【凍結】問題児たちにチートが紛れ混んだそうですよ? 作:夜叉猫
夏風邪が悪化して死にかけの夜叉猫です……。
今回の話は朦朧としながら書き上げましたのでおかしいところがあるかもしれませんが、温かい目でご覧下さい……(〃・д・) -д-))ペコリン
それでは、本編をどうぞ♪
「お、これ美味いな……レティシアやるじゃねぇか」
「ふふふ……主殿に喜んでいただけて何よりだ」
レティシアは十六夜の言葉に嬉しそうに微笑む。
私はトーストを一齧りしてコーヒーを飲みその様子を眺めていた。なんだか親子の様にも見える光景だ。
「ほら夜鶴、お前も食ってみろよ」
十六夜はそういいながら自分のお皿に乗せられたオムレツを一口大に切って私の方へ差し出してくる。お言葉に甘え、それをパクリと一口で食べた。
優しい舌触りのふわふわな卵。
まるで泡を食べているようなそんな感覚すらする。
「ん。美味しい……これ、スフレオムレツだね?」
「夜鶴も知っていたか。
これは私の得意な料理のひとつでな」
レティシアはそう言って胸を張った。
スフレオムレツとは卵を筋が残るほどまで泡立て、それを焼いたモノである。しかし、作るとなると難しく、これを作れるレティシアはかなりの料理上手なのだろう。
「レティシア、今度私と料理しない?」
「ふふふ、喜んでお受けしよう」
私はそんなレティシアに料理のお誘いをして、しっかりと約束を取り付けた。
いっそのことパーティーでも企画しようか、そんなことを考えていると、
「―――ん……」
ふと、ある感覚に見舞われた。
「どうかしたか?夜鶴」
十六夜はパンを齧りながら私の方を向いてそう言った。
「いや、ちょっとね……」
私はそう言うと残ったトーストとウインナーを食べ、コーヒーで流し込む。
「―――レティシア、ご飯ありがとう。
今度は私の料理をご馳走するね?」
「礼には及ば無いのだが……。
しかし、夜鶴の料理か……楽しみにしているよ」
レティシアはニッコリと笑いそう言った。
「それじゃぁ、私は【月光庵】に居るから用事があったりしたら訪ねて来てね?」
私は早口にそう言い残すと、心なしか速歩になりながら【月光庵】に向かって行った。
廊下を抜け、階段を降り、【ノーネーム】の本拠である屋敷を出たときに私はもう既に走り出していた。
一刻も早く【月光庵】に行きたい。
その思いが私の足を動かしているのだ。
そして、やっと見えた【月光庵】。
私は入口を乱暴に開けると確かめる事もせずに呼んだ。
「オーミ!!!」
そう、ここ最近忙しくて会えないと言われていた、私の愛する神様の名前を。
居るのかなんて確かめていない。
だけど分かるのだ彼女は其処に居ると。
私は廊下を走り抜けて、居間へと足を踏み入れる。
「―――お久しぶりですね……夜鶴……っ!!」
それと同時に私の胸に小柄な少女が飛び込んできた。
私はその少女を優しく抱きとめて、ギュッと抱き締める。
「あぁ……!久しぶりだね……っ!」
少女も私が抱き締めると抱き締め返してくれる。
しばしの間抱き締めあった私と少女―――オーミ―――はお互いの顔を見つめると、どちらからともなく唇を合わせた。
(幸せって……こういう時のことを言うんだろうね……)
無駄なことは考えなくて良い。
今はこの幸せな一時を楽しもうではないか。
~~~~~~~~~~~~~~~~
「えっと……しばらく見ないうちに……美人さんになりましたね……?」
「いやね?オーミ。これには深ーい深ーいマリアナ海溝よりも深い事情があってね?」
再会を喜びあった私達は居間に正座しながら話をしていた。
よくよく考えたら今の私は女性なのだ。
女体化が出来るとは知らないオーミにとってはあまりに不思議なモノだろう。
「……というより女である私よりも胸があるとは……どういうイジワルですかっ!」
オーミは突然そう言い始めると私の胸を鷲掴みにした。
「ひぁっ?!お、オーミ?!!
何をしているのさっ!!!」
私はそう言いながら胸を鷲掴みにするオーミの手を外して後ず去る。
「はっ……!す、すみません……。
つい我を見失ってしまいました……」
シュンとした様子で謝るオーミ。
私はそんなオーミに近づいて優しく頭を撫でた。
「大丈夫だよ。
私は怒ってないからさ……」
「ん……本当ですか……?」
気持ちよさそうに目を細めるオーミ。
その姿はまるで猫のようで愛らしい。
「うん。ちょっとびっくりしちゃっただけだからね。
なんなら触ってみるかい?」
私は胸を突き出しながらそんなことを冗談混じり言ってみる。
場の雰囲気を明るくしようとした軽いジョークだ。
「ぷふっ……。
……いえ、良いですよ。
そんな冗談は逆廻さんにでも言ったらどうですか?」
「それこそ冗談でしょ?
そんなことを言ったら私喰べられちゃうよ」
「ふふふっ……それは大変ですね」
私とオーミはくすくすと笑った。
閑話休題
しばしの後、オーミが突然立ち上がり、只事では無い雰囲気を纏い始めた。
「……夜鶴、実は―――」
今まで忙しくて会えなかったのに今日、突然訪ねてきた時から予想はしていたが―――
「―――【神界】で何かあったんだね?」
私はオーミの言葉を片手で制して、真面目な表情を浮かばせながら直接的にそういった。
「……分かっていましたか……そうなんです……。
それも―――とびっきり厄介な事が起きています……」
そしてオーミは語り始めた。
今、【神界】で起きている出来事を。
~~~~~~~~~~~~~~~~
「―――つまり、最近ある転生者が貰った能力で【コアトリクエ】という神を殺して【神殺しの神】としての力を持った。
しかも、【神殺しの神】の目的は名の通り神を殺すこと……ということかい?」
「はい……。
【神殺しの神】の力は私たち神にとって天敵。
そんな力を持った者が私たちを殺そうとしているのです……。
そこで私たちは―――【神殺しの神】の討伐に踏み切りました」
オーミの顔には決意の表情が浮かんでいた。
しかし、その中には怒りの感情も現れていたのを見逃さない。
「……神を辱め、神を嬲り、あまつさえ神を手に掛けた……」
その小さな拳を力一杯握り締めるオーミ。
爪が食い込んでいるのにそれも関係ないと言わんばかりだ。
「そして何より……【オメテオトル】が……泣いていたんです……っ!!」
オメテオトル……確かアステカ神話に登場する創造神だったはずだ……。
「たった一人……コアトリクエのお墓の前で……」
泣きそうな顔でオーミは語る。
「『守ってやれなくてすまない……』。
彼は泣きながらそう繰り返し呟いていました……」
唇を噛み涙を流すまいとするオーミ。
私はそんなオーミを優しく抱きしめて頭を撫でる。
「……絶対成功させよう」
「……あたり、前……です……っ!」
私の服をギュッと掴みながら胸に顔を埋めるオーミ。
(私のオーミをこんなにするなんて……どうしてくれようかな……)
私は心の中で口を三日月状に吊り上げてそんなことを思っていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~
「―――さて、ひとまずはその【神殺しの神】を探さないとね」
しばらくオーミを抱きしめた後に私はそう口にした。
オーミ自身もすっかり落ち着いたらしくそうですね、と相槌を打っている。
「実はこの世界に来ているようなのですが……何故か感知出来ないのです……」
オーミはそういいながら不思議だと首を傾げた。
「それなら私が探して―――――」
刹那、私は身の危険を感じ、瞬時にオーミを抱えてその場から離れた。
そしてそのコンマ1秒も経たないうちに、私とオーミのいた場所は文字通り消し飛んだ。
「―――あれぇ?避けられちゃった……」
何処か間の抜けたような声が上から聞こえてくる。
私は【月光庵】の屋根に転移して、その声の主を確かめた。
「……キミが【神殺しの神】で良いのかな……?」
「ん~??
まぁ、そうかもしれないし~そうじゃないかもしれない~?」
ケラケラケラと笑いながらそういった少年。
どうやら十中八九、彼が【神殺しの神】らしい。
漆黒色の髪は肩ほどまで伸び、身体は華奢でひ弱そうに見える。
しかし、私が一番印象的に思ったのは―――瞳。
黒とも紫とも赤とも言えない濁った瞳。
ハイライトというものを何処かに忘れてきたのではないかという程に濁った瞳が印象的であった。
「……なんとも不気味だね……」
私が彼を見て初めに思ったのはそれだった。
何がとは、言わない。
全て。彼の全てが不気味なのだ。
「うわぁ~不気味だなんてヒドーイ。
僕も傷ついちゃうな~」
ケラケラケラと、また笑う少年。
人を馬鹿にしたような笑いとでもいうのだろうか。ともかくいい気分にはならない笑いである。
「とりあえずさぁ~……殺しちゃうケド良いよね?
答えは聞いてな―――――」
「オラァァァァァッ!!!」
―――と、少年が喋っている時、我らが問題児筆頭の十六夜が突然現れたかと思うと、少年の側頭部をぶん殴った。
少年は地を跳ねるように飛んでいくと一際大きな木の幹にぶつかり止まる。
「大きな音がしたから来てみたが……大丈夫か?」
十六夜に少し遅れてレティシアが飛んでくると、心配そうな声を出しながら私の横に下り立った。
「あ、うん。
一応怪我はしてないよ」
「つうか、アイツ誰だよ」
手首をこきこきと回しながら、十六夜がこちらに歩いてくる。
「わ、分からずに殴ったんですか……?」
オーミは十六夜の言葉に目を丸くしながら呟いた。
「おっ、白髪ロリじゃねぇか」
十六夜はヤハハと笑いながらオーミの頭を優しく叩く。
「はぅっ……お久しぶりです逆廻さん」
オーミは頭に手を当てながら上目遣い気味に挨拶をする。
「む……彼女は一体……??」
レティシアはそんなやり取りを見ながら首を傾げた。
そう言えばレティシアとオーミは会ったことが無かった筈だ。
「この娘は【二代目オーディン】のオーミ。
私の……お嫁さん……かな?」
「……しゅ、主神様!?しかも嫁なのか!?」
レティシアは私とオーミを交互に見ながらオロオロとし始めた。
「そして夜鶴は俺の嫁っと♪」
十六夜が楽しそうに私の肩に腕を回す。
「はいはい、話をややこしくしない……」
私はそういいながら十六夜の手を下ろさせる。
と、そんなことをしていると、少年のぶつかった木が再び文字通りに消し飛んだ。
「「ッッ??!」」
十六夜とレティシアはその光景に驚きの表情を浮かべた。
「あぁ~あ……痛かった……いきなり殴られたし……台詞も途中で切られるし……目の前ではイチャイチャされるし……やっぱり僕って―――――」
―――――不幸だなぁ。
途端。
少年の濁った瞳が三日月のように曲がる。
「キヒッ★」
「「「「ッッッ!!?」」」」
短い笑い声は私たちの目の前から聞こえた。
「まずはひ~とり♪」
少年は私に向かって手刀を突いて来る。
完璧に油断していたせいか私はそれを避けきれない。
(くっ……!!能力も……間に合わないっ?!)
私は迫り来る手刀をなんとか防ごうとするがそれも間にあわない。
「ちっ!!!!らぁぁぁぁぁっ!!」
もう駄目かと思った、そんな時。
突然十六夜の身体が私の前に現れた。
―――バヂュッッッッ!!―――
「―――ゴフッ……ッッッ!!!!?」
十六夜の口から吐き出された生暖かい液体は私の顔にべちゃりと付着する。
少しだけ視線を下げると―――――
―――――少年の手刀が十六夜の身体を貫いていた。
「……い……ざよ……い……?」
「……おぅ……だ……いじょ……ぶ……か……?」
貫かれた胸からは夥しい量の血が流れ、口からも血が溢れている。
「なぁ~んだ……ただの人間じゃないか……イラネ」
少年はそう言うと十六夜の胸から手刀を引き抜き、十六夜をまるでゴミでも扱うかのようにポイと捨てた。
「い、十六夜ぃぃぃぃぃっ!!!!」
私は落ちていく十六夜を追いかけ、地面に落ちる前に抱き留める。
「十六夜っ!十六夜っ!!」
声を掛けるがピクリとも反応しない。
しかし、まだ生気はある。心臓も弱いながら動いている。
「絶対助けるっ!!!
【
私は十六夜に治癒の能力を全開で行使する。
すると見る見るうちに十六夜の胸に空いた穴も塞がっていき、弱まっていた鼓動も元の元気なモノへと回復する。
「うはっ★
何その能力ずっるぃなァ……」
その姿を見ていたのだろう。
少年はそんな風に言ってくる。
「……オーミ」
「夜鶴……」
私の呟きに反応したオーミはレティシアを連れて私の横まで転移してくる。
「十六夜のこと……頼める?」
「はい。私の全力を持って逆廻さんを守らせてもらいます」
私はその言葉を聞くとゆっくりと立ち上がる。
「まったく~……僕の邪魔なんてしちゃってさ~……バッカじゃないの?
せっかく神様一人殺れたと思ったのにさァ★」
ケラケラケラと笑う少年。
私はそんな少年を見据えて口を開いた。
「―――楽に死ねると思うなよ……雑魚」
「……はぁ?」
私の言葉に首を傾げて不思議なものを見るような目で見てくる少年。
「僕の足元にも及ばない下級な神の癖に何言ってるのさァ~?」
ケラケラケラとまた笑う少年。
良く気持ち悪く笑うものだ。
「……キミは怒らせてはいけないモノを怒らせた」
私は今しばらくの間―――ルイオスとの戦い以来―――封印していた【力】を開放する。
【魔力】は足元で複雑な魔法陣を描く。
【氣】は全身を包む美しい羽衣のようになる。
【霊力】は手足を包む純白のガスとなる。
【聖力】は頭の上に輝く輪となり浮かぶ。
【神力】は八枚四対のしっかりとした翼になる。
「―――
【
本編は如何でしたでしょうか?
楽しんで下さったのなら私も嬉しいですっ!
さてさて、今回は急展開に次ぐ急展開で疲れてしまったかもしれませんが……そこは本当にスミマセン……m(_ _)m
ここからは雑談ですが……
夏風邪に倒れた私ですが……介抱してくれるのが兄と姉なのがちょっと……。
パジャマは着ているのですが、何分薄いので……恥ずかしいのです……(/ω\)
しかも、夏風邪で2日くらい記憶が飛んでるのが恐ろしい……何をされたのかと今考えると寒気が……:(;゙゚'ω゚'):
とまぁ、雑談もここまでで。
感想など、私に元気を下さいませっ!!
早く完治させて次の話を書いたり、今回の話のおかしいところの修復をしたいのでっ!!
それでは、皆さんまた次回お会いしましょう♪