誠達が存在しなかった平和な日本…。
そこに…二本の角が生えた仮面をかぶった少女が一人路地裏を歩き…立ち止まる。
「おや?私に何かごようかな?」
何もない空間に話しかける。
しかし…少女は何かがいると確信しているようで…
「何も用がないのなら…私の後を着いてこないでおくれ…目障りなんでねぇ…」
少女は路地裏を進み…
「……はぁ…なんだい?アンタらは…ん?私が何者かって?はぁ…そんなのも知らずに着いてきたのかい……私は語り屋さ…名?そんなのはないよ。語り屋は語り屋さ?」
語り屋の少女は路地裏からでて季節はずれな桜の咲く神社へと続く石段に座った。
「ん?なんで私が今此処にいるかって…?そりゃあ…語る為さ…そうだねぇ…じゃあ…語るとするかね…」
「炎城寺誠の…物語をさ…」
悪魔の住む屋敷に仕える召使いの炎城寺誠。彼女は衰えた神のミスにより殺され異世界へと転生した。
しかし…彼女の望んだ特典の内一つはとても役に立ちそうの無いもの。神は呆れ彼女の特典が進化するように仕掛けた。
「そこから…マコトへ」
その事を知らずに転生を果たした炎城寺誠は赤子となり戦場で目を覚ました。
赤子になってしまった誠には歩くことも走ることなどもできはしない。唯一出来るとすれば…赤子らしく泣き叫ぶことしかできないのだ…。
そんなところへ…翼の生えた男。ネイルが誠を見つけ哀れんでか家にまだ動けぬ誠を連れ帰り母親に見せた。その時付けられた名が『マコト・フレイム』だ。
マコトはその日、仮の母親の世話を受け眠ったが…再び目が覚めたとき…そこは家ではなかった。
母親はネイルやマコトを奪われぬように家を捨て黒の教団から逃げ出したのだった…。
それから六年経ち…マコトはおそらく7歳くらいだろう。マコトは…ガラスの欠片の形になっていた神の結晶に触れてしまった。つまり…マコトはノアであるのにも関わらず神の結晶に適合してしまったのだ。
「そうそう…このとき…ゼロが“再び”目を覚ましたんだ…ゼロは目を覚ましたとき驚いて自分の存在とは別の存在として誤魔化してねぇ…ふふっ…だけど…次の難題がねぇ…」
マコトはその反動で意識を失い悪夢に襲われ…その悪夢の中で“自称”ノアのメモリーに出会いノア化を阻止に成功し目を覚ました。
その数日後…マコトは母親を守るためAKUMAの注意を引く囮となり…不注意で崖から落ちてしまい海を漂流した。その漂流した先がナイトメアという組織があった島だった。
その島にいたアリスという狼の少女はマコトを保護しマコトが目を覚ましたとき此処がどういう場所なのかを説明した。
「この時はまだ恐怖のメモリーの本当の力はまだしらされてなかったんだよねぇ…ゼロはマコトが能力を知ることを恐れたからねぇ……」
数日後…マコトは島から出て再び旅にでた。
たどり着いたのは…近くに集落すら近くになさそうな森の付近だった。
マコトは一度は毒キノコを食し倒れてしまったが…歩き続けた結果なんとか街にたどり着くことが出来た。
「マコトは街にたどり着く前に心鏡の新しい力を発見したんだよねぇ…そのおかげで日野本刃というマコトが演じる…架空の存在が作られ…マコトはその姿のまま街で働くことになった。」
マコトはこの街に入る以前に神の結晶が街に何らかの影響を与えていることを承知で街に立ち入ったが…後悔していた。
神の結晶が起こしている異常は『繰り返し』だったからだ。いくらマコトが必死に働こうとも実を結ばないという…苦痛を受けることになってしまったからだ。
しかし…何度目かの繰り返しの日はいつもと違った。
その日、配置が違うため放っておいた…イレギュラーともいえる存在の一人のミスを庇い、暴力を振られてから…仕事をクビにされた。その後マコトは気絶し…意識がないうちに…今回の異常な出来事の中に巻き込まれていった。
「ふぅっ…悪いね…一気に語るにはちょいと量が多い(技術が足りない)ようだねぇ…少し休ませておくれな…」
仮面をかぶった少女はそっと立ち上がり
「また…すぐに語るから…それまで少しだけ待っていておくれ…」
と言い…鳥居の中に消えていった。