黒子のバスケ〜努力の天才   作:マニック

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第19Q

第3Q終了時点での得点は72対74で福田総合の有利である。

この試合には多くの観客が熱狂していた。

それはキセキの世代も例外ではなかった。

 

笠「福田総合も桐皇も第4Qはまずまちがいなくエース同士の対決だな。逆に言えば、青峰と黒金のどちらが強いかで勝負が決まる。」

黄「そうっすね。でも、本気の勝負なら悪いすけど青峰っちが負けるとは思えないんすよね。瑠璃っちさんが帝光にいる時の青峰っちはまだ才能のすべてが覚醒してるわけじゃなかったっすからね。」

 

笠「ふうん。俺は黒金を推すぜ?あいつは努力型の人間だからな。俺は好きなタイプの選手だ。それよか黄瀬。あの灰崎ってやつはどんな選手なんだ?一瞬動きが青峰に見えたぜ?」

黄「それは、、、またそのうち話すっすよ。」

 

黄瀬は笠松の問いをごまかした。黄瀬にとっては灰崎は因縁の相手なので当然と言えば当然であるが。

 

紫「やっぱこういう試合展開になるよねえ。」

紫原はうまい棒を食べながら言う。

岡「黒金瑠璃か。去年より確実に強くなっているのう。あの灰崎ってやつもやっかいだのう。のう紫原?」

紫「うーん。袋が開かない。開けて。」

岡「って無視!?わし一応主将なんだけど!?」

 

福「うっせえ。アゴ。」

劉「うるさいアル。アゴリラ。」

岡「もうこのチームいやーー。」

岡崎はチームメイトである福井、劉からいじめられ、紫原からは無視という残念な扱いを受けていた。

 

赤「瑠璃さんと青峰の動き、どちらもすでに高校生のレベルをはるかに超えている。うちとやってもいい勝負になるだろうね。」

実「でも征ちゃん。私は瑠璃ちゃんが勝つと思うわよ?というか勝ってほしいだけだけど。」

赤「玲央がそんな風に言うなんてめずらしいね。なにか瑠璃さんに思うことでもあるのかい?」

実「そりゃあ、あなたたちキセキの世代に唯一勝てる見込みのある2年だからね。同じ2年として期待もしちゃうわ。」

赤「なるほどね。」

キセキの世代、赤司はチームメイトである実渕玲央と黒金瑠璃という男の評価を話している。

 

 

その頃、福田総合のベンチは最後の勝負のかけ方について監督からの指示を聞いている。

 

監「第4Qは黒金にボールを集めるぞ?だが、ほかの選手も気を抜くなよ?イケると思ったらためらわずイケ!どんなときも攻めの姿勢をわすれるなっ!!」

 

選「はいっ!」

 

瑠璃は自分の手首の調子を確かめるように触っている。そのことに気づいたのは石田であった。

 

石「どうした瑠璃?手首の調子が悪いのか?」

瑠「あ、いえ。なんでもないですよ!」

 

心の中で石田は気づいていた。瑠璃の手首に何らかのダメージがあることに。福田総合の中で瑠璃の努力を最もみてきたのは石田である。瑠璃が入学してきた時から瑠璃のことを見てきた。だから止められない。本来なら瑠璃を止めるべきなのかもしれないが止められない。

 

桐皇のベンチでも青峰にボールを集めるよう指示が出ていた。

監「このQは青峰君一辺倒でいきます。なんとしても黒金君を叩きのめしてください。」

 

今「青峰が負けるっちゅうことはうちの負けでもある。ほんまたのむで?」

青「ああ。」

青峰はすでに集中力を高めている。ゆえにだれも口を挟めない。

 

そして最後の戦いがはじまる。

 

青「さあはじめようぜ。瑠璃さん。最高の勝負を!!」

いきなり青峰はゾーンの状態へと入る。

瑠「ったく。少しは先輩を敬えよ?」

瑠璃も青峰に答えるようにゾーンの状態へと入る。

 

そこからの勝負はエース同士の1on1の対決となった。

青峰は得意の型ないシュート《フォームレスシュート》を存分に発揮した。

一方瑠璃は予測するシュート《プレディクトシュート》を連発した。

 

青「いくぜ!!」

瑠「くっ。」

 

しかし着実に瑠璃は青峰の動きについていけなくなる。

青峰は瑠璃を抜き去り、ダンクを決める。

 

客「やっぱ青峰強えー!黒金をいとも簡単に!!」

 

青「瑠璃さん。こんなもんかよ。やっぱ俺に勝てるのは俺だけだ。」

瑠「はやまるなよ。勝負はまだまだこれからだぜ?」

 

福田総合の攻撃。

 

瑠璃は青峰と対峙する。

青「もうゾーンも切れてんじゃねえか。そんなんじゃ、俺には」

瑠「切れてんじゃねえよ。切ったんだよ!!」

 

次の瞬間、瑠璃はゾーンの状態に入っていた。そのドライブのキレは本試合最高であった。

青「なっ!?まだゾーンにはいれたのかよ!?」

青峰は抜かれた後すぐに追いつくが、すでに瑠璃は石田にパスをだしていた。

 

石田は綺麗なフォームでミドルを決める。

 

客「これで同点だー!!どっちが勝つんだー!?」

 

青峰はこの時、一つの可能性を懸念していた。すなわち黒金瑠璃はゾーンのon/offを自在に操れるのかもしれない。そんなことは青峰にもできない。なぜなら、ゾーンに入るにはある種の引き金が必要だからだ。入ることは容易にできても一度ゾーンを切った状態で入ることはきわめて難しい。

 

青「瑠璃さん。あんた。その領域にいくまでにどれだけの努力をしてきたんだ。」

瑠「お前の口から努力なんて言葉がきけるとはな。まあその問いに答えるとしたら。お前には想像できないほど、かな。」

 

もしも瑠璃がゾーンのon/offを自在に操れるとしたら、これほど怖いことはない。

ゾーンの唯一の弱点であるスタミナの浪費を防げるのだから。

ここぞというポイントでだけゾーンに入ることができれば、試合の展開は大きく変わるだろう。

 

試合はそれからもエース同士の対決となる。

なにか違うとすれば青峰が勝負を急いでいるということである。

 

青「くそっ。はやくボールよこせ!!」

青峰は無理にボールを要求する。

瑠「こんなパスならすぐにカットできるぞ?」

瑠璃はパスをカットするためだけにゾーンに入る。

瑠「もうゾーン切れてるぞ?」

瑠璃は青峰を抜きざりに言う。

 

そこからの試合は一方的であった。

 

エースである青峰にもう瑠璃を止めるすべはなかった。そしてチームの士気も下がっていった。

瑠「大輝。次はもっと練習してスタミナつけてこいよ?お前の弱点はその技術を試合フルで使えないスタミナだ。」

 

瑠璃が最後にダンクを決め試合は決した。

 

113対125で福田総合の勝利。

 




どうしよう。
次に対戦するキセキの世代、紫原にするか。黄瀬にするか。

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