【凍結】問題児たちにチートが紛れ混んだそうですよ?   作:夜叉猫

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最近番外編ばかり案が出て来ます……
例えば……

~問題児たちがお風呂だそうですよ?~

~耀ちゃんの夢と残し書きだそうですよ?~

~オーミとの休日だそうですよ?~

~十六夜をからかえだそうですよ?~

~飛鳥ちゃんのゲーム巡りだそうですよ?~

~黒ウサギが弄ばれるそうですよ?~

本編が進まないですぅ……

もし、今挙げた番外編で見たいモノがありましたらリクエストお願い致します。

では、本編をどうぞ♪





~襲撃されるそうですよ?Ⅱ~

「あれは……コミュニティ【ペルセウス】!!」

 

「……【ゴーゴンの首】と【翼の生えた靴】……伝説のままか……」

 

十六夜は先頭の男の持つ【ゴーゴンの首】を確認すると、そういった。

十六夜の言う物もそうだが、相手が【ペルセウス】なら他にも聞き覚え、見覚えのある物があった。

手に持つ楯は【アテナの楯】。頭に被る兜は【ハーデスの隠れ兜】と言った所だろうか。

……いや、あれからはそこまでのオーラは感じない。おそらくレプリカだろう。

 

「な、何故石化していないんだ?!!」

 

先頭にいる男は石化していないレティシアのみ(・・)を見るとそう叫んだ。

周りの男たちにも驚愕の表情が広がっていた。

 

「……仕方ない……おい吸血鬼を力づくで連れてこい」

 

「【ノーネーム】の連中はどうする?!」

 

「邪魔するようなら、構わん切り捨てろ!!」

 

男たちの会話に十六夜は不機嫌を全面に押し出して、獰猛な笑みを浮かべた。

 

「こりゃまいったな……。

……生まれて初めてオマケに扱われたぜ……。

手を叩いて喜べばいいのか、それとも……怒りに任せて叩き潰せばいいのか……。

なぁ……黒ウサギはどっちだと思う?」

 

「と、とりあえず本拠にお戻りください!」

 

黒ウサギは十六夜が暴れるのを危惧したのか、背中を押して屋敷へと行かせようとしていた。

 

「……そんなことしてたらレティシアちゃん連れ去られるよ?」

 

俺は比較的おとなしめに、感情を出さないように喋った。

目の前ではレティシアが自ら歩み出して【ペルセウス】のメンバーと会話している。

 

「頼む!!私はどうなっても良いから【ノーネーム】には手を出さないでくれっ!」

 

「ハッ!たかが【名無し】の為にその身を差し出すか。

……良いだろう。しかしお前は石化してもらうぞ」

 

そういった【ペルセウス】のメンバーの先頭にいる男はレティシアに褐色の光を浴びせた。

……あれがもし【現・ノーネーム】のメンバーならば今ここであいつらを叩きのめしてもいい……。

しかし、【箱庭】の世界は非情だ。

【物】、【恩恵】、【地位】、【名誉】、そして【人権】ですらギフトゲームに敗ければ失うのだ。

レティシアもそんな敗者のひとり。

敗者には敗者なりのプライドがある。

レティシアには【箱庭の騎士】そして【元・魔王】のプライドがあったはずだ。

そんなレティシアが自らを犠牲にしてまで助けようとした【ノーネーム】を、危険に晒してまで助けて欲しいと願う訳がない。

 

――故に俺はここで動かない。

 

レティシアを石化させた男たちは、ゆっくりと降りてくると、レティシアを乱暴に扱いながら捕獲すると、笑いながら口を開いた。

 

「……これで、よし……危うく取り逃がすところ だったな」

 

「ギフトゲームを中止にしてまで用意した大口の取引なんだ。

台無しになれば【サウザンドアイズ】の中に我ら【ペルセウス】の居場所はなくなってしまう」

 

「それだけじゃない。

箱庭の外(・・・・)とはいえ、 交渉相手は一国規模のコミュニティなんだ。

もしも奪われでもしたら――」

 

「は、箱庭の外ですってっ!?」

 

会話をしていた、【ペルセウス】のメンバーの男たちに慌てて近寄る黒ウサギ。

口にした言葉にまで焦りが出ている。

 

「一体……どういうことですか!!!

……彼らは―――【箱庭の騎士】は箱庭の中でしか太陽の光を受けられないのですよっ!?

それを箱庭の外に連れ出すなんて……っ!!」

 

「我らの首領(リーダー)が取り決めた交渉だ。部外者は黙っていろ」

 

突き放すような物言いをした男は、翼の生えた靴を羽ばたかせ空に舞い上がった。

それにしても……他のコミュニティにここまで堂々と侵入してくるとは……。

確か箱庭の世界では、他のコミュニティへの不当な侵入は侮蔑行為になるのではなかっただろうか……?

……そうか……確か彼らは『たかが【名無し】』と言っていたな……。

なるほど……ようするに【ペルセウス】は俺たちを『見下して』いるんだな……。

 

「こ、この……っ!!

貴方方はこれだけ無遠慮に無礼を働いておきながら、非礼を詫びる一言もないのですか!!?

それでよく双女神の旗を掲げられるものですね!」

 

「ふん。こんな下層に本拠を構えるコミュ ニティに礼を尽くしては、それこそ我らの旗に傷がつくわ。

身の程を知れたかが【名無し】風情が……」

 

「……な………なん……ですって……っ!!?」

 

黒ウサギから何かが爆発するような、そんなナニかが聞こえた。

 

(……黒ウサギがキレちゃったか……)

 

【ペルセウス】のメンバーたちからの数々の屈辱的行為、言葉……何より【ノーネーム】を馬鹿にされたのが許せなかったのだろう。

俺も今は静観してあるが……怒っているのだ。

しかしそこは、かろうじて残っている冷静さと理性、そして白夜叉の顔に免じて堪えている。

 

「……ありえない……ええ、ありえないですよ!!献身の象徴とまで謳われた黒ウサギをコレほどまでに怒らせるなんて……!!」

 

黒ウサギの髪は美しい青から緋色へと変化する。

辺りには黒ウサギから重圧(プレッシャー)が放たれた。

おそらくこれが黒ウサギの本気……箱庭の貴族の力なのだろう。

 

「いでよ……【雷霆神の槍(インドラのやり)】よ!!」

 

黒ウサギの手に現れたのは黄金の稲妻を纏い雷鳴を響かせる槍。

その稲妻は黒ウサギの怒りに呼応しているように辺りを焦がす。

 

「ま、まさか【インドラの武具】?!!

そんな馬鹿な!!あり得んレプリカだ!!」

 

焦ったような声を出す【ペルセウス】のメンバーの男たち。

黒ウサギは怒りのせいなのか、後ろから迫っている十六夜に気付かない。

 

「ならばその身で確かめるが良いでしょう!!!」

 

黒ウサギは緋色の髪を振りながら身体を捻らせると、槍を引きその槍を天に向かって放った――

 

「てい」

 

「フギャア?!!」

 

――かと思いきや、十六夜が黒ウサギのウサギ耳を力一杯に引っ張ったせいか、在らぬ方へと【雷霆神の槍】は飛んでいった。

 

「な、なにをするんですか十六夜さんっ!?」

 

「相手は仮にも【サウザンドアイズ】だろうが……。

――――それに……」

 

十六夜は不機嫌そうな表情をしながら思いっきり黒ウサギのウサギ耳を引っ張った。

 

「俺が、我慢して、やってるのに、一人で、お楽しみとは、どういう、了見だ、オイ!!」

 

「フギャアァッ!!!

お、怒る所はそこなんですかっ!?十六夜さんっ?!!」

 

十六夜は黒ウサギのウサギ耳をリズミカルに引っ張っている。

……心なしか十六夜の顔が楽しそうだ……。

 

「い、痛い痛いっ!!痛いですっ!!

い、いい加減にしてください十六夜さん!?

ボケていい場面とそうでない場面位はわきまえてください!

今はあの無礼者たちに天誅を……」

 

「……黒ウサギ残念だけど彼らは帰ったみたいだよ?」

 

「ふぇえ……?って本当に居ないっ?!」

 

俺の言葉に反応した黒ウサギはマヌケな声を出すと、空を見上げた。

あの短期間で全員消えた……?

……いや、あれは……

 

「なるほど……【ハーデスの隠れ兜】だな?」

 

十六夜が俺の思っていたことを代弁してくれた。

それにしても十六夜も鋭いな……まさか【ペルセウス】の名前だけで【ハーデスの隠れ兜】に辿り着くとは……。

十六夜のは鋭いより博識だと言うのだろうか?

 

「それにしても箱庭は広いな。

まさか空飛ぶ靴や透明になる兜が実在するとは……」

 

十六夜がわざとらしい動きで感慨深く頷く。

そんな十六夜を見た黒ウサギはジトーっと睨みつけた。

睨みつけられてやっと気づいたのか、十六夜は黒ウサギのウサギ耳から手を離してから首を横に振 った。

 

「……気持ちはわかるがやめとけ。

俺や夜鶴とかいう個人が揉めるのはともかく、コミュニティとしての【ノーネーム】が【サウザンドアイズ】と揉めるわけにはいかないんだろ?」

 

「そっ……それは……そうですが……」

 

「もし、詳しく話を聞きたいなら順序を踏んで、 事情に詳しそうな人に聞くのが1番だよ?黒ウサギ」

 

「この一件にはおそらく……いや、間違い無く白夜叉が絡んでいるぜ?」

 

十六夜は楽しそうに笑った。

俺もそう思っているのだが、如何せん情報が足りない……。

どんな考えで白夜叉がこんな行動をとったのか……。

俺が思考していると十六夜が口を開き始めた。

その顔には今から遠足に行く小学生のような無邪気さが感じられた。

 

「他の連中も呼んで来い。

どうもきな臭いからな……最悪その場でゲームになることもあり得る。

なら頭数はいたほうがいいだろ?」

 

「く、黒ウサギは飛鳥さんを呼んできます!!」

 

十六夜の言葉を聞いた黒ウサギは屋敷に向かって走って行った。

 

「あ、あははは……切り替え早いなぁ……」

 

「まぁ、駄ウサギだしな。

乗せるのくらいチョロいぜ」

 

十六夜はヤハハと笑い終わると、ニヤニヤとしながらこちらを見てきた。

 

「夜鶴は春日部を呼んで来いよ?

あ~……ただしあんまりイチャつき過ぎて遅くなるな?黒ウサギがうるさいからな」

 

「……十六夜少し……頭冷やそうか……?」

 

俺は十六夜に向かって全力の拳を振るった。

まぁ、半殺しで済む程度の威力に抑えているが……。

 

「フッ……!甘いな夜鶴!お前はワンパターンなんだよ!!!」

 

十六夜は右にかわしたのだが、そうは問屋が卸さない。

 

「甘いのは十六夜だよ!!」

 

拳を振り抜いた勢いを利用して回し蹴りを繰り出した。

……威力としては岩石が砕け散るくらいのモノを。

 

「なんだt……グフゥッ?!!」

 

十六夜はその体を浮かせながら後ろの茂みの中に飛んで行った。

 

「……天誅!!」

 

俺はそう叫ぶと、何故か一度合掌した。

さて……耀を呼びに行こうかなぁ……。

十六夜を蹴っt……十六夜にお仕置きしたお陰か気分が少し良くなっている。

……最近性格が悪くなったような気がするなぁ……。

 

「……耀ちゃん起きてるかなぁ……」

 

性格云々については、ひとまず気にしないことにした。

 

 

~~~~~~~~~~

 

 

【月光庵】に戻った俺は耀を起こしに部屋を目指した。

多分まだ寝ている筈だから、探す必要はない。

 

「耀ちゃん起きてるか~い?」

 

襖を開けて中に入ると――――

 

「にゃぁ~ん……///」

 

――――放心状態の耀がいた。

 

「『お嬢ぉぉぉお!!!?』」

 

その隣では、三毛猫が必死に耀を呼び戻そうとしていた。

 

「み、三毛猫……耀ちゃんはどうしたのかな?」

 

そう声を掛けた俺に、三毛猫は急いで近づいて来る。

 

「『お、お嬢が起きた時に変な紙を拾てな。

それをお嬢に渡したらこんな感じや!!

旦那!なんとかならへんか?!!』」

 

変な紙……ヤバいな心当たりがありすぎる……。

おそらくそれは、俺が残したメモだろう……。

冷や汗がツゥと頬を流れた。

 

「だ、大丈夫だよ三毛猫。

今はひとまず三毛猫が声を掛け続けてあげなよ」

 

真っ赤な嘘も良いところだが、今はこれしか言えない。

 

「『わかったで!!お嬢~!戻って来てぇな!!お嬢ぉぉぉお!!!』」

 

はたから見れば猫がにゃーにゃー言っていて可愛いのだが、内容を知ってしまうと結構洒落にならない。

俺はそんな耀と三毛猫を残して、十六夜たちの所に戻った。

――願わくば次帰って来た時には正気に戻っておいて欲しい……!!切実に……。

 

 

~~~~~~~~~~

 

 

「なんだなかなか早かったな夜鶴」

 

いつの間にか復活していた十六夜にそういわれた。

黒ウサギと飛鳥も既に集合していた。

 

「全く……こんな時間になんの用なの?」

 

口に手を当てながらあくびをする飛鳥。

どうやら寝起きらしい。

それにしてもよくあの騒ぎの中に寝れたのものだ……。

 

「ヤハハ!ちょっと遊びに行くからお嬢様も誘ったんだよ」

 

十六夜はカラカラと笑いながら飛鳥に言った。

そして、俺を見た十六夜はかなりの真顔で

 

「なんだ夜鶴。あの短時間で春日部を足腰立たないようにしたのか?」

 

なんて言ってくれた。

その言葉に飛鳥は一瞬キョトンとするといきなり顔を真っ赤にした。

……あぁ……意味を理解しちゃったんだね……

 

「こんの御馬鹿様っ!!!

何サラッとセクハラしているんでございますか?!」

 

黒ウサギも顔を赤くそして、髪を桃色に染めながら十六夜の頭をハリセンで叩いた。

 

「ヤハハ。勿論冗談だぜ?」

 

「言っていい冗談と悪い冗談がありますよっ!!」

 

「そ、そうよ!!十六夜君?!」

 

飛鳥もまだ顔が赤いが十六夜に抗議した。

飛鳥って結構初々しいんだなぁ……。

新たな発見だね。

 

「それより夜鶴、本当に春日部はどうしたんだよ?」

 

飛鳥の抗議をスルーした十六夜が俺に話し掛けてきた。

 

「あぁ……耀ちゃんなら……まだ心配だったから寝てもらってるよ」

 

「へぇ……まぁ、俺と夜鶴がいたら何にでも対抗出来るから大丈夫だろ」

 

サラッと嘘を吐いた俺に一瞬疑ったような目を向けたが、納得したのか相槌をうってくれた。

 

「さぁ!!そろそろ【サウザンドアイズ】に行きましょう!!!」

 

待ちきれないのか、黒ウサギがそういった。

すると、十六夜も軽く首を振り【ノーネーム】を出発した。

 

 

「おい夜鶴」

 

「うん?何かな十六夜」

 

しばらくすると、十六夜が話し掛けてきた。

その顔には疑問があるような表情が浮かんでいた。

 

「連中は【ペルセウス】なんだろう?

なら何故【ゴーゴンの首】を持っているんだろうな?」

 

「確かに【ペルセウス】は【ゴーゴン】を退治した後【アテナ】にその首を献上しているね……」

 

「だろう?ならなz「しかし……」なんだよ夜鶴……」

 

台詞を被せられたからか若干不機嫌な十六夜。

 

「【ゴーゴン】を退治したのは、あくまで神話上(・・・)の【ペルセウス】だよ?

もうひとつの……」

 

俺は空――星空――を指差しながら次の語を言った。

 

星座(・・)の【ペルセウス】は……一体どうなんだろうね?」

 

俺は悪戯な笑みを十六夜に向けた。

 

「!!!……そうか!そういうことか!

俺としたことが大事な所を見落としていたぜ……」

十六夜はその一言で閃いたのか一瞬で疑問があるような表情が消え去った。

 

「助かったぜ夜鶴」

 

「あははは……十六夜なら俺が言わなくてもいずれ辿り着いただろうけどね」

 

俺が苦笑いを浮かべながら歩いていると、飛鳥が空を見上げているのが見えた。

 

「こんなにいい星空なのに誰も外に出て居ないのね」

 

「こんだけの星空が観れるなら、充分金取れるぜ?」

 

「十六夜は直ぐにお金の話にいかない」

 

確かに美しい星空なのは同意するが、十六夜の話は同意しかねる。

黒ウサギと飛鳥の顔に苦笑が浮かんでいる。

 

「それにしてもこれだけハッキリ満月が出ているのに、 星の光が霞まないなんておかしくないかしら?」

 

「箱庭の天幕は星の光を目視しやすいように作られてますから当然ですよ?」

 

「そうなの?だけどそれ何か利点があるのかしら?」

 

「おいおいお嬢様、『夜に綺麗な星が見えますように』っていう職人の心意気が分からねえのか?」

 

「あら、それは素敵な心遣いね。とてもロマンがあるわ」

 

「……そ、そうですね」

 

「黒ウサギ、違うなら否定しようね?」

 

何とも言えないような表情の黒ウサギに俺はついそういってしまった。

問題児にペースを委ねると180°違う場所に着地してしまうからね……。

 

そんな話をしていると、目前に【サウザンドアイズ】の支店が見えてきた。

さぁ……どうなるかな……。

対応によっては――――

 

「――――無事じゃ済まないよ」

 

「何か言いましたか?夜鶴さん」

 

「い、いや、何でもないよ……」

 

つい口に出してしまったのだが、黒ウサギには聞こえていなかったようだ。

 

店の灯りはもう目と鼻の先だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はちょっと短めでした……

今日は夕食に春巻きを作ってみたんですが……
なかなか難しかったです……

皆さんも料理にレッツ・チャレンジです♪


皆さん感想というなのエネルギーを私に下さいませぇ~!!!

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