来たのか。空気読めよ、今涙必須の感動的な場面なのにお前のせいでコメディに変わっちまったじゃねえか。未練がましくこの世にしがみついてんじゃねぇよ、目障りだ」

『貴様ぁ!!私に何をしたぁ!?』

「はぁ?何もしてねぇよ。少なくともお前にはな。スノウには粘着質な寄生虫を下す為にこいつを突き刺したけどな」

 

 

時雨の手に握られているのは稲妻のように折れた歪な刀身の短剣。

 

 

「説明なんて柄じゃないが冥土の土産に教えてやろう。こいつの名前は破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)、コルキウスの女王の逸話から生まれた契約破りの宝具だ。こいつは魔術によって生成された物なら全てを初期化させる。つまりこれで闇の書と【此の世全ての悪】(アンリ・マユ)のラインを初期化したわけだ。まぁそうしたはずなのにまだ残ってるって言う誤算はあるがな」

『ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉ‥‥‥‥!!!!!』

 

 

時雨の言葉が耳に届くも魔術師は全身に駆け巡る悪性に抵抗するために唸り声をあげる。溶かすように、削るように、抉るように、悪性は魔術師のすべてを犯す。

 

 

『な、ぜだぁ‥‥‥‥何故、魔術師であるお、前が‥‥‥‥私の邪魔をする‥‥‥‥!!【根源】への到達こ、そが‥‥‥‥すべての魔術師、の悲願‥‥‥‥!!ならば、貴様も‥‥‥‥【根源】を求め、ているはずだ‥‥‥‥!!なら、何故‥‥‥‥!!』

 

 

魔術師の疑問は魔術師として生きている者からすれば当然の物だった。【根源】への到達こそがすべての魔術師の悲願にして通過点。名家であれ、旧家であれ、それこそ血の浅い者であれ魔術師ならば彼もが追い求める物。魔術師は何故時雨がその邪魔をするのか、未だに理解できていなかった。

 

 

「あぁ、なんだそんなこと?そんなの分かりきった答えじゃないか。それが分からないなんてお前は馬鹿か?」

 

 

時雨は簡単なことに気がつかない魔術師をまるでーーーーーーーーー嫌、本物の虫けらでも見るかのような目で見下す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は、魔術なんてどうでもいい」

『ーーーーーーーーーな』

 

 

時雨の口から出たのは至極シンプルな答えだった。それを聞いた魔術師は予想外過ぎる答えに悪性の汚染による苦痛も忘れてしまう。

 

 

「俺はただ使い勝手がいいから魔術を使っているだけであって生粋の魔術師じゃねぇよ。【根源】への到達こそがすべての魔術師の悲願?実に結構、俺たちに害がないことなのなら好き勝手やってくれても良かった。だが、お前ははやてを、スノウを泣かせた。故に殺す。お前の望みのすべてを踏みにじった上で塵のように殺す。それが俺の下した裁定だ」

『そんな‥‥‥‥そんな理由で私の邪魔をするだと‥‥‥‥ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!』

 

 

時雨の行動の理由を聞いた魔術師は心のそこから怨嗟を吠えた。

 

 

『貴様はそのような身勝手な理由ですべての魔術師の悲願を邪魔したと言うのか!!大義を掲げた訳でもなく!!抑止力からの介入を受けたわけでもなく!!そこの人形と小娘が泣いたというそんな理由で!!!』

「あぁそうだ。俺からすれば大義名分なんかよりも二人が泣いたという事実こそが重いんだ。抑止力からの介入なんぞ有りはしない。あったのは月の玉座で座ってた黄金と水銀と魔王とポエマーのお節介だけだよ」

 

 

時雨の手が魔術師の頭に伸びる。魔術師はそれから逃げようとするものの、悪性に汚染された体は魔術師の命令に逆らって動かず、時雨の手に掌握された。

 

 

「故に死ね。人を辞めてまで望んだ物を目の前にしながら、悪性の中に堕ちていろ」

『ま、まーーーーーーーーー』

 

 

時雨の手が握られ、魔術師は砕け散った。家族を泣かせた者がする命乞いなど、時雨からすれば糞のような雑音でしかない。

 

 

「よし、帰るぞスノウ。俺たちの帰るべき場所と、待ってくれているやつらのところに」

「ーーーーーーーーーはい」

 

その御身は人類の敵として在る者

 

ーーーーーーーーー悪竜・血塗れの三日月(クロウ・クルワッハ)

 

 

 

時雨の身体が変貌する。人の頭、人の手、人の足は膨れ上がり、全く別の形になる。完成したのは3mはあろう体躯と夜空を思わせる漆黒の鱗を持った竜人。甘粕の持っていた固有スキル【魔王特権】による肉体改造で、時雨は竜人となった。

 

 

「ーーーーーーーーー凄いな。まさか竜になれるだなんて」

『だろう?のんびり歩いて出るのも悪くは無いが時間がない。だからこれで早く出させてもらうさ。どこでもいいから捕まってくれ』

「あぁ」

 

 

返事を返してスノウは理由をとなった時雨の前足のところに捕まる。それを確認した時雨はスノウが落ちないように壊れ物でも扱うかのように優しく抱き抱えた。

 

 

そして飛び上がる。時雨の背から生えた蝙蝠のような翼はその体躯とスノウを一度の羽ばたきで軽々と持ち上げた。

 

 

そうして時雨は、奪われた家族を取り戻して現世にへと帰還する。

 

 

なにも知らない者から見ればその姿は昔話に出てくる悪竜が見初めた姫を拐うようにも見えただろう。

 

 

そして姫を救う為に騎士が立ち上がり、悪竜を倒して姫と結ばれるという英雄譚。

 

 

しかし、違うところがあるとすれば、悪竜は姫を御身に代えてでも守りたいと願っており、姫は悪竜を心の底から愛しているということ。

 

 

その為ならば悪竜は奥を越える英雄が現れようともその一切を鏖殺し、姫は悪竜の隣に立って共に戦うだろう。

 

 

害を与える存在と救われる者の絆という、救う英雄からすれば有り得ない物を持ちながら、悪竜と姫は帰るべき場所と待ってくれている者たちのところへ帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてここは現世。英霊の力を与えられた残骸を駆逐していたクロノたち管理局勢と魔術師勢、そして途中から乱入してきた恭也たち闇の書勢。戦闘狂である恭也とランサーからすれば夢のような時間であったがその夢が覚めるときが来た。

 

 

「ーーーーーーーーーむ?」

「ーーーーーーーーーあぁん?」

 

 

鎧を着て盾を持ち、剣を振るっていた残骸が、崩れ落ちた。一体が崩れたかと思えばそれに続くように次々と崩れ落ちていく。

 

 

「どうやら、時雨がやってくれたようだな」

「そうに違いない」

 

 

崩れ落ちる残骸を見ながら、コトミネとクロノは時雨が無事現況を取り除く事が出来たのだと察する。誰もがその事実に安堵の表情を見せている‥‥‥‥過剰な喜びを見せているアルフと残念そうな顔をしている恭也とランサーを視界に入れないようにしながら。

 

 

「‥‥‥‥」

「どうしましたか?バゼットさん」

「いえ、あの正体はサーヴァントと同じものと聞きましたが‥‥‥‥消えていない?」

 

 

地面に広がっている残骸だった物を見ているバゼットにユーノが声をかけた。残骸はサーヴァントと類似した存在、それならその身が保てなくなれば例外を除いて魔力に還るはず。しかしーーーーーーーーー残骸だった物は形を無くしてなお、未だに残っている。

 

 

「ーーーーーーーーーっ!!全員ここから離れろ!!!」

 

 

バゼットの疑問を聞いてある可能性を思い付いたクロノは全員にこの場から離れるように指示し、飛行魔法を行使してその場から飛び上がる。そのクロノの姿を見て、安堵していた全員が一斉にその場から離れる。

 

 

そしてクロノの指示は当たっていた。形を無くして崩れていた残骸だった物、それが一斉に蠢き出してクロノたちを襲い出した。

 

 

残骸が崩れた原因は魔術師から闇の書を通して供給されていた魔力が届かなくなったから。人間で言うところの食べるものが無くなって飢餓状態になったのに近い。

 

 

ならどうすればいいか?ーーーーーーーーー簡単だ、食べれば回復する。

 

 

崩れて保てなくなった体を再構築するために、この場にいた新鮮な人間(えさ)を食らおうと、残滓になりながら津波のように襲いかかる。

 

 

管理局勢たちとキャスターは飛行魔法が使えることから空に逃げることで難を逃れることが出来たが空を飛べない魔術師勢と闇の書勢たちは地面を走って逃げるしか無い。

 

 

「アッハッハ!!最後の力を振り絞ってってヤツか!?笑えるなあおい!!」

「全くだな!!ランサー!!」

「「アッハッハ!!!!」」

「ねぇねぇ今どんな気持ち?空飛べなくて走ることしか出来ないのってどんな気持ち?NDKNDK?」

「‥‥‥‥コトミネ神父、彼らを殴っても良いですか?」

「そんなことをしている暇があるなら走れ。でないと喰われてアレの一部になるぞ」

 

 

何故かこんな状況になりながら笑っている戦闘狂二人と、この状況を分かって空を飛びながら煽ってくるナーサリーライムに青筋を立てるバゼットは正しい。しかしコトミネからの忠告で怒りを抑え、後で殴ることを決めた。

 

 

しかし、ふざけていても状況は変わらない。サーヴァントたちはマスターを心配してから全力で走れていないし、人間である者たちの足ではジリジリと差が縮まっている。

 

 

このままでは全員が残骸の津波に飲み込まれるのは時間の問題だろう。

 

 

そんな絶望的な状況の中でーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戯けが、何を遊んでいる」

 

 

ーーーーーーーーー聞こえてきたのは偉そうな男の声だった。

 

 

ジャラジャラと金属同士が擦れる音がして、走っていた者たちの手足に鎖が絡み付く。そしてーーーーーーーーー

 

 

「フィィィィィィィィイッシュ!!!!!!」

 

 

引っ張られるような感覚と共に、全員の体が浮いた。そうして地面から離れたことで、なんとか残骸の津波から逃げる事が出来た。

 

 

「フハハハッ!!!大漁である!!」

 

 

鎖の持ち主はヴィマーナに乗ったギルだった。左腕に絡められた天の鎖を伸ばすことで飛べなかった者たちを救い上げたのだ。それにしても十人以上いるというのに左腕一本で全員を釣り上げるとは、貴家は英雄王(AUO)である。

 

 

「皆さ~ん、大丈夫ですか~?」

 

 

そして逃げる事が出来た者たちを心配するような声をヴィマーナに乗っているユーリからかけられる。よく見ればヴィマーナに乗っているのはギル、ユーリ、シュテル、レヴィ、ディアーチェ、ヴィータ、御門という、さっきまで残骸を殲滅していた面子だった。恐らく残骸が崩れてから彼らを回収してここに来たのだろう。順番がどうであれ、助けが来たのは彼らにとって救いだった。

 

 

「あ、あの、どうして俺たちだけ足に絡めて宙吊りなんだ?」

「それは私がギルに頼みました。貴方たちはしばらくそのままでいてください」

「なんでさ!?あとどうしてアーチャーだけは腕なんだ!?そこは俺たちと同じで足だろ!!」

「彼は時雨さんと仲が良いらしいので便宜を図ってます」

「フッ」←士郎に向ける勝ち誇った笑み

「アァァァァァァァァチャァァァァァァァァ!!!!!」

「五月蝿いわよ士郎!!黙りなさい!!」

「あぁもう!!何故私がこのような醜態を晒さなくてはなりませんの!?」

「(そう言えば前にもギルガメッシュにこうやって逆さまにされたことが‥‥‥‥)」

「よし、登るぞ」ヨジヨジ

「そうですね」ヨジヨジ

「あぁん、待ってください御主人様ぁ♪」ヨジヨジ

「‥‥‥‥」ヨジヨジ

「恭也、ランサー、登らないのか?」ヨジヨジ

「御無事でしょうか、マスター」

「いや、こんな体験すること無さそうだからしばらくこうしていようかと」

「‥‥‥‥なんか俺の鎖拘束強いんだけど?」

「ふっふっふ‥‥‥‥私の活躍を時雨に報告してご褒美としてベットイン‥‥‥‥この成長した体なら、間違いなく時雨を落とせる!!」

「鼻フック!!」

「‥‥‥‥」←無言のアイアンクロー

「ぐぁぁぁぁ‥‥‥‥!!」

「なんか私と同じ顔の人がすごいこと言ってるの‥‥‥‥」

「(わ、笑っちゃダメだ‥‥‥‥!!でも、なのはと同じ顔の人があんなこと言うなんて‥‥‥‥)」←笑い堪え中

「うわぁ‥‥‥‥」

「(マテリアルたちも来てたのか‥‥‥‥でも大人になってる?ギルガメッシュの宝具か?)」

「(あぁ‥‥‥‥どうしてあんなこと言ってたんだろ‥‥‥‥凄い恥ずかしい‥‥‥‥どこかの吸血鬼や情報屋みたいなこと叫んだし‥‥‥‥あれが若気の至りってヤツ?おそろしや‥‥‥‥)」

「(御門があたしのことを好きって言ってくれた♪)」

 

 

中々カオスなことになっていた。

アーチャーを除いた魔術師勢は逆さまで宙吊りになっているし、

士郎はなんでさ叫んでいるし、

凜とルヴィアはスカートが捲れないように押さえながら文句を言っているし、

セイバーはドロワーズ丸出しにしながら遠い目をしているし、

コトミネとバゼットとビーストと荒耶と信喜は鎖を登っているし、

キャスターは信喜の側を飛びながら信喜の心配をしているし、

恭也とランサーは宙吊りのままだし、

シュテルは暴走発言をしてレヴィとディアーチェに鼻フックと後ろからアイアンクローされているし、

なのはとユーノはシュテルの発言にドン引きしているし、

フェイトはシュテルの発言を聞いて笑いを堪えているし、

アリスはマテリアルたちを見て考え込んでいるし、

御門はヴィータからの告白でテンションが上がりすぎて有頂天になった時の発言を後悔しているし、

ヴィータはその御門の発言を聞いて嬉しそうに笑っているし‥‥‥‥‥‥‥‥まさに混沌である。

 

 

「助太刀、ありがとうございました」

「ねぇ、時雨を助けに行かなくても井伊のかい?」

 

 

そのカオス空間を無視してクロノはギルに頭を下げて礼を言い、アルフはギルに時雨の助けに行かないかと聞いていた。どうやらこの二人のスルースキルは相当高い様だ。

 

 

「あいつの心配など無用、するだけ無駄だ」

「どうしてか聞いてもいいかい?」

「フッ知れたことよ。時雨はこの(オレ)がマスターと認めた男だぞ?たかが汚物を従えてイイ気になっている奴に遅れを取るものか。そう言う貴様も、時雨は無事だと信じているのだろう?」

「当然だよ。時雨なら無事だと分かってる。でも心配な物は心配なんだよ」

「‥‥‥‥まぁ気持ちは分からんでもない。他の者たちを拾い上げてからになるがそれでも良いか?」

「頼むよ」

「では行くぞ!!」

 

 

ギルの意思に答えるようにヴィマーナが乗っている者たちに影響が出ない程度の速度で時雨たちが向かった穢れた太陽が浮かんでいる方に進む。

 

 

他の者たちは登りきっているがアーチャーを除く魔術師勢と恭也とランサーはぶら下がったままである。ヴィマーナの加速に魔術師勢からは悲鳴が、恭也とランサーからは喜んでいるような声があがる。

 

 

そんなカオスな状態のままで、彼らは戦っているかもしれない時雨たちの元に向かっていった。

 

 

 





スノウ解放。
スノウ&闇の書と魔術師の間にある魔術的なラインだけを破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)で初期化した。これで残ったのは魔術師とアンリ・マユの間にある契約だけ。破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)で初期化出来るのは魔術的な物だけでリリなの世界の機械によって再現されている魔法は初期化出来ないという解釈をしました。

魔術師ザマァ。
時雨は家族友人たちに被害が出ないのなら例え核戦争やってようがスルーします。そして巻き込まれると判断したのならその原因と実行犯すべてをデストロイします。魔術師の敗因はシンプルな物だ‥‥‥‥魔術師は時雨を怒らせた。それだけだ。ザマァ。

残骸の崩壊。
スノウ経由で魔術師から送られる魔力が届かなくなったことから残骸はマスターを無くしたサーヴァントのように体を維持できなくなって崩壊します。ただ、消滅するまでには時間がかかるのでその間に魂喰らいをして魔力を稼ごうとしています。現在の残骸は魔力なら何でも喰おうとする見境なしです。

カオス空間。
ほとんどのキャラが集まったらこれだよ!!リリなのキャラよりも型月キャラの方が濃いのは明白。そんな中でもシュテルんはいつも通り、そしていつも通りに説教(物理)で止められています。御門とヴィータの辺りで甘いッ!!!と感じられた方はジークハイル叫びながら彼らを祝福してください。


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