【凍結】問題児たちにチートが紛れ混んだそうですよ?   作:夜叉猫

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やっと書き上がりました!!

そして皆さん…………

高校合格しましたっ!!!



これからは少しづつ投稿ペースをアップしていきたいと思います♪

みなさんからの感想、評価など、お待ちしています♪

それでは、本編をどうぞっ♪


〜造物主たちの決闘だそうですよ?〜

日が昇りきり朱色に染まる舞台。

その舞台中央にマイクを持った黒ウサギが歩み出てくる。

一瞬その場で止まると、大きく息を吸う。

そして、円状に分かれた観客席に向かって満面の笑みを向けた。

とても愛らしい笑顔だね。

 

『長らくお待たせ致しました!

火竜誕生祭メインギフトゲーム、【造物主たちの決闘】の決勝を始めたいと思います!!

進行及び審判は【サウザンドアイズ】の専属ジャッジでお馴染みの私、黒ウサギがお務めさせて頂きます♪』

 

黒ウサギの振りまく満面の笑顔に観客席からは歓声と、それ以上の奇声が舞台を揺らした。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉお!!!!!

【月の兎】が本当にきたぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」

 

「黒ウサギぃぃぃぃぃい!!!!

お前に会うために此処まできたぞぉぉぉおおぉぉぉぉお!!!!!」

 

「今日こそはスカートの中を見てみせるぞぉぉぉぉぉぉぉお!!!!!」

 

「黒ウサギたん蕩れぇぇぇぇぇぇえ!!!!!」

 

……一人マニアックな叫びをあげていたような……。

俺の思いもかき消されんばかりの一部観客の熱い情熱。

その情熱を真正面から浴びている黒ウサギは、笑顔を見せながらも黒ウサギのトレードマークの代名詞ウサギ耳をへにょり、と垂らしながら怯んだ。

おそらくあの情熱に言葉に言い表せない身の危険を感じたのだろう。

 

「…………………………。随分と人気者なのね」

 

歓声三割、奇声四割、情熱三割といった観客席。

その一部には一際大きく、輝く『~L・O・V・E 黒ウサギ♥♥♥~』の文字があった。

飛鳥は生ゴミの山を見るような冷めきった目でその一部の観客席を見下ろした。

 

「……これも日本の外の『異文化』というものなのかしら…………。

…………これも頭を柔軟にして受け入れないと……」

 

もはや、ハイライトの無い瞳でブツブツ呟いた飛鳥。

しかし、残念かな……それは、『異文化』じゃないんだ……。

飛鳥が居た時代から少し未来に日本で誕生するんだ……。

『オタク文化』としてね……。

 

「…………どうしたの夜鶴君?」

 

「……いや、頑張ってね」

 

俺は自然と、飛鳥の肩に手を乗せていた。

なんとも言えない感じが俺の中に生まれたのだ。

 

「そういえば白夜叉。

黒ウサギのミニスカートを絶対に見えそうで見えないスカートにしたのはどういう了見だオイ。

【チラリズム】なんて趣味が古すぎるだろうが。

前に語り合った芸術に対する探究心はその程度のモンだったのか?」

 

十六夜は一部観客席から発せられる情熱を聞いて思い出したかのように言った。

 

「……黒ウサギが居なくて助かったような助かってないような……」

 

「……お馬鹿……いえ、ただの馬鹿ね」

 

俺と飛鳥は十六夜たちの方を見てそう呟いた。

飛鳥が最近辛辣なのは気のせいなのだろう……。

そんな俺たちの言葉だったのだが、どうやら二人には届いていなかったらしい。

 

白夜叉は双眼鏡に食らいついていた視線を外して十六夜を不快そうに一瞥する。

その視線には明確な落胆の色が見える。

 

「……ふん……。おんしも所詮はその程度の漢であったか……。

そんなことではあそこに群がる有象無象となんら変わらんぞ……。

……いや、約一名ほど可能性のある奴がおった気がせんでもないが……。

ともかく、おんしは【真の芸術】を解する漢だと思っていたのだがの……」

 

「…………へぇ…………?

言ってくれるじゃねぇか。

つまりお前には、スカートの中身を見えなくする事に芸術的理由があるというんだな?」

 

白夜叉は無論、と言って首を縦に振った。

その表情にはまるで決闘を受ける歴戦の戦士のような気迫があった。

 

「……気迫の無駄遣いだなぁ……」

 

ついポツリ、とその言葉が漏れてしまった。

しかし、白夜叉はそんな言葉にも反応せず、腕を組みながら口を開いた。

 

「考えてもみよ。おんしら人類の最も大きな動力源はなんだ?『エロ』か?……成程、それもある。

……だが、時にそれを上回るのが『想像力』!『未知への期待』!!知らぬことから知ることの『渇望』!!!

小僧よ、貴様程の漢ならばさぞかし数々の芸術品を見てきたことだろう!!!

その中にも『未知』と言う名の『神秘』があったはず!!!

例えばそう!モナリザの美女に宿る神秘性ッ!ミロのヴィーナスの腕に宿る神秘性ッ!!夜鶴のスタイルの比率に宿る神秘性ッ!!!そして乙女のスカートに宿る神秘性ッ!!!

それらの神秘に宿る圧倒的な『探究心』は、同時に至ることのできない『苦渋』!!!

その苦渋はやがて己の裡においてより昇華されるッ!!何物にも勝る芸術とはそれ即ち―――

 

―――己が宇宙の中にあるッッ!!!」

 

白夜叉の熱弁に十六夜はズドォォォォォォオン!!!、という効果音が似合いそうな雰囲気で硬直した。

 

「なッ…………己が宇宙の中に…だと…………?!」

 

もはやコント並の衝撃の受け方である。

一方で、スカートの中身を熱く語る白夜叉に別の意味で衝撃を受けたサンドラ一同。

 

「し、白夜叉様…………?

何か悪いものでも食べたのですか…………!?」

 

「……サンドラちゃんは見ない方がいいかな……。

あんな大人になっちゃ駄目だよ?」

 

俺はサンドラと白夜叉たちの間に割って入ることでサンドラを隠す。

 

「……すまないな夜鶴。助かった」

 

マンドラからの感謝の……いや、同情の言葉。

 

「……ありがとう」

 

俺は白夜叉の熱弁の中に俺が登場してしまった事にショックを受けているのだ。

マンドラが俺の肩にポン、と手を置くと優しい声色で俺に声をかけた。

 

「……今度愚痴を聞いてやろう」

 

「……黒ウサギと【サウンドアイズ】の店員も一緒に良いかな?」

 

「勿論だ」

 

マンドラが神様に見えたのは錯覚では無いのだろう……。まぁ、俺が神なんだが……。

 

「そうだッ!!

真の芸術は内的宇宙に存在するッ!!

乙女のスカートの中身も同じなのだ!!見えてしまえば只々下品な下着達も―――

 

―――見えなければ芸術だッッ!!!」

 

白夜叉はみんなからの冷たい視線をものともせずに、握り拳を作ってそう言い切った。

そして、十六夜に双眼鏡を差し出すと再び口を開いた。

 

「……この双眼鏡で、今こそ世界の真実を確かめるが良い……若き勇者よ。

私はお前が真のロマンに到達出来る者だと信じておるぞ……」

 

「………………ハッ。

元・魔王様にそこまで煽られて、乗らないわけにはいかねぇなぁ………………!!」

 

差し出された双眼鏡をガッ!、と受け取ると、二人は黒ウサギのスカートの裾を目で追った。

訪れるかもしれない、奇跡の一瞬を逃すことのないように……。

 

 

……と、格好良く言ってみたものの、所詮は変態の行う馬鹿な行為だ。

そんな二人を見る俺たちは口を揃えて

 

「「「……馬鹿だ(な)(ね)(わ)」」」

 

そういったのだった。

そして、俺は耀の元へと向かった。

これ以上ここにいると本当に馬鹿が移りそうだ。

 

 

―――――――――――――――――

 

 

「お~い。耀~ジン君~レティシア~三毛猫~」

 

俺は舞台袖に居た耀たちに向かって手を振った。

 

「あ、夜鶴!」

 

耀は俺を見るとニコリと笑ってくれた。

そんな耀に急いで近づくと、今度は三毛猫が俺の頭の上に乗って来る。

 

『遅かったなぁ旦那』

 

「ごめんごめん。

色々あってね、それより時間は大丈夫かな?耀」

 

「ギリギリだけど大丈夫だよ」

 

耀が舞台から聞こえてくる声を聞きながらそういった。

俺が頭の上に乗った三毛猫を抱き抱えようと手を伸ばしていると、ジン君とレティシアが目をパチパチとして俺を見詰めているのが視界に入った。

三毛猫を完全に抱き抱えると、ジン君の方を見て口を開く。

 

「どうかしたの?ジン君、レティシアちゃん」

 

「い、いえ……その……」

 

少し詰まってしまったジン君を見たレティシアが、代わりに答えた。

 

「そのだな……まさか耀のサポートというのは……」

 

「それなら俺だよ?」

 

俺が、三毛猫と戯れながら簡単に答える。

 

「「………………」」

 

ジン君とレティシアは口をあんぐりさせながらこちらを見詰めてくる。

 

「さ、流石にオーバーキルではないだろうか?」

 

いち早くその状態から復活したレティシアは引き攣った笑みでそういった。

 

「大丈夫だよ。

俺は基本的には相手のサポート役しか攻撃しないから」

 

「し、しかし……」

 

ジン君がそれでも反論しようとしたが、それより先に舞台から黒ウサギの声が聞こえてきた。

 

『それでは入場していただきましょう!!

決勝戦第一ゲームのプレイヤー!

【ノーネーム】の春日部 耀と、【ウィル・オ・ウィスプ】のアーシャ=イグニファトゥスです!』

 

抱き抱えていた三毛猫をジン君に預けて耀と、一緒に舞台へと続く道にでた。

その瞬間―――耀の眼前を高速の火の玉が駆け抜けた。

 

「YAッFUFUFUUUUUUUuuuu!!」

 

「わっ…………!」

 

火の玉が駆け抜けたせいで仰け反った耀だったが、俺が優しく手を添えてあげることで支える。そのまま俺は添えている方の腕にふっ、と力を入れた。

すると、耀の体は持ち上がり俺の腕の中に収まる。

 

「よ、夜鶴っ?!」

 

「どうかした?耀。

それよりも大丈夫?怪我はない?」

 

「だ、大丈夫だけど……その……これは恥ずかしい…………」

 

現在の耀は俺にお姫様だっこされている状態だからか、顔が紅い。

俺がそんな耀に微笑んでいると、駆け抜けた火の玉の方から不満そうな声が聞こえてくる。

 

「何さ何さ!

せっかく【ノーネーム】の女が無様に尻餅ついているのを笑ってやろうと思ったのにさ!」

 

「……確かアーシャ=イグニファトゥスといったね……」

 

「ふんっ!このアーシャ様の名前を覚えるなんてよく分かってるじゃん!」

 

そんなことをやけに高飛車な声でいった少女は薄い水色の髪をツインテールに結っており、白と黒を基調とした派手なゴシックロリータを着ている。

 

「仕方が無いから……覚えててあげる(・・・・・・・)

 

「ッッ……?!」

 

耀をゆっくりと下ろしながらそういった。

少女―――アーシャからは息を呑むような声が聞こえた。

しかし、ほんの少しだけ【氣】を漏らして直ぐに消したからか、アーシャは首を捻っている。

 

「……あの火の玉……」

 

そんな中、耀は駆け抜けた火の玉の方に釘付けになっていた。

 

「は、ハァ?何言ってんのオマエ。

このアーシャ様の作品を【火の玉】なんかと一緒にすんなし。

コイツは我らが【ウィル・オ・ウィスプ】の名物幽鬼!!

【ジャック・オー・ランタン】さ!!」

 

「YAッFUUUUUUuuuuuuu!!」

 

アーシャが腰掛けていた火の玉に合図を送ると、火の玉は纏っている炎を振り解いてその姿を顕現させた。

その姿に耀だけではなく観客席の観客全てがしばしの間唖然となる。

轟々燃え盛る炎を灯したランプと、実体のない浅黒い布の服。

人の十倍程はあろうかというほどの巨大なカボチャ頭。

その姿はまさしく誰もが知っている【ジャック・オー・ランタン】そのものだった。

 

『ジャック!ほらジャックよ十六夜君っ!

本物の【ジャック・オー・ランタン】だわ!』

 

『はいはい!分かったから落ち着いてくれお嬢様!!』

 

先程までいた場所から飛鳥のらしくない程熱狂的な声とそれを止めようとする十六夜の悲鳴じみた声が聞こえてきた。

 

「ふふ〜ん。【ノーネーム】の癖に私たち【ウィル・オ・ウィスプ】よりも先に紹介されるなんて生意気だっつぅーの。

まぁ、このアーシャ様の晴れ舞台の相手をさせてもらえるだけで感謝しろよこの【名無し】ぃ」

 

「YAHO、YAHO、YAFUFUUUuuuuuu〜〜〜♪」

 

俺が苦笑しながら十六夜たちの方を見ていると不快な言葉が聞こえてきた。

 

(…………コイツら……ッッ!!)

 

俺は静かに拳を握り締めていた。

 

『せ、正位置に戻りなさいアーシャ=イグニファトゥス!

なお、ゲームスタートのコール前の挑発は控えるように!!』

 

「ちぇっ……はいは〜い。

分かりましたよ〜」

 

黒ウサギの言葉を小馬鹿にするような仕草と声色で舞台上に戻る。

黒ウサギ自身、もし審判ではなかったらとっくに激怒しているはずだ。

かくいう俺は―――

 

 

 

―――既にキレている。

耀をわざと転ばせようとし、

【ノーネーム】を馬鹿にし、

黒ウサギを嘲笑うかのようにした。

これは既に俺の琴線に触れているのだ。

 

……しかし、表面上には出さない。

この借りはゲームで返すのだから。

 

一緒に舞台上に登った耀は円上の舞台をぐるりと見渡して、最後に十六夜たちの居るバルコニーに向かって手を振った。

それに気づいた飛鳥は耀に向かって手を振り返してくる。

それを見ていたアーシャはその仕草が気に入らなかったのか舌打ちをして、皮肉げに口を開いた。

 

「大した自信だねぇ〜オイ。

私とジャックを無視して客とホストに尻尾と愛想振るって宜しくってか?【ノーネーム】はやっぱりお目溢しが必要なほど貧しいのかよ!

アハハハ!ダッサー!

んで?それって私たちに対する挑発ですかぁ〜?」

 

「うん」

 

「ふふふっ。良く言ったよ耀。

でも、それじゃあ生温いね」

 

俺はアーシャとジャックを見ながら口を開いた。

 

「……たかが小娘とカボチャが俺たちのコミュニティを馬鹿にするか。

なら、宣言してあげよう。このゲーム―――

 

―――俺たちの『完勝』だよ」

 

右の人差し指を立てながら頭上に上げた。

俺の言葉に眉に皺を寄せたアーシャ。

文句を言おうとしたようだが、それは黒ウサギの言葉に遮られた。

 

『―――それでは決勝戦第一ゲームの開幕前に、白夜叉様から舞台に関してご説明があります。

ギャラリーの皆さまはどうかご静聴の程を』

 

―――刹那、会場からあらゆる喧騒が消えた。

バルコニーの前に出た白夜叉は静まり返った会場を見渡して緩やかに頷いた。

 

「うむ。協力感謝するぞ。

私は何分、見ての通りの『お子様体型』なのでな。大きな声を出すのはちと苦手なのだ。

―――さて、それではゲームの舞台についてだが…………まずは手元の招待状を見て欲しい。其処に『ナンバー』が書いておらんかの?」

 

観客席では個々様々ながら、招待状を手にしてナンバーを見ていた。

ある者は、慌てて招待状を探し、

ある者は、招待状を置いてきた事を悔やんでいた。

そんな観客席を温かく見詰める白夜叉は説明を続けた。

 

「では其処に書かれているナンバーが、我々ホストの出身外門―――【サウザンドアイズ】の『三三四五番』となっている者はおるかの?

おるのであれば招待状を掲げ、コミュニティの名を叫んでおくれ」

 

しばらくざわざわとした後に一人の少年が招待状を掲げた。

 

「こ、ここにあります!!

コミュニティ【アンダーウッド】が三三四五番の招待状を持っています!!!」

 

おぉっ!!という歓声が上がった。

白夜叉は少年にニコリと笑いかけ、バルコニーから霞のように姿を消すと次の瞬間には少年の前へ立っていた。

 

「ふふ。おめでとう、【アンダーウッド】の樹霊(コダマ)の童よ。

後に記念品でも届けさせて貰おうかの。

宜しければおんしの旗印を拝見しても宜しいかな?」

 

そういった白夜叉は少年から木製の腕輪を見ると、微笑んだ。

そして、いつの間にかバルコニーへと戻っていた。

 

「今しがた、決勝戦の舞台が決定した。

それでは皆の者、お手を拝借」

 

白夜叉が両手を前に出す。それに習って全観客が、両手を前に出した。

俺と耀も互いの顔を見合わせながらも、両手を前に出した。

 

―――パン!と会場一致で柏手一つ。

 

その所作一つで―――

 

―――全ての世界が一変した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆さんお久しぶりなのです♪

コーナーとして【皆の雑談部屋】をしていましたが……
少し、時間が無いのでたまにやらせていただきますね。
……本当にすみませんm(_ _)m

しかし私の料理のお話はさせて頂きますのでどうぞ宜しくお願い致しますっ!



それにしても、今回はランキング15位にランクインしていて驚きました……。
これもみなさんのおかげですね♪

さて、今回の【夜叉猫の料理話】ですが…………
今回はカツを作ったのです!
鶏の胸肉を薄く切って、チーズを挟みます!
そして、小麦粉、卵、パン粉をつけてあげるのです!
ちなみに!パン粉は、食パンを使って作るんですよ〜♪
軽く凍らせたパン粉をおろしがねでおろして、それをフライパンで炒るんです。
すると結構おいしいパン粉の完成です♡

……自分で♡マークを使ったんですが……
果てしなく似合いませんね……

閑話休題

ともかく、みなさんもお試しあれ♪


次回もお楽しみに〜♪





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