ドラクエは5か6までしかしていません   作:send

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冷汗かいた

 

「おお! あれにおったか!? 姫! ミーティア姫!」

 

 姫様ときゃっきゃうふふと帰り道で見つけた花を髪に飾り合いっこして戻ったら変なテンションで王が駆け寄ってきた。たぶん、ヤンガスさんと衝突してエイトさんが傍観していたのだろう。相手にしてもらえないというのは王様をしていればそうそう経験しない事だろうから、仕方ない。

 

「申し訳ありません、私の我儘に付き合っていただいたのです」

 

 視線を王に合わせて頭を下げると「よい」と小さな声で止められた。

 

「エイトから話は聞いておる。これからも姫の事を頼むぞ」

 

 王は『お花摘み』がなんたるかを知っているようだ。でもって私が姫様を連れて行った理由も理解している。これは話が早くて助かる。

 

「こっちにはスライムが出てきたんですけど、そちらは魔物は出ませんでしたか?」

「はい、大丈夫でした」

 

 エイトさんは姫様のたてがみに飾った花を見て苦笑を浮かべていた。まだ理解していない様子を見ると、抜けていると言った陛下や姫様の言葉はある程度信憑性がありそうだ。

 

「さて、馬姫さまもおもどりだし……日が暮れぬうちにそろそろ出発したほうがいいでがすよ」

 

 うん? 王はヤンガスさんとどんな話をしたのかな? 馬姫ってなんだ、馬姫って。私の目には綺麗な白馬と一緒に、黒髪で大きな目の美少女と言って差し支えない少女が見えるのだ。この子を指して馬姫だと?

 

「リツさん、姫様の事と王様の事はこのまま曖昧にしておきましょう。トロデーンの王族がこんな状態だとこちらから吹聴する必要はありません」

 

 エイトさんに耳打ちされ、私は言葉を飲み込んだ。

 

「わかりました。かなり聞き捨てならない物言いでしたが、わかりました。他国に知られてはまずいのは当然でしたね」

「……いつの間にか姫様と仲良くなっていますよね」

「女同士ですから。それに姫様はかなり気質の穏やかな優しい方なので衝突する方が難しいですよ?」

「それは確かに。でもちょっと臆病なところがあるからこんなに早く慣れるなんて思わなくて」

 

 臆病? 馬にされてあんまり動じない姫様が? エイトさん。あなた何かフィルター掛かった目で姫様見てません? いや、私の方にフィルター掛かってるのかもしれないけど。

 

「兄貴~」

「エイト、リツ、何をしておる」

 

 前の方からヤンガスさんと王の声がして、あわてて私とエイトさんは馬車を追いかけた。

 空はだんだんと茜色に染まってきており、確かにゆっくりしすぎたようだ。

 

「あれ? エイトさん、ポケットに何か入れてます?」

 

 馬車の後方に下がろうとしたとき、エイトさんのポケットが動いたように見えた。

 

「あぁそれは」

 

 エイトさんはポケットを広げて私に見せてくれた。そこには、丸まっているネズミ……と、重なるように体育座りをして身体を縮込めているおじいさんの姿が見えた。

 

「トーポって言うんです」

「……トーポさんって言うんですか」

 

 えっと……どう反応したらいいんだ? そりゃネズミ姿だけど、その人ご老体だよな? ご老体をポケットに入れとくとか扱い雑過ぎやしないか? 実はエイトさんもトロデーンがあんな事になって、一人で王や姫様の面倒見るはめになって、おまけに熱い男までついてきてテンパってる?

 

「あの、エイトさん……トーポさん、ポケットでは窮屈なのではないでしょうか」

「そうかな? トーポは自分からポケットに入るんだけど……」

 

 ええ? 大丈夫かこのご老体。王や姫様と違って脳があまりにも小さくなりすぎて人格が維持出来ないとかそういう事になってないか?

 じっと二人で覗き込んでいたせいか、丸まっていたトーポさんは視線を上げてこちらを見た。

 

「トーポさん大丈夫ですか? その姿勢は腰が辛くはありませんか? その姿なら荷台に乗って頂いても全く問題ありませんよ」

 

 心配になって言ったら、くわっと目をかっぴらかれた。目じりが裂けるんじゃないかというぐらいに開かれたものだからめちゃくちゃ怖かった。思わず身を引いてしまうぐらいには怖かった。そしたらトーポさんはポケットから飛び出して素早い動きで私の肩に乗り移って来た。

 何だどうした健康体である事をアピールしたいのかと思っていると、腕に降りて来て目の前で両腕を交差された。つまり、バッテン。

 ……何がバツなんだ? そもそもこれってバツって意味でいいのか?

 

「珍しい。トーポが僕以外に懐くなんて」

「え?」

「僕が小さい時から飼ってるんですけど、僕以外にはあんまり懐かないんです。チーズとか貰える人には懐くみたいなんですけど、いきなりこんな風に懐くなんてなくて。リツさんって動物に好かれるんですね」

「……」

 

 よし、ちょっと落ち着こう。文脈からして、エイトさんはこのトーポさんを『動物』と見ているんだな? そして私にはこのトーポさんが人に見えるわけで、件のトーポさんは私の腕の上で大きくバッテンを作っているというわけで……

 

「いやぁ……猫とかには餌をやれば懐かれはしましたが、ネズミに懐かれるとは思いませんでした」

 

 黙ってろ。そういう事だな? トーポさんとやら。よくわからないがそういう事でいいんだな? マル? 合ってる? よし。

 通常サイズの目に戻りほっと胸を撫で下ろす。

 

「そういや嬢ちゃんは兄貴の子分でげすか?」

 

 ヤンガスさんがエイトさんではなく私に話を振ってきた。

 慌てて手を振るエイトさんの手を、即座に掴んで止める。あ、トーポさん落ちた。すいません。でも華麗な着地ですね、お見事です。そして大丈夫なら肩でも頭でもどこでも勝手によじ登っていてください。

 一瞬逸れた意識をヤンガスさんへと戻し、営業スマイル。

 

「そのようなものです。みなさんの食事()()のお世話をさせてもらっています」

「へー」

「違う違う、リツさんは僕らに着いてきてくれているだけだから。僕が出来ない事をやってもらってるんだよ」

「その歳で女が着いてくるなんてさすがでげす」

「いや違うから」

 

 ヤンガスさんはちゃんと誤解してくれた。立場的に似た者同士ではあるけれど、警戒をしないでいい相手ではない。エイトさんには悪いが、私の防波堤となってもらおう。

 必死にただの知り合いだと説明するエイトさんだったが、ヤンガスさんは私がエイトさんの女だという前提で話を聞いてしまっている。よしよし。これでいい。

 私は満足して馬車の後方に下がり、道の先にあるトラペッタという町が見えないかと背を伸ばした。

 

 ん?

 

 背を伸ばすまでも無くトラペッタの町並みは見えたが、煙も一緒に見えた。煮炊きの白い煙ではなく、何かが焼ける黒い煙だ。煙の量は大火事のような規模ではないが、これは気になる。エイトさんの横に戻り、声を掛ける。

 

「エイトさん、あれ」

「え? あ……火事、かな?」

 

 そう言うと、耳を澄ませるように目を細めた。

 

「大丈夫みたい。騒いでいる様子も無いから、消されたんだと思います」

「そうですか」

 

 物資はさして減っていないが、物価やどの程度まで物が手に入るのか見ておきたかったので良かった。

 ほっとしてまた後ろに戻り、ついていく。最初にまいたせいすいがまだ有効なのか魔物はその後も姿を現す事無く無事にトラペッタの前まで行く事が出来た。トロデーンはお城だったから街を囲うように壁があり門があるのは違和感を覚えなかったが、ただの町にすら同じように壁が存在しているのにはちょっとした違和感と共に、魔物の脅威が本当にあるという事を実感させられる。

 町に入り石畳のある通りを進んでいくと、あからさまな視線を感じた。何人か集まって王を指さしたりしているのであの姿が警戒させてしまっているのだろうという事は見て取れたが、良くない反応にちょっと悩む。そのまま奥へと進むと、焼け落ちた家屋があった。まだ完全に消火されていなくて、小さな火が燻りそこから煙が出ているようだ。町の人は平然としているが、最後までちゃんと消しとけよと思いこっそりヒャドで消火。

 

「ふむ。着いたようじゃな。わしの記憶に間違いがなければ確かこの町のはずじゃ。この町のどこかに、マスター・ライラスとよばれる人物が住んでいるはずじゃ」

「ちょっと待ってくれよおっさん! アッシらが追っていたのはドルマゲスってヤツじゃなかったでがすか!?」

 

 御者台から飛び降りた王に、ヤンガスさんが喧嘩腰に聞き返す。

 私も誰かわからずとエイトさんを見ると「ドルマゲスに魔法を教えた人みたい」とこっそり教えてくれた。

 

「そうじゃ! 憎きはドルマゲス! わしらをこのような姿に変えたとんでもない性悪魔法使いじゃ! いったいあやつめはどこに姿をくらませてしまったのか!? いっこくも早くあやつめを探し出しこのいまいましい呪いを解かねばならん。でなければあまりにもミーティア姫がふびんじゃ」

 

 そりゃそうだ。王もその姿で苦労するだろうが、姫様はしゃべる事すら出来ない。

 

「せっかくサザンビーク国の王子と婚儀も決まったというに……。ド、ドルマゲスのやつめっ!」

 

 え? 婚約してたの?

 驚いて姫様を見たら複雑そうな顔で頷いてくれた。そうか、この歳で婚約か……普通なのかもしれないけど。

 

「相手と会った事はあるんですか?」

 

 微妙な反応だったので尋ねてみると、首を横に振られた。俗に言う『親が決めた相手』か。いい人ならいいけど。というか、トロデーンって姫様しか跡継ぎいないんじゃなかったっけ? 相手を婿に貰うのかな。という事は二番目の王子とか? ひねくれてなきゃいいけど。

 

「エイト、さっそくじゃがライラスなる人物を探し出してきてくれぬか? ライラスこそがドルマゲスに魔法を教えたといわれる人物。ライラスなる者に聞けばあるいはドルマゲスの足取りがつかめるかもしれん……。というわけで頼んだぞ、わしはここで休んでいる」

 

 姫に寄り添い一息つく態勢に入った王に、エイトさんは「わかりました」と言ってヤンガスさんを連れ町に消えた。さて、私もだ。

 

「陛下、物資補給のため暫くお傍を離れますがよろしいでしょうか」

 

 若干町の人の反応が気になるのであんまり離れたくはないが、この先の事も考えれば調べておく必要がある。

 

「おぉ行ってまいれ」

「はい、失礼致します」

 

 許可を貰ったので馬車からお金と、換金用の小ぶりな貴金属を二つ程持ち町に繰り出す。

 さあどこから見て回ろうかと一度階段上の壁上に昇り、町を見回す。そこから見える限りではお店は露店ぐらいしかない。階段上の区画は建物が密集していて何があるのかわからない。

 

「露店に行くか」

 

 階段を降りた先にある露店に行き、頭にターバンを巻いた露天商にこんにちわと声を掛けながら品物をざっと見る。うん、道具屋だ。

 

「いらっしゃいお嬢ちゃん。お使いかい?」

「お嬢ちゃんという程の歳ではありませんが、お使いというのはある程度合っています」

 

 苦笑して言えば、露天商の男は頭を掻いて「そりゃ悪かった」と笑った。

 

「娘さんは何が要り用だい?」

「見ての通り旅をしているので日持ちのする食糧を探しています」

「あぁそれならとなりだよ。薬草は要らないかい?」

 

 薬草は道中見つけては採取してたりする。アミダさんのお手伝いでどれが薬草になるのか、毒消草になるのか、満月草になるのか見分けはつくようになった。

 

「薬草は足りてますが、キメラの翼を一つ。それと貴金属を扱うお店はこの町にありますか?」

「まいど。貴金属ならうちで見てるよ。ただ娘さんのような相手に売れるようなもんじゃないねぇ」

 

 キメラの翼を渡してもらいながら、しぶるような様子の露天商にどういう事かと聞き返す。

 

「小娘には売れないと?」

「いや! 反対だよ! 娘さん、あんたいいとこのお嬢さんだろう? そんな相手に売れるようないいものは無いって言ってるんだよ。うちにあるのは町娘相手に売るようなちょっとしたものなんだ」

「そうでしたか。私は気にしませんから少し見せていただけませんか?」

「パッとしないよ?」

「いいですから」

 

 しぶしぶ、露天商は布を広げて見せてくれた。色々なデザインで工夫されているが、基本的には木製の枠に小さな宝石の欠片を嵌め込んだようなものが主流だ。トロデーンから持ってきた貴金属はほとんど銀製であったり金製であったりするので、比較するには難しいかもしれない。

 

「これ、おいくらですか?」

 

 一番意匠が細かく、はめ込まれた石も大きなものを指さす。

 

「二百ゴールドだよ」

 

 普通に暮らしていればちょっとお金を溜めれば何とか買えるかなというぐらいだ。

 

「ありがとうございます。十分です」

「だから言っただろう。お嬢さん向きじゃないって」

 

 ちょっと拗ねたように言われたので、ごめんなさいと謝り隣の露店へ移動。こちらの様子を見ていたらしい小太りの店主は日持ちしそうなものを出してくれていた。一つ一つ値段を聞き、頭の中で普通の食材の値段と比較、ついでに薬草などの価格とも比較してみた。

 

「店主さん。ちょっと高くないですか?」

「そんな事は無いよ。こんなもんだ」

 

 ほう。こんなものか。

 

「そうですか? では結構です」

「あぁちょっと!」

 

 さっさと背を向けたら呼び止められた。

 

「なんでしょう?」

「わかったよ。ちょっとはまけますよ」

 

 苦い顏をした店主に私は暫し考え、聞いてみる事にした。

 

「店主さん。これの価格は適正価格だったのですか? それとも私が世間知らずに見えたから足元を見たんでしょうか?」

「……別に足元を見たってんじゃないけど」

 

 言葉を濁した店主に待て待てと手を振る。

 

「怒っているわけじゃないんです。単に単価と手間賃を足した結果とここの価格を比較して利益率が高いと思ったんです。これ、一袋で九十ゴールドぐらいの利益がありますよね?」

「………」

「薬草だと作成元の薬師以外なら一つ一ゴールドか二ゴールドです。少ないように思いますが、薬草は旅人でなくとも買いますから数で利益を稼げます。でもこういう日持ちするものは旅人とか限られた人にしか売れないんじゃないかと思うんです。だから個数も少なく、利益を上げるならそれなりにお金を取らないとやっていられない。トラペッタは旅人が多いようにも見えませんから、それでこの価格なのかと。でも呼び止めてまでまけようとしたのはそうでは無かったという事なのか。そこがわからなくて聞いたんです。今後の事もありますから、出来れば正確な価格情報を掴んでおきたいんです」

「………」

 

 目の前の店主は黙り込んでしまった。

 

「あんたの負けだよ。ちゃんと教えてやりなよ」

 

 隣の店主が笑い混じりに声を掛けると、ようやく目の前の店主は復活してくれた。

 

「……あぁもう! そうだよ! ちょっと足元を見たさ! けどな、それだって売れる時に取れる相手から取るってのが商人なんだよ!」

「では普段は百三十あたりですか?」

「そのとおりだよ!」

 

 やけくそのように店主は答えてくれた。かなり商売の邪魔をしたと思うのでもっと怒られるかと思ったけど、ちゃんと相手をしてくれるあたり真面目な商人かもしれない。

 

「ありがとうございます。お嬢さん価格では購入できませんが、普段の価格であれば購入させていただきますが、どうでしょう?」

「良くないと言うわけないだろう! ほら、さっさともってけ!」

 

 出された干し肉の袋は、目測だけどおまけしてくれている。

 

「ありがとうございます」

 

 お代を渡して次は建物が密集しているあたりを見て回ろうかなと、また階段を上る。茜色だった空は早くも群青色へと姿を変えてきているので早くしないといろいろ閉まってしまう。

 階段を上りきったところで、どちらから行こうかなと考えていると目の前をバタバタと人が走り過ぎて行った。その妙に慌てた様子に何があったのだろうと思っていると『魔物が町の中に』というフレーズが聞こえてきた。

 

「……嫌な予感」

 

 昇ったばかりの階段を駆け下りて、王と姫が休んでいるところまで走っていくと人だかりが出来ていた。しかもあろうことか王に向けて石まで投げている。それを姫がかばうように前に出て嘶いたので一時的に納まったが、すぐに再開されるのは目に見えていた。

 内心『ぎゃー』と叫んでいたが、動揺するなと自分に言い聞かせて人ごみをかき分ける。

 

「すみませーん。ちょっとどいてくださーい。はいはいごめんなさいね。ちょっと通してねー」

 

 声を張り上げて人ごみを抜けて、姫様と王の前に出る。

 

「驚かせてしまってすみません。こちらの方、私の叔父様なのですけど変な薬を飲まされてしまって、こんな姿にされているんです。元は普通の人なんですよ。初めて見る人は驚いてしまうからフードを被るようにって言っていたんですけど、その方が不審者だろうと叔父様に言われてしまいまして、だからこうやって自分から姿を見せているわけなんですけど……驚きますよね?」

 

 人畜無害の笑顔を張り付けて首を傾げて見せる。うぅ、辛い。十代の頃ならいざ知らず、働き出してからこんな演技をするはめになるとは。

 

「ほ、ほんとうか?」

 

 警戒心ばりばりの様子で聞き返す筋肉マッチョの男に、私は苦笑して王を抱えて見せた。

 

「もし叔父様が魔物なら、今頃みなさん反撃にあっていますよ。ね、叔父様?」

「う、うむ」

 

 王は空気を読んでくれた。一番空気読まないであろう王が、空気を読んだ事に私は神に感謝した。

 

「リツさん!」

「あぁエイトさん。ちょうどいいところに。叔父様は普通の人ですよね?」

 

 ダメ押しとばかりに駆け寄ってきたエイトさんに王を見せて首を傾げる。こうなったらやけくそだ。私は十代。私は十代。十代は黒歴史を残す時代。だからいいんだ。

 

「え? あ、はい。もちろん。人ですよ」

 

 エイトさんの同意に、集まった人々はいささか不満そうだったが害は無いと判断してくれたのか一人二人と解散してくれた。

 

「……冷汗かいた」

「それはこちらです」

 

 王を地面に降ろして零すと、エイトさんも疲れた顔で額を抑えていた。

 

「陛下、咄嗟の事とはいえ無礼を働き申し訳ありませんでした」

「いやお主のおかげで助かったのじゃ。うむ。今後もわしはお主の叔父で、薬のせいでこうなってしまったと言った方が良いじゃろうな」

「ではそのようにさせて頂きますね」

 

 気さくな王のおかげで話はさっくりまとまったが、エイトさんの表情は優れない。そういえばヤンガスさんが見えないが撒いたのだろうか。

 

「エイトさん、ヤンガスさんは?」

「あっちの柱の影です。今自分が出たら余計に怪しまれるからって」

「おぉ、何気にヤンガスさん自分の事をわかってるんだ」

「リツさん……」

 

 おぉ、これは失言。ぽろっと本音が零れてしまった。

 


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