第4十刃が異世界に来るそうですよ?   作:安全第一

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投稿が遅れました。

今回は少々長いです。

それではどうぞ。


4.彼等の選択

 ーーートリトニスの滝周辺の森

 

 それは、ウルキオラ達がカフェテラスで以前のコミュニティが壊滅させられた話をジンから聞いている同時刻であった。

 世界の果てに行くと言って姿を消した問題児、逆廻十六夜はその言葉通り、世界の果てにいた。その際に、付近を縄張りとしていた蛇神にギフトゲームを挑まれたが、『正体不明(コード・アンノウン)』の力を持って圧倒し、勝利した。

 そしてその後を追って来た黒ウサギは十六夜から自分達のコミュニティの現状が如何なるものなのかを看破されたのだ。

 ウルキオラは最初の黒ウサギの値踏みの視線で察していたが、それはウルキオラに限った事では無い。十六夜も同様に感づいていたのだ。ただ、それが確信として変わったタイミングが違うだけである。

 それ以前に黒ウサギの様子からそれを察する事は容易であったのだ。値踏みの視線もそうだが、十六夜がコミュニティに入る事を拒否した時、断固としてそれを否定した時点でヒントとなっていた。とはいえ、少なくとも黒ウサギは欺く事やそれを隠す事は下手な部類である事は間違いないだろう。

 十六夜に虚を衝かれた黒ウサギは動揺を隠せず、黙る他無かった。遂には観念し、今のコミュニティの状況を話した。リスクこそ大きいものの、黙ったままでは十六夜という強力な戦力を手放してしまう恐れがある為、腹を括って話したのだ。

 

「ーーーへえ、その魔王ってのが以前のコミュニティを壊滅させた訳か」

「……Yes」

 

 十六夜は、『魔王』と言う単語に興味を持ちながらその話を聞いていた。

 

『魔王』とは俗に、“主催者権限(ホストマスター)”と言うこの箱庭の世界における特権階級を持つ修羅神仏の中で、悪用している者達の事を指す。

 “主催者権限”の特徴はその権限を持つ者からギフトゲームを挑まれると如何なる理由が有っても断る事が出来ないと言うものだ。言うなれば、強制参加だ。

 そして『魔王』とのギフトゲームは必ずと言って良い程、魔王側に有利な条件が課せられている。その中でペナルティ条項が設けられ、その数や凶悪性はその主催者側の勝利条件に反比例している。

 基本的に『魔王』の主催するギフトゲームの勝利条件は『魔王を倒してクリア』か『魔王を無力化してクリア』の二つに分けられている。もしも三つ以上の勝利条件が記載されている場合は、ペナルティルールが書かれている若しくは隠されている。

 前者の勝利条件である魔王を倒すだけならば、困難を極める事は無い。だが、後者である魔王を無力化する場合は違う。

 魔王を無力化してクリアする場合は謎解きの要素が強い。例えば、その主催者側の魔王に関する伝承等だ。

 そしてその無理難題を押し付けるゲームにおいて、参加者側の知識不足や能力不足は全く考慮しない。そして参加者側でそれを補える者がいない場合、そのゲームは『無理ゲー』となり、クリア不可能となる訳だ。

 

 

 つまり、出来ない場合は出来ない本人が悪いと言う事なのだ。

 

 

 理不尽では有るが、現実は甘くない。ギフトゲームとは『クリア出来るゲーム』でなければならないのが原則であり、よく言えば『知識と力さえ有ればクリア出来るゲーム』なのだ。

 そして、黒ウサギの以前のコミュニティは『魔王』のギフトゲームに参加させられ、たった一夜にして壊滅させられたのだった。

 

「名と旗印を奪われ、中核を成す仲間達は一人も残ってはいません。ゲームに参加出来るのは、現リーダーであるジン坊っちゃんと黒ウサギだけ。後は一二○人余りの十歳以下の子供達ばかりなのですヨ」

「もう崖っぷちだな!」

「ホントですねー♪」

 

 十六夜の冷静な言葉に黒ウサギは笑いながらガクリと項垂れる。最早末期であるコミュニティでよく三年も持ち堪えたなーと不意に思ってしまうのだった。

 

「それでも皆、必死で生きています。遠くの川まで水を汲みに行き、住む所以外は皆死んだ土地だと言うのに……」

「ふーん。それならいっそ潰して、新しくコミュニティを作っちまえば良いじゃねぇか」

「だ、駄目です!!」

「何でだよ?」

「私達は、仲間達が帰って来る場所を守りたいのです! そして何時の日か魔王から名と旗印を取り戻し、コミュニティを再建したいのです!」

 

 黒ウサギが必死になり口にした言葉、それは彼女の紛れもない本心である。

 十六夜の言う通り、コミュニティを新しく作ると言う方法は最も手っ取り早いものである。だが、それはコミュニティの完全解散を意味する。それをしてしまえば最後、以前の仲間達が居た場所を失う事になるのだ。

 

 だからこそ、黒ウサギは仲間達の場所を守ると誓ったのだ。

 

 それは周囲のコミュニティから蔑まれる事になる。ノーネームや名無しは他のコミュニティから差別の対象とされるのだから。だが彼女達はそれを耐え抜き、そして今日、ウルキオラを除く三人の強力な戦力を召喚したのだ。

 

 今此処で言わなければ、彼等を召喚した意味が無くなってしまう。

 

「その為には十六夜さん達の様な強力な力を持つプレイヤーに頼る他有りません! お願いします! 私達に力を貸して下さい!」

「ふぅん。魔王を相手にコミュニティの再建ねぇ……」

 

 黒ウサギは深く頭を下げ懇願した。しかし対する十六夜は気の無い返事だ。彼女はその反応に不安で仕方ない。彼等は黒ウサギのコミュニティにとってたった一つの希望なのだ。此処で断られたら最後、黒ウサギのコミュニティは解散するしか無い。彼女は頭を下げたまま泣きそうな表情をしていた。

 

(ここで断られたら……私達は……!)

 

 この時、彼女は後悔していた。リスクなんて考えずに初めから話せば良かった、と。

 そして暫く黙り込んでいた十六夜の口が開く。それはーーー

 

 

 

「……いいな、それ」

 

 ーーー希望となって、返って来た。

 

 

 

「え……?」

「え? じゃねえよ。協力するって言ったんだ。もっと喜べ黒ウサギ」

「で、ですが……」

「魔王を相手に旗と旗印を取り戻し、コミュニティを再建する。ああ、そいつは浪漫が有る。協力する理由にしては上等な部類だ。精々期待してろよ黒ウサギ」

 

 立ち上がりながら十六夜はそう言った。黒ウサギは最初は戸惑ったものの、その言葉を聞いた途端、その艶の有る髪を緋色に染めながら嬉しそうな表情をした。

 

「有難う、ございます……!」

「おう、感謝しまくれ黒ウサギ。まあそれは置いておくとして、後は周辺の滝と世界の果てを見に行くか」

「は、はい!」

「あ、そう言えば」

「? 何でございましょうか?」

 

 十六夜はそう言うとそのまま滝の有った方角へと歩き出し、黒ウサギも慌ててそれを追って駆け出した。その際に十六夜が何かを思い出した様な顔をして、黒ウサギがそれを訝しげに見ながら質問した。

 

「多分だけどな、お前のコミュニティの現状について俺よりも逸早く察したのはウルキオラだと思うぜ?」

「え? ウルキオラさんでございますか?」

 

 十六夜のその言葉に黒ウサギは驚いた表情をする。それを見ていた十六夜はポケットに手を入れ、歩きながら面白そうな表情で話を続ける。

 

「ああ。俺がアイツの出で立ちを見た時、そこに全く隙が無かった。もしかすると、とんでもねえ世界にいたのかもな」

「確かに、あのお方からは唯ならぬ雰囲気が出ているのは私も感じました。ですが、それがどう繋がるのでございますか?」

「最初にこの世界へと飛ばされた時、俺達の中で最も冷静に状況に対応していたのはアイツだ。そこから相当な冷静沈着さが伺える」

「そうですね……。あのお方は湖に落ちる前に空中に立って落下を回避していましたから」

「そう言う事だ。後は俺がお前のコミュニティに入る事を拒否してそれに対して本気で怒った時があっただろ」

「は、はい。あの時は必死だったものですから……」

「あの時にな、アイツが顔を少しだけ顰めた所を見たのさ」

「え?」

 

 その事実に黒ウサギは驚愕の色を隠せない。十六夜は構わず、続けて言う。

 

「あれは何らかの組織にでも所属してなければ出来ない表情だ。恐らく以前の世界じゃあその何らかの組織に所属してたんだろうな。そしてこの時点で察していたに違いない」

「そ、そんな……」

 

 十六夜が看破する前からウルキオラによって既にバレていた。その衝撃の事実に黒ウサギは焦る。知識面は兎も角、実力では十六夜を大きく上回るであろう強大な戦力が他のコミュニティに渡ってしまう事を恐れての焦りであった。だが十六夜は焦りの一つも見せずに黒ウサギを落ち着つかせる。

 

「まあそんなに焦るなよ。アイツはホイホイ他所のコミュニティに渡る様な器じゃねえよ。もしかしたらお前の言うジン坊っちゃんにコミュニティの現状を直接言わせているかも知れねえし」

「……た、確かに、十六夜さんの言う通りかも知れないデスね。あの人、容赦無く何でも言いそうですから。というか私言われちゃいましたし……」

「……御愁傷様」

「同情しないで下さいっ!」

 

 フシャー!と怒る黒ウサギ。その彼女の中に有る不安は既に払拭されていたのだった。

 

 

 

 

 

 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 

 

 

 

 話の舞台は此方に戻り、ウルキオラの催促によって全てを語ったジンは悲痛な面持ちでその話を終えた。

 

「ーーーこれが、今の僕達のコミュニティの現状です」

「成る程ね。貴方が言いたいのはつまり、何のメリットも無い彼のコミュニティに入るくらいなら、此方のコミュニティに入らないかと。そう言う事ね?」

「そうです。私のコミュニティ、フォレス=ガロはコミュニティの旗印を賭けたゲームに連戦連勝。今やこの地域を治める程になっています。とはいえ、このカフェテラス自体は本拠が南区間に有るので手出しは出来ませんが」

 

 ガルドが得意気に話をする中、ジンは黒ウサギと同様に後悔していた。強力な戦力を持つ彼等に、真実を語る事無く欺けると思ってしまった自分を殴りたくなる気分だった。

 ウルキオラの催促で話してくれる展開に持って行ってくれたものの、彼がそうしなかったらそのまま黙るしか無かっただろう。そしてガルド=ガスパーに言われるがままとなっていたであろう。

 結局は彼が切っ掛けを作ってくれたからに他ならない。ジンだけでは真実を語ろうとする勇気すら無く、その一歩すら踏み出せなかっただろう。

 ジンはその後悔に苛まれ、項垂れてしまった。こんなに後悔するのなら、初めから話せば良かったと。彼もまた、黒ウサギと同様な事で後悔していた。

 

「ジン=ラッセルのコミュニティと何方(どちら)が裕福かなんて比べものにならないでしょう。もう一度言います、黒ウサギ共々私のコミュニティに入りまーーー」

「結構よ。ジン君のコミュニティで間に合ってるもの」

「……え?」

「は?」

 

 飛鳥の言葉にジンは顔を上げ、ガルドは笑顔のまま固まり、お互いに飛鳥の顔を窺った。

 彼女は何でも無い様な表情のまま、耀に顔を向ける。

 

「春日部さんはどうするの?」

「……私はこの世界に友達を作りに来ただけだから」

「あら意外。じゃあ私が友達一号に立候補してもいいかしら? 私達って正反対だけど、意外と仲良くやっていけそうな気がするの」

「……うん。飛鳥は私の知る女の子とちょっと違うから大丈夫かも」

「そう、よろしくね春日部さん」

『良かったなお嬢……お嬢に友達が出来てワシも嬉しいわ』

 

 女子二人の中に友情ムードが広がる。何故、こうも女子同士は仲良くなれるのか。それは分からないが、彼女達の中で共感するものが有ったのだろう。

 そんな中、ウルキオラは何事も無く紅茶を飲みながらそれを静観していた。友達と言う単語に反応したが、彼はそう仲良しこよしをするつもりは無い為、特に興味は無い。

 

「それで、ウルキオラさんは?」

「……俺が塵の率いるコミュニティの傘下に下るとでも思っているのか?」

「成る程ね、理由としては上等な部類だわ」

 

 飛鳥も自分の目から見て、ウルキオラは相当な強者である事は分かっている。そんな強者がホイホイと他所のコミュニティに率いられるがままの者なら、それは強者としての器では無い。彼女はウルキオラのその言葉を上等な部類として納得した。

 その様子にガルドは頬を引きつらせながら質問した。

 

「……何故、そのような結論に至ったのか教えて頂けますか?」

「だから間に合ってるのよ。春日部さんは聞いての通り友達を作りに来ただけ。ウルキオラさんは貴方のコミュニティに入る気は更々無い。そうよね?」

「うん」

「愚問だ」

「そして私、久遠飛鳥はーーー裕福だった家も、約束された将来も、全てを捨ててこの世界に来たのよ。今更恵まれた環境に入れられて、喜ぶとでも思う?」

 

 飛鳥はそうピシャリと言い切る。それに対してガルドは身を乗り出して反論しようとしてーーー

 

「し、しかしーーー」

黙りなさい(・・・・・)

 

 ーーー出来なかった。

 飛鳥が命じたと同時にガチン! とガルドの口が勢い良く塞がり黙り込んだ。

 その事実にガルドは混乱してしまう。口を開こうとしているが、開く気配は全く無く、声すら出ない。

 

「!?………っ!?」

「そういえば私、少し気になっている事が有るの。貴方はそこに座って、私の質問に答え続けなさい(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

 再び飛鳥が命じる。すると先程と同じ様に命令通りとなり、今度は勢い良く椅子に座り込んだ。

 こうなればガルドはパニックに陥る事は必然、抵抗すら出来なくなっていた。

 

(……ほう、此れは大した力だ。言葉で相手を支配するとはな)

 

 飛鳥の放つ、その理解不能の力を目にしたウルキオラはその能力に興味を持った。

 この様な力はウルキオラの世界でもそうはいない。相手を乗っ取り支配する術ならば同じ十刃であるゾマリ=ルルーの『(アモール)』が存在する。他には彼の主である藍染惣右介の相手の五感を支配する『鏡花水月』もそうだ。

 だが、目の前にいる少女は言葉だけで相手を支配している。

 とはいえ、此れは相手の霊格によって効果が左右される為、藍染やゾマリの様に確実な効果を齎す訳では無い。相手の霊格が自分より上の場合、それは意味を成さない。

 そのウルキオラの興味を他所に、飛鳥達の中で話し合いは続いて行く。

 

「ねえジン君。ブランド名にも等しいコミュニティの旗印を賭けたゲームはそうそう有るものなのかしら?」

「や、止むを得ない状況なら稀に。しかし、コミュニティの存続を賭けたゲームはかなりのレアケースですから」

「そうよね。此処に来た私達でもそれぐらい分かるもの。ギフトゲームに強制力を持たせる事によって“主催者権限”を持つ者は魔王として恐れられている筈。その魔王でもない貴方がどうして強制的にコミュニティを賭け合う様な大勝負を続けられるのかしら。教えてくださる(・・・・・・・)?」

 

 そして飛鳥の言霊がガルドに再び飛び、ガルドの抵抗とは関係無くその口は開き言葉を紡ぐ。

 

「き、強制させる方法は様々だ。一番手っ取り早いのは相手のコミュニティの女子供を攫って脅迫し、ゲームに乗らざるを得ない状況に持って行く事だ」

「あら野蛮。でも、そんな方法で組織を吸収しても彼等は従順に貴方の下で働くかしら?」

「す、既に各コミュニティから数人の女子供の人質を取ってある」

「な……!」

「……それで、その人質は何処に?」

 

 

「もう殺した」

 

 

 その事実に、周りが凍り付いた。

 

 飛鳥、耀、ジンの三人は目を開き、思考を停止させる。その中でウルキオラだけは動じる事は無かった。既に殺し殺されの世界にいた事で、その程度の事実など驚愕するに値しないからだ。

 ガルドは言葉を紡ぐ事を止めず、飛鳥の命令通りに続ける。

 

「初めてガキ共を連れて来た日、鳴き声が頭にきて思わず殺した。それ以降は自重しようと思っていたが、苛々は止まらずまた殺した。それからは連れて来たガキ共は全部纏めてその日の内に始末する事にした。だが身内のコミュニティの人間を殺せば組織に亀裂が入る。そして始末したガキ共の遺体は証拠が残らないよう腹心の部下に食わせーーー」

 

黙れっ(・・・)!!」

 

 ガチン!! とガルドの言葉の紡ぎは飛鳥の凄味を増した怒鳴り声で黙らせた。その飛鳥の表情には怒気が含まれていた。

 

「素晴らしいわ。ここまで絵に描いた様な外道とはそうそう出会えなくてよ。似非紳士さん」

 

 パチン、と飛鳥が指を鳴らし、それを合図にガルドを支配していた力が霧が晴れたかの様に解ける。混乱から脱出したガルドは怒り狂い、カフェテラスのテーブルを勢い良く叩き砕くと、

 

「こ……この小娘がァァァァァァァァァァッ!!」

 

 怒りの雄叫びと同時にその体を変化させた。元からピチピチのタキシードを着用していたそれは弾け飛び、黒と黄色のストラップ模様の虎へと姿を変えた。

 ガルドのギフトはワータイガーと呼ばれる混血種。人狼などに近しい種族である。

 

 そのワータイガーへと姿を変えたガルドはその丸太の様な太い剛腕を振り上げ、飛鳥に襲い掛かるーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー筈だった。

 

「喚くな、塵が」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは、ウルキオラの霊圧によって強制的に中断させられる事になった。

 ウルキオラはほんの僅かな霊圧を発し、ガルドにぶつけただけだ。

 そう、ただそれだけの行為でガルドの中に有る本能は危険信号という悲鳴を上げ、恐怖によってその体を無理矢理止めているのだ。

 ガルドの脚はガタガタと大きく震え、それは徐々に酷くなって行く。先程の怒りは恐怖によって塗り潰されてしまった。目の前の小娘を殺す事などどうでも良いと無意識で思ってしまう程に。

 

「先程の話など俺にとってはどうでも良い事だ。塵が取る手段など高が知れている。俺が口を挟むまでも無い。だが、敢えて言おうーーー」

 

 

 

 

 

「ーーー俺の周りで塵が喚くな。目障りだ」

 

 

 

 

 

 静かなる言霊を発するウルキオラ。それはガルドにとって死刑宣告にも等しい言葉となって聞こえて来る。冷や汗が流れ、それが止まる気配は一切無い。

 ウルキオラの僅かな霊圧と言葉。ただ此れだけの要素でカフェテラスの周りの四人は兎も角、周囲にいた無関係の者達まで1人残らず静まり返ってしまった。

 

 

 

 現在、街中で言葉を発する者は誰一人としていない。

 

 

 

 ウルキオラはガルドを一瞥する事すらせず、飛鳥に視線を向ける。その表情は呆れ返ったものであった。

 

「……おい」

「何かしら?」

「……俺はこの事に関わる気は無い。この塵をどうするかはお前が決めろ。俺が言える事はそれだけだ」

「あら、元からそのつもりよ」

 

 その素っ気無いウルキオラの言葉に飛鳥は不敵な笑みを浮かべ、椅子から立ち上がる。どうやら、飛鳥と耀はウルキオラの霊圧に当てられても特に影響は無かった様だ。とはいえ、当然と言えば当然なのだが。

 飛鳥はそのまま震え上がったままのガルドに歩み寄り、悪戯っぽい笑顔で話しかけて来た。

 

「無様ねガルドさん。そんなに震え上がってしまうなんていい気味だわ。でもね、貴方の様な外道はこれ以上にズタボロになって己の罪を後悔しながら罰せられるべきよ。ーーーそこで皆に提案なのだけれど」

 

 飛鳥のその言葉に固まっていたジンや周りの者達は我に返り、飛鳥を見上げて首を傾げる。飛鳥は細長い綺麗な手を逆さにしてガルドを指差し、

 

「私達とギフトゲームをしましょう。貴方の“フォレス=ガロ”存続と“ノーネーム”の誇りと魂を賭けて、ね」

 

 彼女は高らかにそれを宣言した。

 




安全第一のどーでもいい妄想


神のみぞ知る

↓濁音を抜くと

神のみそ知る=神のみそしる


……神の味噌汁って何でしょうか?
美味しいのかな?


以上、安全第一のどーでもいい妄想でした。

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