【凍結】問題児たちにチートが紛れ混んだそうですよ? 作:夜叉猫
最近夏休みが楽しみな夜叉猫です♪
3日ぶりの更新ですが……最近更新ペース上がってますよね……??
謎のハイペースでの執筆が進むのです……。
と、まぁ、お話はここまでとして……
それでは、本編をどうぞ♪
「まぁ、コンセプトは悪くなかった。しかし、次は俺に相談してからだな、」
「これ以上その話を引き延ばすのは止めてくださいっ」
スパン、といつも通りの服装に戻った黒ウサギは十六夜の頭を少し軽めにハリセンで叩いた。
しかし、白夜叉は少し焦げた頭を振り、至って真面目に頭を振った。
「いや、あの服も今日の話に無関係ではない。
今の服は本来黒ウサギに着せる衣装ではなく、この外門に造る新しい施設で使う予定の正装での」
「し、施設の正装!?
あのエッチな着物モドキがでございますか!?
一体どんなお馬鹿な施設を作るつもりなんです!?」
「だから少しは落ち着け。
施設そのものは至って真っ当な代物だ」
「うむ。簡単に言えば大規模な水源施設の開拓だの。
その為に十六夜には白雪の元に水源となるギフトを取りに行ってもらったのだが…………よもや隷属させてくるとはつゆとも思わなんだ。
まだまだ修行不足だのぅ、白雪?」
白夜叉は黒ウサギと共にいた女性の方をニヤニヤとした笑みを浮かべながら見た。
「えっと……そもそもな質問を良いかな?」
俺は手をあげながらそういった。
此処に来てから気になって仕方が無いことがあるのだ。
「ん?なんじゃ夜鶴。
今の説明では分からんかったかの?」
「いや、そうじゃないよ。
俺が聞きたいのはそこにいる女性ってあの【トリトニスの滝】にいた蛇さんで良いの?」
俺がそう聞くと白雪と呼ばれた白地の着物を身に纏った女性はムスッとした顔で口を開いた。
「ふん……そうだよ小娘。
我はトリトニスの滝の主【白雪姫】だ。
だが、どうやって我だと分かったのだ?
そこに居る小僧は我が誰か初めは分かっていなかったのにな」
「ん?そんなの簡単だよ。
君から感じる神格があの時の蛇さんとおんなじだったからね」
俺はそう言って質問を終わらせた。
「と、まぁいろいろあったが……白夜叉。
これで契約成立。ゲームクリアだ。
例のモノを渡してもらおうじゃねぇか」
「ふふ、分かっておる。
【ノーネーム】に託すのは前代未聞であろうが……地域発展の為に神格保持者を貸し出すほどの功績を立てたのだ。
他のコミュニティも文句は有るまいさ」
そういった白夜叉は両手を前に伸ばし、パンパンと小さな手で柏手を打った。
すると、座敷は明るい光に包まれ、やがて一枚の羊皮紙が現れる。
羽根ペンを虚空から取り出した白夜叉は文末に己のサインを書き込むと、我らがリーダー、ジンの方へと瞳を向けた。
「それでは、ジン=ラッセル。
これはおんしに預けるぞ」
「ぼ、僕ですか……?」
「うむ。
これはコミュニティのリーダーが管理するもの。おんしがその手で受け取るのだ」
ジンは促されるまま白夜叉の前に座り、差し出された羊皮紙を受け取るとその文面へと目を向ける。
―――直後、ジンはピタリとその場で固まり声をあげた。
「こ、これ……まさか……!!?」
「どうしましたジン坊ちゃん?」
驚愕、歓喜、感涙。
様々な感情の入り混じったその声に黒ウサギもその羊皮紙が気になったのかピョンと、ジンの後ろに回り込んだ。
すると彼女も、ジンと同様にその場で固まってしまった。
俺も何が書いてあるのか気になってその羊皮紙を覗く。
羊皮紙の文面には次のようなことが書かれていた。
『―― 二一零五三八零外門 利権証――
*階層支配者は本書類が外門利権証であることを保証します。
*外門利権証の発行に伴い、外門の外装をコミュニティの広報に使用する事を許可します。
*外門利権証の所有コミュニティに上記の【
*外門利権証の所有コミュニティに上記の【境界門】を無償で使用することを許可します。
*外門利権証は以後【 】のコミュニティが
【サウザンドアイズ】印』
「が……外門の、利権証…………!!!
僕らが……僕らが【地域支配者】!?」
「うむ。
外門の利権証は地域で最も力のあるコミュニティに与えられるもの。
【フォレス・ガロ】が解体されて以降、【サウザンドアイズ】が預かっていたのだが…………今のおんしらになら、返しても問題無かろうて」
ふふふ、と口元を隠しながら笑う白夜叉。
その笑みは親が子に向けるそれと似ている気がする。
「し、しかし僕らには外門に飾る旗印がありません。
外門が無印では地域のコミュニティから異論が…………あっ……」
ジンは自らの言葉で気がついたのか小さく声を漏らした。
「僕らは水源を地域に無償提供する……だからいつもは罵っている人達でも声を潜めずにはいられない……そうですね?」
ジンの言葉を聞いた十六夜はニヤリと笑った。
以前の、初めて会った頃のジンは今の状況でこの考えを出せただろうか?
―――否、あの時のジンでは無理だっただろう。
これは、ジンの成長の証。
俺たちのコミュニティを象徴とするリーダー【ジン=ラッセル】の真価なのだ。
「よく分かってるじゃねぇか御チビ様。
意外と成長してるみたいだな」
ヤハハ、と楽しそうな笑い声をあげる十六夜。
「黒ウサギ…………」
ジンは十六夜の言葉を嬉しそうに聞くと、次は黒ウサギの方へと視線を移した。
「―――――…………」
黒ウサギはジンの声には反応を示さず、俯いたまま微かに震えていた。
全身を震わせたまま立ち上がった黒ウサギは、ゆっくりと十六夜の方へと近づいていく。
十六夜はそんな黒ウサギに訝しげに眉を寄せて口を開いた。
「どうした?黒ウサギ。
何か不満があるってなら、聞くだけ聞いてやるが」
「―――――…………っ」
ガバッ!と黒ウサギは、十六夜の胸の中に飛び込んで行った。
なんともまぁ、大胆な行動である。
「凄いのです……!!凄いのです、凄いのです!!!
凄すぎるのですよ十六夜さんっ!!
こんな短い期間で利権証まで取り戻していただけるなんてっ……!!
本当に、本当にありがとうございます!」
ウッキャー♪と奇声をあげながらクルクルと十六夜にぶら下がる黒ウサギ。
若干十六夜の顔がにやけているのが少しだけ……ほんの少しだけ!気に入らない。
(……
最近自分のキャラがぶれてきているがまぁ、問題児たちと関係を持っているのだから仕方がないかと自分を納得させた。
「黒ウサギ~それ、胸が十六夜に当たってるから早く離れた方が良いよ~?
セクハラされてるよ~?」
「はっ……!!!
私としたことがなんてことを……!!」
黒ウサギは俺の掛けた声に反応してかぴょん、と後ろに飛び跳ねた。
黒ウサギが離れた時の十六夜の残念そうな顔もこれまた少しだけ気に入らない。
(あぁ~……思考がだんだんと女性に向いてるね……最近女体化してる時間が増えたからかな……)
俺はそんなことを考えながら頭を抱えるのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~
Side 耀
夜鶴と一緒に残るためのゲームはやはり十六夜の勝利で幕を閉じてしまった。
あんなに黒ウサギもジンも喜んでいたのだから仕方がない。
「あぁ~あ……負けちゃった……」
もしかしたら勝てるかも。
私のそんな甘い考えを一瞬で打ち破る十六夜の戦果。
分かってはいたが私は十六夜との詰めることの出来ない大きな差を改めて感じさせられた。
―――あの後、【ノーネーム】では宴が設けられていたのだが私はそんなことばかりを考えていた。
楽しめたか、楽しめなかったかといえば確かに楽しかった。しかし―――――。
そんな宴も終わり、現在私は三毛猫と共に自室に戻っていた。
夜も更け込み、やや肌寒い風が私の頬を撫でる。
「三毛猫。私は夜鶴と一緒に残れなくなっちゃったよ。
残念だけどしばらくは御預けだね」
『……そうか。残念やったなお嬢』
「うん。でも仕方無い。十六夜は本当に凄いもの。
私なんかじゃ一生掛かっても出来ないような事を簡単にやっちゃうんだもん」
だから―――――仕方が無いんだ。
私は自分にそう言い聞かせるように細く笑い、満天の星空を見上げる。
―――こんな時は星空を見て慰めて貰おう。
しかし、その行動は凶と出てしまった。
何故なら、星空で一番輝いていたのは、皮肉にも十六夜の月だったのだから……。
あぁ……私はなんと惨めなのだろう。
『お嬢……何かあったんか?』
三毛猫は私の顔を見ながら心配そうな声を出した。
「…………何も無いよ」
ただ―――――と、言葉を切って窓から農園区の方へと視線を向ける。
「…………三毛猫。あの農園はね。夜鶴が大地を蘇らせて、十六夜が水を供給して、飛鳥が耕して育んだんだ。だから最後に私が苗を用意すれば、“農園は四人で造ったんだ!”って、胸を張って言えるかなぁ……とか……。
そう、思ってたんだ」
私には【力】が圧倒的に足りない。
それを今回嫌と言うほど思い知った。
【ノーネーム】の主力で在り続けるには、魔王相手に一人で戦えるだけの力が必要なのだ。
「…………三毛猫」
『うん?』
「夜鶴は勿論だけど、十六夜と飛鳥は、凄いね」
『…………。せやな』
三毛猫は短く相槌を打つ。
私は空に燦然と輝く十六夜の月を見詰めながら心中を吐露した。
「でも、私は……あんまり凄くないね」
『―――――……、』
「やっぱり投げやりな気持ちでコミュニティに所属したのが駄目だったんだ。
偶然素敵な友達が出来ただけで……私には―――――その関係を維持する力が、無い……」
『…………お嬢……』
三毛猫は悲しそうな声を上げながら私の手に擦り寄ってきた。
私はそんな三毛猫の顎の下を優しく撫でてあげる。
「―――随分と愉快な事を言うんだね、耀」
そんな時、ドアの方から聞きなれた男性の声が掛かる。
それは、私が愛して止まない、
「よ……づる……?」
不知火夜鶴。彼だった。
Side Out
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「よ……づる……?」
泣きそうな耀の声。
しかし、今はそこを気にすることは出来なかった。
「ごめんね……。
盗み聞きするつもりなんて無かったんだけど……ね……」
「…………」
耀は悲しそうな表情でうつむいている。
「でもね、一つだけ言いたかったんだ」
その言葉に反応してか、耀は俺の方を見つめ始めた。
「君にとって友達っていうのはそんなモノなのかい?
何か相手の得になる事が無いと友達という関係は維持できないのかい?」
「それは……」
また、うつむいて口を閉ざした耀。
俺はそれを見てナニカが弾けた。
「……そうかい。
じゃぁ―――――ほら、これあげる」
指をパチンと鳴らしてひとつの武具を取り出す。
「それは【
「こ、こんな凄いもの……な、なんで…………?!!」
耀は俺の顔を見た瞬間声を詰まらせた。
おそらく今の俺は瞳が冷たいモノになっているからだろう。
「俺は君にこれを上げるからさ―――――」
「―――俺とこれからも【
「ぁ………………―――――」
耀は俺の言葉に涙を浮かべた。
「心配しなくて良いよ。
これからもきちんとこういうモノを渡して上げるから」
「…………て……」
「それともまだ足りなかった?
なら、もっと用意してあげるよ」
「………めて……」
「何が良い?
【
好きな武具を選びなよ」
「止めてっ!!!!」
耀はそこで叫んだ。
頭を抱えながら涙を流す。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」
「……君がどれだけ馬鹿な事を言ったか分かったかい?」
俺は壊れたようにごめんなさいと繰り返す耀の頭を優しく撫でる。
「ヒック……わ、私は……グス……そんな、友達が……欲しかった……ヒック…訳じゃ、無い……よう……グスン」
「うん……うん……。
分かってるよ。分かっていたさ。
耀は少し焦り過ぎたんだよ……」
「よ、夜鶴……っ。
うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
耀は大きな声を上げて涙を流し始めた。
俺はそんな耀を胸に抱き寄せて優しく背中をさすりながら泣き止むのを待った。
(あぁ……俺は……意地悪だなぁ……)
涙を流す耀を抱きしめながら俺は変わることのできない嫌な自分の一面をしっかりと認識した。
あぁ、あの綺麗な十六夜の月は果たしてこんな俺でも許してくれるだろうか。
空では十六夜の月ともう一つ、別のナニカが怪しく輝いた。
本編は如何でしたでしょうか??
今回はちょっとした趣向を変えた内容となりました!
楽しんで頂けたのなら幸いです♪
さてさて、ここからは雑談となりますが……
皆さんは海に行く時水着は何派ですか??
私は水着を新調しようかと思っているのですが……
何分悩んでしまいます……(汗)
ちなみに夏休みは友達と海に行く予定なのです♪
皆さんにも良い夏の季節が訪れますように!
それではまた次回お会いしましょう♪