黒子のバスケ〜努力の天才   作:マニック

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第29Q

誠凛と福田総合の練習試合後。

 

次は誠凛と秀徳の練習試合をしていた。しかし、火神はリコに特別練習を言い渡され試合には参加できなかった。案の上、秀徳は誠凛に完勝した。

 

それから3日。

 

3校は合同練習を行っていた。ただ、火神と灰崎だけはその合同練習には参加していなかった。二人は独自の練習を朝から晩まで行っていた。

 

そして、ついにあの男も練習に加わる。

 

?「ふう。疲れた。遠すぎだろ、ここ。」

黒髪、長身の男は合宿所の前でため息をつく。

石「遅いぞ!予定より、1時間遅刻だ!」

 

瑠「んなこと言われても、電車が遅れたのはしょーがないでしょ!!」

石「いいから早く、練習に参加しろ!!」

瑠璃と石田は体育館に入る。

 

鶴「お、瑠璃!!」

望「久しぶりじゃん!!」

瑠璃が体育館に入ると、福田総合の選手は瑠璃に集まる。

瑠「みんな、ただいま。今日から合流するからまたたのむわ。」

 

そこへ緑間が近づいてきた。

緑「瑠璃さん。久しぶりなのだよ。」

瑠「よう、真。久しぶり。また強くなったな。体付きが変わったな?」

緑「む。なぜわかるのだよ。」

瑠「まあ、俺も成長してるんだよ。」

 

そこから瑠璃もまじっての練習が開始された。

合宿の練習はファンダメンタルなものが多い。つまり体力を多く使う練習が多い。

午前の部が終わる頃には、みな息を上げる。それは緑間も瑠璃も例外ではない。

 

瑠「はぁはぁ。そういえば、石田さん。灰崎は??」

石「ん?ああ。あいつは今頃、走ってるよ。自分の弱点はスタミナと体の弱さだって言って、1人で練習してるんだ。」

瑠「ふうーん。あいつがねえ。」

石「あと、誠凛の火神って奴も砂浜を走ってたぞ。あれはあっちの監督の指示らしいが。」

瑠「誠凛か。ちょっとあいさつしてきまーす。」

 

瑠璃は真っ先に木吉に話しかける。

瑠「久しぶり。俺のことわかるか?」

木「忘れたくても忘れられねーよ。俺たちの学年で、帝光レギュラーだったのはお前だけだからな。”努力の天才”、黒金瑠璃。」

瑠「ははは。”鉄心”にそう言われるのは光栄だわ。」

黒「お久しぶりです。瑠璃さん。」

黒子の出現に、木吉は驚く。しかし、瑠璃は。

瑠「おお、テツ。久しぶり。誠凛に入ってたんだな?てっきりあいつらの誰かと同じ高校だと思ってたわ。」

黒「まあ、いろいろあったんで。」

瑠「それに関しては、聞かねえぞ?だいたいは分かるしな。」

木「てか、黒金は黒子に驚かねえんだな。」

瑠「ああ。まあもう慣れたわ。で、テツ。今のお前の”光”はどいつだ??」

黒「今は砂浜で走ってます。」

瑠「ああ、火神って奴か。、あとであいさつでもするかな。」

午後の練習も順調に終わり、練習は夜間の部。個人のスキルアップの練習である。

瑠「君が火神君?」

火「ああ?そうだけど。あんたは。」

瑠璃は火神に話しかけていた。

瑠「ああ、福田総合の黒金瑠璃!!今日から合宿に参加してんだわ。」

火「ふうん。で、なにかようかよ?」

火神は瑠璃のことを知らない。合宿初日にいなかったので、黒子に聞いていなかったのである。

瑠「ちょっと1on1しようよ。練習相手が欲しくてさ。」

火「ああ、いいぜ。やろう!」

 

初めの攻撃は火神からである。ボールを受け取り、火神は一気に攻めようとする。しかしこの時。火神の野生が感じ取る。黒金瑠璃という男の殺気を。

 

火「(やべえ。こいつはやべい。強いとかそんなんじゃねえ。格が違いすぎる。)」

瑠璃は火神のもっているボールを弾いた。

瑠「ぼうっとしすぎだろ、お前。」

火「くっ。」

 

瑠「いくぜ。」

瑠璃は火神の左方向を得意のダックインで抜きそのまま左手でシュートを放つ。

シュートはきれいな弧を描く。

瑠「だいぶ左手にも慣れたかな。」

 

火「(うまい。でもなんだ。なんか違和感が。)」

瑠「ああ、悪いけどまだ全力はだせないんだ。悪いな。」

火「全力じゃなくてそれかよ。いいぜ。今日はとことん付き合ってもらうぜ!!」

それから瑠璃と火神は夜通し練習をすることとなった。

 

次の日の早朝

灰崎はランニングをしていた。

灰「ふうふう。ん?あれは。」

瑠「おお、灰崎。こんな早くからランニング?」

灰「そうっす。瑠璃さんは?」

瑠「俺はさっきまで火神と1on1してたんだよ。ああ、ちょうどいい。灰崎、ちょっとコートに入れ。」

 

瑠「灰崎。今からお前に”ゾーン”について教えておく。使えるかどうかはお前次第だが。知っておいて損はない。」

灰「”ゾーン”ですか。瑠璃さんが青峰とやった時に使ったやつですよね?」

瑠「そうだ。”ゾーン”は選手の実力を100%引き出すためのものだ。普通、選手は実力を100%出せない。よくて80%だ。”ゾーン”はその残り20%を引き出す。」

灰崎は瑠璃の話をまじまじと聞いている。それほど、あの時の瑠璃は凄まじかった。自分ですら、あの領域の戦いには入れないと思った。

瑠「”ゾーン”には各個人で異なるトリガーが必要となる。青峰の場合は”自分が全力を出さなければ負けるほどの強者との戦い。”俺の場合は。」

そこで瑠璃は一旦間を置く。

瑠「いや、おれのはいいや。先に灰崎。お前のトリガーを教えておこう。おそらく灰崎のトリガーは。”チームを背負う覚悟だ”。」

灰「”チームを背負う覚悟”ですか。」

瑠「お前は見かけによらず責任感が強いからな。まあ、気楽にいけよ。”ゾーン”に意図的に入れるのは、俺と青峰しかいねえ。青峰は天才だから入れた。俺は。」

灰「瑠璃さんはなんで入れたんですか。」

瑠「まあ、人に言えないほどの特訓をな。正直、あれはオススメしない。いつ心が折れてもおかしくないからな。」

 

瑠璃はそう言い残し、コートを後にした。

灰「”ゾーン”か。ウィンターカップまでの課題が増えちまったな。」

 

こうして3校合同合宿は終わった。

次に出会うのはウィンターカップの舞台しかない。

 

 


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