次からはきちんと保存しておこう。うん。
「ルーツ、お前ギルドに興味無いか?」
『え?』
あれから数日が経ち、私の怪我も大分回復した。
完治までとはいかないけれど、歩いたり走ったりする分には何の支障もない。
ギルダーツさんは私のことをミラ・ルーツから取り、ルーツと呼んでいる。
なんでもギルドの仲間に同じ名前の人がいるのだとか。
そもそも私の名前は人間がつけた名前ですし、何でも良いんですけどね。
他にもミラアンセスや、酷い時なんかは白ミラとか言われますし。
「今後の予定もないんだ、ろ!」
『一応大陸を旅しようかと思っていました、よ!』
「長くなりそうな旅だ…なァ!」
現在、リハビリを兼ねてギルダーツさんと組み手をしている。
あのクラッシュという魔法、厄介ですね。
下手に触れると腕の一本くらい持って行かれそうです。
まぁ腕くらいなら1年あれば再生できますけど。
『でもそうですね。ギルダーツさんが言うなら、ギルドに入ってみるのも悪くないかもしれません』
「お、そうか?」
折角この世界に来たのだし、今出来ることを堪能してみたい。
それにしても、ギルドか…。
モンスターがモンスターを狩る場所に入るなんて、笑っちゃいますね。
「だったらウチに来いよ。歓迎するぜ」
『えっと、確かフェアリーテイルでしたっけ?』
「ああ」
今までの話を聞く限り、面白そうなギルドではある。
ギルドの話をする時、ギルダーツさんは本当に良い顔をする。
余程大切で、楽しい場所なのでしょうね。
『これも何かの縁ですし、ね』
「お、そうか!ウチに入るか!」
『えぇ』
「じゃあついでに手紙もマスターに届けてくれ」
『分かりました。ところで、1つ聞きたいのですが』
「なんだ?」
『そのフェアリーテイルって、どこにあるんですか?』
私の質問にギルダーツさんがコケ、そこら一帯が粉々に砕け散った。
やっぱり魔法って恐いですね。
「そうだった、祖龍だったな…」
『何でもかんでも祖龍で解決しないで下さいよ』
確かに説明は楽だけど、その一言で全てが片付けられると納得がいかない。
まぁ未来から来たなんて馬鹿馬鹿しすぎて、当の本人である私ですら十全に理解してはいません。
これはあくまでも推測であり、仮説の1つでしかない。
「そう怒るな……よッ!」
『!!』
組み手にしては威力の高い攻撃。
私は咄嗟に地面を蹴り、ギルダーツさんから距離を置いた。
その瞬間、私がいた地面が砕け散った。
危ない危ない。やはりあれはクラッシュの魔法ですか。
嫌な予感がしたんですよねー。
「よく避けたな」
『戦闘経験豊富ですからね』
「それを言われたら納得するしかねェな」
『取り敢えず、一度休憩しましょう。もう1時間も動きっぱなしですよ』
「ああ、そうだな。ルーツも病み上がりだしな」
病み上がりの人間に対してする攻撃じゃありませんでしたよね、さっきの。
少なくとも3割ほどは殺気が混じっていましたよ。
『ん、大分人間の体にも馴染んできましたね』
私はグッと空に向かって手を伸ばし、体の強張りを解した。
そして小さく溜息を吐き、ちらりとギルダーツさんを見た。
フェアリーテイルに行けば、ギルダーツさんみたいに強い人が沢山いるんでしょうか…。
『(楽しみですね)』
まだ見ぬギルドに、想いを馳せた。
(;´ρ`)チカレタヨ・・・
白ミラとの合コンはついに二次会へ…。