第1Qは両校とも互角の戦いを見せる。点差は17対19の2点差。わずかに洛山がリードしていた。
赤「予想以上に強かったな、彼は。」
実「ええ。第2Qは他にもボール回したほうがいいわね。」
赤「ああ。次のQは”パスを回すぞ”。いけるな、黛?」
黛「当たり前だ。それが俺がここにいる理由だからな。」
…
石「さて、次はどう攻めたもんかな。」
瑠「みんな、五将と互角にやりあえてます。だから第1Qと同じでいいんじゃないですか?」
石「なんか、嫌な予感がするんだよなあ。まあ、ゲームメイクはおまえに任せる。たのんだぜ?」
瑠「はい!」
ピ--
第2Qが始まる。
瑠「灰崎。」
灰「なんすか?」
コートに入る灰崎を瑠璃が呼び止める。
瑠「右の軸足しか使えないの、バレてるからな?」
灰「やっぱしバレてました?」
瑠璃のもともとのプレーを強奪したかに見えた灰崎だったが、1つ瑠璃には及ばないものがある。それは軸足を2つ使えること。軸足を両方使える選手は非常に少ない。しかし、軸足を左右両方使えればプレーの幅は大きく広がる。
瑠「はやく覚えとけよ。”征”には通じないぞ、”祥吾”。」
灰「え。。。」
瑠璃が下の名前で呼ぶ者はキセキの世代以外にはいない。それは認められた強者の証。
灰崎は感動で泣きそうな顔を消して、コートに入る。
第2Q序盤は、またもや五将にパスを回す洛山。
しかし、その瞬間は突然やってくる。
赤「さあ、うちの秘密兵器を見せようか!!」
赤司はパスを回す。いや、他の選手にはボールを空中に置いてきたかのように見えた。そのボールはパスコースを変えて、葉山の手に渡る。
葉山はそのままシュートを決める。
客「おおーー!!きたきた!!雷獣葉山!!」
灰「なんだよ、今のは。パスが曲がった?」
瑠「おいおい。”テツ”じゃねえかよ。」
赤司は不敵な笑みを浮かべる。
赤「紹介しよう。これが洛山のシックスマン。黛千尋だ。」
シックスマン。キセキの世代の中でのシックスマンの意味は黒子テツヤそのもの。それはつまり、パス回しに特化した選手である証。
瑠「石田さん。次、タイムアウトお願いします。」
石「ああ。俺もとるならここだと思ってたところだ。」
チャージドタイムアウト白、福田総合。
瑠「あの黛という選手は誠凛の黒子テツヤと同じ能力の選手のようです。なら対処法も同じです。」
石「対処法なんかあるのか?」
他の選手には黒子テツヤの対処法など思いつかない。しかし、元帝光の選手なら一度は考えたことがある。この選手を抑えるにはどうしたら良いのか。
瑠「黛ではなく、パスされる相手からパスコースを逆算するんです。」
望「難しそうだな。」
瑠「できるさ。黛のマークはお前なんだから頼むぜ?」
望「ふう。分かったよ。」
…
実「効き目ばっちりみたいね。」
赤「ああ。でもうちのシックスマンの力はまだこんなもんじゃない。次もボールを回していくよ、千尋。」
黛「ああ。まかせろ。」
…
赤司はまたもやパスを黛に回す。しかし、望月は瑠璃のアドバイス通りパスコースを逆算してディフェンスをする。
赤「なっ!?」
瑠「あいつは人には見せないが、相当な努力をしている。あれぐらいのことできないわけがねえんだよ!」
黛「なら、パスはやめだ。」
黛はボールを受け止め、そのままシュートを打つ。
石「おいおい。シュートもあんのかよ。」
黛「俺は旧型の黒子テツヤを超えた、新型のシックスマンだ。そんなもんじゃ、俺は止められねえよ。」
望「クソっ。」
瑠「望月。頼みがある。第2Q、さっきのディフェンスをずっと続けてくれ。」
望「え?でもさっき通じなかったぞ?」
瑠「ちょっと考えがあってな。頼むわ。」
第2Qは黛の活躍により、洛山がリードを奪う。福田総合も瑠璃の完璧なパスによりなんとか食らいついてる。
点差は38対30。
瑠「望月、ありがとな。もう”見えてきた”。」
望「どういたしまして。」
瑠璃と望月は拳を合わせる。
石「瑠璃。どういうことだ?」
瑠「ああ、もう黛はパスを回せません。俺が止めますから。たぶん、石田さんたちもそろそろ慣れてきたんじゃないですか?彼の影の薄さに。」
石「そういえば、初めの時よりなれたかもな。」
瑠「ようは、そういうことです。彼には覚悟がなかった。それだけです。」
そして第3Qが始まる。
瑠「わるいな、”赤司”。ここからはゾーン全開だ。」
瑠璃はそう言って、赤司のマークをはずして見えるほどの距離を取った。
赤「(なっ!?届くのか、そこから!?)」
根「かまわねえ、赤司!!打っちまえ!!」
赤司は自分の体が硬直しているのを感じた。自分が相手に恐怖していることに。赤司はなんとか硬直を振り絞り、黛にパスを出す。
瑠「もうお前はパスを出せないよ。」
瑠璃はゾーンによる超反応により、黛のボールをカットする。
赤「バカなっ!?もう慣れたというのか!!」
瑠「お前が相手にしてるのは、俺だぜ?征!!」
赤司は自分の中にぐらつきを感じた。
赤「どうやらここまでのようだね。」
赤司は大きく深呼吸をして。そしてゾーンに入る。
瑠「おいおい。お前ゾーンなんか使えたか?」
赤「使えるようになったのは最近だよ。そして僕のゾーンのトリガーは、勝利とは己自身の手で掴むという意志だ。」
瑠「じゃあ、ゾーン同士のど付き合いといこうか!!」
ゾーン対ゾーンの戦いが始まる。
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