【凍結】問題児たちにチートが紛れ混んだそうですよ? 作:夜叉猫
やっと更新することが出来ました。
ちなみにですが……私、自重をやめたいと思います!
もぅ私は腐女子でいいんです……そろそろ自覚しないとダメみたいですから……(涙)
後書きで私の愚痴が定着するかもしれませんが暖かい目で見守ってください……(涙)
それでは本編をどうぞ!
収穫祭前夜祭の前日。
俺たちは簡単な昼食を摂った後に大広間に集まっていた。
誰が収穫祭に行かず一緒に残るのか、というある意味不思議な戦いの決着をつけるために十六夜、飛鳥、耀が戦果を報告し、審査役となったジンとレティシアが席に着く。
「あれ?黒ウサギは居ないのかい?」
俺はゆっくりと腰掛けながら姿の見えない黒ウサギのことを口にする。
「先ほど【サウザンドアイズ】の店に向かったところだ」
「審査基準は聞いていますから、僕とレティシアだけで十分です。
それに後は十六夜さんの報告を待つだけですから」
そっか、と俺は短く呟く。
コホン、とジンは少し気取ったような、嬉しそうな咳払いをして口を開いた。
「細かい戦果は後に置いておくとして……。
まずは皆さんが挙げた大きな戦果から報告しましょう。
初めに飛鳥さんですが、牧畜を飼育するための土地の整備と、山羊十五頭をてにいれたそうです。
飼育小屋と土地の準備が調い次第【ノーネーム】に連れてくる予定です」
「ふふ。子供たちも『山羊が来る!』『乳がいっぱい来た!』『これでチーズも作れる!』と喜んでいたぞ?」
レティシアは微笑ましそうにそう語った。
そして報告書をぺらりと捲り、続きを話す。
「次に耀の戦果だが……ふふ、これはちょっと凄いぞ。
火竜誕生祭にも参加していた【ウィル・オ・ウィスプ】がわざわざ耀と再戦するために招待状を送り付けてきたのだ」
「へぇ……アーシャちゃんたちが送ってきたんだ?」
俺は耀の方へ顔を向けながらそう聞いた。
「うん。負けたのが悔しかったみたい。
今度は夜鶴にも挑むって張り切ってた」
耀はそういいながら楽しそうな笑顔を浮かべた。
どうやらアーシャとはいい友達になれたようだ。
「【ウィル・オ・ウィスプ】主催のゲームに勝利した耀さんはジャック・オー・ランタンが製作する、『炎を蓄積できる』巨大キャンドルホルダーを無償発注したそうです」
えっへんと得意気に胸をはる耀。
確かにこの戦果は凄いものだ。
【ノーネーム】がだんだんと充実していくのが分かる。
「しかもこのキャンドルホルダーの炎は【ウィル・オ・ウィスプ】製の備品に同調することが出来ます。
なのでこれを機に、竈、燭台、ランプといった生活必需品を発注させてもらいました。
これで本拠内は恒久的に炎と熱を使うことができます!」
ジンも若干興奮気味にそういった。
十六夜も素直に感心したような声をあげている。
「いや、意外だったぜ二人とも。
ほとんどが金銭を賭けた小規模のゲームの七桁でこれ程までの戦果を挙げるなんてよ」
「上から目線でご親切に。
……それで?十六夜君はどんな戦果を挙げたのかしら?」
飛鳥からの言葉に不敵な笑みを見せながら立ち上がる十六夜。
「そうだったな。
んじゃ今から戦果を受け取りに行くとするかな」
「…………受け取りに行く?何処へ?」
「【サウザンドアイズ】にさ。
黒ウサギも向かっているなら丁度いい。
主要メンバーには聞いておいて欲しい話だからな」
十六夜が含みを持ったようにそう話すと残りのメンバーは首を傾げた。
(……とんでもない戦果を挙げてる気がするのは俺だけかな……)
俺はそんなことを考えながら【サウザンドアイズ】に向かおうとする皆の後ろをついていった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「……また貴方たちですか」
【サウザンドアイズ】の支店の店先でせっせと掃除をしていた店員は十六夜たちの顔を見るや否や嫌そうな顔をした。
やはり俺たちは歓迎されないらしい。
しかし、そんな事を考えていたのに、俺の方をちらりと見た店員が小さく会釈してくれたのは地味に嬉しいものだ。
(少しは親しくなれたのかな?)
もしそうだとしたら嬉しい。
「そういうお前はまた店前の掃除か。よく飽きないな」
「ふん、仕事に飽きを感じるなど贅沢者の言葉ですね。
それに私は新参ですが、二一零五三八零外門支店を預かる立場に在ります。押し入り客を拒み、資格のあるお客様だけ暖簾をくぐってもらうように選定しているのです。
別に日がな一日掃除をしている訳ではありませんっ!」
「へぇ、そいつは知らなかった。実に立派な仕事だ。感心した。
それじゃ、御邪魔します」
「帰れッ!!!」
相も変わらず店員の言葉を無視して中に入ろうとする十六夜。
そんな十六夜に八重歯を見せながら竹箒を振り回してなんとか拒もうとする店員。
そもそもだが、十六夜が毎回無理矢理入ろうとするから融通が効かなくなっていってるのではないだろうか……。
「ま、まぁまぁ落ち着いて。
それに今日は白夜叉ちゃんに話を通してるはずなんだけど?
まさかまだ白夜叉ちゃん言ってないのかい?」
俺は十六夜と店員の間に割って入ってそう口にする。
確証は無かったが戦果を受け取りに行くと十六夜が言ったので話は通っているだろうと予想の上で言ったのだが十六夜が否定しないところをみるとおそらく話は通っているのだろう。
何と言う偶然。俺の勘ナイス。
「…………そうなのですか?」
しばしの沈黙の後、店員は俺の方を向きながらそういった。
「多分だけどね。
そうだろう?十六夜」
「ん?あぁ。話は通してるぞ」
俺の問いに少しだけ面白くなさそうに答えた十六夜。
どうやらこれで店員を困らせて遊ぼうとしていたらしい。
全く十六夜には困ったものである。
「……私は何も聞かされていないのですが……」
店員は不機嫌な様子でそういった。
流石に自分は何も知らないというのは嫌だったようだ。
「んん?おぉ、やっと来たか小僧たち。
早う入って……そう言えば小僧たちが来ると伝えておらなんだな。
スマン、ちょいと重要な案件がある故、急ぎで通してやってくれ」
白夜叉の姿は見えなかったが暖簾の向こうから声だけが届いてくる。
店員は心底、心底嫌そうな顔を十六夜たちに向けたが、ため息混じりに道をあけた。
「………………………………いらっしゃいませ。
どうぞお入りください」
店内に招かれた十六夜たちは暖簾をくぐり、中に入っていく。
側には少し涙ぐんだ店員。
俺はそんな店員に近づくと優しく頭を撫でた。
「毎回毎回ごめんね?」
「…………いえ、もう慣れました」
俺に大人しく頭を撫でられながら店員はそういった。
「早く不知火様も行ってください」
「あはは。俺のことは『不知火様』なんかじゃなくて『夜鶴』でいいんだけどな」
俺は少し苦笑いを浮かべながら店員に言った。
「それでは―――――夜鶴様。
早く行かないと置いていかれますよ?」
ほんの少しだが店員が笑ったように見えた。
「それもそうだね。
それじゃ、また後でね?店員さん」
俺はそう言って暖簾を潜ろうとしたその時、クイッと服の裾を掴まれた。
「?どうしたんだい?」
先程は早く行けと言った店員は今度は俺の服の裾を掴んで行かせないようにしている。
「………………です」
「えっ?なんて言ったんだい?」
顔を俯かせながら店員はボソボソと口を開いた。しかし、その声は俺の耳には届かない。
「ですから!
……私の名前は【
これからは店員ではなく名前で呼んでください」
ぷいっとそっぽを向きながら店員はそういった。
店員……否、碧那の頬には朱色が差していた。
「ふふふっ……分かったよ。
じゃぁ、また後でね?碧那」
そう言うと碧那は満足そうな顔をして掃除に戻って行った。
「おぉーい!早く来いよ夜鶴!」
「今行くよ!」
十六夜の声に一言返すと今度こそ暖簾をくぐり、店内に入っていった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「や、やめてください白夜叉様!!!
黒ウサギは【箱庭の貴族】の沽券に掛けて、あれ以上際どい衣装は着ないと言ったではありませんか…………!!!!」
「く、黒ウサギの言う通りです!
この白雪も神格の端くれとして……こ、このような恥ずかしい格好をして人前に出る訳には…………!!!!」
俺たちが何時ものように座敷へと向かっているとあられもない女性の声が聞こえてきた。
片方は黒ウサギの声として、もう片方は聞いたことのない声だ。
障子に映る白夜叉の影絵は、ノリノリで二人に襲いかかっている。
「ふふふ、うぶな奴らよ。
おんしらは何も分かっておらん。
清く正しく美しく、尊いが故に、穢し堕とし辱めたいと人は強く望むものよ。
おんしらのように高嶺の花など特にそうなのだ!!
このままではいずれ、その発育した豊満でエロイ身体にエロイ事を仕込みたいというエロイ欲求が爆発したエロイ暴徒がおんしらを姦策に嵌めてエロエロにしようと動き出すに違いない!!
そうッ!!まるで今の私の様にッ!!!」
「「黙れこの駄神ッッ!!!!」」
刹那、竜巻く水流と轟雷が障子を突き破った。
それに吹き飛ばされ、白夜叉は宙を舞う。
小柄な身体で勢い良くトリプルアクセルを決めながら俺の元へと飛んでくる。
「おっと……大丈夫かい??」
衝撃を殺しながら白夜叉の身体を優しく抱き留める。
「おぉ、夜鶴か。助かったぞ。
……む、今日は男なのだな……」
「……自然な流れで胸を触らないでくれるかな……」
抱き留めた小柄な身体の白夜叉は俺の胸を触っている。
心底女性の姿で来なくて良かったと思う。
「はぁ……そもそもどうやって黒ウサギに金剛杵をつかわせるほど―――――」
怒らせたんだい―――――俺はそう続けることができなかった。
水煙の向こうに見える黒ウサギともう一人の女性の姿に、思わず言葉を無くしてしまったのだ。
「えっと……黒ウサギ?
どうしたんだいその格好……」
ひゃ、と水煙の向こうで情けない声が聞こえてくる。
「ゃ、やだぁ……なんで夜鶴さんが此処に……!!?」
「ん〜……それは俺の台詞だと思うんだけど……」
苦笑い気味にそう口にする。
と、突然十六夜があたりにある水煙を腕で払った。
途端、黒ウサギと女性は自分の身体を抱きしめるようにへたり込んでしまった。
水煙も全て晴れたことにより、この場にいる全員に黒ウサギたちの姿が見えるようになる。
―――――【唖然】―――――
この場の皆の心情を一言で表すのならこれに限るだろう。
そんな中で飛鳥が一番初めに口を開いた。
「……着物?」
「えっと、ミニスカの着物?」
「いいや、ワンサイズ小さいミニスカの着物にガーターソックスだな。
……夜鶴に着せたいな……」
「十六夜!!不穏な言葉を発さないで!」
「おぉ!それは良い案だな。
では早速……夜鶴おんし女に―――――」
「なりませんっ!!!」
俺は肩で息をしながら最後までボケ倒す十六夜と白夜叉にツッコミをいれた。
そうでもしないと本当にされそうで怖い。
「「えぇ〜……」」
「そこっ!!残念がらないっ!!!」
まさか飛鳥と耀まで乗ってくるとは思いもよらなかった。
閑話休題
黒ウサギたちが着せられていたのは、身体のラインがはっきりと分かるよう小さめに着付けられた着物を、股下でバッサリと切り取った奇形の着物だった。
加えて肩から胸までを大胆に開き、肌の露出を多くさせている。二人のように豊満な肉付きをした女性がこれほど布地の少ない衣装を着ていれば、嫌でも視線が集まってしまうだろう。
……おそらく俺に贈られてきた和服の最終形態がこの着物なのだろうが……。
(……俺の元に来なくて本当に良かった……)
もし来ていたら十六夜に無理矢理にでも着せられていたことだろう。
はぁあ、と深い溜息を吐いた最後尾のレティシアが、黒ウサギたちの前に立つ。
「二人とも、とりあえず着替えなさい。
特に黒ウサギ。そんな全身濡らした格好では、」
「何ッ!?黒ウサギが濡れ濡れだと!!?」
―――ズドオォォォォォォォン!!!
大地をも震わせる追撃の轟雷が白夜叉を貫いていくのだった。
「えっと……ひとまず落ち着こう……?」
俺は周りにいる全員にその言葉を伝えた。
今日の【ノーネーム】も賑やかに過ごしていく。
「なぁ夜鶴。
今度あの着物着てくれねぇか?
頼む!この通りだ」
十六夜が深く頭を下げながらそう言ってくる。しばしの間考えた俺は、
「……気が向いたらね」
無愛想な態度でそう返したのだった。
あぁ、俺の貞操は一体どちらを先に奪われるのだろう……。
『俺』かな?それとも『
本編は如何でしたでしょうか?
私的には色々混ぜすぎて混沌と化してるような気がします……。
そして、勝手ではありますが、店員さんの名前も決めさせて頂きました!!
そろそろ店員と呼ぶのも無理があるかと思いまして……。
〜最近の悩み〜
最近私の兄と姉に悩んでいます……。
頑なに私にミニスカをはかせようとする兄と、
頑なに私にコスプレをさせようとする姉。
いくらなんでも偏った兄と姉では無いでしょうか……?
これだから私は変なキャラになってしまうのです……(涙)
とまぁ、愚痴もここまでにして……
それではまた次回お会いしましょう♪