FAIRY TAIL~龍と妖精~   作:雲珠

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夢にまであの忌々しい鳥が出てきたのでそろそろ焼き鳥にでもするかと虎視眈々と息巻いている作者こと雲珠(うず)です。
いつか丸焼きにしてやる…。


第十八話 彩鳥

 

場所は村長さんの家へと移り、私達は村長さんと向かい合うように座っている。

お互いに一息ついた所で、村長さんが口を開いた。

 

「さて、まずどこから話すべきか…」

「最初っからだ」

「そうだな…」

 

村長さんは目を閉じ、数秒ほど経ってから開けた。

その目はしっかりと私達を見据えている。

 

「始まりは二ヶ月ほど前になる―――」

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

―――二ヶ月前

 

ミオナは元々小さな“村”だった。

段々と人口が増えるにつれ、いつの間にか“町”と呼ばれるほどになったのだ。

 

「村長ー、こっちの木はどうしますか?」

 

その名残か、町の人達はいつまで経っても町長じゃなくて村長呼びだ。

 

「そこの木は雨に強い。家の建築に使おう」

 

人口が増えたことで、我々は土地を広げようと開拓に励んでいた。

勿論、村であった頃の自然の豊かさを破壊しない様に細心注意を払って。

森に住む動物を驚かさないよう、開拓は人の手だけで行っていた。

何年掛かるか分からなかったが、それが自然に対する私達の敬愛の念であった。

 

「西側も大分片付きましたねー」

「あぁ、最初の頃は何年掛かるかと思っていたがな」

「人間やれば出来るもんですね」

 

笑いながらも、手は休めない。

そして町から大分離れた時、それは起こった。

 

「おい、なんだアレ?生き物か?」

 

男の1人が少し先を指し、首を傾げた。

その指の先を追って行くと、鮮やかな色をした何かが動いていた。

木に阻まれよく見えなかったが、チラチラとまるで踊るように動いている。

 

「風か何かかじゃないか?」

「でも今は時期じゃないだろ。それに、風も吹いてない」

 

鮮やかな色というのは町の人間には見慣れた物だ。

毎年、春から夏にかけて数百種類もの数の花が芽吹く。

だが今は秋。花は咲くどころかゆっくりと紅葉と共に枯れ、散っていく。

 

「見に行くか」

「それしかないな」

 

そう言って、私達は鮮やかな色をした何かに近付いて行った。

この頃の私達は、森に住む動物に対しての恐怖心があまりなかった。

どちらかと言えば同じ森に住む仲間。共存していける生き物だと持っていた。

 

けれど二ヶ月前のこの日。その認識は覆された。

 

<~♪~~♪>

 

それは歌いながら踊っていた。

リズムを取り、軽快な足取りでステップを踏んでいる。

その行動だけでも驚きなのに、ヤツの体は優に8mを超えていた。

 

喉元の大きな袋を目一杯膨らまし、ラッパのような口で歌っている。

体と同等に大きい足に踏まれ、地面に倒れていた大木が悲鳴を上げて潰れた。

 

「なんだ、あれは…」

 

無意識の内に呟いた言葉。

返答など返ってくるはずもなく、無言が流れる。

耳の横をすぎる風が、妙に大きく聞こえた。

 

<♪~~♪~>

<ウッホ!ウホウホ!>

 

「バルカン!?」

 

動けずにその場を見ていると、鳥の声に誘われたのか森バルカンがやってきた。

二体、三体……と数を増やしていく奴等を見て、私達は「マズい」と直感した。

そして奴等に見つかる前に、その場を静かに退散した。

 

「ど、どうするんですか、村長…」

「……魔導師ギルドに依頼しよう。私達の手に負えるものではない」

 

少しだけ考えた挙句、私は魔導師ギルドに討伐の依頼をする事に決めた。

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

「しかしこの町に来た魔導師は全員、ヤツが操る怪物に倒されてしまった…」

『成る程。それで難易度が上がったという訳ですか』

「はい。もはや並の魔導師ではどうしようも出来ないと思いまして」

 

確かに、あの鳥だけを倒すなら未だしも、呼び出されたモンスターとも戦わなければならない。

半ば強制的な一対多数の戦闘は予測不可能なため、かなり戦い辛いものだろう。

 

「フン。行くぞ、ルーツ」

『はい』

 

事情を聞き終えた私達は、さっそく討伐に行こうと立ち上がる。

話を聞いてなお事も無げな様子の私達に、村長さんは椅子を倒しながら身を乗り出した。

 

「っ、今からですか!?ヤツは手強い…。それ相応の準備をしてから…!」

「今まで誰が来たかは知らんが、俺をそんな雑魚共と一緒にすんじゃねェよ」

『彼はS級魔導師です。その称号は伊達ではありませんよ』

 

ラクサスさんの眼光にたじろぐ村長さんに、私はそっと微笑んだ。

全く、一般人にそんな威圧をしては駄目ですよ?

村長さんはあくまでも依頼人なんですから。

 

「それだけではありません!ヤツは特定の縄張りを持たない。森に詳しい人を案内人に…」

『御心配は無用です』

「ですが…!」

『覚えていますから』

 

森も、臭いにも。

 

大体の森の構造はこの町に来る前に把握している。

村長さんの“ヤツ”という正体も、今の話を聞いて確信した。

やはり予測が当たりましたね。

 

「さっさと行くぞ」

『あ、置いて行かないで下さいよ』

 

早足で村長さんの家を出て行くラクサスさん。

私は呆然としている村長さんに軽く会釈し、後を追いかけた。

 

「…それで?」

『え?』

 

私の方を見ずに、ラクサスさんはそう言い放った。

思わず首を傾げれば、目線で答えを催促してきた。

あぁ、気付いていたのですね。

 

『推測ですが、名前はクルペッコ。強さはそこそこですが、自身はあまり戦わず、他のモンスターを呼び出します』

 

ラクサスさんは見ていない様でよく見ていますね。

いつ私が知っている事に気付いたのでしょう?

まぁ、知られて困ることはないですが。

 

「聞いたことねェな」

『でしょうね。私が前に居た場所だけに生息するモンスターです。絶滅したとばかり思っていましたが…』

 

場所、というよりは世界…でしょうか?

それより、私はクルペッコが存在していることに驚きを隠せませんよ。

二ヶ月前というと、私がココに来た時期より少し後ですね。

もしかして他の彼等も来ているのでしょうか?

クルペッコという前例がある分、否定は出来ませんね。

 

『話を戻しますが、彼等は火、または雷を発生させる器官を持っています』

「何?」

『両翼に火打石と呼ばれるモノがあって、それを打ちつけて発生させているみたいですね』

「どっちにせよ、最初に翼を使えなくすれば訳ねェな」

『えぇ、そうですね』

 

私はラクサスさんの言葉に頷きながら、まだ見ぬ彩鳥に向かって同情の念を送った。

種族が違うとはいえ、同じく翼を持つ身ですからね。

 

 

 




鳥の正体、発覚!
まぁ鮮やかな鳥といえばピン!と来ていた方も大勢いるでしょうが。

そしてやっぱり短い。
集中力が続かないせいですねー。
次話からは、いよいよ討伐に入る……とイイナァ。
 

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