【凍結】問題児たちにチートが紛れ混んだそうですよ? 作:夜叉猫
とても久しぶりの更新となってしまってすみません……(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
楽しみにして下さっている読者の方がいらしたら本当にすみません……(๑ŏ _ ŏ๑)↷↷
ともかく、久々の本編をどうぞ♪
「取り敢えず……夜鶴、オーディン、【神殺しの神】討伐お疲れ様。無事に帰って来てくれて嬉しいぜ」
静まり返る大広間に響くスサノオの声。
大広間には夜鶴やオーディンを初め他の神々の姿も見える。
「そして、ようこそ【神界】へ夜鶴。
俺たちはお前を歓迎するぜ」
ニカッと笑ったスサノオはその手に酒の並々入った巨大な盃を持ち再び楽しそうに口を開いた。
「―――――今夜は宴だテメェら!!
遠慮なんざかなぐり捨てて存分に飲め食え踊りやがれ!
んじゃ、ひとまず―――――乾杯っ!!!」
『乾杯ッッ!!!!!』
スサノオの乾杯の音頭を筆頭に、大広間に集まった神々は各々のグラスを天に掲げ、中に入れられた酒を煽った。
「これは……大勢集まったね……」
「なんだかんだ言っても皆さんお祝い事が大好きですから」
「それは見ていたら分かるよ。
―――――全員楽しそうだ」
用意されたご馳走を一心不乱に食べる者、酒を酌み交わす者、楽しく談笑する者などを視界に入れながら、今回の宴の主役――――――夜鶴とオーミは会話を楽しんでいた。
比較的静かな所にあるテーブル席に腰掛け、多過ぎず少な過ぎない程度の料理と酒のボトルを並べて会話する。両者共に酒には弱くないがグラスに注いだ酒を少量ずつ飲むのだ。
「……ねぇ、オーミ」
「はい、何ですか?」
料理を咀嚼し終えた夜鶴は、箸を置きオーミへ真剣な眼差しを向ける。
「これは確認なんだけど……例えば俺の【
オーミは一瞬目を見開くと、手に持っていたグラスをテーブルに置き、ゆっくりと口を開いた。
「神の証を何者かに授けるには神々が直接与えるほか方法はありません」
「……それに例外は?」
「ありません」
「……そうかい……」
夜鶴はオーミの話を聞き、呟くようにそう言うと腕を組んだ。
「……夜鶴が気にしているのは【神殺しの神】についてですね?」
オーミは神妙な顔つきで夜鶴の顔を除き込む。
「……ひとつ腑に落ちない点があったからね……。
【神殺しの神】は神の証を何故持っていたのか……。
初めは想定でしかなかったけど……オーミの話を聞いて確信に変わったよ」
夜鶴はそう言って顎の下で手を組み瞳を閉じる。しばしの無言の後瞳を開くと、冷たい声音で言った。
「―――――【神殺しの神】誕生の裏には何らかの神が関わっている」
騒がしい大広間の一角。
周りの楽しそうな雰囲気とは裏腹に何処か重たい空気が漂った。
「―――面白そうな話してるみてぇだな?」
「……スサノオかい」
「おう。
ふら~っと夜鶴たちの方に来てみたら随分と面白そうな話をしてたからな。
ちょっと俺も混ぜてくれよ」
スサノオはそう言うと、
夜鶴も、オーミも拒否はすることなく、むしろやっと来てくれたかという表情を浮かべる。
「勿論、寧ろスサノオが来てくれないと本格的に話し合うことが出来なかったからね」
「おいおい……なら俺を呼びに来てくれてもいいじゃねぇかよ」
「呼びにいかなくてもスサノオなら来てくれると信じていましたから」
オーミは柔らかな微笑みを浮かべながらスサノオに向かって言う。
「……本音は?」
「夜鶴と2人きりを楽しみたかったからです……はっ!?」
「ぶれねえなぁ……」
夜鶴の差し込みについつい素直に答えてしまったオーミ。スサノオは苦笑いを浮かべながらも微笑ましいな、という雰囲気を出していた。
「……まぁ、軽い冗談は此処までとして……。
こっからはちっとばかし重要な話だからな……防音しねぇとだよな……?」
「そうだね……頼んでも良いかな?」
「了解した」
スサノオはそう言うと懐から1枚の札を取り出し中指、人差し指の二本を立てると口を開いた。
「……【
その呟きの後、札は宙を舞い形を変えた。
現れたのは、真っ白な毛並みの狼。
スサノオの隣に素早く移動するとお座りの体勢でピタリと静止した。
「音奏、ちょっと此処の3人の声を他の奴に聞こえないように遮断してくれ」
スサノオからの命令を受けたためだろう、音奏と呼ばれた白い狼は口を開け、遠吠えのポーズを取るとそのまま止まる。
「スサノオ?その狼は……」
「コイツか?コイツは俺の【式神】でな。
他にも何体かいるんだが……優秀だぜ?」
夜鶴の問いにスサノオは嬉しそうにそう説明した。
「私もその式神は初めて見ました……」
「そういやそうだったな。
俺は
そう言いながら、スサノオは隣で静止している音奏の頭を優しく撫でる。
「んじゃ、音奏が音を遮断してくれてる間に話をしようぜ?」
「そうですね……あまり長くしていると怪しまれそうです」
スサノオ、オーミの言葉に夜鶴は首を縦に振り同意する。そして、三人とも表情を引き締めると真剣な眼差しで口を開き始めた。
「取り敢えず……さっき夜鶴が言ってたことだが……十中八九当たってるぜ」
「やっぱり……そうなのかい……?」
「あぁ……」
スサノオは苦虫を噛み潰したかのような表情で夜鶴の言葉に肯定の意を表す。
「……ちなみに聞きたいんたけど……誰がやったのかは分かっているのかな?」
スサノオとオーミは夜鶴の言葉を聞くと目を合わせて頷く。
「……一応、それに関わっているであろう奴らの情報は掴んだ」
「それでも、私たちが掴めた情報は微々たるモノです……」
「それでも構わない。
俺にも教えてくれないか?」
―――――頼む。と夜鶴は続ける。
すると、スサノオは少々慌てたふうに手を振り口を開いた。
「あ、当たり前だろ!?
教えねぇ訳が無い!」
「そ、そうですよ!!
夜鶴に教えない訳が無いじゃないですか!!」
面白いように慌てる二人に夜鶴はついついクスリと笑みを漏らす。
スサノオ、オーミはその夜鶴の笑みに少し恥ずかしくなったのか頬に朱が差した。
「んん……っ!!
ともかく!……俺たちが掴んだ情報は奴らが組織だって動いていること、そして―――――」
スサノオは深刻そうな表情を浮かべる。
「―――――組織のトップが元【
瞬間、夜鶴の瞳が大きく開かれた。
そして、しばらくの後、夜鶴は咳払いをする。
「【神々を司る神】は他にも候補が居たのかい……?」
「あぁ……元々【神々を司る神】ってのは最強の神の証みたいなもんだからな……。
候補だったアイツは向かうところ敵なしの奴だったらしい……」
「『らしい』……?
一体どう言う意味なんだい?」
夜鶴は眉を顰め、そう問いた。
スサノオは肩をすくめながら言葉を続ける。
「何せ俺らが二代目になる前の奴らしいからな……直に見たことはねぇんだよ。残念なことにな……」
夜鶴はオーミの方へ視線を移したがオーミの方も首を横に振り知らない、という意思を伝えた。
夜鶴は腕を組みながら唸る。
「ちなみにですがその候補だった神は……【転生】された者ではなく、生まれながらの神だったそうです」
「……つまり俺がその神から最強の座を横から奪い去った形になるんだね……?」
―――――高々転生した人間が。
自傷気味な夜鶴の言葉にオーミは表情を曇らせスサノオは深い溜息を吐いた。
重い空気がその場を支配する。
……と、そんな時、いきなり音奏が動き出す。
「っと……そろそろ時間みたいだぜ?
しかもこっちに誰か近づいてきてるみてぇだし……今日のところは暗い話はお終いだ」
「あ……は、はい」
「……分かったよ」
オーミと夜鶴からの返事を聞いたスサノオは音奏を優しく撫でると、元の札に戻した。
再び響き出す賑やかな神々の声。
3人が3人とも溜息を吐くと、そこに一際賑やかな神たちが訪れてくる。
「なぁ~に3人して辛気臭い顔しとんねん!
もっと楽しまなあかんやろ~??」
「そうですわ。
今回の主役であるお二人と進行役のスサノオがそんな顔していては楽しめるものも楽しめませんわ」
「ほらほら~夜鶴さんももっと笑って笑って~♪」
ツクヨミはおそらくお酒の入っているであろう瓢箪を掲げながら、アマテラスは少し赤くなった頬に手を添えながら、フレイヤはニコニコと笑みを浮かべながら、まるで3人の纏った重苦しい雰囲気を吹き飛ばすかのように訪れたのだ。
「ったく……騒がしいなツクヨミ!」
スサノオは近くに寄ってきていたツクヨミに立ち上がらながらそういった。
「なんやてスサノオ!!
ウチは楽しんどるだけや!
スサノオみたくドヨーンとした雰囲気は纏っとらんだけマシやろこの根暗ぁ~!」
「誰が根暗だっ!!このボンクラ頭!」
「ぼ、ボンクラ頭はアカンやろ!?
オンナノコに何言ってくれとんねん!!」
「オンナノコ?何処に居るんだよ」
「目の前におるっちゅうねん!!
此処に絶世の美少女がおるやろ!!」
腰をくねくねと動かしながらウインクするツクヨミ。
スサノオはわざとらしく欠伸をすると、
「……阿呆が……」
呟くほどの声でその言葉を口にした。
ツクヨミもスサノオから放たれた言葉のトーンがふざけのないモノのように感じたらしくダメージを負っているようだ。
「そ、そんなガチなトーンで言わんでもえぇやん……?」
「あーかわいいねー」
「棒読み止めぃ!!
ホンマに泣くで!?
ウチ、ホンマに泣くで!?泣き喚くで!?」
「泣けこの駄神」
「うわぁぁぁぁぁあん!!
スサノオのバカァァァァァア!!!」
ツクヨミは潤んだ声でそう叫ぶと夜鶴の元へとダイブした。
夜鶴は突然のことに驚いた様だったが、優しく抱きとめ、バランスを保つ。
「おっと……」
「夜鶴ぅ~!スサノオがいぢめるねん!
慰めてぇなぁ~っ!!!」
「ちょ、ちょっとツクヨミ!!
夜鶴は私のなんですよっ!!!」
ツクヨミの行動があまりにも大胆だったものだったためか、オーミは勢いよく立ち上がり、慌てたような口調でそう言った。
「えぇやんちょっとくらい~。
―――――と、言うわけで!
ウチの頭を撫でてくれへんか?夜鶴」
「ま、まぁ……撫でるくらいなら……」
「おぉ~♪おおきになぁ~♪」
夜鶴はツクヨミの勢いに負けたような形でだが、優しく頭を撫で始めた。
「……」
「……んっ……」
「………………」
「…………はふ…………」
「…………………………」
「………んんっ…………ぁあ……………」
互いに無言なまま、しかし、ツクヨミはたまに声を漏らしながら、撫でられ撫でるという行為を行っていると、突然ツクヨミが、
「……なんやこれむっちゃ気持ちえぇ~……♪」
蕩けたような言葉遣いでそう呟く。
オーミはワナワナと震えたかと思うと、目尻に涙を貯めながらツクヨミを夜鶴から引き剥がし、放り投げた。
「もぅ終わりですっ!!
ずるいですずるいですっ!!
ツクヨミばっかり撫でてもらってずるいですっ!!!」
「そ、そないに怒らんといてぇな~……」
オーミの迫力に引き攣った笑みを浮かべるツクヨミ。
「大体なんでツクヨミが夜鶴に慰めてもらうんですかっ!」
「いやな?ちょっとした出来心で……許してくれへん……?」
ツクヨミもまさか此処までオーミが取り乱すとは思っていなかったらしく、申し訳なさそうに謝った。
「むむむぅ~っ!!!
私も撫でてください夜鶴~っ!!」
オーミは少し唸った後にそう言うと夜鶴に抱き着いた。
夜鶴は暖かな微笑みを浮かばせながら愛しそうにオーミを撫でる。
「んん~……♪」
気持ち良さそうに声を漏らすオーミ。
夜鶴はそれを微笑ましそうに見ながら撫でる手を止めなかった。
「それでオーミ?
ツクヨミを許してくれないかい?俺からもお願いするよ……」
「よ、夜鶴がそういうのなら許してあげます……♪」
「ありがとう」
オーミの言葉にホッと胸を撫で下ろすツクヨミ。そして直ぐにニヤニヤという笑みを浮かべた。
「いや~……大胆やなぁ~ホンマに♪」
「うふふ……私達は置いてけぼりですわね」
「本当に気持ちよさそうですね~♪」
「いや……ホントにこんなになるんだなオーディンのやつ……」
周りから生暖かい視線を受けているのにも気付かず、オーミは夜鶴からの撫で撫でを堪能している。
しかしこの後、正気に戻ったオーミが死ぬほど恥ずかしがるのは……記すまでもないだろう。
本編はいかがでしたでしょうか??
楽しんでいただけたのなら嬉しいですっ!!
本当に久しぶりの更新となってしまいました……(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
これからはたまにですが更新しようと思いますっ!!
これからも頑張りますので宜しくお願い致しますっ♪
それではまた次回お会いしましょう♪