刃「イェーイ!!おれの出番増えたぜぃ!」
残念ながら…お二人とも出番消えたけど。
誠・刃「「はぁぁぁあ!?」」
刃「ふざけんな!なんでおれまで!!」
刃にいたっては…元々名前が変わっただけで誠だし…
まぁ…『出番が消えた=人格が完全に変わる』ってことで…
誠「ぐす…なんで…僕は……」
刃「おれぇぇええええ……」
零沙は僕と対峙したままニヤニヤと笑い続けた。
「戦うんじゃなかったのか?」
「フフフ…僕知ってるんだ…マコ姉の弱点。行動パターンも戦闘スタイルも…全部知ってるんだ…だから僕はマコ姉の苦手なスタイルで…」
零沙は笑ったまま僕に一歩ずつゆっくりと近づいてくる。
「攻めてあげるよ」
いつの間にか零沙が視界から消えた…。
一度も目を逸らしていないはずなのにも関わらず一瞬にして消えてしまった。
「僕には才能がない…姉より全てが劣っていた…でもマコ姉は……フフフフフ」
新月ノ夜は僕の技。
気配で何となく零沙が僕の首にナイフを向けているのが分かる。
新月ノ夜は…恐怖されなければ意味がない。
おそらくナイフを使って恐怖を煽ろうとしているんだろう。しかも…零沙は恐怖が恐怖することを弱点と考えているみたいですね…はぁ…
たとえそうだとしても…恐怖が弱点だとしても…ナイフ程度恐怖対象じゃないんですよねぇ…。ナイフが恐怖対象だったらとっくに僕は…
僕はナイフであろう刃物を素手で掴み零沙が居ると思われるところに蹴りを加える。
「がふっ……」
感覚的にも…完全に当たったみたいですね。
未だに零沙の姿は確認できませんが…ナイフにかかった不可視は解けました。
「くっ…ふ…フフフフフフフフフフフフフフフ…」
突然姿の確認できない状態の零沙が不気味に笑い始めた。まるで嘲笑っているかのように…。
「……?」
「また…言わなかったね…」
言わなかった…?何を…?
「どうやら賭けの方はまだ僕の方が有利なようだね…僕に有利な賭け事なんてするから…フフフフフ」
完全に舐めてくれてますね…僕が弱いと…そう思っているようです。全く…呆れますね……。
「…はぁ…」
「あれぇ?マコ姉キレた?」
舐めた口利いてくれてんじゃないですか…僕と真面目に戦ってすらないくせに……本当に……
「あ、れ?なんか手に持ってたもの…鏡から剣に代って…」
持ち手に集められるだけ…エネルギーを溜めて…そして……零沙が居ると思われる場所を狙い定める…
姿が見えなくたって関係ありませんよねぇ…周りをすべて巻き込む攻撃なら…
「………白式の……」
「えっ…声低く」
放つッッ!!
「風ッッ!」
「えっ…ちょっ…まァァァアアアアアッ!!死ぬ!死んじゃうってばァァァァアアアアアッ!!」
剣から生じた衝撃波は次々と木々をなぎ倒し地面を抉って……零沙の真上に衝撃により巻き上げられた物が全て落下した。
「零沙…ミィツケタ…」
同時に…零沙の使っていた術が解除されて…不可視が解けたようですね…。
「うぇっ!?お、怒ってらっしゃる!?」
「怒ってねぇよ?ただ……なぁ?あんだけ…煽られちゃあ……黙ってろって方が無理だろ…」
あれだけ…馬鹿にしてくれたんですから覚悟の上ですよねぇ?
「だから…ちょっと反省してもらおうかと……な?」
「えっ!?『な?』じゃないって!」
「なんだよ?命乞いか?大丈夫死ぬことはねぇから安心しろ。ここに放置するだけだからな」
「なんか酷いっ!!」
さてと…幸介の元に行きますかな…。
「置いてかないでェエエエエエ!!」
なんか聞こえた気がしたが…気のせいだろう。
「それにしても……馬鹿みてぇに甘くなったな……俺も…中のメモリーも…」
弱く…なってしまいましたね…。
僕も…貴方も…甘くなって…しまいました……。
「…無理させてゴメンな…“フレア”」
貴方が謝るなんて…不思議ですね…。
それと…マコト…ですよ…今は…まだ…完全じゃないんですから…
「そうか…」
暫くは…お願い…しますね…“ ”
「おいおい…俺だって既に人間になっちまってんだぞ…?まぁ…いいか…じゃあ…おやすみ誠」
はい…おやすみ…なさい…。