縁結びの神の恋~ノラガミ   作:マニック

8 / 9
イズモガミの実力

イズモガミは毘沙門に指を指したまま動かない

 

 

動けない。

 

毘沙門ほどの武神とやりあうとなれば、イズモガミも最高の集中力を出さなければやられる。

 

毘沙門は幼馴染の自分であろうと剣を振り上げてくる。

 

そのことをイズモガミは分かっているのである。

 

一方、毘沙門は自分の前に立ちはだかっているイズモガミを凝視していた。

 

イズモガミが毘沙門を止めることはこれが初めてではない。

 

毘沙門が夜トを殺そうとしている時にはいつもきまってこのイズモガミという男が現れる。

 

いつも毘沙門がその手を血に染めることを止める。

 

毘沙門がいまだに夜トえお殺せないでいる最大の理由

 

それはイズモガミの存在なのである。

 

毘沙門にとってイズモガミは幼馴染であり、極めて大切な存在となっている。

 

それは小さい頃からの付き合いだからなのか

 

恋なのか

 

友情なのかは分からない。

 

しかし、毘沙門が世界で唯一自分の全てを知っていると断言できる者は

 

イズモガミしかいないのである。

 

毘「そこをどけ、イズモ!

  

  また邪魔をするのか、きさまは!」

 

毘沙門は眉間に皺をよせて言う。

 

イ「当たり前だ!

 

  お前の手は命を奪うためにあるんじゃねえ!」

 

イズモガミも負けじと言い返す。

 

次の瞬間

 

イズモガミの持っている日本刀と毘沙門の大剣がぶつかる

 

イ「毘沙門!

 

  剣をおさめろ!

 

  俺に一度でも勝てたことあったか?」

 

イズモガミは笑みを浮かべながら言う。

 

毘「だまれ!

 

  そもそも貴様が本気で相手をしてくれたことなどないだろう!」

 

イ「はっ

 

  ちげえねえ」

 

 

二人の戦いを夜トは見ていた

 

そしてひよりが茂みに隠れてるのを見つけ、隠れているようにと手で合図をした。

 

夜「さて、どうしたもんか。

 

  俺じゃあ、あの二人の戦いには入れないし、、、

 

  逃げるにしても、この傷じゃあな。」

 

雪「イズモガミって強いのか?

 

  あんまし強そうにはみえねえけど。」

 

雪音は夜トに尋ねる。

 

夜「強い。

 

  毘沙門相手ならあいつは最強だ」

 

雪「毘沙門相手なら、、、?」

 

雪音は夜トの言っている意味が分からなかった。

 

夜「雪音

  

  縁結びっていうのはな、想いの力なんだ。

 

  相手のことを想えば想うほど願いは強くなる。

 

  イズモガミはな、相手のことを想っての戦いならだれにだって負けない。

 

  それがあいつの神としての形だ。」

 

雪音は難しそうな顔をして二人の戦いに目を写した。

 

雪「それ、きついな。

 

  俺だったら自分が想っている相手と戦いたくねえよ」

 

夜「そうだな。

 

  それには同感だ。」

 

夜トと雪音がこのようなことを話しているうちに

 

毘沙門とイズモガミの戦いは決した。

 

イ「ひけ

 

  毘沙門。

 

  お前の神器はもう限界だ。」

 

毘「くっ」

 

毘沙門の神器は皆、疲弊していた。

 

いかに神器といえど長時間の戦闘には厳しいものがある。

 

毘沙門の神器である兆麻もそのことを毘沙門に告げる。

 

兆「ヴィーナ!

 

  皆はもう限界だ。

 

  一旦体制を立て直そう。」

 

毘「っ

  

  しかし!

 

  くっ

 

  イズモ!

 

  なぜだ!なぜ貴様はいつも私の邪魔をする!!

 

  私のことを好いていてくれながら、なぜ邪魔をする!!!」

 

毘沙門は泣きそうな顔でそう言った。

 

イ「君のことが本当に好きだからだよ。」

 

イズモガミは毘沙門の目をまっすぐ見ながら言った。

 

 

その後、毘沙門は帰っていった。

 

夜トはなんとか助かったのである。

 

イ「大丈夫か?夜ト。

 

  まったく、、、

 

  そこまでヤスんでりゃ、毘沙門に勝てるわけねえだろ。

 

  それ、とっとと治せよ。」

 

イズモガミは首を触りながら夜トに忠告した。

 

夜「っ!?」

 

夜はバレていたのかというような顔をした。

 

イ「俺も帰るわ。

 

  ひよりちゃんに感謝してくれよ?」

 

イズモガミは茂みのひよりを見ながらそう言い

 

その場を後にした。

 

  

 

  


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。