いつも更新が遅くて申し訳ありませんm(_ _)m
今回は約5500文字程度なので今までと比べると短めですかね。
あとはウルキオラのオリジナル設定が出ます。超絶チートです(白目
ですが、設定だけでその超越チートが直接出る事は有りません。
ではどうぞ。
“ペルセウス”との決闘から三日後。
ペルセウスとの決闘にて勝利し、仲間であったレティシアを取り戻したノーネーム内には少しずつだが活気が戻りつつあった。因みにレティシアの所有権は問題児三人が等分して3:3:4という事になった様だ。ウルキオラは最初から所有権などに興味が無かった為、それを放棄し問題児達に譲ったらしい。問題児三人は多少不服そうだったが、所有権を放棄した時には既に姿を消した後であった為、仕方なく三人で等分したのだった。
後はレティシアがメイドになった事だろうか。レティシア自身はそれを承認したので問題児からもそれ以上の追求は無かった。特に飛鳥が金髪の使用人に憧れていたようで大層喜んでいたそうな。
「えーそれでは! 新たな同士を迎えた“ノーネーム”の歓迎会を始めます!」
そして現在、子供達を含めたノーネーム一同は水樹の貯水池付近に集まり、歓迎会を開いていた。
ワッと子供達が歓声を上げ、長机の上にささやかながら並んでいる料理に有り付き始める。ノーネームの九割は殆ど子供達だったので子供だらけの歓迎会となっていたが、問題児やウルキオラも悪い気はしていなかった。
「だけどどうして屋外の歓迎会なのかしら?」
「うん。私も思った」
「黒ウサギなりに精一杯のサプライズって所じゃねえか?」
「………」
問題児達やウルキオラはノーネームの惨状を見ていた為に気付いていたが、ノーネームの財政は彼等の想像以上に悪い。下手をすれば一週間と持たずに金蔵が底をつく程に。
例え問題児三人が本格的に活動した所でたかが知れており、百人以上の子供達を支えるのはほぼ不可能な状態だろう。ウルキオラがその気になって辺りの魔王を滅ぼし回ればまた話が変わって来るが、それでも財政が潤う状態になるにはかなりの時間が掛かってしまうに違いない。
だが以前のノーネームが魔王によって滅ぼされてから三年もの間、子供達は耐えて来たのだ。それによるストレスを感じてしまう子供もいるだろう。そういう意味でも、召喚された問題児達やウルキオラは英雄と言えた。ペルセウスという格上のコミュニティやフォレス・ガロとの戦いを制したのだから、当然と言えば当然なのだが。
実際、食事を多少多くしても贅沢だと認識してしまう程に彼ら子供達は耐えていたのだ。
なら今まで我慢に我慢を積み重ねて来た子供達に騒ぎながらお腹いっぱい飲み食いする、という贅沢を与えても罰は当たらないだろう。そういった惨状を知っている飛鳥は、苦笑しながらため息を吐いた。
「無理しなくて良いって言ったのに……馬鹿な子ね」
「そうだね」
飛鳥の言葉に耀も苦笑で返す。すると、黒ウサギが大きな声を上げて注目を促す。
「それでは本日の大イベントが始まります! 皆さん、箱庭の天幕に注目して下さい!」
問題児達やウルキオラを含めたノーネーム一同の全員が空を見上げ、箱庭の天幕に注目する。
箱庭の夜は満天の星空であった。空に輝く星々は今日も燦然と輝きを放っている。
その数秒後、箱庭の星空に異変が起きた。
「………あっ」
その異変に気付いたノーネーム一同の誰かが声を上げた。
最初の異変が起きたのを皮切りに、次々と連続して星が流れる。コミュニティの誰もがそれを流星群だと気が付き、口々に歓声を上げた。
そして黒ウサギが十六夜達や子供達に聞かせるような口調で語る。
「この流星群を起こしたのは他でもありません。我々の新たな同士、異世界からの四人がこの流星群のきっかけを作ったのです」
「え?」
「……」
子供達の歓声の裏で、十六夜達が驚きの声を上げる。しかし黒ウサギは構わず話を続けて行く。
「箱庭の世界は天動説のように、全てのルールが此処、箱庭の都市を中心に回っております。先日、同士が倒したペルセウスのコミュニティは、敗北の為にサウザンドアイズを追放されたのです。そして彼らは、あの星々からも旗を降ろす事になりました」
その事実に問題児達三人は驚愕し、完全に絶句した。ウルキオラも驚きこそしなかったが、多少の興味を持つ程であった。
「───……なっ……まさか、あの星空から星座を無くすというの……!?」
「……ほう」
刹那、一際大きな光が星空を満たす。
そして、そこにあったはずのペルセウス座は、流星群と共に跡形もなく消滅していた。
それはこの箱庭に召喚されてから最も奇跡の度合いが違うものだった。
思わず言葉を失う問題児達とは裏腹に、黒ウサギは進行を続ける。
「今夜の流星群はサウザンドアイズからノーネームへの、コミュニティ再出発に対する祝福も兼ねております。星に願いを掛けるのも良し、皆で観賞するも良し、今日は一杯騒ぎましょう♪」
そう言い嬉々として盃を掲げる黒ウサギと子供達。そしてそれどころでは無い問題児達三人。未だに満天の星空を眺めているウルキオラ。
ウルキオラは手に持っていた料理の一つに口をつけ、それを食す。咀嚼する毎に料理の味がウルキオラの味覚を満たしていく。
(……元々破面の性質故に、食事をする事など無かったが……)
中々に美味だと、そう感じたウルキオラ。
彼は思う。
───これも、心が在る故に感じるものの一つなのか、と。
───人間達はこう言ったものを毎日食し、会話をし、心を通わせ合っているのか、と。
中々に理解し難いものだ。だが同時に、これも悪くないとも思っていた。
人と人との触れ合いの中に在るものこそが『心』だ。今ノーネーム一同がこうして食事をして会話をし、心を通わせ合っている。それが子供達が笑顔になっている理由の一つでも有るのだ。その光景を眺めている故に、悪くないものだとウルキオラはそう思った。
(……騒がしいのは、俺としては好まないのだがな……───)
ウルキオラは星空を眺める。
この箱庭の世界にやって来て、新鮮な体験ばかりだ。
虚夜宮のような偽物の日の光ではなく、本物の日の光。
虚圏の夜空には無い、煌めく無数の星々。
十刃とはまた違う毛色の仲間。
今ある子供達の純粋な笑顔と心。
そのどれもが自身の世界では知らず得る事も無かったものばかりである。
だが、何よりもウルキオラ自身が少しずつではあるが変わって来ている。己の思考も、その在り方も。
これも井上織姫から学び得た『心』有るが故なのだろう。生憎と、ウルキオラ自身はそれに気付いていないが。
(───……それはそうとして、だ)
ウルキオラは視線を星空から自身の掌へと移す。そして掌を握っては開き二度、三度とその動作を繰り返す。
(……やはり、か)
どこか納得したかのようにウルキオラは再認識する。やはり、これは錯覚では無かったのだと。
───己の力が、現在進行形で上昇し続けている。
その原因は箱庭の世界に来た直後の出来事ではなく、つい最近起きた出来事であった。
卍解の習得。
完全虚化と戦い、勝利した故に得た力。確かに卍解を得た後は、己の霊格が更に格段に上昇していた。そこまでは良い。
だが卍解を得て以降、霊格の上昇が止まらないのだ。但しその上昇速度が急速ではないものの、ゆるりとした速度でも無い。たった一日で元の世界にいた頃のウルキオラ一人分、と言った所か。流石に帰刃状態のウルキオラ一人分ではないが、通常状態ですら虚化した黒崎一護に多少劣る程度である為、その強大さは説明するまでも無い。
(……成程、天月が言っていたのはこう言う事か)
それを理解したウルキオラは、まだ最近である過去を掘り起こし、思い出していた。
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「……成程、卍解の使い方は大体解った」
そう言い卍解状態を解除して元の通常状態へと戻るウルキオラ。対する天月も姿こそ変わらずフードで顔を隠しているものの、卍解を解除した。
「まあ三日間も卍解を使い続けていれば感覚を得られる。かく言う黒崎一護も三日間掛けて卍解を習得したのだからな」
「……そうか」
卍の形を模る鍔が特徴である斬魄刀、天月を鞘に納める。
「そろそろ戻った方が良いだろう。今頃、お前の仲間がギフトゲームをクリアしているだろう。詳細は逆廻十六夜にでも聞くと良い」
「……解った」
そう返事をしたウルキオラは踵を返し、歩き始める。そしてそのまま精神世界から脱出しようとした。
「ああ、一つだけ言っていなかった事が有る」
「……何だ?」
『天月』が何かを思い出したかのような表情(顔は隠れて見えないが)をし、ウルキオラを呼び止める。ウルキオラもそれに応じて足を止めた。
「お前の今の力は星霊級だが、その程度の枠に収まるほどお前の力は安くは無い。黒崎一護の霊圧を得た故の全体的な能力の大幅上昇も、それとは逆で
「……何だと?」
表情こそ変えないものの、興味を誘うその言葉にウルキオラは訊き返す。どういう意味だ、と。
「今のお前の力はたったほんの一部だ。お前の元々の力は
「……何?」
その言葉にウルキオラは少し驚愕する。破面や死神の枠組みでは無いなどと、直ぐに信じられるものではない。
「お前は元々『虚無』から生まれた存在だからだ。つまり『無』そのものを極限まで縮小化したものがウルキオラ・シファーという存在だった」
「………」
「おかしいとは思わなかったか? 強大な力と引き換えに超速再生能力の大半を失う破面達の中でお前だけが脳と臓器以外の全ての体構造を超速再生出来る事に。
疑問とは思わなかったか? 崩玉を介してやらなければ誰も出来なかった破面化を、お前は不完全ながらも自力で成し遂げた事に。
不思議とは思わなかったか? お前だけが、帰刃の第二階層という領域に辿り着けた事に」
「……!」
確かにおかしいとは思った事は無い事は無い。だが疑問と言えるものでも無かった為、深くは考えなかった。
だが、そうなった理由が自らの出生に関わっているならば、是非とも聞きたいものだ。
「ふむ、今更隠しても別に不都合は無いからな。今ここで言ってやろう。お前の正体は───」
───『絶対無』だ。
「何……!?」
「いわば有りと凡ゆる総ての『無』そのもの、と言えば良いだろう。『無の総体』と言っても良い」
その事実に、今度こそウルキオラは驚愕した。自身が『虚無』である訳には、己自身が『無』そのものであるなど思いも寄らなかったのだ。
「何故『絶対無』であるお前が態々格を限り無く落としてまで生まれ落ちたのかは解らないが、大方そうする事で何かを得たかったのだろうな。
そして何かを得た後、再び『絶対無』に戻ろうと細工したに違いない。その『絶対無』に戻る鍵となるのが、“究極の領域に到達した黒崎一護の霊圧そのもの”だったという訳だ」
しかし絶対なる無が何かを得たかったとは皮肉な話だがな、と最後に付け加える。
「だが『心』以外の何かを得た所で何も変わらなかっただろう。『心』でなければならなかったのだ。『絶対無』が最も求めていたものとは『無限の可能性』である『人の心』だっただろうからな」
「……心、か」
ウルキオラは自身の胸に手を当てる。破面にも内臓がある為、正常に動いているその鼓動が感じられる。その中には、新しく『心』というものも存在していた。
だがウルキオラ自身はそれを得たばかりである故に、まだ『心』というものを完全に理解し切れていない。理解しなければならない。それが自身の使命だと無意識のレベルでそう刻み込んでいたから。
「お前本来の力が戻るにはお前の内に在る“四つの扉”を開く必要がある。だが、その内既に二つは開かれている」
「……“黒崎一護の霊圧を得る事”と、“卍解の習得”か」
「ご名答。そして“第三の扉”を開けるには『真の卍解』を習得する必要がある。だが今はお前本来の力を馴染ませた方が良い」
「……ああ。その方が良さそうだ」
「最後の“第四の扉”を開ける条件だが……まあこれは『真の卍解』を得た後でも遅くは無いか。お前も解っているようだしな」
「……執拗に聞く程、俺は知りたがりでは無い。『心』の理解については別だがな」
「お前がそれで良いなら別に構わない。さて、最後に言っておくが良いか?」
「……何だ?」
心なしか力が入っている様な感じがするその声に、ウルキオラは翠の双眼を『天月』に向けて言葉を待つ。
「『絶対無』そのものはあまりにも強大だ。寧ろ強大などという表現すら間違っている。何せ無量大数を超越したその更に先の領域だからな。お前の持っている今の力など塵芥に過ぎない。それ程までに強大過ぎる力だ」
「……ああ」
「だからこそ言っておく。
『絶対無』へと戻るまでには『心』を理解しておけ」
───そうしなければ、恐らくお前は後悔するだろうからな。
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「………」
ウルキオラは再び満天の星空を見上げる。その光景は正に神秘的である。
そして思う。『天月』の言っていた『後悔』も心有るが故に感じるものなのだろうかと。
ならば是非ともそれを感じたいものだが、それに似たものは過去に感じた事があった。
───ようやくお前達人間に、少し興味が出て来た所だったんだがな。
恐らく、あれが『後悔』というものなのだろう。人間の心に興味を持ち始めた所で自身の消滅。確かに悔やまれるものだった。
だが今はこうして別世界で『心』を理解しようとしている。そして、それを理解する前に『絶対無』に戻れば再び後悔すると言う。
あれは何度も感じたくはないものだ。幾ら『心』の理解を求めていようと、それが全て水の泡となってしまえば元も子もない。
ならば『絶対無』に戻る前に『心』を理解するだけだ。『天月』の言う“第四の扉”が開かない限り、ウルキオラが『絶対無』へと戻る事は無い。そう、時間は幾らでもあるのだ。じっくりと時間を掛けて少しずつ理解していけば良い。
黒崎一護。
井上織姫。
「……何時かは、お前達の様な心を持った人間になれるのだろうか」
ウルキオラは一人、そう呟く。
変化はあれども、心はまだ理解の外。
ウルキオラの超越チートは他の作品である『藍原延珠が転生(という名のやり直し)をして里見蓮太郎の正妻になる為に色々と頑張るお話』でちょっとだけ出てきます。
はっきりいって反則にも程があるぐらいの超越チートですのでご注意下さい。
強さで言えば神座シリーズの第六天波旬といえば分かりやすいですかね?
それと同等、またはそれ以上なのでオッソロシイDeath(白目
あ、それとウルキオラvs十六夜はいつ見たいですか?
バトルシーンだけは執筆速いので恐らく三日以内に出来上がります(笑
わたしでは決め切れなかったので二択で選んで欲しいです。
①:次回
②:ペスト戦後
活動報告で集めてますのでよろしくお願いしますm(_ _)m
感想欄の方にやっちゃダメよ〜ダメダメ♡