【凍結】問題児たちにチートが紛れ混んだそうですよ? 作:夜叉猫
これからはもっと頑張りますねっ!
それはともかく、久しぶりの本編をどうぞっ!
「ん。此処みたいだね」
猫耳少女に教えられた通りに道を進むこと数分。道が開けて広場のようになった場所に出た。
既にかなりの人数の人がいる。
「夜鶴。あそこに【
耀は俺の服の袖を引っ張りながらそういった。
俺はそれに反応すると、耀と一緒に【契約書類】を見るために近づいて行く。
○○○○○○○○○○○○○○○○
ギフトゲーム名【最強のペア】
・ルール説明
参加者は男女で組んだペアであること。
ゲーム参加には互いの合意が必要である。
・勝利条件
第一に互いの【力】を示せ。
第二に互いの【信頼】を示せ。
第三に互いの【想い】を示せ。
・敗北条件
上記の条件を満たせなかった場合。
・優勝賞品
互いの絆の証
・副賞
料亭【食物起源】の食事券
○○○○○○○○○○○○○○○○
「結構面白そうなゲームだね……。
どうする?耀。出場するかい?」
俺は【契約書類】から目を離し、耀の方を向いてそういった。
「やろう!夜鶴!」
目を輝かせながらやる気満々といった風貌で耀はすぐに答えた。
……副賞が目当てではないのを祈っておこうかな……。
「あははは……じゃあ、参加するで良いね?」
「うんっ!目指すは優勝ただ一つ!」
ガッツポーズをしながら耀はそういった。
……耀の頬に涎が少し垂れていたのは幻視だったのだと思いたい。
俺はこのギフトゲームへの参加を傍にいた係員に伝え、改めて【契約書類】を受け取るとギフトゲーム開始まで耀と会話をするのだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
しばらく耀と会話をしていると、前に黒いスーツで身を包んだ青年が現れたのが視界に入った。
「長らくお待たせ致しました。
只今よりギフトゲーム【最強のペア】を開始させていただきます」
黒いスーツの青年はそう宣言する。
どうやら、ようやく開始の時間になったようだ。
「私は本日ギフトゲームの司会進行を担当させて頂きます【オーネ=スロイ】と申します」
自己紹介をした黒いスーツの青年は恭しくお辞儀をした。
見た感じはただの青年のように見えるがその足運びや隙の無さはどう考えても玄人のモノである。
……何処かのコミュニティのメンバー……いや、リーダーといったところだろうか……
「どうかしたの?夜鶴」
俺がそんなことを考えていると耀が心配そうに俺の顔を覗きこんで来た。
「いやいや、なんでもないよ」
「それなら良かった……。
何か難しそうな顔してたから……」
急にしゅんとした表情を浮かべる耀。
何事かと思っていると、耀が再び口を開いた。
「……私とのデートは迷惑だった……?」
上目遣い気味に俺を見上げながらそういった耀。
……狙ってなくてこれをしているのならとんだ男殺しである。
「そんな事無いよ。
俺は嫌なことは嫌だというからね。
それに―――」
耀の頭を優しく撫でながら微笑む。
「こんな可愛い女の子とデートできるなんてむしろ大歓迎だよ」
「……はうぅ……」
耀は先程までのしゅんとした表情から嬉しそうに頬を緩ませる。
真っ赤とまではいかないがほんのりと頬が赤く染まっているところを見ると少し慣れてきたようだ。
「さぁ、あの司会の人の話を聞こうか?
このギフトゲーム優勝するんでしょ?」
俺がそう言うと耀は笑顔で首を縦に振った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ギフトゲーム【最強のペア】。
このギフトゲームは話を聞く限りでは三回戦に別れているゲームらしい。
その三回を全て勝つことができれば優勝となるようだ。
「まずは、皆さんに【力】を示して頂きます」
そういった黒いスーツの青年―――【オーネ=スロイ】―――は、パチン、と指を鳴らした。
すると俺たちの周りを黒いラインが覆ってくる。耀は少し不安そうな顔をしたのだが、俺の服の裾を握ることで紛らわしてるようだ。
黒いラインに覆われ数秒。
俺と耀は何処かの荒野に立っていた。周りを見渡せば他にも幾数かのペアたちが見受けられる。
「……夜鶴」
耀は俺の服の裾を握ったまま名前を呼んだ。
どうやらまだ不安が取れないらしい。
「大丈夫だよ。
これはただのステージ移動だろうしね」
「……そっか……」
耀は俺の言葉に大丈夫だと判断したのか、ゆっくりと警戒を解いていった。
しかし、俺の服の裾を握るのは止めない。
この体制が気に入ったようだ。
『え〜……皆さん定位置に着いたようですので、これからの説明をさせて頂きます』
何処からともなくあの青年の声が聞こえてきた。
おそらく声を送信しているのだろう。いわゆるスピーカーといったところだろうか。
『皆さんは五つのグループに分けさせて頂きました。
ひとつのグループに六組十二人の参加者が割り振られています』
ふむ……結構な参加者の数だったようだね……。
俺はその説明を聞きながらそんなことを考える。
『【力】を示して頂きます、と言いましたがその方法は簡単です。
それは―――』
少し溜めるようにする青年の声。
『―――勝ち残ってください。
つまり、【バトルロイヤル】。
自分のいるフィールドの他のペアを全て倒して下さい。
最後まで残ったペアの勝利です』
青年のその説明に周りのペアは少し動揺したようだが、すぐに辺りに注意するように構えた。
男性が女性を守るように構えるペア。
女性が男性を守るように構えるペア。
二通りに分けられるが、俺たちは違う。
―――まず持って構えない。
耀は俺の服の裾を握ったまま。
俺は袖口に手を入れたまま。
『それでは―――スタート!』
青年の掛け声と共に各ペアの強い方が駆け出す。
しかし、今回俺は攻防なんてするつもりはない。
「……耀、少し下がってて?
すぐに終わらせるからさ」
俺がそう言うと、耀はコクリと頷いて一歩後ろに下がった。
それを確認した俺は片手を突き出して【ギフト】を行使する。
「【
これは術者が敵と認識した者のみを不可避の聖なる光で攻撃する超上級魔法。
もちろん更新した【ギフト】は【
片手に灯った発光する聖なる光は俺の言葉により弾け、天へと打ち上がる。
そして、その光は地へと降り注ぎ、俺と耀以外の参加者たちにその猛威をふるった。
土煙が巻上がること数秒。
俺たちの手に勝利を告げる一枚の紙が現れた。
「……お疲れ様夜鶴。
凄い攻撃だね……」
耀はそう俺に声をかけてきたが、その頬は引き攣っている。
……やっぱりオーバーキルだっただろうか……。
「あ、あはははは……。
ありがとうね。耀」
そういいながら、俺は耀の頭を撫でた。
「〜〜〜〜〜♪」
気持ち良さそうに目を細める耀の姿はなんとも癒されるものだった。
皆さんいかがでしたでしょうか?
この後のギフトゲームもサクサクと進めて行きますので、あと二、三話で終わると思います!
本当に遅くなってしまってすみませんでした……
それではまた次回お会いしましょう♪