【凍結】問題児たちにチートが紛れ混んだそうですよ?   作:夜叉猫

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皆様……大変お待たせ致しました……っ!!
やっと……やっとスランプを脱出致しました!!!

スランプ脱出記念として、此処は初めて投稿した問題児編を更新させて頂きました!!!

これからは遅くとも四つのどれかを週一で更新しようと思いますので、どうぞ宜しくお願いいたしますっ!!


今回の話ですが……手抜きではありません……はい(苦笑)
……許してください……(苦笑)

ともかく、本編の方をどうぞ!!


~帰還だそうですよ?~

「そーいや夜鶴」

 

「何かな?スサノオ」

 

歓迎会も終わり、各個解散となったため、夜鶴はスサノオと共にスサノオの部屋へと訪れていた。

現在スサノオの部屋に居るのは夜鶴とスサノオ、そして羞恥により目を回してしまったオーミのみ。

 

「お前ら帰る時間は把握してんのか?」

 

「どういう意味だい?」

 

夜鶴は膝枕で寝ているオーミの頭を優しく撫でながらスサノオに聞き返す。

 

「いやな、神界(こっち)とお前たちがいた……箱庭だっけか?ともかくそことの時間の流れは違うんだわ」

 

「……えっ……?」

 

夜鶴は初耳だという表情を浮かべスサノオの方を凝視する。

 

「こっちの時間の流れはおっそろしく遅ぇぞ?

そこんところ把握しておかねぇと……」

 

「しておかないと……??」

 

スサノオはにやりと笑いわざとらしく空になった盃を片手で弄ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「下手したら戻った時に1年過ぎてました~ってのもありえるぜ??」

 

「なっ……!!?」

 

夜鶴は慌てたように立ち上がる。

その反動で膝枕を使って寝ていたオーミは床と激突してしまい、小さな悲鳴を上げると飛び起きた。

 

「な、何事ですか!?」

 

オーミは辺りをキョロキョロと見回してそう叫ぶ。

 

「お、オーミ!!

今すぐ帰るよ!!」

 

「ふ、ふえぇ……??

か、帰るんですか??」

 

夜鶴は軽いパニック状態に陥ったオーミの手を掴むと目にも止まらぬ早さでおんぶ状態に移行した。

 

「しっかりと掴まっておくんだよ……っ!」

 

「おっと……ちょいと待ってくれや夜鶴。

……これ、持ってってくれ」

 

今にも走り出しそうな雰囲気の夜鶴に、スサノオは懐を探りながら声をかけ制止させる。

 

「……ん?なんだいこれは」

 

スサノオから手渡されたのは2枚の白札。

夜鶴は首を傾げながらスサノオに聞く。

 

「それは俺との通信用の白札と召喚(・・)用の白札だ。

夜鶴ならこの二枚を渡しておけば改良出来るだろ?」

 

袖口に手を入れながらニカッと笑みを浮かべるスサノオ。

夜鶴はその笑みに柔らかな微笑みを返す。

 

「……ありがとうスサノオ。

これは大切にさせてもらうね?」

 

「俺の事は遠慮なく召喚(喚んで)貰って構わねぇ。

まぁ、便利な小間使いだとでも思ってくれ」

 

「流石にそれは……。

必要な時に喚び出させてもらうね?」

 

スサノオの小間使い発言に苦笑いを浮かべた夜鶴。ひとまず妥当な使い方を述べスサノオに示した。

 

「取り敢えず、呼び止めた要件はこんだけだ。

また、【神界(こっち)】に来たら教えてくれ?軽くだが案内してやるから」

 

「わかったよスサノオ。

……それじゃぁ、そろそろ行くとするよ」

 

「おう。

じゃあな夜鶴。また会えるのを楽しみにしてるぜ?」

 

「俺もだよ」

 

二人はそう言葉を交わすと笑顔を浮かべた。

夜鶴はオーミをおんぶしたまま出口へ、スサノオはその姿を静かに見送る。

 

夜鶴はスサノオの部屋を出て直ぐに走り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あ、あの……夜鶴……??」

 

「なんだい?オーミ」

 

駆け行く夜鶴に背負われているオーミは気まずそうに声を掛ける。

 

「か、帰るんですよね?」

 

「勿論そのつもりだけど……何でだい?」

 

「……その……帰るなら私が帰りの道を開くんですけど……?」

 

オーミの言葉を聞いた夜鶴は今まで動かしていた足を即座に止め、少しだけ地面。スライドした後に棒立ちの格好となった。

 

「……夜鶴……??」

 

「……お願いするよ……」

 

少しばかり消沈気味の夜鶴。

どうやら自分が何故走っていたのか分からなくなってしまったらしい。

オーミは苦笑いを浮かべなから夜鶴の背中から降りると、神界(こちら)へ来た時同様、手を縦に振るだけで空間を捻じ曲げて穴を創り出した。

 

「……もう少し早く言って欲しかったな……」

 

「ご、ごめんなさい……。

夜鶴があんまりにも頑張ってましたから……言うタイミングを失ってしまって……」

 

申し訳なさそうに表情を歪め頭を下げて謝るオーミ。

夜鶴はその姿に慌てた素振りを見せると直ぐに口を開き、オーミを元の姿勢に戻させようとする。

 

「い、いやいや!

悪いのは俺なんだから謝らなくていいよ!!」

 

夜鶴の慌てた素振りが面白かったのか、オーミはふふふっと声を漏らしながら笑ってしまう。

夜鶴もオーミの笑うの声につられてか、その表情を柔らかな笑みに変化させた。

 

「さぁ、帰ろう……皆の所へ」

 

「はい。

帰りましょう、夜鶴」

 

二人は互いの手を取り合いながらその穴へと飛び込んだ。

 

 

 

さて、箱庭では如何程の時間が流れているのか?

夜鶴はその考えが頭に過ぎった。

 

 

 

 

 

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Side 三人称

 

 

 

夜鶴が箱庭から姿を消して、【ノーネーム】のメンバーはまたひとつ大きな出来事を終わらせていた。

 

龍角を持つ鷲獅子(ドラコ・グライフ)】連盟から収穫祭の招待状により向かった【アンダーウッド】。

そこで【ノーネーム】のメンバーはある事に巻き込まれた。

それは―――――魔王のギフトゲーム。

レティシアが連れ去られ始まった勝利条件のないゲーム【SUN SYNCHRONOUS ORBIT in VAMPIRE KING】に悪戦苦闘……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……かと思いきや、【ノーネーム】のメンバーの縦横無尽の活躍によりクリア。

幾ばくかの被害を被ったものの大勝利としてもいいほどのものだった。

 

そして、ゲームクリアから2日経った日。

十六夜、ジン、黒ウサギ、そして碧那はアンダーウッドの収穫祭本陣営に集まっていた。

 

 

 

「……今回は白夜叉様から『魔王討伐に対する功績の授与』という旨の書簡を預かっております」

 

普段の割烹着姿ではなく、色鮮やかな着物を身に纏った碧那は古風な書簡の巻物を取り出し、そういった。

 

「何?レティシアの隷属化以外でか?」

 

「はい。本来なら『魔王レティシアの隷属』と『【蛇遣い座(アクレピオス)】の所有権』は一対の物なのですが…………あれは『全権階層支配者』に貸し出される物。1コミュニティに授けることは出来ない、ということなのです。

なので、この功績の授与は、その埋め合わせというわけですよ」

 

碧那の説明になるほど、と納得するように頷く十六夜。いつもならば何かを指定する十六夜であったが今回は欲しい物が思い浮かばず、そのまま他の二人に視線を移した。

 

「黒ウサギと御チビは何か欲しい物はあるか?」

 

「く、黒ウサギは別段何も。

……それに、今回は殆どゲームに参加出来ませんでしたから」

 

「そっか。御チビはあるか?」

 

「あります」

 

即答するジン。

まるで聞かれるのを待ってましたと言わんばかりだった。

十六夜もジンの対応には驚いたもののそれが逆に興味を惹いた。長机に身を乗り出す様に前傾となり、興味深そうに問う。

 

「御チビがご褒美をねだるのは珍しいな。

何か欲しい物でも見つけたのか?」

 

「ほ、欲しい物という程ではありません。

……けど、僕ら【ノーネーム】の名前も売れてきたし、そろそろ新しいステップに進んでも良いかなぁと思って……」

 

ジンの発言に嬉しそうに頬を緩める十六夜。今までは十六夜や夜鶴を中心に考えた活動方針で動いていたが、今回はジンが自ら次のステップを口にしている。

十六夜は笑みを浮かべながらジンの方を見つめる。

 

「で、一体何が欲しいんだ?御チビ」

 

十六夜だけではなく、2人も同じように静聴する姿勢を見せた。

ジンはそんな3人からの視線に恥ずかしそうに咳払いをすると、望む報酬を口にする。

 

「僕が望むのは2つです。

1つ、【ノーネーム】の六桁への昇格。

2つ、【ノーネーム】が六桁で所有していた土地・施設の返却。

―――――以上です」

 

3人はジンの提示した報酬に顔を顰めた。

碧那に至っては呆れを通り越して侮蔑に近い色を含んでジンを睨んだ。

 

「御冗談はよして下さい。

六桁への昇格には外門に飾る旗が必要不可欠。その旗を持たない名無しが特例を認めてもらおうなどとは―――--」

 

「いや、旗は新たに造ります。

……コミュニティを解散することなく、新たな旗を」

 

……はぁ?と素っ頓狂な声を上げる碧那。黒ウサギも訳が分からず困惑した様にウサ耳を傾けている。

―――――しかし、十六夜だけは納得がいったという様に感嘆の声を上げた。

 

「なるほど……そうか、その手があったか。

それは確かに俺達の名前が売れてないと出来ない方法だ」

 

「はい。この方法なら、僕たちはコミュニティを解散させることなく旗を造ることが出来ます」

 

お互いに納得したように頷き合うジンと十六夜。しかし、意味がわからない黒ウサギと碧那は首を傾げたままお互いの顔を見合わせている。

十六夜はいつも通り、ヤハハと笑い、戸惑う2人に回答を告げた。

 

「単一の組織では旗を持てない。

なら、複数の組織で旗を造って、代替に使えばいい」

 

「そう。

僕ら【ノーネーム】が唯一旗を持てる手段―――――連盟旗を作るんです」

 

ジンの言葉に目を見開く黒ウサギと碧那。

十六夜はその表情を見て満足そうに頷く。

 

「確かにそれなら黒ウサギたちでも旗を持つことができるのですよ!!」

 

嬉しそうにそう言う黒ウサギ。

余程先のジンの案が気に入ったのだろう。

 

「……中々突拍子もないことを考えますね……あなた方は……」

 

「ヤハハ!

褒め言葉として受け取っておくぜ?」

 

碧那の何処か嫌味混じりの言葉に十六夜は気にすることなく笑い声を上げる。

碧那も、不本意ながらの長い付き合いにより、十六夜の反応を予想できていた為過度な反応を返しはしなかったものの、溜息を1つ吐いた。

 

 

 

 

 

―――――と、そんな時。

 

十六夜たち四人の前の空間が突然歪みを見せた。

 

「な、何事ですか……っ!?」

 

慌てたような碧那の声。

空間が歪み、歪み、その末に開いた黒い穴に碧那は驚きを隠せない。

ジンと黒ウサギもその黒い穴に目を見開いた。

それに引き換え、十六夜は嬉しそうに頬を緩めるばかり。

 

「い、十六夜さん!?

なんでそんなに余裕そうな顔なんですかっ!?」

 

黒ウサギはジンを庇うように立ちながら十六夜へ早口に言った。

十六夜はソファーに深く腰掛けながらリラックスするような姿勢を取る。

 

「そんなに警戒しなくても大丈夫だ。

……ただ、アイツが帰ってきただけだからな」

 

「アイツ……?」

 

黒ウサギは十六夜が誰を指しているのか分からないと言ったふうに首を、ウサ耳を傾けた。

―――――そんなことをしている間に黒い穴はその形を安定させ、2つの影を吐き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――到着……かな?無事かい?」

 

「は、はい……。

すみません……いきなり安定しなくなってしまって……」

 

吐き出された片方の影はもう片方の影を抱えながら、そんな言葉のやり取りをする。

その姿に碧那、ジン、黒ウサギはぽかんとまさに毒気を抜かれたという表情を浮かべて見つめた。

十六夜はソファーから立ち上がりその影に近づくと笑みを浮かべながら声をかける。

 

「よう、遅かったじゃねぇか」

 

「……十六夜」

 

「取り敢えず―――――お帰り、夜鶴」

 

「ただいま、十六夜」

 

吐き出された影―――――夜鶴は、オーミを抱えながらも十六夜の方を向き、微笑みを見せた。

 

 

 

―――――夜鶴とオーミは今、箱庭に帰ってきたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




久しぶりの本編の方はいかがでしたでしょうか??
今回の話につきましては3巻、4巻の内容を吹き飛ばしております……(苦笑)
理由としては夜鶴を絡ませないとなると、原作とほとんど変わらなかったので飛ばしてしまいました……(苦笑)


さて、それでは、久しぶりの更新はここまで!
また来週、どれかを更新いたしますので……またお会いしましょう♪
これからも宜しくお願い致しますっ!!!

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