【凍結】問題児たちにチートが紛れ混んだそうですよ?   作:夜叉猫

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皆さん……大変お待たせいたしました……!!!
やっと1話書き上げられました……っ!!

まだ書いていると違和感を感じてしまうのですが(苦笑)

ともかく、本編をどうぞ!!


〜出発だそうですよ?〜

「―――ふぅ……」

 

コピーした空間から本来の空間に戻った私はひとつ息を吐く。そして額に浮かんだ冷や汗を袖で拭う。

身体が疲れているわけではない。どうやら少年との戦闘は精神的にかなりの負担が掛かっていたようだ。

 

「―――――夜鶴っ!!!」

 

と、そんな時私の胸に強くはないがしっかりとした衝撃を感じる。

少しだけ視線を下げてみるとそこには目を潤ませているオーミの姿があった

 

「ただいまオーミ……」

 

そんなオーミの頭を優しく撫で、溢れかけの涙を左手(・・)の指で弾く。

 

「夜鶴怪我はっ!!怪我はしていませんか?!」

 

いつもなら照れているオーミだが、それよりも心配が優ったのか私の顔を見詰めながらそう言った。

 

 

 

「大丈夫、怪我は無いよ」

 

私は和服の袖を翻しながらいつも通り、にこりと笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――嘘、ですね」

 

しかし、オーミは私の言葉を聞くやいなや胸から離れるとそう口にする。

そして私の右腕を掴むと袖を捲った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――――ッッ?!」

 

オーミは私の右腕を見た瞬間、息を呑んだ。

 

「……見ちゃったか……」

 

私はオーミの手を優しく離させると再び袖を翻しながら右腕を隠す。

折角隠していたのに何故気付かれたのだろうか……。

 

「な、何を……されたんですか……?

何を……したんですか……?」

 

オーミはその瞳に涙をためながら、口を開く。

 

(あぁ……泣かせてしまった……)

 

泣かれるのが分かっていたから、私はこの怪我を見せたく無かった。

 

 

 

「夜鶴……腕が……焦げて……」

 

瞳にためられた涙がこぼれ落ち、嗚咽を漏らす。

そう。オーミの言う通り私の右腕は―――黒く焦げていた。

 

「……【神滅の焔】を使ったんだ。

アレは強力過ぎてね……私の腕すらも焦がしてしまった……」

 

「だ、だったら早く治療を……!!」

 

すがり付く様にオーミは私の服を掴む。

 

「……無理だ。

この腕を治すには少し時間が掛かってしまう。

何せ神であるモノに対しての必殺の焔で焼かれたんだ。私は使用者だったからそんなにひどくは無いけど……。

流石の私でも治療には骨が折れるよ……」

 

言って、私は苦笑いを浮かべた。

オーミはその言葉にまた涙を流す。

 

「ほらほら、そんなに泣かないで?

この腕はしばらくしたら治るんだ。

だから……ね……?」

 

オーミの頭を優しく撫でて、言い聞かせるように呟く。

オーミはその言葉にこくりと頷くと泣くのを止めてその代わりに笑顔を見せてくれた。

 

 

 

―――――閑話休題

 

 

 

「オーミ、十六夜はどうだい?」

 

落ち着いた様子のオーミに私は心配事であったそれを聞く。

 

「それが……」

 

「何かあったの……?」

 

「いやぁ……そのですね……にわかには信じ難い事態が起こっていまして……」

 

そう言ったオーミは苦笑いを浮かべてある一点を見た。その視線を辿ってみると、

 

 

 

元気に跳躍してくる十六夜の姿が―――――

 

 

 

「何をしているんだいっ?!」

 

「がふ……っ!!?」

 

私は跳躍してくる十六夜の背中辺りを叩き、地面に落した。

激突の衝撃で十六夜が苦しそうな顔をしていたような気がするが気にしないことにする。

 

「よ、夜鶴!?

一応逆廻さんは致命傷から回復してそんなに経ってないんですよ?!」

 

「あ……ごめん」

 

「まったくもぅ……気を付けて下さいよ?」

 

私とオーミはそういいながらも地面に転がって呻いている十六夜を介抱するつもりはない。

しばしの後に自力で復活した十六夜は私の顔を見ながら口を開く。

 

「彼氏の事を迎撃するとかマジでありえねぇだろ……」

 

パンパンと土埃を払っていく十六夜。

 

「ごめんごめん。

つい十六夜だったから……」

 

「酷ぇな!?」

 

十六夜はそう言ったものの私が冗談で言ったのを分かってのことだろう、楽しそうにそう返してきた。

どうやら十六夜の身体を心配していたのは杞憂だったようだ。

 

「所でオーミ。

これからどうするんだい?」

 

私は隣にいるオーミにそう聞く。

【神殺しの神】を討伐した今、オーミは一体どのように動くのだろうか。

 

「私は1度【神界】に戻ります。

皆に報告しなければなりませんから」

 

やる気まんまんと言った風にガッツポーズをするオーミ。

 

(……【神界】……か……)

 

私は少し思考し、そして口を開いた。

 

 

 

「―――私も一緒に行くよ」

 

言うと、オーミはぽかんとした表情を浮かべてしばしの後に目を見開きながら、

 

「ほ、本当ですかっ!!?」

 

私の顔に顔を近づかせてそう言った。

何処か嬉しそうなオーミの表情に私は首を1度縦に振る。

すると、オーミは見るからにご機嫌というのが分かるほどの表情を浮かべ、私に抱きついた。

 

「嬉しいです♪

これでやっと皆に紹介できますね!」

 

オーミの頭を優しくなでながら、私は静かにしている十六夜の方を向いた。

 

「ごめんね十六夜。

今回は許してくれないかな?」

 

「あ〜……まぁ、仕方ねぇな。

何せ夜鶴の本妻だもんな〜」

 

ニヤニヤと笑いながら言う十六夜。

しかし、やはり寂しそうなのが分かる。

 

「今度埋め合わせはきちんとするからさ」

 

「いいぜ。

それで手を打ってやるよ。だけど……」

 

手を挙げて降参だというふうにする十六夜は私の方に近づいて来る。何事かと思いながらそれを見ていると―――――

 

 

 

―――――チュッ、と私の唇に柔らかい感触が伝わった。

 

「い、十六夜!?」

 

「ヤハハハハ!

先払いでこれくらいさせてもらっても良いだろ?」

 

笑う十六夜は楽しげにそう言うと俺から半歩程離れてもう一度口を開く。

 

「ついでに女体化の方は解けるようにしてやるよ」

 

途端。私と十六夜の指に嵌っている指輪が光を発して、私と十六夜の身体を包む。

そして、手首に浮き上がっていた鎖の模様が消えた。

試しに女体化を解いてみると―――――今回は難なく解くことが出来た。

 

「ありがとう十六夜助かるよ」

 

「おぅ。

その代わり埋め合わせは覚悟してろよ?」

 

「あはははは……お手柔らかに頼むね?」

 

十六夜の発言に苦笑いを浮かべながら、俺はそう返した。

 

「すみません逆廻さん……。

本当は夜鶴と過ごす予定だったんですよね……」

 

オーミは申し訳なさそうに十六夜の方を向いて頭を下げる。

 

「ヤハハハハ!

気にすんな白髪ロリ。

夜鶴は埋め合わせもしてくれるって言ってるんだ。お前が謝る必要はないぜ?」

 

「ありがとうございますっ」

 

「んじゃ、俺は先に戻ってるわ。

そろそろ置いてけぼりなレティシアに構ってやらねぇとな」

 

十六夜は遠くにポツンと佇むレティシアを指してそう言った。

そう言えばレティシアが居ないことに今更ながら気付く。

 

「あ、あはははは……。

頼むね?十六夜」

 

「その代わり埋め合わせは融通しろよ?」

 

「それは―――――」

 

俺の答えを聞くよりも早く、十六夜は駆け出していった。

これは初めからいい逃げするつもりだったらしい。

 

「まったく……」

 

俺は駆け出していった十六夜の背を見ながら呟く。

 

「まぁ、少しは……御礼しないとだよね……」

 

折角2人で居られると思っていたであろう十六夜に無理を言ったのだから、それくらいは当たり前だろう。

できる限り何でもしてあげよう、と俺は心に決めた。

 

(……でも性的なことは……ねぇ……?)

 

もし頼まれたらどうしたものかと悩む俺だった。

 

 

 

 

 

「そろそろ行きましょうか」

 

考えていた俺の和服の裾を引いてオーミはそう言った。

 

「そうだね。

そうするとしようか」

 

サラシをしっかりと巻き直してオーミにそう言ってニコリと笑う。

今悩んでもしかたがない。

もし頼まれたら考えることにしよう。

 

「それでは入口は私が創りますね?」

 

オーミは俺から少し離れると、手を縦に振った。

すると、その場の空間が捻じ曲がりぽっかりと穴が創り出される。

オーミは一歩穴に向かって足を踏み出し、俺の方に手を差し出す。

 

 

 

「―――さぁ、行きましょう?」

 

そう言ったオーミの顔には花の咲いたような笑顔が浮かんでいた。

 

(やっぱり笑顔が良いよね……)

 

俺はオーミの手を取ると、共にその穴に飛び込んだ。

初めての【神界】。

一体どうなるのか……まだ俺には分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本編はいかがでしたでしょうか??

この話から分かるように次話からオリジナルに入っていきます!!!
一生懸命頑張りますのでどうぞ宜しくお願いいたしますっ!!

感想などいただけると嬉しいです♪


それでは、また次回お会いしましょう♪

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