僕と君とのIN MY LIFE!   作:来真らむぷ

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詳細は活動報告に記載いたしました通り
(https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=295353&uid=13391)

本作のこれからの更新はメインストーリープロットに加筆したものになります。
何卒ご了承いただけますと幸いです。


#Welcome to Wonder zone篇

 

 

 

 

 ことりのバイト先であるメイド喫茶「ヴィヴィ・アンジェ」のオーナー兼店長を名乗る鷹取一清(たかとりかずきよ)と知り合った行人。メイド喫茶でバイト後のμ'sメンバーを交えつつ、彼の提案してきた「ヴィヴィ・アンジェ」内のライブ企画を次のμ'sの活動目標として受け入れ、動き始める。

 

 総勢9名となり正式に部活動として認められたμ'sは、旧アイドル研究部が使用していた部室を与えられる。一部では開かずの間扱いされていたこの部室は、にこの私物も含めて圧巻のアイドルグッズやアーカイブの数々で埋め尽くされていた。

 

 そんな部室に喜んだのもつかの間、今年のラブライブについてどう考えているのかとにこから問われる。ラブライブ、それは全国のスクールアイドルの頂点を決める大会。しかも今年の大会はかつてないほど大規模になると。「こんなの逃す手はないわよ!」と鼻息も荒いにこに補足するように、花陽もGステのスコアランキングを見せつつ説明する。

 

 その時点でμ'sは962位。登録して数ヶ月と経ってないうちにこの順位まで上がってきたのは未だかつてないとんでもない速度であることを花陽に教えてもらう一同。そこまで言われるならと、

 

「せっかくなら目指してみようよ! ラブライブ! きっと有名になれば、もっと入学希望者も増えるだろうし」

 

 穂乃果の言葉にμ’s内の意見は別れる。イケイケどんどん派、慎重派、様子見派。やはりまだ心を一つにという状況にはないようだった。

 

 侃々諤々(かんかんがくがく)のなか、メンバーも大所帯となった今、改めてリーダーやセンターの位置を議論するべきとにこから提案される。海未などは穂乃果のままでいいのではないかと反対するが、これまで先導してきた当の穂乃果がそれもそうだと快く了承してしまう。

 

 相談の結果、歌・ダンス・カリスマ性といった観点で公正に判断しようということになり、その審査役として行人は駆り出される。内心はどう考えても穂乃果だろと思いつつも、個人の心情を抑えて客観的な判断に徹することに。

 

 各項目のポイントを集計したところ、歌・ダンス・カリスマ性、どれも高水準でまとまっていた絵里が選ばれる。やはり新参の自分がいきなりリーダーとなるのはどうかと固辞しようとするも、そこはやはり上級生で生徒会長である絵里なら異論はないと流れで新リーダーへ結果的に就任することになってしまう。

 

 新リーダー選定のごたごたのなかで、行人は千歳文乃から新曲「Mr.PHANTOM」のPV撮影日の連絡を受ける。例の同行者についてはどうするのかと問われ、たまたまその電話を横で聞いていたにこの勢い(懇願)に押され、考えていた三人の同席者に加えにこの名前を告げる。

 

 当日、都内某所にあるスタジオへやってきたのは、百合彦、ことり、にこ、そして、鷹取だった。

 

 何人か見た顔、またPVの監督もおじさんの知り合いだという鷹取。広いようで案外狭いこの業界と肩をすくめつつ、おじさんこう見えても忙しいんだけど、何故自分を呼んだのかと行人に問う。耳打ちしながら、

 

「——悪だくみマッチングってやつです」

 

 プロの現場で盗めるものは盗ませてもらうと自由に行動する百合彦と感激に打ち震えるにこをさておき、撮影が始まる。

 

 もらった絵コンテ通りに撮影は順調に進んでいくが終盤のシーンに問題はあった。

 

 以前UTX学園を訪れた際に見せてもらった企画書にあった仮面越しのキスのシーン。その仮面の下半分がないものになっていた。おいおいこれだと最後のシーンで、本当に唇を合わせることになる。抗議するより早く再開する撮影。

 

 ――あわやツバサとキスする寸前で、行人は手で防いでしまう。間一髪でことりがダメと叫ぶ寸前でもあった。

 不幸中の幸いで、それをアドリブと勘違いし気に入った監督によりOKテイクとなる。

 

 ニヤつきながら残念がるツバサにうんざりしながら、行人はこの新曲のプロモーションイベントを開かないかとA-RISE側に伝える。顔つきの変わる文乃。

 

「プロモーション? なぜ日高さんが?」

「こないだの音ノ木坂でのライブのお礼がしたいんだよ。それに最近貴重な出会いがあってさ」

 

 ハッタリと腹芸のコラボレーション。

 

「こちらのメリットは? 別に日高さんの提案を呑まなくてもこちらとしてはいくらもやりようがあります」

「ですよね、そこでこちらの——鷹取さんとミナリンスキーさんの出番な訳です」

 

 行人の提案はこうだった。鷹取がオーナーの「ヴィヴィ・アンジェ」をA-RISE新曲「Mr.PHANTOM」のコラボカフェとしてキャンペーンを打つこと、またリリースライブイベントの場所提供。メイドたちも今回のモンスターなコンセプトに合わさせてもらう。そして店用のSNSアカウントが一万人以上のフォロワーがいたミナリンスキーことことりの発信力も協力する。

 

 更に、とダメ押しの、

「鷹取さんも相応の謝礼を払うと。——せっかくの新曲なんだ、大々的にPRしましょう」

 

 交渉の末、A-RISEの承諾を取りつけると、今までのやりとりをかいつまんでμ’sのメンバーに打ち明ける。μ’sのライブの機会をみすみすA-RISEにゆずったのか、せっかく準備をしてたのにと戸惑う彼女たちに自分の考えを伝える。

 

「ちょっと、大丈夫なのそれ?」と真姫。

「行人君、私もそれは……」と海未。

 

 行人も正攻法じゃないこと、卑怯だと理解しつつもある人物——ことりの母であり音ノ木坂の理事長である南ひな子を呼ぶ。

 

 今度開かれる音ノ木坂学院のオープンキャンパス。その参加希望の反応次第で廃校撤回への活路が開けてくると。行人から現在のμ’sの勢いの事情を話されたことで、改めて理事長である南ひな子から協力してほしいと頭を下げられる。

 

 それぞれの思惑があるなかで「ヴィヴィ・アンジェ」でのA-RISEリリースイベントの日に向けて準備が始まる。

 

 真姫から次のライブ用に書き上げたという曲を渡されるが、編曲(アレンジ)をどうすると問われた際に行人は歯切れ悪く今回はまだ時間に余裕があるため、真姫自身でお願いできないかと伝える。訝しつつもまぁいいかと真姫は真姫で作業を進める。

 

 そして当日、抽選で選ばれたファンたちを「ヴィヴィ・アンジェ」に集めてA-RISEは新曲「Mr.PHANTOM」リリースイベントライブを行う。

 

 ♪使用楽曲:MONSTER / KIRA(Mr.PHANTOMイメージ曲)♪

 

 久し振りのA-RISEの新曲、そしてリアルイベント、事前のティーザームービーなどで方々で告知していた結果もあり、イベントライブは大成功を収める。

 

 だが、その店の外。

 

 せめて音漏れでもいいから、出待ちをして一目でも綺羅ツバサ、統堂英玲奈、優木あんじゅを見れないかと「ヴィヴィ・アンジェ」周辺、すなわち秋葉原の路地はごった返していた。

 

 突如、その人の波にぽっかりと穴があく。

 中心にいたのは一際目を引く、9人のメイド服の女の子の姿。

 

 ♪使用楽曲:Wonder zone/μ's♪

 

 μ’sは秋葉原の路上でのライブを開始する。誰かの声がする、

 

 ——あの子たちってこないだ話題になってた子じゃね?

 ——俺も見覚えあるけど、出てこねーわ、なんて名前のグループだっけ?

 ——えーっと、ちょい待ち、あ、これだ、μ’s。そうだそうだ、ツバサがA-RISEのライバルとかって言ってたっていう、

 ——え、じゃあ、今ここでこれをやるって、喧嘩売るようなもんだろ?

 

 天下のA-RISEのライブ会場の前で宣戦布告する新進気鋭のスクールアイドル。しかも二者はライバル関係。

 

 ——なんかすげぇ面白いことやってね!?

 

「考えたね少年。刺激に飢えた現代。人はとにかくストーリーや面白さに弱い。そこにどんな頭の良い大人たちの打算やビジネスがあったとしても、ね」

 

 少し距離を取った場所で鷹取は苦笑いする行人に言う。

 

「ぶっちゃけ炎上まがいみたいなもんですけどね。結局、またA-RISE様の人気に便乗してますし、それに……気分もよくはないですし」

「なあに、たしかに彼女たちはこのやり方を好かないかもしれないが、君たちには事情があるんだろう? しかも、かなりの。無理無茶を通すなら綺麗ごとだけじゃやっていけないこともある。それが大人になるってことさ」

 

 鷹取は続ける、

 

「胸を張るんだ。A-RISEの新曲はこれでさらに話題に、おじさんの店もコラボで売上倍増、そして君たちには認知とファンが。十分ウィンウィンウィンな三方よしだ」

 

 スマホを取り出し、

 

「それと覚えとくといい。大人の世界は実にこすい。でもね、そんな世界で生きてきたおじさんは思う。癒着だって実力なのさ。君たちへ渡すはずだった謝礼はA-RISEへいくが、これは——おじさん個人からのお礼だ」

 

 鷹取のコネクションにより、あらかじめ根回しをしておいたマスメディア業界関係者、インフルエンサー、TVタレントもリアルタイムで起こっているμ'sのライブについて言及が行われる。

 

 結果として瞬く間にネットでバズり、さらに観客が集まってくる中で駆けつけてきた千歳文乃は怒りを抑えつつ、その背中に問う。

 

「日高さん、あなたがこれを?」

「だから、言ったじゃないか。こないだの前座の——お礼がしたかったって」

 

 否定しない行人に文乃は、この男を放置しておくとひょっとしたらひょっとするかもしれないと本格的に危険視し始める。

 

 このライブの反響著しく、瞬く間に上昇していくμ'sのスコアランキング。ついに100位以内になり、ラブライブ出場も視界に捉え始めたとμ's内でも話題に。真姫も先日学校で他校の女生徒から出待ちを受けたと打ち明ける。

 

 目を輝かせる穗乃果は、

「ここまできたら行くっきゃないよ! 出よう、ラブライブに!」

 

 そして、その影響はオープンキャンパスに多大な参加希望学生という結果に至る。

 

 とうとう音ノ木坂学院理事会でも無視できないほどまでになり――

 


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