神社に続く石段。
「おや?待っててくれたのかい…それとも…元朝参りかい?まぁどちらでも構わないんだけどねぇ…」
神社の入り口ともいえる鳥居をくぐり現れたのは先ほど奥へ進んでいった語り屋だ。
「あけましておめでとうごさいます。」
「まぁ……年が明けちまったから言わんとねぇ?さて…挨拶も終わったし語るとしようかね。」
マコトは血の香りと蝋燭の灯りのある空間で目を覚ましてすぐに自分がなぜか起きあがれないことに違和感を持ち…確認すると自分が“縛られている”ことと“金色の瞳を持つ少女がいる”ことに気がついた。
金色の瞳の少女はマコトが巻き戻りの街で他の人たちのように同じ行動をするのではなく毎回別の行動をしていたことに気がつき興味を持っていたようだった。
しかし…まずは捕まえた適合者の相手をするためにマコトの前から姿を消した。
マコトは少女が居なくなったことを確認してから…刃の姿からマコトの姿に戻り今まで抑えてもらっていたノアとしての力を解放してもらいその力で壁を壊して隣の空間へと飛び移った。
しかし…ロードにはそのことは予想済みだったようでマコトに罰を与えるために追ってきた貴琉という悪魔に堕ちた者をマコトの前に呼び出した。
「恐怖が悪魔に恐怖してしまった…本当は恐怖する必要すらなかったはずなんだけど…まだ力が制御できていなかったせいか恐怖してマトモな考えが出来なくなっていた時だねぇ…」
恐怖してしまい正しい判断を出来なくなってしまったマコトは重大なミスを犯し貴琉に負け、心理的な束縛…神の結晶やノアの力が貴琉により破壊されてしまったという思い込みをさせられてしまった。
そのせいか…マコトの精神は不安定となりマコトの力が不完全に発動され…マコトの“精神”は日本の近くの海へと飛ばされた。
「この時…ゼロは完全には表に出なかったものの…ゼロはマコトの意識関係なしにできる範囲で神の結晶を操作し…なんとか日野本刃の姿を作り出したんだよ」
マコトが目が覚めたとき…気がついてはいないがゼロの努力のおかげで既に浜辺についていた。
ここがどこだかわからないマコトはとりあえず民家を探すために陸地を歩いていたが暫く経つといつの間にか濃い霧が発生しあっという間に何も見えなくなってしまっていた。そこであったのは人間ではなく狐の八宝だった。
「もし、この時マコトが八宝に出会わなかったらマコトは気づかぬ内に崖から転落死していたんだろうねぇ…つまり八宝は命の恩人とも言える」
幾宛のないマコトはそのまま八宝に保護されいつの間にかマコトは鍛冶師見習いになり、ある日八宝からとある武士の家に刀を届けろと言われ言いつけ通り刀を届けたのだが…その武士はマコトから刀を受け取った瞬間にAKUMAに撃ち殺されてしまう。
撃ち殺された武士が崩れ落ちていく…その後ろには武士を殺したであろうAKUMAがニタニタと笑い、マコトを次の獲物に狙いを定めたかのようにみつめていたのだ。マコトはすぐ逃げ出したからか何とかAKUMAから逃れられた。
疲れ果てたマコトは誰も立ち入らぬような小屋に入り大量を回復させ…暫く経ってから小屋からでた。
「マコトを追ってきたAKUMAはマヌケで律儀でねぇ…小屋ごと破壊してしまえばいいのにマコトが回復するまで待ちそこから再び逃走しようとするとソレを追おうとして獣を狩るための仕掛けにハマっては抜けられなくなりマコトに助けてもらうという…なんとも情けないAKUMAだったねぇ」
AKUMAを助けてから二日後…マコトの前にそのAKUMAが人間の姿をして現れ情報を教えてくれた。それは…日本に潜伏している元帥を探しにほとんどのエクソシストがこの日本(江戸)に来るという情報と覚醒しているノアの内一名をのぞき全員がエクソシストが目指している地である“江戸”に集まっているという情報だった。
約…一週間後…マコトは八宝の遣いでマヌケなAKUMAである幸介(マコトが名付けた)とともに江戸に最悪のタイミングで…エクソシストとノアが既に争っている最中に到着してしまったのだ。
千年伯爵の行動をみて瞬時に間に合いそうもない適合者の前に立ち千年伯爵の攻撃を防いだあと幸介を守りきれなかった戦力外の護衛に回してマコトは自分の前に現れた敵を見定める
そこに立っていたのは…自分の妹である零沙だった。千年伯爵の協力の元に手に入れたノアの細胞で不完全とはいいノア化した零沙はマコト…ではなく零を怒らせ『白色の風』という技を食らい瓦礫の中に埋もれた。
「だけど…マコトは元々精神が不安定になっていたこともあり永遠に表にでないと思われていた神の結晶側の人格…零に入れ替わってしまったんだよねぇ…」
「っと…ここまでしか話は進んでいないようだね…また話が纏まったら語るとするよ…」
語り屋は微笑んで一言。
「どうぞ…今年もよろしく御願いします」
と、言い光の粒となって消え去った