【凍結】問題児たちにチートが紛れ混んだそうですよ? 作:夜叉猫
皆さん的には黒ウサギや白夜叉の恋愛編を読みたいのでしょうが……しばらくお待ちくださいっ!!
そして、本日はちょこっと後書きが長めの予定ですのでお暇でしたらお読みください♪
それでは本編をどうぞ♪
〜溢れる闘志だそうですよ?〜
―――――【
俺たちは今後の方針を話し合うため、本拠の屋敷にある大広間に集まっていた。
大広間の中心に置かれた長机には上座からジン、俺、十六夜、飛鳥、耀、黒ウサギ、レティシア、リリが座っている。
【ノーネーム】では会議の際、コミュニティの席次順に並ぶのが礼儀らしい。
(それにしても……ジン君はガチガチだね……)
ついつい苦笑してしまう。
俺はそんなジンに声を掛けようとしたが、その役目はいつも通りヤハハと笑う十六夜に取られてしまった。
「どうした? 俺よりいい位置に座ってるのに随分と気分悪そうな顔してるじゃねえか、御チビ」
「だ、だって旗本の席ですよ? 緊張して当たり前じゃないですかっ!」
ギュッとローブを掴みながら反論するジン。
しかし、見たところ理由はそれだけでは無いだろう。
おそらくジンは俺たちに引け目を感じているのでは無いだろうか。戦果らしい戦果を挙げることができていない自分が俺たちよりも上に居るという事に。
「……そもそも僕は何もしていない……。
ペルセウスとのギフトゲームの時も、ペストたちが襲撃して来た時も……僕は守られてばかりで……」
そう言うジンはだんだんと思い詰めた表情を浮かべていく。
「し、しかし!
苦節三年……とうとう我らのコミュニティにも、招待状が届くようになりました!
それもジン坊ちゃんの名前で!
だから堂々と胸を張って上座にお座り下さいな!」
黒ウサギはそんなジンを見かねたのかそんな助け舟を出した。
「だけどそれは―――――僕の戦果の結果じゃない。
十六夜さんが、夜鶴さんが、飛鳥さんが、耀さんが……
更に思い詰めた表情を浮かべながらジンはそういった。
「―――それは違うよジン君」
ジンは俺の声にえっと言った表情を浮かべた。
「確かに君の戦果じゃないかもしれない。
だけどね?そんなことは……どうでもいいじゃないか。
大切なのは此処まで来たという事実。
それとも君はこのコミュニティの実績は自分がした訳じゃないからって嬉しくないのかい?」
「そんなことあるわけないじゃないですか!!!」
ジンは俺の言葉を聞いて立ち上がり強く否定した。
「やっと……やっと此処まで来れたんです。
【ノーネーム】が……僕たちの居場所が……。
名無しだと蔑まれていた僕たちがやっと認められ始めた……。
嬉しくない訳ないでしょうっ!!!」
「―――ならそれで良いじゃないか」
そして俺はジンを抱きしめた、優しく包むように。
「君は自分が弱いからって責めているんだろう?
守られてばかりで情けなくて……。
―――けど君の仕事は闘いじゃないだろう?」
「えっ……?」
「君の長所はその頭脳だ。
十六夜と共に学んだその学だ。
誰にも負けたくないというその意思だ」
俺の言葉を無言で静かに聞き続けるジン。
周りもそれに合わせてか何も言わずに見守っていてくれる。
「―――なら、それを活かせばいい。
頼んだよ?
俺たちの頼れる
微笑みながらジンの頭を撫でた。
まだ小さなこの体に俺の期待を込めるかのように。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「それで?今日集まった理由は、その招待状について話し合う為なのかしら?」
ジンが落ち着いたのを見計らってか、飛鳥はそう口を開いた。
「は、はい。それも勿論あります。
……ですがその前に、コミュニティの現状についてお伝えしようと思って集まってもらいました。
…………リリ、黒ウサギ。報告をお願い」
「わかりました」
「う、うん。頑張る」
ジンはにこやかな笑みを浮かばせながら黒ウサギと末席に座っているリリに目配せをした。
リリも緊張した面持ちだが背筋をぴんと伸ばして現状報告を行ない始める。
「えっと……備蓄に関してはもう問題ないと思います。
夜鶴さんに復活させて頂いた土地は本当に恵まれていて作物もたくさん取れますから」
夜鶴さんありがとうございます、とリリは頭を深く下げてお礼を口にした。
「それに皆さんが戦った【黒死斑の魔王】が推定五桁の魔王に認定されたため、規定報酬も跳ね上がったのです」
まぁ、ペスト達の強さとゲームの難易度から考えるにそれくらいが妥当だろう。
十六夜たちもそのような事を言いながら確実納得していく。
「では最後に先程も少しだけお話ししましたが農園区についてご報告いたします」
リリは顔を輝かせながらかなりの勢いで報告を始めた。
「夜鶴さんのおかげで復活した農園区の土壌はメルンとディーンが手伝ってくれたおかげでもう全て使うことが出来る状態です!
それに、ある一角では今まで見たこともないような植物たちがあったのですがその子たちもとても役に立ってくれているのです!」
満面の笑みでそう言ったリリ。
リリが言っているのはおそらく俺が創り出した【食害植物】たちの事だろう。
何となくで創り出してみたのだが役に立っているのなら嬉しい。
「まぁ、私たちは本当に少しだけ手を加えただけなのだけれどね」
飛鳥は少し笑みを浮かべながらそう口にした。
「いやいや、あんなにも広い土地を耕してくれたんだからとても助かったと思うよ?」
「そ、そうかしら?」
俺が飛鳥にそう言うと少し吃りながらそういった。
「うん。お疲れ様飛鳥」
ニコッと飛鳥に微笑みかけると飛鳥は顔を赤くしながら俯いた。
やっぱり可愛いねぇ〜……。
「私からもお礼を申し上げます!
……そうでした!今回の本題は農園区に、特殊栽培の特区を設けようと思っているのです」
リリは飛鳥に頭を下げた後に思い出したかのようにそういった。
「特区??」
「YES!簡単に言えば霊草、霊樹を栽培する土地ですね。例えば……」
「マンドラゴラとか?」
「マンドレイクとか?」
「マンイーターとか?」
「YES♪……っていやいや最後のおかしいですよ!!?【
それにマンドラゴラやマンドレイクみたいな超危険即死植物は黒ウサギ的にアウトですっ!!!!!」
「……そう。
……じゃあ妥協して、ラビットイーターとか」
「何ですかその黒ウサギを狙ったダイレクトな嫌がらせは!?」
うがーッ!!とその自慢のうさ耳を逆立てながら怒り始める黒ウサギ。
「じゃあ俺はユグドラシルを―――――」
「夜鶴さんもなんて桁外れの代物を植えたいのですかっ!!!!?」
黒ウサギは俺の方を向いて驚いたような顔でそういった。
(ふむ……これは……面白いね)
俺は十六夜たちが黒ウサギをからかうのも肯けるとそんな事を思いながら続きを口にする。
「―――この際創ってしまおうか」
「やめて下さいお馬鹿様っ!!!」
スパァンッ!!!
俺の頭を快音を響かせながらハリセンが通過する。これが黒ウサギの伝家の宝刀ハリセンか……。
よく考えればハリセンで叩かれたのは初めてではないだろうか……。
(……それにしてもこのハリセン……)
「……結構痛いね……」
俺はぼそりとそう呟いた。
すると黒ウサギがあわあわし始め
「す、すみません夜鶴さんっ!!!
ついいつも問題児様方にする力加減でやってしまいました……」
へにょり、とそのうさ耳をさせる黒ウサギ。
「大丈夫だよ黒ウサギ。
それより俺の方こそごめんね?
最近は十六夜たちに感化されてきたのか人を弄るのが面白く思い始めてしまってね……」
俺がそんな事を言うと黒ウサギは心配するかのような表情の後、深刻そうな顔で、
「それは……由々しき事態ですね……」
そう一言呟いた。
「全く……困りモノだよ……」
俺と黒ウサギは割と真剣に解決策を巡らせたりしていた。
「―――ともかくだ。
今回の本題は、農園の特区に相応しい苗や牧畜を手に入れてきて欲しいのだ」
そんな中レティシアはパンと手を叩いて元の本題へと意識を戻してくれた。
「都合のいいことに、南側の【
連盟主催ということもあり、収穫祭の持ち寄りやギフトゲームも多く開かれるだろう。
中には種牛や希少種の苗を賭けるものも出てくるはず。コミュニティの組織力を高めるには、これ以上ない機会だ」
確かにそのような大祭が行われるのなら俺たち【ノーネーム】としては色んなゲームに参加して物資を増やしていきたい。
「方針については一通り説明は終わりました。
……しかし、一つだけ問題があります」
ジンは此処が最大の難所だと言ったように表情を引き締めた。
「この収穫祭ですが、二十日間ほど開催される予定で、前夜祭を含めれば二五日。約一ヶ月にもなります。
この規模のゲームはそう無いですし最後まで参加したいのですが……長期間コミュニティに主力が不在なのは良くありません。
……なのでレティシアさんと一緒に、お二人残って欲し―――――」
「「「嫌だ」」」
清々しいまでの即答。
十六夜たちは当たり前だという表情でジンを見ており、ジンは頭に手を当てながらやっぱりかというような表情を浮かべている。
「全く……仕方が無いね……」
俺は小さくぼそりとそう呟く。
「えぇ……困ったものです……」
どうやらジンにだけは聞こえていたらしく俺の呟きに呟きで返してきた。
どことなく疲れたような声色である。
「……じゃあ、残る人のうち一人は俺がしてあげるよ……」
「ほ、本当ですか夜鶴さんっ!!?」
「うん。
本当は俺も行きたかったんだけど……。
このコミュニティを守りたくもあるからね……」
「「夜鶴さん……」」
ジンと黒ウサギは感動したかのように俺の名前を呼ぶ。
……といっても当たり前の事を言っただけなのだが……。
「ともかく、一人は俺で良いとして……
誰かもう一人―――――」
「「「俺(私)が残る!!!」」」
ビシッ!!と優等生もびっくりの速度で挙手をする十六夜たち。
先程の明確なまでの拒否は一体なんだったのだろうか。
「オイオイ二人とも。
別に俺の事は気にせずに収穫祭を楽しんで来てイイんだぜ?」
「別に貴方の事なんてハナから気にして無いわよ。
そういう貴方こそ収穫祭に行ってきたらどう?」
「いやいや、此処は私に任せて二人とも存分に楽しんできたらどう?」
バチバチと火花を散らしながら睨み合う三人。
そんな三人を見かねたのかジンが口を開いた。
「でしたら一緒に残る人を……ゲームで決めたらどうでしょうか?」
するとその言葉を聞いた三人は睨み合うのを止めて一瞬考えるようにする。
「そうですね……例えば【前夜祭までに、最も多くの戦果を上げた者が勝者】というのはどうでしょうか?
これなら御三方とも公平に勝負ができる上に僕たち【ノーネーム】にとって有益なモノになるでしょう」
ジンは饒舌にそう語った。
どうやら十六夜たちと関わることで我らがリーダーは口が上手くなったようだ。
「ヤハハ!!
流石は我らがリーダー。
その案頂きだ」
十六夜はパチンと指を鳴らしながらジンにそういった。
そしてそのままニヤニヤという笑みを飛鳥と耀に向ける。
「それで二人はどうする?」
その言葉はまさに二人に喧嘩を売っているような、そんな雰囲気だった。
「……えぇ、分かったわ。それで行きましょう」
「うん。……絶対に負けない」
「ヤハハ。
俺も負けるわけにはいかねぇなぁ」
ゴゴゴゴゴ、という効果音が聞こえてきそうなほど三人は敵対心剥き出しで互いに宣戦布告をするのだった。
「……これって誰が勝っても確実に俺に被害が来るよね……」
今更ながらそんなことを思うのだが、まぁ、時すでに遅しというモノだろう。
あぁ、俺の今後はどうなるのだろう。
オーミが恋しい今日この頃。
そんな俺を見詰める瞳は怪しく輝いた。
本編は如何でしたでしょうか?
楽しんでいただけたら幸いです♪
ちなみに最後の一文は今後関係ある……かもしれません♪
さてさて、ここからはもぅただの雑談のようになってしまいますが、お暇でしたらお読みください♪
最近、腐女子として皆さんに弄られておりますが……
そろそろ私の性別もはっきりさせておこうと思います!
もう大半の皆さんは分かっているかもしれませんが……
私夜叉猫は一応性別は【女】ですっ!!!
人並みに彼氏が欲しいなぁ〜……とか考えるのですよ??
そもそもいきなり何故性別をはっきりさせたかといいますと……腐女子ならまだしもゲイだなんて言われたらそろそろ私泣きそうなのです……。
なのでっ!!!
性別位ははっきりさせておこうと思ったのですっ!!!
と、いうわけでこれからも私の作品をどうぞよろしくお願い致します♪
それではまた次回お会いしましょう♪