何で悲しいのかって?喰われかけるからです(´・ω・`)
「ルーツ!俺と勝負だ!」
『え…』
他の方との自己紹介もそこそこに、突然龍の子に勝負を挑まれた。
断ろうとしましたが、そのやる気に満ちた顔を見ていると断れず…。
何故かギルド前の広場で戦う事になっていました。
人のノリほど恐ろしいものはありませんね。
しかも審判がマカロフ様ってどういうことですか?
『………』
「お前さんも頑張れよー」
今ならまだ引き返せるとマカロフ様に助けを求めるも、凄く良い顔で親指を立てられた。
えぇー…止めて下さいってばー。これは諦めろって事ですか?
「それではナツ対ルーツ、始め!」
「燃えて来たー!火竜の鉄拳!」
『!』
炎を手に纏い、私に向かって来る龍の子。
いえ、マカロフ様が言うにはナツ様、でしたね。
私はその攻撃を避けながら、注意深く観察した。
「おりゃー!」
『(炎の属性に加えて、龍の属性も混じってますね)』
身体の方も人間をベースとした龍の属性変化。
つまりナツ様は純粋な龍ではなく、人から龍へと身体を変化させた。
私たち龍が人へと変身するのとほぼ同じ原理ですね。
ふふ、これは面白いです。
「火竜の鉤爪!」
『おっと、』
「だー!避けんなー!」
『そんなこと言われましても…』
炎の属性だけならまだしも、流石に龍属性を纏った攻撃になんて当たりたくありません。
やっと怪我が治ったのに冗談じゃありませんよ。
「こうなったら、火竜の……」
『!』
「咆哮!!」
あの技は、先程の…。
私は小さく息を吸い、背負っていた剣を抜いた。
身の丈以上もある、優に2mを超えている巨大な剣。
一切の不純物もなく、ただ白く輝いている。
「な、なんだあの大剣」
「つかデカッ!?」
「あんなデカイの扱えんのかよ…」
周りがざわめいているが、今は勝負に集中しなくては。
私はその大剣【
そして【曉】は傷も汚れの1つもなく、炎をやり過ごした。
『(流石は私の牙と爪、そして鱗で出来た剣ですね)』
そう。この大剣【曉】は全て私の身体の一部から作られた物だ。
え?どうやって作ったのか、ですか?
それは勿論、自分の身体で一度融合し、加工したんですよ。
色んなハンターの武器を食べたり取り込んだりしましたからね。
長年生きていれば色んな知識が身につくものです。
『次はこちらから行きますよ?』
私は【曉】を
リーチが長いですからね。この距離からでも十分届く。
本来ならハンデとなる重量も龍の腕力に掛かれば軽い軽い。
「うお!?危ねェ…!」
攻撃を避けたナツ様は、少し大袈裟に私から距離を取った。
どうやら【曉】の危険性を本能的に察しているようですね。
龍の素材から作られた【曉】は、いとも容易く龍の身体を傷つける。
『随分と距離を取られてしまいましたね…』
「火竜の咆哮!」
『っと、』
二度目の咆哮。
私は先程と同じように剣を盾にして攻撃を防いだ。
「火竜の鉄拳!!」
『!成る程…』
咆哮は目くらまし、ですか。
隙を突いて私の後ろへと回り込んだナツ様は、そのまま直接私に攻撃する。
剣での防御は間に合わないと思った私は、攻撃を素手で受け止めた。
「なっ…!」
『ッ、流石に熱い…ですね』
受け止めた手からシュウゥゥと嫌な音がしている。
確実に焼けてますね、これ。
うっ、自分の肉なのに美味しそうな匂い…。
って違いますよ!私!
いや確かに食欲をそそる……じゃなくて!今は戦闘中!
『はっ!』
「!!」
ナツ様に向かって【曉】を振り下ろすが、当たるより先にナツ様が身を引いた。
これまた【曉】のリーチが届かない微妙な距離。
配置取りが上手ですね…。
「………」
じりじりと動きながら、私の隙を探すナツ様。
私も馬鹿ではありませんので、二度同じ手は通用しませんよ?
『(このままでは均衡状態が続きそうですねー)はい』
「!!?」
そう考えながら、私は持っていた【曉】をナツ様目掛けてぶん投げた。
そんなことをするとは思っていなかったのか、酷く驚いた様子で【曉】をかわすナツ様。
よく避けましたけど、まだ【曉】の攻撃は終わっていませんよ?
「あっぶねぇ…」
『そこ、範囲内ですよ』
「は?」
私の手元から離れた【曉】はバチバチと音を鳴らしながら、紅い雷を放電した。
『
「ギャアァアァ!!」
雷に直撃したナツ様はそのままバタリと倒れ、口から黒煙をプスプスと吐き出した。
え……ど、どうしましょう?一応それなりに威力は押さえたのですが…。
心配になって駆け寄ると、どうやら致命的なダメージはないようだった。
良かった。気絶しているだけですね。
「そこまで!勝者、ルーツ!」
「あのナツが負けた!?」
「おいおい、嘘だろ…」
「ナツー!」
マカロフ様が勝負の終了を告げると、周りが騒ぎだした。
その中から青い……生物?が羽をパタパタと動かしてナツ様に近付いた。
私が知るのとは少々違いますが、もしかして猫…でしょうか?
「ナツー、大丈夫ー?」
「う、うーん…」
青い猫が指でつんつんとナツ様の頬っぺたを突くも、目を覚まさず唸り声のみ。
『それほどダメージは無いので、大丈夫ですよ』
「そっか。ルーツって強いんだね」
私の言葉にあっさりと頷く青い猫。
純粋に褒められる事はあまり無いので、少々照れますね。
『えっと、名前をお聞きしても?』
「オイラはハッピーっていうんだ」
『ハッピー様ですね。どうぞよろしくお願いします』
目線の位置まではしゃがめませんでしたが、なるべく腰を低く降ろし、握手を交わした。
ぷにぷにとした肉球が気持ち良く、何となく離し難かった。
今度頼めば触らせて貰えるでしょうか?
「あい。でもオイラのことはハッピーでいいよ」
『……ではハッピーさんと』
「呼び捨てでいいのに…」
『すみません。勘弁して下さい』
「なんでそこまで必死に!?」
土下座する勢いで(しませんでしたが)許しを請うと驚きと一緒にツッコミを入れられた。
むしろ逆に何でアナタ方は呼び捨てをさせようとするんですか。
基準ですか?呼び捨てが基準装備なんですか!?
『取り敢えずナツ様を中に運びましょう』
「全員に様付けなんだね。ナツもきっと様なんて要らないとか言うよ」
『……なんてハードルの高い世界なんでしょう』
「何のハードル!?」
本日2回目のツッコミを貰いながら、私は小さく溜め息を吐いた。
やっと戦闘シーンらしきモノが書けました!
見ている人に伝わるかが心配ですが、そこは皆さんの素晴らしい想像力でカバーして下さい。お願いします。
相変わらず白ミラさん超カッケー。超キレー。
でもあんまりアタックし続けると面倒だと思われるので、たまには違う方にアタックしてきます。
空の王者よ、待っていろ!