FAIRY TAIL~龍と妖精~   作:雲珠

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今回オリジナル回を入れたお陰で心臓がバクバクしている作者こと雲珠(うず)です。
ついに書いてしまった…!


第十六話 S級クエスト

―――ボオォォオォォッ

 

汽笛を鳴らし、黒い煙を上げて汽車が発進した。

私が今回受けた依頼は、珍しく討伐系の依頼だ。

なんと言いますか、依頼内容が少し気になったんです。

勿論、私の杞憂ならそれに越したことはありませんが。

 

「あ?」

『え?』

 

取り敢えず立っているのも何だからと席に座ろうとした際、そこにはすでに先客がいた。

先程まで顔を会わせていた、見慣れた先客である。

 

「なんでお前がここいるんだ」

『依頼先の町がこの先なんですよ』

 

私が依頼を受けたのはミオナという町だ。

小規模な町だそうですが、自然が美しい町として有名らしいです。

この時期だと色とりどりの花と梅が見られるそうですね。

 

『ラクサスさんもこの先の町で仕事ですか?』

「あぁ。まさか同じ汽車に乗ってるとはなァ」

『ふふ、そうですね。それはそうと、お隣、よろしいですか?』

「好きにしろ」

『では失礼させて頂きます』

 

汽車の中で立ち話もあれだろうと、ラクサスさんの隣に座らせてもらった。

 

『ラクサスさんはどこの町まで?』

「ミオナって小せぇ町までだ」

『おや、奇遇ですね。私もその町ですよ』

「はァ?他の依頼を回す余裕なんてねェだろ、あそこ」

 

同じ町での仕事。その事実にラクサスさんが怪訝な顔をした。

恐らくラクサスさんが受けた依頼はS級のものでしょうね。

それほどの実力者を必要とする町が他の仕事を依頼するわけはない。

確かにそうですね。大きな街ならまだしも、ミオナは小さい町ですし…。

 

「どんな依頼だ?」

『討伐の依頼です。鮮やかな色をした鳥が怪物を操って町を襲わせているので倒して欲しい、と』

「ほらよ」

 

私が質問に答えると、ラクサスさんが何かの紙を私に見せてきた。

そこには、私が受けた内容と同じ依頼が書かれていた。

しかし、違うのは報酬額が3倍で、依頼のランクがS級だということ。

 

『報酬とランクが違いますが、同じ依頼ですね』

 

一体どういうことでしょう?

もしかして、依頼のランクが上がったのでしょうか?

そして古い依頼書が破棄される前に、私が受けてしまった。

そう考えた方が妥当ですね。

 

『なんにせよ、どうやら手違いがあったみたいですね』

「そうみてェだな」

『では私は次の駅で降りる事にします。お仕事頑張って下さい』

 

S級クエストとなれば、私は受けられませんからね。

正直依頼の内容は気になりますが、それは後でラクサスさんから聞くとしましょう。

 

「なんならテメェも来るか?」

『……はい?』

 

潔く諦めようとした矢先、ラクサスさんから爆弾発言が投下された。

失礼ですけど、貴方そういうこと言う人でしたっけ?

私はてっきり「足手纏いな奴が来なくて清々したぜ」とでも言われるものかと…。

 

「S級クエストはS級魔導師しか受けられねェが、同行はありだ」

『つまり、ラクサスさんの仕事の手伝いとしてご一緒しても良い、ということですか?』

「あぁ」

 

短く返事をしたラクサスさん。

その顔を見るとバツが悪そうな顔をして視線を逸らされた。

これは、あれですね。照れてますね。

なんだか微笑ましくなった私は、彼のご好意に甘えることにした。

 

『よろしくお願いします』

「…邪魔だけはすんなよ」

『はい』

 

不器用ですけど、やっぱり優しいですね。

……いつもこの態度で接していれば、皆さんの誤解も解けるのに。

 

 




初のオリジナルということで、少し短くなってしまいました。
次からは長くなると思うので許して下さい!

3DSを買ったものの、何故かPSPに入り浸っている私。
だって普段DSやらないんですよ。
何でしょう?疎外感を感じます。

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