インフィニット・オブ・ダークネス   作:nasigorenn

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今回は短めです。


第十話 復讐人の報告

クラス代表を決める試合を難なく終わらせた一夏は周りの反応も気にせずにピットへと戻っていった。現在アリーナでは、気絶したセシリアが担架で保健室へと運ばれていた。セシリアの外傷は打撲がいくつかだけであり、そこまで酷い物は無い。

あの破壊力の直撃を受けてこの程度で済んでいるのは、偏にISの性能の御蔭だと皆は思うことだろう。実際は一夏が加減しただけであったりする。最高速度のテストをしただけであり、そこまで体当たりは意識していない。本当に一夏が手加減しなかった場合、すなわち北辰達と同じように殺そうと考えて攻撃した場合、セシリアはISの絶対防御を作動させながらも絶命していたかもしれない。

それぐらいの差がさっきの体当たりと本気の体当たりにはあった。

 ピットに戻ると、箒、千冬、真耶の三人は何も言えない状態になっていた。

しかし、聞かなければならないと、千冬は勇気を振り絞って一夏に聞く。

 

「お、織斑・・・そのISは何なんだ? シールドのエネルギー量が異常だぞ」

「・・・・・・・・・そういう仕様だ、問題は無い。知りたければネルガルに直接問い合わせろ。それと・・・・・・クラス代表を俺はやらない。オルコットにでもやらせておけ」

 

 そう淡々と一夏は言いながらピットを出て行く。

その後ろ姿に、三人は一切声をかけられなかった。

 

 

 

 試合を終えた一夏は、さっそく誰も居ないところに行くと、アカツキに通信を入れた。

 

『やぁ、一夏君。学園ライフを満喫してるかな』

 

さっそく冗談めいた口調で一夏に話しかけるアカツキ。当然のごとく、一夏は取り合わない。

 

「そのようなことを聞くために通信を入れた訳では無い」

『わかってるよ~、ただ少しからかっただけだって。それで、試合はどうだった』

 

 アカツキはそう笑顔で聞くが、その結果など聞くまでも無く分かっていることは一夏にだって分かっていた。

 

「一々聞くか、そんなわかりきったことを」

『まぁね。一応聞いとこうかなぁ~なんて思ったりしてね』

「・・・・・・あの程度で国家代表候補と言うなら、その制度そのものも底が知れる。あれではテストにすらならない」

『そうかい。君の前じゃ、国家代表候補生もお手上げだね。いや、あの最強の君のお姉さんでさえ、今の君に勝てるかどうか・・・』

「そんなことに興味は無い」

『はいはい。で、どうだい、あのパッケージの使い心地は?』

「反応がコンマ3遅い。出力をもっと上げてくれ、あれでは彼奴等には勝てない」

『あれでもまだ不満かい? かなりピーキーにしたつもりなんだけど。ぶっちゃけ君以外にあんなの使える人間なんていないよ。ISの反応速度を余裕で超え、あの高速機動戦闘は通常のISではなしえないのに。普通のIS操縦者が使ったらまともに動かせる代物じゃないんだけどな~、アレ。三半規管がぶっ飛んで使い物にならなくなるくらい危険なのに』

「それでもだ。戦闘ではコンマレベルでも遅れれば致命傷だ、すぐに調整して貰いたい。これからそっちに持って行く」

『まぁ、わかったよ。君がそこまで言うのならそうなんだろうね。すぐに調整できるようにしておくよ』

「感謝する」

 

 そう何の感情も浮かべずに感謝の言葉を口にすると、一夏は通信を切った。

そして懐からCCを取り出し、この二年間よくやっていたことをする。

ネルガルの地下研究所をより鮮明に、より明確にイメージしていく。すると、持っていたCCが青い光を放ち始めた。

そしてこの言葉を口にする。

 

『ジャンプ』

 

 そう口にした瞬間、一夏は青い光と共に消え去った。

 

 

 


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