FAIRY TAIL~龍と妖精~   作:雲珠

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つい最近、車に轢かれそうになったところを滑って転んでスライディングセーフ!というどこの漫画展開だという貴重な体験をした作者こと雲珠(うず)です。

住んでる場所?北海道です。寒いです冷たいです。
雪かきが羨ましいとか思ってる人は朝5時に起きて一切の休みなくランニングでもして下さい。
きっと同じくらいの苦痛が味わえることでしょう。


第八話 呪歌《ララバイ》

何事もなくオニバス駅へと着いた私達。

……?誰か足りないような…?

 

鉄の森(アイゼンヴァルト)の奴等はまだこの街にいるのか?」

「分からん。それをこれから調べる」

「雲を掴むような話だけど…」

「あれ?ナツは?」

「……あぁー!!」

 

ハッピーさんの一言に周りを見渡すルーシィ様。

その隣で、無情にも私達が乗って来た汽車が発車していった。

 

「話に夢中で忘れていた…。なんということだ!アイツは乗り物に弱いというのに…!私の過失だ。とりあえず私を殴ってくれないか!」

「まぁまぁ…」

 

自虐に入るエルザさんを諭すルーシィ様。

さて、どうしましょうか?

汽車自体は別に走って追いつけないスピードではありませんが…。

 

うーん、あまり悩んでいるとエルザが汽車を止めかねませんし…

 

「お、お客様!困ります!」

「仲間のためだ。分かってくれ」

「無茶なこと言わんで下さい!」

 

どうやら既に遅かったようですね。

声に顔を上げると、エルザさんが緊急停止レバーを作動させていた。

思い付いたら即行動。流石ですね。

なら私もどうにかするとしましょう。

 

『ルーシィ様』

 

私は呆然としながらエルザさんの行動を見ている彼女に話しかけた。

 

 

 

~ルーシィside~

 

ナツを汽車の中に置いてきてしまった。

それだけなら良かったけど、運が悪い事に汽車が発車してしまった。

どうしようと慌てているとエルザは緊急停止用レバーを作動させちゃうし、グレイとハッピーに至ってはのんびりしすぎ!

こうなったらもうルーツさんしか…!と思っていると、ルーツさんの方から話しかけられた。

 

『ルーシィ様』

「は、はい」

『少し離れますね。すぐに戻ってきますので』

「え?ちょ、ルーツさん!?」

 

ルーツさんはニコリと笑いながら、颯爽と駅から出て行ってしまった。

ちょ、なんでー!?

というかさっきはスルーしちゃったけど、様って何!?

 

「(あ、もしかして……ううん。でも…まさか)」

 

不意に思った。

もしかしてルーツさん、私の正体を知ってる…?

でも私は、一度だって自分のファミリーネームを名乗ったことなんて無い。

だけどもし知ってて、私の事をそう呼んでいるのなら……。

 

「ルーシィ、ルーツは誰にでも様だよ」

「え?そうなの?」

「あい。最初はギルドの皆も苦労したよ。…やめさせるのに」

「そ、そうなんだ…」

 

まるで心を読んだみたいなタイミングだったけど、ホッとした。

だけど様付けが標準ってどういうこと?昔、何かあったのかな?

不謹慎だけど、ちょっとだけルーツさんの過去を知りたいと思った。

 

「私達の荷物を“ホテル・チリ”まで頼む」

「なんで私が!?」

 

って、そんなことを思ってる場合じゃない!?

エルザが荷物を駅員に押し付けている。

だ、誰かー!エルザを止めて!!

 

『エルザさん、荷物は後でホテルの方が取りに来て下さるそうですよ』

「む?そうか」

「た、助かった…」

 

私の心の叫びが届いたのか、ナイスタイミングでルーツさんが戻って来てくれた。

すぐに戻って来てくれるって言ってたけど、本当にすぐ戻って来てくれた。

でも、一体何をしに行ってたんだろう?

ホテルの人と話し合ってきた、ってことは分かったけど。

 

『あぁそれと、魔道四輪をレンタルしてきました。これなら追いつけるでしょう』

「そうか、よくやった!すぐに追いかけるぞ!」

 

そう言って走り出したエルザ。

すごい、やっぱりルーツって頼りになる!

 

『皆さんも行きましょう?エルザさんに置いて行かれますよ?』

「あいさ!」

「おう」

「はい!」

 

私達もエルザを追い、魔道四輪へ乗り込んだ。

 

 

~ルーシィside終~

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

魔道四輪は運転している人の魔力によってスピードが変わってくる。

エルザさんの凄まじい魔力によって、私達はなんとか汽車に追いついた。

 

「ナツー!」

 

止まっている汽車に向かって叫ぶルーシィ様だが、運悪く再び列車は動き出した。

こうなったら飛び乗ろうかと車の屋根に立った時、列車の窓を割ってナツさんが飛び出してきた。

 

「うおおぉおぉー!?」

『ッ…!』

 

私は軽く驚きながらも、なんとかナツさんを抱きとめた。

重力とスピードで身体を持って行かれそうだったが、そこはなんとか耐えた。

あぁ、本当に私が龍で良かったですよ。

 

「さ、サンキュー。ルーツ」

『いえ』

「ナツ!無事か!」

 

私がナツさんを受け止めたことを確認したのか、エルザさんが急ブレーキをかけた。

完全に車が停止した所で、私とナツさんは車の屋根から落ちた。

 

「うえっ…おっぷ……」

『大丈夫ですか?』

 

吐きそうになっているナツさんの背中をさする。

顔色を伺うと、治りかけてはいるが所々に掠り傷のようなものを発見した。

まさか、汽車の中で戦闘が…?

 

「何やってんだ、テメェは」

「う、うるせー!よくも置いて行きやがったな!」

「すまない。だが怪我はないようだな。なによりだった」

 

エルザさんがそう言ってナツさんの頭を抱き寄せる。

それだけなら微笑ましいのですが、エルザさんは鎧を着ているので…

 

ゴンッ

 

「いてー!」

 

まぁ、普通に頭をぶつけましたね。

流石にあの音は私でも痛そうです。

 

『所でナツさん、汽車で何かありませんでしたか?例えばそう、戦闘とか』

「!あぁ、よく分かったな。変なヤツに絡まれたんだ」

「変なヤツ?」

鉄の森(アイゼンヴァルト)とか言って……」

「馬鹿者ォ!」

「ぐはッ!?」

 

ナツさんの口から鉄の森(アイゼンヴァルト)の名が出た瞬間、エルザさんから平手が飛んできた。

 

鉄の森(アイゼンヴァルト)は私達が追っている者だ!何故みすみす見逃した!」

「そ、そんな話し初めて聞いたぞ…」

「さっき説明しただろう!人の話はちゃんと聞け!」

 

頭に疑問符を浮かべているナツさん。

確かに初耳ですよね。気絶していたんですから。

とばっちりを食らうのは嫌なので何も言いませんが。

 

「色んな意味で凄い人…」

「だろ」

『ですね』

「あい。それがエルザです」

 

でもルーシィさん、順応力高いですね。

少しずつではありますがエルザさんに慣れてきています。

元々あまり人見知りのしない方、なんでしょうね。

 

「こうしてはおれん!先程の汽車に乗っていたのだな?すぐに追うぞ!」

「どんなヤツだった?」

「あんま特徴無かったな…。あ、そうだ。そういやドクロっぽい笛持ってたな。三つ目があるドクロだった」

「三つ目の髑髏?」

「趣味悪ィな」

「……ルーシィ、どうしたの?」

 

三つ目の髑髏と聞いてから、ルーシィさんの表情が険しくなった。

これは……

 

『何か知っているんですね?』

「うん。ララバイ、呪いの歌……死の魔法!」

 

呪いの歌、ですか。

私が元いた世界にも狩猟笛という演奏しながら戦う武器がありましたが、呪いの歌なんてありませんでしたね。

最近でこそ劣化しましたが、昔は聞くだけで瀕死の傷が一瞬にして回復、とかザラでしたよ。

技術が廃れたのか、それとも受け継ぐ者がいなくなったのか…。

あの頃の絶望は今でも思い出せますね。どうぞこのまま廃れやがって下さい。

 

「何?」

「呪いの歌?呪歌のことか?」

「私も本で読んだことしか無いけど、禁止されている魔法の1つに呪殺ってあるでしょ?」

「あぁ。対象者の命を滅ぼす、呪われた黒魔法だ」

「ララバイは、もっと恐ろしいの!」

 

命を滅ぼすより、恐ろしい…?

一体どういうことなんでしょう?

 

『どういう意味ですか?』

「その笛の音を聞いた人全てを呪殺する……“集団呪殺魔法”呪歌(ララバイ)!」

 

全て?笛の音を聞いた者が?

それはつまり、演奏者ごと……自滅、させる…?

 

『ッ、エルザさん!』

「分かっている!!」

 

ルーシィ様からの説明を受けた私達は急いで魔道四輪に乗り込み、汽車の後を追った。

 

 

 

 




未だに千文字がキツいです。

やっとシャンティエンを口説き落としました。
流石に疲れましたが、達成感がハンパない。
次はアカムトルムさん。君に決めた!

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