【凍結】問題児たちにチートが紛れ混んだそうですよ?   作:夜叉猫

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やっと書き上がりましたよ……

明日から高校生ですが……もっと書き上げたかったです……。

ともかく、高校生になっても書き続けて行きますのでどうぞ宜しくお願い致します♪


それでは本編をどうぞ♪


~ゲームの決着だそうですよ?~

―――境界壁・舞台区画。大祭運営本陣営、大広間。

 

黄昏時の夕日に染まる舞台区画の歩廊は、今や人一人見当たらない。

尖塔郡の影も傾き、陰る宮殿の大広間に集まった人数は、僅か五百程だろうか。

予想はしていたがやはり大半の参加者たちは病魔に冒されてしまったようだ。

それに加えてジャックなどの【出店物枠】には参加資格が無いことも判明した。

よって、集められたのは全体の一割未満の参加者となってしまった。

 

(……今回は早々に決着をつけたいところだね……)

 

未だに苦しんでいる耀のことを思うと直ぐにでも決着をつけたい。

俺は大広間の端の壁に寄りかかりながらゲームの開始を待っていた。

 

と、マンドラたちの話が終わったのかおぉ!という雄叫びが上がる。

ゲームクリアに向けての明確な方針が出来上がった事で士気が上がったのだろう。

俺はそれを見届けると外へと向かった。

 

ゲーム開始はもうすぐそこだ。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

Sideペスト

 

ゲーム開始時刻になり、私たちは再開前の確認を行っていた。

相変わらず布の少ない白装束を揺らしているラッテンは配下であるネズミに情報を収集させている。

すると、いきなり私の方を向くと口を開いた。

 

「マスターマスター。どうやら連中、私たちの謎を解いちゃったそうですよ~?」

 

「チッ。ギリギリまで最後の謎は解かれないだろうと踏んでいたんだがな……」

 

私はワンピースをゆらゆらと揺らしながら立ち上がると後ろで両手を組んだ。

 

「それはないわよヴェーザー。

あちらには夜鶴がいるわ。むしろ解かれない方が不思議よ」

 

そういいながら私はヴェーザーたちの方を振り向き、にやりとした笑みを浮かべた。

 

「―――ハーメルンの魔書を起動するわ。

私たちにとって温存する理由なんてもうないもの」

 

私の言葉に二人は凶悪な笑みを浮かべて立ち上がった。

 

「ふふ~ん。いよいよもって盛り上がってきましたね~マスター♪」

 

「おいおい油断するなよ?ラッテン。

少なくとも夜鶴は俺たちよりも格上だ。

【ギフト】の制限でかなり弱体化させたとはいえ強敵なのは間違いないぞ」

 

「……やっぱりそうよね」

 

二人は厳しそうな表情を浮かべた。

私はそれを見て微かに笑いかける。

 

「大丈夫よ。

策ならもう一つあるわ」

 

「策?」

 

ヴェーザーにゆっくりと歩み寄ると、指を綺麗に伸ばして額に押し付けた。

 

「ヴェーザー。貴方に【神格】を与えるわ。

開幕と同時に、魔王の恐怖を教えてあげなさい」

 

「……OKマスター」

 

ヴェーザーは楽しそうに笑ってそう返事をした。

 

……さぁ、夜鶴私たちのゲームの時間よ。

もう貴女に負けないわ。

 

 

 

Side Out

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

ゲーム再開の合図は、激しい地鳴りと共に起きた。

境界壁から削りだされた宮殿は光に呑み込まれ、激しいプリズムと共に俺たち参加者のテリトリーを包み込んだ。

辺りに広がっているのは今までの街並みとは別の何処か知らない街並み。

見渡せば数多の尖塔郡のアーチは劇的に変化し、木造の街並みに姿を変えている。

黄昏時を彷彿させるペンダントランプの煌めきは無くなり、パステルカラーの建造物が一帯。造り変えている。

 

「……やっぱりハーメルンの街なのかな?」

 

俺は一人建物の上で呟いた。

十六夜たちとはあらかじめ打ち合わせをしておいたので俺はゲーム再開時から既に別の場所にいた。

街並みが変化したからだろう。

他の参加者の驚愕の声が聞こえてくる。

 

「……さて、そろそろ動こうかな」

 

そう一言呟いた俺は建物の屋根を飛び回り目的であるペストを探した。

 

今回の俺の役目はペストの打倒。

正直俺だけでこのゲームをクリアする自信はあるが、それでは意味が無い。

 

―――十六夜はヴェーザーを倒し、更なるレベルアップ。

 

―――ジン君は統率力を付けることでリーダーとしての力を付ける。

 

―――黒ウサギは自己犠牲という言葉を無くし、ゲームに慣れる。

 

―――レティシアは失った【ギフト】を補うような戦う術を見つける。

 

それぞれにそれぞれの課題があるのだ。

そんな中で俺は何をするか、それは―――

 

「―――時間稼ぎと止め」

 

これが俺のやるべきこと。

十六夜たちの課題がクリアされるまでペストからの被害を無くし、終わったら直ぐにゲームを終了させる。

俺は右手に浮かび上がった紋章をチラリと一瞥した。

 

ギフトネーム【創作・妖精の尾(ギフト・オブ・FAIRY TAIL)】。

この【ギフト】は俺の知識の中にあったアニメ、【FAIRYTAIL】に登場する魔法を全て使う事の出来る【ギフト】。

使用していると右手に【妖精の尻尾】のギルドの紋章が現れるのが特徴だ。

難点としては、どのような魔法があるのかを把握しないといけないというものがある。

 

「……まぁ、創った俺が言うのも何だけど……チートだよなぁ……」

 

などと呟いていると、突然上空から黒い風が降り注いで来た。

それに対して俺は早速【ギフト】を使用する。

目的は黒い風の回避行動の補助!

 

「【流星(ミーティア)】」

 

その呟きと共に、俺の身体にはエネルギーが纏われ俺の移動速度を瞬時に上昇させた。俺の進んだ道を光の軌跡が彩る。

黒い風を完全に躱した俺は停止し、上空を見上げ、そこにいるであろう姿を確認した。

 

「やぁ、ペストちゃん。

いきなりとはびっくりしたよ」

 

ペストは身に纏った斑模様のワンピースを揺らしながら俺を見詰めてくる。

そして苦笑混じりに口を開いた。

 

「何がびっくりしたよ。

あんな速度で動けるなら驚きもしないでしょう?」

 

そしてペストは俺と同じ建物に降りて来た。

 

「良いのかい?ペストちゃん。

制空権を握ってた方が有利なんじゃないのかな?」

 

「それもそうね。

だけど今はここからにさせて貰うわ!!」

 

そう言ってペストは先程とは威力の違う黒い風を放って来た。

黒い風はうねり、俺の周りを囲むように逆巻く。

黒い『風』ならこちらも『風』で行こうかな!

 

「【天神の舞】!」

 

俺はそんな中で属性の違う黒い風を発生させてペストの黒い風を吹き飛ばす。

そして、散ったペストの黒い風に紛れながら一歩踏み出す。

 

「穿て風槍!【天神の指突】!」

 

その言葉と共に腕を無造作に振り上げた。

すると、俺の振り上げた腕から風の槍が放たれる。

ペストは飛来するそれを黒い風を圧縮することで盾にし、身を守った。

更に俺から間合いを開けるかのように後ろへ飛ぶ。追撃を恐れたからだろうか。

 

「天を駆ける俊足なる風を!【バーニア】!

天を切り裂く剛腕なる力を!【アームズ】!

天を護る守護なる精霊を!【アーマー】!」

 

そこで俺はサポート用の魔法を行使した。

間合いが開いた今なら邪魔はされないと踏んだからである。

 

「くっ!死になさい!!」

 

ペストは俺のサポート魔法によって上がった俺の力を感じたのか、黒い風を弾丸サイズに圧縮してばら蒔いて来た。

一発一発にとてつもない死の気配を感じる。

 

「【天神の怒号】!!!」

 

口から吐き出すのは風の属性をもつブレス。

向かってくる黒い風の弾丸を吹き飛ばしながらペストへの攻撃も行う。

 

「あぁぁぁぁぁぁッッ!!!」

 

屋根を抉りながらペストへと向かって行くブレスを叫びながら身体を捻り紙一重で躱したペストはそのままブレスをしている俺へと一直線で伸びてくる黒い風を放った。

 

「喰らいなさい夜鶴ッッ!!!!」

 

更にペストは着地した瞬時にまたもや弾丸サイズに圧縮した黒い風を先程の倍以上の速さで撃ち出した。

 

(うわぁ……もう殺す気満々な攻撃だね……)

 

おそらくあれは触れれば死を運ぶ風。

死の恩恵を与える神霊の御技。

あの死の風を貫通するには、物的な力では不可能。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――だからどうした?」

 

俺はブレスを即座に止めて両手を広げた。

そして、炎が両手に纏い始める。

 

―――右手に紅く煌々と燃える炎を

 

―――左手に黒く轟々と燃える炎を

 

 

「合わされ……【神】と【竜】の炎……!」

 

炎を纏わせたまま両手を組み合わせる。

 

 

「―――【竜神の煌炎】ッッ!!!」

 

 

両手を振り上げるそして、ペストの攻撃に向かって叩きつけた。

黒い風と弾丸は二色の炎で燃やされる。

混ざり合う異色の炎はその威力を何倍にも高め全てを灰に還す。

 

「そ、そんな…………」

 

ペストはそれを見ながら小さくそう呟いた。

おそらく全力であった攻撃を防がれた為のショックなのだろう。

 

と、その時辺りを一際大きい震動が襲った。

発生源であろう方角を見てみると一部分だけ焦土と化している場所が見受けられる。

 

(十六夜かな?それにしても派手にやったね……)

 

十六夜らしくてクスリと笑ってしまった。

 

更にそれに続くように後方で爆音が響いた。

シュトロムが崩壊していくのが目に映る。

そこには紅い鋼の巨人の姿も確認できた。

 

(あれは……飛鳥かな?今まで居なかったのはアレを手に入れる為ってところだろうね……)

 

何はともあれ、飛鳥が無事だったのが確認できたから一安心だ。

俺はくるりとペストの方を向く。

 

「……さぁどうする?【黒死斑の魔王(ブラック・パーチャー)】。

このゲーム俺たちの勝利が確定したよ?」

 

「……そうね、ラッテンもヴェーザーも……二人とも倒されてしまったみたいだしね……」

 

その表情には悲しみが浮かんでいる。

 

「私のゲームメイクは甘かったわね……。

貴女を弱体化させたと安心してその他まで気が回らなかったわ……」

 

ペストは悔しそうに拳を握り締めている。

その言葉は何かの懺悔にも聞こえる。

 

「……さぁ、夜鶴。フィナーレを飾りましょう。

私の全力全開……喰らいなさい……」

 

ペストはそう言うと両手を空へ向けて掲げた。

大気は渦巻きペストの下へ集まっていく。

黒い風は『死の風』へと姿を変え、色濃い黒の球体がペストの頭上に生成された。

 

「いいね……じゃあ俺も大技行ってみようかな……!」

 

そういった俺の足元に展開されたのは金色に輝く魔法陣。

 

「……『天を測り天を開きあまねく全ての星々……

その輝きをもって我に姿を示せ…………

ナトラビブロスよ我は星々の支配者アスペクトは完全な荒ぶる門を開放せよ』」

 

辺りは虹色に輝く空間となり様々な星々が浮かぶ。

光輝く星々に囲まれながら、ペストは頭上に浮かぶ『死の風』の塊を放った。

その表情には笑みが浮かんでいる。

 

「ハァァァァァァァッッ!!!!」

 

「……『全天八八星……輝る!』【ウラノ・メトリア】ッッ!!!!!」

 

星々はその輝きをもって対象を滅しようと動き出す。

『死の風』の塊と流れる星々は一瞬拮抗したかのように見えたが、それもほんの刹那の間だけ。

『死の風』の塊は霧散し、その後を続いて残りの星々がペストへと襲いかかる。

 

「……また……逢いましょう……」

 

ペストは消えそうな声でそう呟いた。

 

「―――また逢おうペスト(・・・)……」

 

俺の別れの言葉と共に激しい光を迸り星々は魔王・【黒死斑の魔王(ブラック•パーチャー)】と共に消え去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

―――境界壁・舞台区画。【火竜誕生祭】運営本陣営。

 

ゲーム開始から十時間後。

 

『偽りの伝承を砕き、真実の伝承を掲げよ』の一文がなされたのだろう。

今までハーメルンの街並みだった場所はまるで砕ける様に開け、元の北側の街並みに戻っていた。

その街並みの突然の変化に呆然とする参加者たち。

そんな中で白夜叉が霞の如くみんなの前に現れた。

恥ずかしそうに頭を掻いている姿は外見の年齢相応に見え、とても可愛らしかった。

 

「皆、よく戦ってくれたの。

東のフロアマスターから礼と…………お詫びを告げねばならんの。

偉そうにふんぞり返っておきながら、私は終始封印されたままだった。

いや、全く以て申し訳なかったのぅ」

 

そう恥じ入る白夜叉に、しかし、辺りからの批難の声は上がらない。

その光景で皆からの白夜叉への信頼がどれほどあるのかが手に取るようにわかる。

白夜叉の謝礼が終わると、次はサンドラが前に出て、その両手を広げる。

 

「―――魔王のゲームは終わりました。

我々の……勝利ですっ!」

 

その言葉が終われば、ワァッと歓声が上がる。

二人のマスターからの言葉によって、ようやく勝利を、実感できたのだろう。

呪いから開放された者。

同士の命が救われて涙する者。

魔王の脅威が去ったことで安堵する者。

白夜叉は暖かい瞳でそれらを見回すと号令を出した。

 

「傷ついた者はすぐに手当てを。無事なものはそれに手を貸すのだ。

それが終ったら…………魔王を倒した功績の授与と祝勝会を兼ねた誕生祭の続きだ。

覚えのある者はドキドキワクワクソワソワして待ってるが良いぞ♪」

 

白夜叉の期待させるような号令に一層大きな歓声が上がる。

俺はそれを微笑みながら眺めた。

そして、十六夜に静かに近づくと一言伝えた。

 

「……後は任せたよ?十六夜」

 

「やはは。この仕事くらいはやらせてもらうぜ」

 

十六夜は軽く笑ったがその瞳は真剣だった。

 

 

 

 

 

 

 

あ~ぁ。

やっと一段落ついたなぁ~……

後は―――

 

「―――皆がどう行動するかだよね」

 

そう呟いて考えたのはある女性たちのことだったのをここに記しておく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




と、いうわけで今回で原作第二巻までの内容が終わりました♪
次回からはどうしようか迷っているのですが……
みなさんはどれがいいですか?

1、原作3巻の内容に入っていく。

2、番外編をいくつか書く。

3、番外編として恋愛の話を書いてから原作3巻に入る。


なお、3の場合は全員告白まで行くのか、それとも何人かしか告白させないのかまでリクエストして下さると助かります♪





では、また次回、今度は【デート・ア・ライブ編】でお会いしましょう♪


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