赤「涼太もだいぶここに馴染んできましたね、瑠璃さん?」
いつものこの時間、この空間で赤司は瑠璃に尋ねる。
瑠「ん?まあ、うん。あいつならもうレギュラーになるだろ。てかお前の読み通りだろ?」
瑠璃の鋭い眼光が赤司を捉える。
赤「不満、、、ですか?瑠璃さん。」
瑠「別に。ただ俺の好きなやり方じゃないだけだ。お前の好きなようにすればいい。」
この頃からだろうか。瑠璃とキセキの世代の間に溝がはっきりと見えるようになったのは。
この頃だろうか。瑠璃が彼らを敵視するようになったのは。
…
灰「なんだよ、赤司。話ってのは?」
灰崎はある日、赤司に呼び出されていた。赤司の呼び出しとあれば、あの灰崎ですら従うのだ。
赤「率直に言う。お前はバスケ部をやめろ。」
その表情は一瞬に変わる。
灰「はあ?何言ってんだてめえ。俺はレギュラーだぞ?喧嘩売ってんのか?」
赤「むしろだから言っている。お前は近い将来黄瀬に負ける。遅かれ早かれその未来はやってくる。むしろ、これはお前を気遣ってのことだ。プライドの高いお前を負けることに耐えられない。」
実に淡々と述べる。まるでその未来を見たかのように。灰崎は沸点を越し、こう言う。
灰「そんなもん、こっちから願い下げだ!!」
そのまま、灰崎はバスケっとシューズを持って消航路に向かう。バスケっとシューズを燃やすために。
瑠「なにやってんだ、祥吾?それは燃やしていいものなのか?」
灰「瑠璃さん。俺はあんたとは違う。あんたみたいにこんなとこで耐えられねえよ。」
そう言い灰崎は瑠璃の前から姿を消す。バスケットシューズは結局燃やすことができなかった。
瑠「そうだな。それが普通の神経をしてる奴だよ。俺はもうとっくの昔に逝かれちまった。」
灰崎が抜けたあとは何事もなかったかのように黄瀬がレギュラーとなった。
それから主将が赤司になった。
何かが変わっていく。まるで時間と共に移りゆく天気のように。
変わらないのはその強さ。
帝光は圧倒的な強さで全国大会出場を決めた。
そして全国大会、準決勝までは拍子抜けするほど楽に進んだ。
桃「今日の試合は、中学屈指のFである井上君がいる上崎中です。みんな、気を引き締めてください。」
マネージャーである桃井から対戦相手の説明をうける部員達。それをもっとも集中して聞いていたのは青峰だった。井上とは何度も駕ぎを削ったライバルだからだ。
しかし、そんな青峰の期待は崩れ去る。
青「俺に勝てるのは俺だけだ。」
その日からだろう。黒子と拳を合わせなくなったのは。
瑠「(つまらない選手になったか。)」
青峰の活躍により、全国大会優勝を成し遂げた。
そして、瑠璃は引退。進学先も決まった矢先、彼は単身アメリカに留学していった。
事件はそこで起こる。