遊戯王GX~不動の名を継ぐ魔導書使い~   作:勇紅

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これは聖星と、聖星の双子の姉・聖歌がVRAINSの世界に飛ばされたらというIf storyです。
私はAiの能力に夢を見ているのかもしれない。


世界よ初めまして、リンク召喚って何?★

「こんにちは、ホットドッグとジュース2つください。

1つはマスタードなしでお願いします」

 

「ホットドッグとジュース、1つはマスタードなしだね」

 

ある日の昼下がり、ちょっとした小腹がすいた聖星は良い香りに誘われてしまった。

犬のキャラクターが描かれているホットドッグ屋さんのようで、焼き立てのウインナーと瑞々しい野菜が食欲をそそる。

後ろで席を確保してくれた姉のためにマスタードのないものを注文すると、店員は注文通りのものを渡してくれた。

すると、髭を整えているイケメンな店員は不思議そうに聖星に尋ねる。

 

「ホットドッグ、2つで良かったのかい?」

 

「え?」

 

どういう意味ですか?という表情で問いかければ、店員は姉が座っている席へ視線を向ける。

つられてみてみると、自分がこれから座る席には何故か2人いた。

誰に似たのか分からない夜色の髪を持つ姉の前には、燃えるような髪の色を持つ義兄が座っているのだ。

聖星と店員の視線に気が付いたのか、義兄、星龍は立ち上がってこちらまで向かってくる。

 

「どうした、そんなに俺を凝視して」

 

「いや、せ……

兄さん、何でここにいるんだよ?」

 

彼はとある事情で家から出ることを禁じられている。

だから今日はこの街の散策のために2人だけで外出したのだ。

聖星が疑問に思っている事を理解したのか、星龍は眉一つ動かさずに姉へと視線を向けた。

 

「ここだと面白いデュエルを見る事が出来ると聖歌から連絡があってな。

急いで来た」

 

「……姉さん」

 

姉、聖歌に呆れた表情を向ければ、姉は可愛らしく舌を出して笑っている。

あの笑顔が通用してしまうから、本当に自分は聖歌に甘い。

 

「すまない。

これと同じものをもう1セットくれないか」

 

「あぁ。

マスタードはつけるかい?」

 

「マスタード?

どんな味だ?」

 

笑顔で対応していた店員の表情が少しだけ固まる。

ぱっと見、成人を超えている男性からそんなことを聞かれたらそりゃあ固まるだろう。

星龍はまさかの反応を理解できないのか、首を傾げ、聖星は苦笑を浮かべながら理由を説明した。

 

「すみません、兄さんはこの間までずっと持病で入院していたんで若干世間知らずなんです。

病院食でマスタードを使った料理は出なかったようで……」

 

「あぁ。

初めて口にするわけか。

それは責任重大だな」

 

なんたって、人間は見知らぬ食べ物の印象は一口目で決めてしまう。

ホットドッグを嫌いな人間は基本的にいないが、マスタードをつけるかつけないかは好みが別れる。

今後星龍がこの調味料に対してどのような印象を抱くかは、店員の言う通りこの場で決まってしまうのだ。

 

「はい。

追加のホットドッグとジュースだ。

是非味わってくれ、お兄さん」

 

「あぁ」

 

全く表情を変えずにホットドッグを受け取った星龍だが、その瞳は間違いなく輝いている。

成人男性の初体験を間近で見る店員は微笑ましそうに目元を和らげ、席に向かう聖星達に「ごゆっくり」と手を振った。

 

「もう、おそ~い」

 

「ごめん、ごめん」

 

「大丈夫だ、まだ冷めてはいない」

 

席にたどり着けば、聖歌はお腹がすいたと訴えながら足をぶらぶらさせていた。

目の前に彼女の分を置けば、すぐに暖かいホットドッグを持ち、元気よく「いただきます」と笑う。

丁寧に包み紙をよけながらホットドッグを美味しそうに食べる姿は実に見ていて気持ちいい。

隣に座っている星龍に目を向ければ、一口分だけ口に含み、すぐに飲み込んでしまった。

その様子に思わず聖星は声をかけようとしたが、それより先に開発者である聖歌が口を開いた。

 

「星龍お兄ちゃん、それ駄目」

 

「何?」

 

「今、噛んでなかったでしょ。

それ、不自然だよ」

 

「……一口サイズでも噛まないといけないのか?」

 

「うん」

 

何だ、それは面倒くさい。

そう顔に書いてある星龍、いや、聖星の相棒である【星態龍】は二口目を口に含み、ゆっくりと咀嚼する。

ぎこちない口の動きに、やはりまだ外に出すのは早すぎたのだと実感した。

さて、何故精霊である【星態龍】が人間の肉体を持っているのかというと、これは数日前までに遡る。

 

**

 

「「異世界?」」

 

「……その、すまない」

 

聖星と聖歌は、目の前で項垂れている1匹の精霊の言葉に困惑するしかなかった。

【星態龍】は聖星のお気に入り兼エースであるカードだ。

しかし、そのカードに精霊が宿っており、ちょっとした手違いで聖星と、偶々傍にいた聖歌を連れて異世界に来てしまったらしい。

最初は見知らぬ路地裏、急に見えてしまった精霊の姿、そしてぶっとんだ事実に混乱したが、受け入れてしまえば後は早い。

 

「ふぅ~ん……

聖星」

 

「ちょっと待っていてくれないか。

あ、流石異世界のネットはすぐに使えないか~

う~ん、これを弄れば良いのか?

いや、こっち?」

 

「どう?」

 

「うん、今出来るようになった。

これから国籍偽造するから、次に借りる部屋を探さないとな」

 

「流石、こういうことだと聖星の右に出るのってそういないよね~」

 

頭を下げている【星態龍】は一切慌てた声を出さない双子の様子に疑問を抱き、恐る恐る顔を上げた。

すると、聖星が身に着けているブレスレットからいくつものネット画面が空中に映し出される。

画面を指で操作している彼は時々難しい顔をしながらも、慣れたように手を動かしていた。

聖歌も自分のブレスレットを操作しているようだが、彼女の視線は聖星の画面に釘付けになっている。

 

「お、怒らないのか?」

 

普通ならばあり得ない現実に焦ったり、怒鳴り散らしたりするだろう。

2人の事はよく知っており、多少の事では感情を爆発させない性格だというのは分かっている。

しかし、それはあくまで世間一般の中学生と比較してだ。

流石に自分の失敗でいきなり異世界に来ちゃいました、1年くらい帰ることが出来ませんという状況になってみろ。

例え心の広い聖星と聖歌でも怒ると思うし、素直な聖歌が感情のままに【星態龍】を責めてもおかしくはない。

少しだけ震えている声の問いかけに、2人はそっくりな表情を向けて答えた。

 

「いや、もう過ぎたことだし。

別に危険な冒険をしろとか、世界を救ってくれとかそういう話じゃないんだろう?」

 

「それに、お父さんとお母さんがいない生活ってちょ~っと気になってたんだよね。

親の目がない生活、これで夜更かしし放題、遊び放題!」

 

「姉さん、火遊びは止めてくれよ」

 

「分かってるって、危険なことには首をつっこみませ~ん!」

 

自分が責められない事に不満を覚えながらも、【星態龍】は2人の様子に安堵した。

流石はあの不動遊星の血を引いているというべきか、こういう非科学的な出来事にも柔軟に対応し、生き延びようとしている。

いざという時は、元の世界に帰る期間は長くなるが、精霊としての力を酷使してでも2人がこの世界に馴染めるようにするつもりだった。

どんな状況下でも柔軟に対応できるように育てた彼らの両親に感謝していると、聖歌が目を輝かせながら聖星の腕に自分の腕を絡ませる。

 

「見てよ、聖星。

この世界、リンク召喚しなきゃシンクロモンスター呼べないみたい」

 

「え、どういう事?」

 

「え~っと、リンクモンスターのカードにはリンクマーカーっていうものがあって。

そのリンクマーカーの先にしか、エクストラデッキから召喚したモンスターを配置できないんだって」

 

「ごめん、意味が分からない」

 

「これは部屋を確保した後、ルールブック読み直した方が良いね」

 

聖歌のネット画面には、儀式モンスターと色合いが似ているモンスターが表示されていた。

モンスターの絵柄の枠には確かに矢印のマークが描かれており、なんと守備力がない!

この世界は自分達の世界と違うルールに則ってデュエルが行われているようだ。

楽しそうに語っている聖歌に対し、聖星は姉の話を聞きながら、右手はデータ改竄を進めていた。

 

「でもさぁ、やっぱり中学生が2人暮らしって世間的に見てどう?」

 

「まぁ、よろしくはないだろうな」

 

「保護者的な人って必要だよね」

 

聖歌のふとした疑問に、聖星は少しだけ眉間に皺を寄せる。

物件を借りるにしても、やはり保護者の名前と存在は必要だ。

どうするかと悩んでいる2人の様子に、【星態龍】は申し訳なさそうな表情を浮かべていた。

すると、双子の視線が自分に注がれている事に気が付いた。

 

「な、なんだ、その目は……」

 

「聖星、どうする?」

 

「それしかないだろう」

 

「よし、私に任せて!」

 

「……は?」

 

こうして、聖星と聖歌の保護者として持病で入院していたが、無事に回復した兄、不動星龍が生まれたのだ。

 

**

 

「これでどうだ?」

 

「うん、大分良くなった」

 

途中でケチャップをこぼしながらも完食した星龍からの問いかけに、聖星は満足げに微笑んだ。

食べ始めの頃に比べたら自然な口の動かし方だった。

まだまだ改良する点はあるが、それはこれから暮らしていく中で改善すれば良い。

物件を借りた今では、人間の暮らしに慣れていない星龍に外出禁止令を出していた。

何かの拍子で人間離れしたことをしてしまい、不審な目を向けられないためだ。

しかし、目の前で人間の視点で物事を感じている星龍を見てしまえば、外出禁止令は取り下げようと思う。

 

「あ、始まるっぽいね」

 

聖歌の言葉に男2人は目の前に表示されているスクリーンを見る。

これから行われるのはカリスマデュエリスト同士のデュエルだ。

しかし、このデュエルは現実世界ではなく、LINK VRAINSと呼ばれるVR空間で行われている。

そのため、スクリーン内でデュエルをしている人達は自分の趣味やセンスを詰め込んだアバターを使用している。

 

「わぁ、あれがブルーエンジェル?

すっごく可愛い!」

 

聖歌が可愛いと言ったのは、カリスマデュエリストのブルーエンジェル。

その名の通り、青い髪と衣装に身にまとい、天使の翼を持っている可愛らしい少女だ。

皆を楽しませるように笑顔を振りまく姿はまさにアイドルだ。

 

「いいなぁ、俺もLINK VRAINSに行ってみたい」

 

「行けば良いだろう?」

 

LINK VRAINSに行くためには専用のデュエルディスクが必要なようだが、聖星達の財力なら購入する事も出来る。

まだリンクモンスターを持っていないため、うまくデュエル出来ないから遊びに行くのを遠慮しているのだろうか。

 

「駄目だろ。

星龍兄さんも一緒じゃなきゃ」

 

「え?」

 

「そうそう。

行くなら3人じゃなきゃ」

 

「なー」「ねー」と仲良く微笑む双子の言葉に、星龍は固まるしかない。

まさか自分も頭数に入れているとは思わなかった。

上手く言えない暖かい感情に胸がいっぱいになりながら、星龍はただ照れた表情を浮かべるしかなかった。

そんな3人を、とあるAIが怪訝そうな表情で観察していた。

 

「なぁ、遊作。

あそこにいる赤毛のお兄さん、なんかおかしいぜ」

 

「何がだ?」

 

聖星達が座っている席から少し離れた場所、キッチンカーの目の前に置いてある椅子に1人の少年が腰を下ろしている。

彼は旧型デュエルディスクから聞こえてきた言葉に耳を傾け、背中側にいる兄弟に振り返った。

傍から見れば仲良くデュエルを見ながら談笑しているだけ、どこにもおかしな点はない。

 

「軽くスキャンしてみたんだけどさ、あれ、人間じゃない。

中身には精密機械がびっしり詰まったヒューマノイドだ」

 

「何?」

 

怪しい事をしているのかと思いきや、まさかの単語に星龍を二度見する。

どこからどう見ても普通の人間にしか見えないし、それ程高性能なヒューマノイドなど聞いたことがない。

いや、心を持ったAIがいるのだ、もしかしたら遊作の知らないところで既に技術はここまで進歩しているのかもしれない。

だが、仮にそうだとして、何故その技術の結晶の塊である存在が普通に人間に混じっているのだ。

 

「けど、な~んかおかしいんだよな」

 

「どこがおかしい?」

 

「まるで俺のように感情がある。

けど、中身には感情や記憶領域を司る精密機器が搭載されていない。

人間でいえば体はあるのに脳がない状態なんだ。

それなのに美味しそうに物を食べたり、デュエルを見て楽しそうにしたり、あの2人を優しく見ている。

な、変だろう?」

 

「お前のようなふざけたAIがいるんだ。

実在してもおかしくはない」

 

「ひどっ!」

 

しかし、デュエルディスクに閉じ込めているAI、Aiが指摘した点が不可解なのは分かる。

Aiのデータを何度も調べた事がある遊作からしてみれば、記憶を司る部位がないのはおかしい。

 

「それで、あの男の存在にハノイの騎士は関係あるのか?」

 

「いや~、流石の俺様でもそこまでは分かんないぜ」

 

まぁ、予想はしていた返答だ。

ハノイの騎士が活動しているのは主にネット上での話。

現実世界で活動しているあのヒューマノイドがハノイの騎士と関係していると考えるのは不適切である。

彼の事は頭の片隅で覚えておけばいいと結論付けた遊作は、先程出されたホットドッグを口に運んだ。

 

「なぁなぁ、遊作」

 

「何だ」

 

「俺、あれ欲しい!」

 

「は?」

 

あまりに突然な発言に、素っ頓狂な声を出してしまった遊作を誰が責められるか。

 

**

 

「あぁ~~、やっと出来た」

 

「うん、無理、眠い」

 

この世界に飛ばされて2週間ほど過ぎた。

不動星龍の名前で借りた家族用のマンションは広く、各自プライベートを守るための部屋を確保できた。

しかし、今回作っているプログラムは共同作業のため、各自の部屋ではなく、リビングで作業を行っている。

作業を始めてからずっとPCに向かっていたため体が痛い。

変な音が鳴る体を伸ばしながら、星龍が作ってくれたスープを飲む。

 

「もう0時を回っている。

そろそろ寝たらどうだ?

いくら学校がないからといって、流石に連日夜更かしをするのはよくない」

 

「あぁ、そうするよ。

姉さんも寝るだろう?」

 

「部屋に戻るのめんどうくさい。

ここで寝る。

おやすみ」

 

「こら、聖歌。

ちゃんと部屋で寝ろ」

 

机に突っ伏して今にも夢の世界に旅立とうとしている聖歌に、星龍は盛大なため息をついた。

仕方ないと頭を抱えている相棒に、聖星は苦笑いをするしかない。

 

「片づけは俺がしておくから、【星態龍】は姉さんを部屋まで運んでくれないか?」

 

「あぁ、分かった」

 

既に半分眠っている聖歌を抱きかかえ、起こさないよう運ぶ【星態龍】。

廊下へと姿が消えた2人を見送った聖星は、PCの電源を落とそうとする。

すると、タイミングが良いのか、ニュースが表示された。

内容は今日の夕方、話題のデュエリスト、Playmakerがハノイの騎士に勝利したというものだった。

 

「(Playmakerか、LINK VRAINSの英雄と呼ばれるデュエリスト。

どんな人なんだろうなぁ)」

 

記事に載せられている写真には聖星より少し年上の少年が写っており、その視線は目の前にいると思われる敵に向けられている。

都市伝説と思われていた彼が表舞台に立った途端、世間は彼が何者か知ろうとした。

しかし、肝心のPlaymakerは一切の情報を公開しない。

そのクールさが世間を騒がせ、さらに記者達の記者魂とやらを燃やしている。

 

「聖星、寝るんじゃないのか」

 

「あぁ、ごめん」

 

戻ってきた【星態龍】から少しきつめの口調で言われてしまい、聖星は慌ててPCを切った。

完成したプログラムの試運転は起きてからすれば良い。

この世界の中学生達と違って、自分達は学校に通っていない分時間はたっぷりある。

欠伸を噛み殺しながら聖星は部屋に戻り、星龍は聖星の部屋の隅に座り込む。

そして仮の肉体から出てきて、本体であるカードへ戻った。

 

「聖星」

 

「何、【星態龍】?」

 

ベッドから上半身を起こして机の上を見れば、少しだけ不安そうな顔を浮かべる相棒がいる。

 

「本当に精霊である私がLINK VRAINSに行けるのか?」

 

LINK VRAINSへのアクセスは、当然だが生きた人間を想定しているもの。

実体がない、どちらかというと幽霊側に部類される【星態龍】がVRの世界にログインできるとは思えない。

 

「何言ってるんだよ。

だから、それが出来るように俺と姉さんがプログラムを作ってるんだ」

 

そう、今まで夜更かししてまでPCに向かっていたのは3人でLINK VRAINSに向かうためだ。

理論上、精霊の意識をログインさせるプログラムは完成した。

あとは起きてからテスト用のVR空間を起動させ、【星態龍】の意識をその世界に落とせるか試す。

これが成功すれば、次はLINK VRAINSだ。

 

「上手くいくと良いな、【星態龍】」

 

「そうだな……」

 

「おやすみ、【星態龍】」

 

「あぁ、おやすみ」

 

**

 

夕方になり、中学生が出歩いてもおかしくない時間になった。

テストプレイを終わらせた聖星達は、運動不足解消の目的も含め食料の買い出しをしていた。

もっとも、ただの買い物で運動不足が解消するかと聞かれると答えは否だ。

せっかく鍛えた体を衰えさせたくないため、ジムに通うことも視野に入れている。

 

「ねぇ、聖星、お兄ちゃん。

せっかくここまで来たんだからさ、デュエル見ていかない?」

 

「俺は良いよ。

星龍兄さんは?」

 

「私も構わない」

 

3人が通りかかったのは、巨大スクリーンがあるあの場所だ。

見慣れたキッチンカーもあり、姉と義兄に席を任せ、聖星は店員の元へ向かう。

 

「お、また来てくれたのかい」

 

「はい。

姉がここでデュエルを見たいって……」

 

「ははっ、確かにテレビで見るより迫力があるからな。

ここで見たいっていう人は君のお姉さんだけじゃないさ。

メニューはいつもので良いのかい?」

 

「はい、お願いします」

 

この世界に来てからは、よくここのホットドッグを食べている気がする。

理由としては、大迫力のデュエルを見る事が出来る場所にこのキッチンカーがあるかだら。

そして、ある程度の家事は出来る聖星達だが、いくら2人でもジャンクフード特有の旨味は表現できない。

良い香りがする調理場を覗き込めば、聖星より少し年上の少年が無言でソーセージを焼いていた。

何度か見かけたことはあるが、どうも話しかけづらい雰囲気のため、未だに名前を聞けていない。

 

「(年は俺とあまり変わらないよな?

友達になれたらいいな~って思ったけど、真剣にバイトしてるし、もう少し常連になってからの方が良いかな)」

 

「ほら。

ホットドッグとジュース3つだ。

1つだけマスタードなしだよ」

 

「ありがとうございます」

 

トレー毎渡された聖星は満面な笑みを浮かべ、聖歌達の元へ行こうとする。

瞬間、アルバイトの少年と視線が交わった。

声をかけるチャンスかと思ったが、すぐに目をそらされてしまう。

普段の聖星なら残念な表情を浮かべるが、ある違和感を覚えたため不思議そうな表情を浮かべていた。

 

「(何だろう、今の。

睨まれてた?)」

 

見間違いかと思ったが、彼の目はとても鋭く、冷たい眼差しを自分に向けていた。

何故そのような目を向けられるのか理由が思い当たらない。

もしかすると単純に目が悪く、細めていただけかもしれない。

睨まれる理由がない以上、それしか考えられないため、聖星はさっさと忘れて席へと向かう。

聖星がそのようなことを考えていると知らない少年、遊作は、協力者に小声で尋ねた。

 

「どうだ、草薙さん」

 

「……う~ん、どこからどう見ても人間だ」

 

聖星が席に着くと、3人は揃って両手を合せてからホットドッグを食べ始める。

その様子は人間との差異がなく、精密機械だらけのヒューマノイドと言われても信じられない。

 

「普通にホットドッグも食べてる。

Ai、本当に彼は人間じゃないのか?」

 

「何だよ、俺が嘘でも言ってるっていうのか!」

 

このキッチンカーの主である草薙は、自分と遊作の間にいるデュエルディスクに尋ねた。

彼の言葉が心外だったのか、少し拗ねたような声色を発しながらAiが姿を現す。

腰に手を当てながらぷりぷり怒る姿は可愛らしいが、慣れている遊作はソーセージを焼く手を休めずに冷たく言い放つ。

 

「黙れ」

 

「ひどっ!

まさか遊作ちゃんも疑ってる!?」

 

「疑ってはいない。

お前がそんな嘘をつくメリットがないからな。

食事をとることも、体内でバイオエネルギーに変換しているのなら納得できる」

 

そう、仮にこれがAiの嘘なのだとしたら、何故そのような嘘をつく必要がある。

自分達から逃げるためならもっとマシな嘘をつけば良い。

彼らからハノイの騎士の気配を感じているのなら、ストレートにそう言えば良い。

自分達をからかっているだけという線もあるが、嘘がばれた後に遊作から受ける仕打ちを考えれば釣り合わない。

 

「遊作、Ai。

彼らからはハノイの騎士の気配はないんだろう。

どうやらこの近所に住んでいるみたいだし、暫くは観察すれば良いんじゃないのか」

 

「あぁ。

俺は草薙さんに賛成だ」

 

「ちぇ~~」

 

両腕を組みながらデュエルディスクにもたれるAiは、羨ましそうに星龍を見ていた。

それに気がつかない聖星達はGo鬼塚のデュエルで盛り上がっている。

逆転のコンボを決めて勝利を収めたカリスマデュエリストの姿に聖歌が机を強く叩く。

 

「ってかさ、いい加減にデッキ作りたい!」

 

「うん」

 

もう我慢できない!とでも言うかのようにばしばし机を叩く姿はまるで小学生のようだ。

しかし、あのような逆転劇を治めたデュエルを見せられてはそう騒ぐのは仕方がない。

 

「こっちに来てから、1回もデュエルしてなかったんだよねぇ~」

 

「そんな余裕なかったしなぁ」

 

そう、自分達がこの世界に持ってきた物の中にデッキはなかった。

理由は、2人でデッキの調整を行っており、腰につけているデッキケースに入れていなかったのだ。

あの時、カードの詳細やコンボを検索するためにインターネット端末を持っていて良かったと心底思った。

とにかく住む環境を整える事、この世界のデュエルのルールを理解する事を優先していたが、今は大分余裕が出来た。

 

「そうだ、この後カード屋さんに行って、ストラクチャーデッキ買おうよ!」

 

「それ良いな。

とりあえず、3箱くらいと、パックも買おうぜ」

 

「お店に並んでるストラクチャーデッキを1種類3箱ずつ買うのはダメ?」

 

「う~ん……

この世界の中学生がいきなり数万円出しても驚かれないのなら良いんじゃないのか?」

 

いや、複数のお店を回って買った方が怪しまれないだろう。

恐らく1種類3箱を買う程度なら大丈夫だとは思うが、流石に数種類3箱ずつだと店員から怪しげな視線を向けられる。

どんなデッキがあるのか楽しく話していると、星龍が口を開く。

 

「カードならある程度私の力で出せるが」

 

「「え?」」

 

「仮にも私は高位の精霊。

精霊の力が強すぎる【宝玉獣】や神のカードは不可能だが、世間一般に流通しているものならば出せるぞ」

 

「「それを早く言って」」

 

「すまない……」

 

まさかの事実に2人は真顔になってしまう。

異世界を超える事が出来、さらには力が強くないカードならば無限に出せるだと。

どんなチート効果だ、流石はレベル11のドラゴン族モンスター。

星龍は2人を交互に見ながら「どうする?」と尋ねると、真っ先に聖星が返した。

 

「俺は良いや。

だって星龍兄さんが出したカードは俺がずっと使ってきたカードじゃないんだろう。

俺が使いたい【竜星】デッキはあのカードだから意味がある。

それが出来ないのならこっちでは違うデッキを使うよ」

 

「やだ、私の弟がイケメン」

 

幼い頃集めたパックで当てたカード達。

彼らと一緒にアカデミアの入学試験をクリアし、学校のテストでも共に戦ってきた。

父に負けたり、近所の子に勝ったり、夜遅くまでデッキの編集をしたり、変な事件に首を突っ込んだとき一緒に乗り越えたり。

あのデッキには10年近くの思い出が詰まっている。

だから、【竜星】デッキを使うのならば、あのカードでなければ自分は嫌だ。

 

「姉さんはどうする?」

 

「う~ん、聖星と若干理由が違うけど、私も違うデッキにする。

今のところリンク召喚メインのデッキにしようかな~

ほら、元の世界に帰ったら二度と使えないでしょう?」

 

元の世界で使っていたデッキが聞いたら「浮気者!」と叫ばれるかもしれない発言だ。

しかし、彼女の好奇心を否定する者はこの場にいなかった。

 

**

 

いくつものカードショップをめぐり、ネットオークションを利用してやっとデッキが完成した。

聖歌は【斬機】というカテゴリのデッキを使おうとしたが、星龍から「面倒ごとに巻き込まれるから止めろ」と説得されてしまい、不満そうだが諦めた。

聖星は何故なのか【魔導】カテゴリのカードばかり集まり、自然とデッキが魔法使い族になってしまった。

1パックには必ずと言っていいほど【魔導】カードが入っており、これは組めと言われているに違いない。

 

「姉さん、アバターはちゃんと準備できた?」

 

「もっちろん!

私のセンスを詰め込んだ可愛いアバターよ!

見たら絶対に驚くわ」

 

聖歌は年頃の女の子らしくお洒落にはとことん拘るタイプだ。

製作途中のアバターを見せてもらおうとしたが、唇に指をあてながら「秘密」と言われてしまい、結局どんな姿なのか知らない。

だからお返しと言わんばかりに聖星も自分のアバターがどのような姿なのか聖歌に教えていない。

仲の良い2人のアバターがどのようなアバターを作っているのか知っている星龍は、苦笑を浮かべながら2人の頭を撫でる。

 

「本当にお前たちはこういうものにこだわるな」

 

「だって、自分だけのアバターだぜ」

 

「皆があっと驚くものにしたいじゃん!」

 

はっきりと返された言葉に星龍はどう答えれば良いのか分からなかった。

こういう時、遊星ならどう助言していただろう。

昔の自分を思い出しながら可愛い我が子を止めたか、若気の至りだと口を閉ざすか。

まぁ、どうせ遊星達はこの2人がどのようなアバターを作ったか知る事はないのだ。

デュエルディスクを構えた3人は目を合わせて大きく頷いた。

 

「「「Into the VRAIN!」」」

 

その声と共に視界が現実世界から電子空間へと変わり、体が光に包まれる。

足元から上がってくる光はアバターの基礎となる衣服へと変わり、鋭い電子音を立てながら小物が追加されていく。

そして、エレベーターで降りていくような感覚を覚え、視界が暗くなった。

足場が安定したのを確認した3人はゆっくりと目を開き、目の前に広がる世界に瞳を輝かせた。

そんな中、真っ先に声を上げたのは聖歌である。

 

「うわぁ、すっごい!

気温も感じるし、匂いもある!」

 

両手を開けたり閉じたり、自分の顔を確認するように頬を触っている姿は実に微笑ましい。

まさに今回初めてLINK VRAINSにログインした初心者の姿だ。

聖星も目の前を行きかう人々の姿と建物、空の色に驚きを隠しきれない。

 

「これがVRってマジかよ。

リアルすぎる」

 

デュエル中継を見てある程度の景色は知っていたが、やはりTV越しの景色と実際自分で見るものは違う。

驚きの感情が含まれていた声は、次第に高ぶっている声色へと変わっていく。

聖歌と共にこの感情を共有しようとした聖星は、あることに気が付いた。

 

「姉さん。

こっちでは姉さんの事をなんて呼べば良いの?」

 

「ん?」

 

隣から聞こえた弟の言葉に聖歌は顔を上げる。

あぁ、そういえばアカウント名について全く触れていなかった。

聖歌は満面な笑みを浮かべながら楽しそうに答えた。

 

「GerberaWarrior、希望の戦士よ!」

 

「希望なのにGerbera?

何で?」

 

姉、GerberaWarriorの言葉に聖星は首を傾げるしかない。

希望という意味合いを込めた名前にするのなら普通hopeを使うはずだ。

そういう方面に疎い弟の発言に、彼女は嬉しそうに説明する。

 

「白色のガーベラはね、希望って意味があるの」

 

「あぁ、だから姉さんのアバターって白色が基準なんだ」

 

「そう。

お洒落でしょ?」

 

てっきり黒や紫等、重い色を基準のアバターにすると思っていたのに。

聖星の予想を反してGerberaWarriorは白を基準とし、赤やピンク等の明るい色を差し色にしたアバターである。

真っ白な髪と白を基準にしたコートに短パンだが、少しだけ和の雰囲気がある。

メッシュが黄色なのは元の姿との共通点を作りたかったからだろうか。

にこにこと笑っている姉の言葉に頷くと、彼女の顔が目の前に来る。

 

「な、なに、姉さん」

 

「お洒落でしょ?」

 

「あぁ……」

 

成程、褒めて欲しいのか。

彼女が何を望んでいるのか理解した聖星は微笑みながら「似合ってるよ」と答える。

満足な回答を得られたGerberaWarriorは頬を朱色に染め、聖星に笑みを向ける。

 

「それで、そっちはなんてアカウント名にしたの?」

 

「俺?

俺のアカウント名はStarPrayerさ」

 

「星と祈り?」

 

「まぁ、そんな感じ」

 

星に祈る人という意味を込めた名前だが、普通に聞けばそう思うだろう。

明るい衣装を選んだ姉に対し、StarPrayerは黒や青を基準としている。

自分のデッキをコンセプトにしているのか、所々に宝石らしき装飾品があった。

ひらひらと揺れているマントは穏やかな風が流れているのを示していた。

 

「凄く似合ってるし、かっこいいし、絶対に女子からモテるって言えるけど……

私、1つ不満がある」

 

「え、何?」

 

「何で目線がそんなに高いの??

もしかしてアバターの身長、現実より高めに設定してる??」

 

「厚底ブーツを履いてるからじゃないか?」

 

「むぅ~

私だってハイヒールなのに~」

 

現実世界で2人の身長はそれほど変わらない。

気持ち聖星が高いという感じだ。

しかし、この世界でははっきりと差が生まれておりGerberaWarriorはご不満のようである。

 

「話は終わったか?

なら、注意事項を確認しておく」

 

可愛らしい姉弟の戯れを見ていた【星態龍】、この世界ではStarEaterと名乗っている彼は、StarPrayerのデュエルディスクに巻き付いた。

彼の姿は【星態龍】としての姿に酷似しており、大きな相違点があるとすれば瞳の色だろう。

炎のなかで輝く黄色の瞳は冷たい青に変わっていた。

 

「なるべく離れない、遠くへ行くときは私に声をかける。

知らない奴にデュエルを申し込まれたら、私に報告する。

そしてハノイの騎士が現れたらすぐにログアウトする。

分かったな?」

 

「は~い」

 

「危険なことには関わらない。

そういう約束だからな」

 

手を挙げながら元気よく返したGerberaWarriorに対し、StarPrayerは微笑みながら返す。

さて、まずは誰とデュエルをしようか。

周りを見渡してみるとデュエル相手を探していそうな人はいない。

 

「試しに俺達だけでデュエルしてみる?」

 

「さんせ~!」

 

なんたって彼らはこの世界に来てからデュエルをしていないのだ。

ルールは頭の中に叩き込んでいるが、どうしても手間取ってしまうのは必然。

2人はお互いに距離を取り、デュエルディスクを構えた。

 

「「デュエル!」」

 

「先攻は俺だ。

えっと、ドローは出来ないから……」

 

ついいつもの癖でデッキトップに指を置いてしまったStarPrayerだが、すぐにこの世界のルールを思い出す。

静かに手札を見下ろしてみると、デュエルディスクに巻き付いているStarEaterが覗き込んでくる。

よく見てみると、デュエルの邪魔にならないよう気を遣ったのか、体の大部分がデュエルディスクの中に入っていた。

 

「俺は手札から【チョコ・マジシャン・ガール】を攻撃表示で召喚!」

 

「はぁ!」

 

「え、女の子モンスター!?」

 

StarPrayerの場に現れたのは青を基準とした小悪魔風なモンスターだ。

初めて見る可愛らしい女の子モンスター姿に、GerberaWarriorは思わず弟を二度見する。

それもそのはず、元の世界で彼が使用していたカードはドラゴン等の非人型モンスターばかり。

まさかの人型モンスターの登場に驚いてしまったのは無理もない。

 

「うそ~、私、てっきりドラゴン族系のモンスターが来ると思ってたのに」

 

「何か集まったからさ。

せっかくだしたまには気分転換だよ。

【チョコ・マジシャン・ガール】の効果発動。

手札の【マジシャンズ・ヴァルキリア】を墓地に送り、カードを1枚ドロー」

 

先攻ではドローが出来ないルールだが、彼女がいれば話は違う。

そして【チョコ・マジシャン・ガール】の手札交換効果は実に理に適っており、聖星は引いたカードを見て少し困った顔を浮かべた。

 

「(ここで【ジュノン】が来たかぁ)

俺は手札から【ルドラの魔導書】を発動。

手札の【ゲーテの魔導書】を墓地に送り、2枚ドロー」

 

【魔導法士ジュノン】は手札に3枚【魔導書】が揃えば特殊召喚できるが、あいにく今手札に存在するのは2枚のみ。

次のターンまで待つという選択肢もあるが、【チョコ・マジシャン・ガール】がいるのだ。

暫くはなんとかなるだろうと思い、すぐに【ルドラ】を発動した。

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンド」

 

「私のターンね、いくよ!

ドロー!」

 

手札に加わったのは1枚の永続魔法。

元々あった5枚と見比べ、GerberaWarriorは静かに笑みを零した。

成程、この手札だったらあの召喚がすぐに出来る。

 

「私は手札から永続魔法【ミイラの呼び声】を発動!

効果の説明はいらないよね」

 

「あぁ、いつも姉さんが使ってるカードだ」

 

「私は【ミイラの呼び声】の効果で【馬頭鬼】を特殊召喚!

さらに手札から【不知火の武部】を召喚」

 

「はっ!」

 

彼女の場に召喚されたのは着物姿で薙刀を振り回している女性モンスターだ。

【チョコ・マジシャン・ガール】と敵対するように現れた彼女の姿に、StarPrayerは思わず首を傾げた。

 

「あれ?

姉さん、結局【不知火】デッキにしたの?」

 

【不知火】は元々の世界で彼女が使っていたデッキだ。

この世界ではリンク召喚が主流であり、せっかくだからリンク召喚をメインとしたデッキにすると言っていた気がする。

弟の言いたい事が分かったGerberaWarriorは笑みを浮かべながら人差し指を立て、数回横に振る。

 

「ふっふぅ~ん、幸運な事に【不知火】のリンクモンスターを見つけてしまったのだ~」

 

「え、あるの?」

 

「うん」

 

一緒にカードショップを回っている時に見つけたのなら、必ずStarPrayerが気付くはずだ。

見つけた時に大げさな反応をし、すぐにレジに向かっていただろう。

その姿を見ていないため、思わず視線がデュエルディスクに向いてしまう。

 

「StarEater?」

 

「私ではないぞ、彼女が自力で引き当てた。

まぁ、他の【不知火】カードは何枚か出したがな」

 

「あぁ、中古じゃなくてパックかぁ」

 

何と羨ましい引きだ。

いや、そういう自分も【魔導書】のカードをバカみたいに大量に引き当てた。

方向性は違うが、自分たちのデュエリストとしての運は良いのだろう。

 

「【不知火の武部】の効果発動!

彼女が場に現れたことで、デッキから仲間を呼ぶ!

来て、【妖刀-不知火】!」

 

若くて凛々しい女性の隣に立ったのは、淡い紫の髪を持つ男性モンスターだ。

美男美女が揃う光景は実に目の保養になる。

しかし【武部】と比べて男性の体は透けており、アンデット族だというのを思い出す。

 

「さぁて、いくわよStarPrayer!

私の前に来て、勝利を掴むサーキット!」

 

「っ!」

 

手を高く上げた瞬間、GerberaWarriorの頭上に四角い映像が現れる。

見慣れない演出の登場にStarPrayerの瞳が輝く。

GerberaWarriorと彼女の場のモンスター達は頭上に現れた物体に向かって飛び上がり、その中に姿を消す。

 

「消えた?」

 

「成程、こういう演出か」

 

StarPrayer達が驚く表情を浮かべているとは知らない彼女は、初めて行う召喚に胸が高まっている。

自然と笑顔になっているGerberaWarriorは、自分の周りを見渡した。

LINK VRAINS特有の紫の空が広がる世界ではなく、暖かく輝かしい光であふれている場所だ。

後ろに振り向いた彼女は足元にあるアローヘッドを見下ろして宣言する。

 

「アローヘッド確認、召喚条件はアンデット族モンスター2体以上!

私は【馬頭鬼】、【不知火の武部】、【妖刀-不知火】をリンクマーカーにセット!

サーキットコンバイン!!」

 

マスターである彼女に応えるよう、3体のモンスターはお互いの視線を合わせ、強く頷いた。

そして足元から大きな風が舞い上がり、3人は風に包まれながらアローヘッドにあるリンクマーカーとなった。

 

「逆巻く炎をその刃に宿して戦え、リンク召喚!」

 

3体のモンスターが電子の粒子へと変換され、それがとあるモンスターの体を構成する。

色がないモンスターは【不知火の武部】と同じように薙刀を持っており、足元から光輪が浮かび上がってくる。

そして色鮮やかな女性モンスターは凛々しい表情を浮かべ、StarPrayer達の前に現れた。

 

「リンク3、【麗神-不知火】!!」

 

「はぁ!」

 

優し気な笑み、しかしどこかに厳しさを含む笑みをこぼすモンスターの登場にStarPrayerは大きく手を叩く。

 

「凄い、これがリンク召喚!

シンクロ召喚とは全然違う!

良いなぁ、俺もやりたい!」

 

映像越しで見るリンク召喚も綺麗で最高だったが、やはり自分のデュエルで召喚される方がずっと良い。

言葉に表すことが出来ないほどにテンションが上がっている弟の姿に、GerberaWarriorは可愛らしい笑みを浮かべた。

 

「まだまだいくよ、【馬頭鬼】の効果発動!

帰ってきて、【妖刀-不知火】!

そして手札から【生者の書-禁断の呪術-】を発動!」

 

「え?

そうだよな、アンデット族デッキだから入ってるよな」

 

「私は【不知火の武部】を特殊召喚し、StarPrayerの墓地の【マジシャンズ・ヴァルキリア】を除外!」

 

GerberaWarriorの墓地に眠る【馬頭鬼】が除外されると同時に、【妖刀-不知火】が無表情のまま再び場に戻ってくる。

そして次の発動された魔法カードの効果で【妖刀-不知火】が舞い戻り、StarPrayerの墓地に存在する【マジシャンズ・ヴァルキリア】が除外された。

同族が除外されたことで【チョコ・マジシャン・ガール】は後ろに振り返り、心配そうに主を見る。

不安そうに瞳を揺らす仲間を安心させるよう、StarPrayerは自分の場の伏せカードに視線を落とした。

 

「行くよぉ、レベル4の【不知火の武部】にレベル2のチューナーモンスター【妖刀-不知火】をチューニング!」

 

2体のモンスターの姿が消えたと思うと、2つの光の輪がフィールドに現れる。

それは6つの輪に姿を変え、緑色の光を発したと思うと、轟音と共に光の柱が立つ。

 

「逆巻く炎は破壊の力となり、武士の意思は受け継がれる。

シンクロ召喚!

寥廓(りょうかく)をその刃で両断せよ、【刀神-不知火】!」

 

光の中から現れたのは主線のみのモンスターだが、耳に突き刺さる電子音と共に色付いていく。

手に持っている刀は【妖刀-不知火】のもので、それを持つ青年は炎を纏いながら刀を振り回す。

表示された攻撃力は2500だ。

 

「うわぁ、面倒なのが来た」

 

「バトル!

【麗神-不知火】で【チョコ・マジシャン・ガール】に攻撃!」

 

「罠発動、【一族の集結】」

 

「え、何それ?」

 

StarPrayerが発動した罠カードには【おジャマ】達が集っている。

彼女の知識で【おジャマ】達が集まり、カード名に【一族】と名の付くカードは【一族の結束】があった。

それを考えると同種族のモンスターに関連する効果だろう。

彼女の考えを肯定するように、StarPrayerは笑みで効果を説明した。

 

「手札と墓地から【チョコ・マジシャン・ガール】以外の魔法使い族モンスターを特殊召喚するカードさ」

 

今、StarPrayerの場には魔法使い族である【チョコ・マジシャン・ガール】のみ。

仲間が来てくれる事に【チョコ・マジシャン・ガール】は満面な笑みを浮かべ、StarPrayerに振り返った。

 

「俺は手札から【マジシャンズ・ヴァルキリア】を特殊召喚」

 

「はっ!」

 

特殊召喚されたのは先程除外されたのとは別の【マジシャンズ・ヴァルキリア】。

守備力は1800と表示されたが、【麗神-不知火】の攻撃力2300の敵ではない。

【チョコ・マジシャン・ガール】を狙おうと薙刀を振り上げていた彼女は、【マジシャンズ・ヴァルキリア】の効果で矛先を彼女に向ける。

 

「【麗神】!

そのまま【マジシャンズ・ヴァルキリア】を叩き切って!」

 

「はぁあ!」

 

GerberaWarriorの宣言通り、勢いよく叩き切る。

【マジシャンズ・ヴァルキリア】は強気な表情を浮かべ、持っている杖で薙刀を受け止めた。

金属同士がぶつかる音が響くが、杖にはヒビが入り、力に負けた【マジシャンズ・ヴァルキリア】が両断されてしまう。

 

「続けて【刀神-不知火】で【チョコ・マジシャン・ガール】に攻撃!」

 

自分に向かってくる勇ましい男の姿に【チョコ・マジシャン・ガール】は笑みを浮かべる。

先程まで不安そうな表情を浮かべていたのが嘘のようだ。

 

「【チョコ・マジシャン・ガール】の効果発動」

 

「え?」

 

「彼女がバトルの対象になった時、墓地に眠る【マジシャンズ・ヴァルキリア】が復活する」

 

【チョコ・マジシャン・ガール】は持っているハート型のロッドを振り上げ、目の前に魔法陣を描く。

水色の輝きを発する魔法陣は墓地へと通じる扉を開いた。

その中から先程破壊された【マジシャンズ・ヴァルキリア】が現れ、再び強気な瞳で相手の場を睨みつける。

 

「そして【刀神-不知火】は、【マジシャンズ・ヴァルキリア】に攻撃対象を変更しなければならない。

ちなみにこれは強制効果だ」

 

つまり、【マジシャンズ・ヴァルキリア】の効果は関係ないということ。

攻撃表示で特殊召喚されたことに疑問を覚えたGerberaWarriorは、攻撃力を確認した。

デュエルディスクに表示されている【マジシャンズ・ヴァルキリア】の攻撃力は1600。

どうやら墓地からの蘇生時に攻撃力を変動させる効果はないようだ。

 

「でも、攻撃力なら【刀神-不知火】の方が上!

行って!」

 

勢いを殺さずに切りかかる【刀神-不知火】は【チョコ・マジシャン・ガール】に向かっていた。

その彼女をかばうよう【マジシャンズ・ヴァルキリア】が間に入る。

その時、StarPrayerが呟いた。

 

「それが違うんだよなぁ」

 

再び響いた金属同士がぶつかる音。

だが、先程とは異なり、【刀神-不知火】の表情がだんだんと険しいものに変わっていく。

【マジシャンズ・ヴァルキリア】は顔色1つ変えておらず、それどころか彼に自分の掌を向けた。

そして、魔力を放出し【刀神-不知火】を吹き飛ばす。

 

「うそっ、どうして!?

何で!?」

 

激しい音とともに自分のフィールドに着地した【刀神-不知火】に、GerberaWarriorは理解できないと叫ぶ。

StarPrayerも破壊されていない【刀神-不知火】に疑問を覚えながらも、簡単に説明する。

 

「【チョコ・マジシャン・ガール】の効果はモンスターの蘇生だけじゃない。

攻撃してきたモンスターの攻撃力を半分にするのさ」

 

「う、うそぉ~……」

 

つまり、今【刀神-不知火】の攻撃力は2500の半分1250.

攻撃力1600の【マジシャンズ・ヴァルキリア】に勝てるわけがない。

 

「で、何で【刀神-不知火】が破壊されてないんだ?」

 

「【麗神-不知火】の効果よ。

彼女が存在する限り、炎属性モンスターは戦闘では破壊されないの」

 

「成程、それはやっかいだな……」

 

つまり、【麗神-不知火】をどうにか除去しなければモンスターによる戦闘破壊は出来ないということ。

こちら側も【チョコ・マジシャン・ガール】を守り切れば戦闘での破壊は怖くない。

これは意外に長引くと覚悟を決めた。

 

「私はこれでターンエンド!」

 

「俺のターン、ドロー!」

 

さて、どうやって攻略しようか。

幸いにも手札に【魔導書】が揃ったため、【魔導法士ジュノン】を特殊召喚する事は出来る。

手札と墓地のカードと相談し、次の一手を考えていると乾いた音が響いた。

 

「え?」

 

「何!?」

 

乾いた音に混じったガラスが割れるような音。

一瞬何が起きたのか理解できなかったStarPrayerは、音の発生源である己の左腕を見た。

だが、そこには肘より下の腕がなくなっていた。

それを理解した瞬間、恐怖と激痛が走る。

 

「ぁ、ぐぁっ!?」

 

「StarPrayer!?」

 

デュエルの衝撃とは違う痛みに膝をつき、悲痛な声を上げる。

弟の姿にGerberaWarriorは悲鳴に近い叫び声をあげ、慌てて駆け寄る。

冷や汗を流す彼を抱きしめながら、彼女はこんな酷い仕打ちをした男に怒鳴りつける。

 

「あんた、急に表れて何するの!」

 

今まで聞いたことがない声を出す姉が睨みつける先には、仮面をつけ、白い衣装に身を包んだ男が立っていた。

彼の腕にはStarPrayerの左腕があり、不気味な笑みを浮かべている。

何故彼は自分にこんなことをしたのか、疑問に思っていると男は理解できない言葉を口走る。

 

「フハハハ、ついに、ついにイグニスを手に入れたぞ!」

 

「はぁ?

何の話よ!?」

 

「何だ、貴様は!?」

 

男が何を言っているのか分からず、GerberaWarriorとデュエルディスクにいるStarEaterは怒鳴る。

その声には間違いなく怒りが混じっており、StarEaterは今にも炎を吐き出しそうな勢いだ。

だが、残念なことに今の彼ではLINK VRAINS内で精霊としての力を上手く使えない。

自分が知らないところで命拾いしている男は首を横に倒しながら笑った。

 

「ほぉ、イグニスのくせに俺達を知らないのか?

いや、知らないふりをしているのか?」

 

イグニス。

確かラテン語で篝火という意味のはず。

しかし、この男の発言からもっと別の意味を持つはずだ。

イグニスがこの世界でどのような意味を示すのか分からないStarPrayerは、痛みに耐えるよう顔を歪ませながら叫ぶ。

 

「何だよ、それ。

よくわからないけど、StarEaterはイグニスじゃない!

俺の仲間だ、返せ!」

 

「仲間?

ふん、お前達のようなガキには関係のないことだ。

こいつはハノイの騎士が回収させてもらう」

 

「ハノイ!?

あんたが!?」

 

そんな捨て台詞を吐いた男は焦る双子等気にせず、背中を向けて走り出す。

思わず後を追おうとしたGerberaWarriorだが、すぐに足を止め、StarPrayerに振り返る。

姉として弟を放っておくわけにはいかない。

だが、このまま奴を逃がしてしまえば義兄が連れ去られてしまう。

どちらを取ればいいのか迷ったが、StarPrayerは叫んだ。

 

「姉さん、俺はいいから追って!!!」

 

「っ!!」

 

体を震わせるほどの叫び声に、GerberaWarriorは弟を心配する姉の顔から、怒りを宿すデュエリストの顔に変わった。

建物の間を縫うように逃げる男を追いかけるが、距離は一向に縮まらない。

 

「待ちなさい!

StarEaterを返して!」

 

狭い路地を通って逃げる男に自分の叫び声は聞こえているはずだ。

律儀に止まってくれると期待していないGerberaWarriorは、最終手段として自分のデュエルディスクのスイッチを押す。

すると、いくつかのネット画面が現れ、彼女は指一本であるプログラムを起動させた。

OKボタンを押すと同時にハノイの騎士のデュエルディスクが光りだす。

 

「何?」

 

突然稼働したデュエルディスクに違和感を覚えた男は足を止める。

一体何事かと調べるために操作をすると、なんとデュエルモードが勝手に起動しているのだ。

ライフポイントが表示され、この場から動くことが出来ない。

デュエルディスクの誤作動とは思えず、この現象を引き起こしたと思える人物に振り返った。

 

「小娘、貴様、俺のデュエルディスクに何をした?」

 

「悪いけど、貴方のデュエルディスクにウイルスを仕込ませて貰ったから」

 

「何だと?」

 

「このプログラムは私の自信作でね!

私が持っているワクチンプログラムを使わない限りログアウト出来ないわよ」

 

「何!?」

 

「嘘だと思うのなら試しにログアウトしてみて」

 

GerberaWarriorの言葉にハノイの騎士は信じられないという表情を浮かべ、ログアウトプログラムを起動させる。

しかし何度もERRORと表示されてしまい、彼女の言葉が真実なのだと突き付けられた。

ここはあくまで仮想世界、長時間ログアウトできなければ生死に関わる。

運良く誰かに現実世界の自分を見つけてもらえれば良いが、もし誰も知らずに数日が過ぎてしまった場合を考えて欲しい。

せっかく目的のAIを手に入れて良い気分だったというのに、台無しにされた気分だ。

 

「くっ、まさかそんなプログラムが……」

 

「私が負けたらワクチンプログラムを貴方に渡す!

だけど私が勝ったら、StarEaterを返してもらうわ!」

 

GerberaWarriorは真っ直ぐな瞳でハノイの騎士を捉える。

その瞳は普段の賑やかな彼女からは考えられないほど鋭くなっている。

可愛い弟と楽しい時間を過ごすはずだったのに、この男のせいでそれを壊された。

しかも左腕ごとStarEaterを奪うという、常人ならば思いつかない事をしたのだ!

ただでは終わらせないとでも言うようにデュエルディスクを構える彼女の姿に、囚われの身になっているStarEaterは呟いた。

 

「まずいぞ、GerberaWarriorのやつ、完全に頭に血が上っている」

 

眉間に皺が寄り、両手を握りしめすぎて爪が食い込む勢いだ。

冷静さを欠き、怒りに任せたデュエルを行ってもおかしくはない。

それは自分を捕らえた男も感じているようで、男は不敵な笑みを浮かべてデュエルディスクを構えた。

 

「良いだろう、さっさと終わらせよう」

 

平常を失ったデュエリストとのデュエルなど、すぐに決着がつく。

そう高を括ったハノイの騎士は、この判断が間違いだと気が付けなかった。

 

「「デュエル!!」」

 

「先攻は俺だ!

俺は【星遺物の醒存】を発動!

俺のデッキからカードを5枚めくり、【クローラー】モンスターまたは【星遺物】カードがあった場合、そのカードを手札に加える。

そして、残りは墓地に送る」

 

【クローラー】。

それはGerberaWarrior達の世界には存在しないカテゴリだ。

普段ならどんなカードなのかと目を輝かせるが、弟を傷つけ、義兄を奪おうとする者が相手のため全く楽しめない。

怒りすぎて無表情になっているGerberaWarriorは突き刺すような視線を向けながらめくられるカードを見る。

 

「俺が手札に加えるのは【クローラー・デンドライト】だ。

カードを1枚伏せて、モンスターをセット。

ターンエンド」

 

「私のターン、ドロー。

手札から【ナイト・ショット】を発動!」

 

「何!?」

 

「効果は説明しなくても良いわよね?

さぁ、さっさとその伏せカードを墓地に送って!」

 

「くっ……」

 

【ナイト・ショット】は伏せられている魔法・罠カードを容赦なく破壊するカードだ。

GerberaWarriorの場から放たれた光は伏せカードを貫き、カードが粉々に砕ける。

 

「そして魔法カード【逢華妖麗譚-不知火語】を発動。

手札の【不知火の武部】を墓地に捨て、捨てたモンスターと異なる【不知火】をデッキ・墓地から特殊召喚するわ」

 

場に現れたのは【不知火の武部】が、友人と思われる長髪美女に鈴をつけているシーンが描かれているカードだ。

彼女はStarPrayerとのデュエルでも使用したモンスターを墓地に送り、デッキから1人の男性を呼ぶ。

 

「私は【不知火の武士】を攻撃表示で特殊召喚!

そして【武士】の効果発動、墓地の【武部】を除外し、攻撃力を600ポイントアップ!」

 

刀と剣を持っている青年の前に【武部】が現れ、彼女は自分が持っている刀を【武士】に渡す。

すると、【武部】の足元に異世界へと繋がる扉が開き、彼女はその扉の向こう側へ姿を消す。

これで【武士】の攻撃力は1800から2400になった。

 

「この瞬間【武部】の効果発動!

彼女が除外された事で、デッキから1枚ドローし、その後手札から1枚選んで捨てる」

 

引いたカードはチューナーモンスター。

良いカードを引けたと思った彼女は、手札にいては困るモンスターを墓地に送る。

 

「私は手札からチューナーモンスター【ユニゾンビ】を召喚!」

 

「「イエーイ!!」」

 

【武士】の隣に現れたのはお互いに肩を組み、仲良く歌っているアンデット族モンスターだ。

片方の歌は陽気な気分になれるものに対し、もう片方はどうも気分が沈んでしまう歌声である。

見事に噛み合っていない2人の歌声に【武士】は眉を顰めてGerberaWarriorに振り返ろうと思ったが、それより先に彼女が動いた。

 

「【ユニゾンビ】の効果でデッキからアンデット族モンスターを墓地に送り、【ユニゾンビ】のレベルを1つ上げる」

 

「レベル4のモンスターが2体揃ったか。

しかも片方はチューナーだと?」

 

ハノイの騎士は、てっきり感情に任せた拙いデュエルになると思っていた。

しかし予想に反してGerberaWarriorは実に良いデュエルをしている。

どんなシンクロモンスターが召喚されるのか冷や汗を流す。

仮面の下にある表情に焦りの色があることを知らないGerberaWarriorは、次のカードを発動させた。

 

「手札から魔法カード【愚かな埋葬】を発動!

デッキから【不知火の宮司】を墓地に送る!

そして、【ユニゾンビ】の効果で墓地に送られた【馬頭鬼】の効果を発動!

このカードを除外し、墓地の【宮司】を特殊召喚するわ!」

 

墓地に送られたのは、【不知火の武士】が持っている剣に祈祷をしている男性だ。

しかし彼は【馬頭鬼】に背中を押され、フィールドに特殊召喚される。

彼も横から聞こえる不協和音に顔を歪ませたが、それを忘れるように祝詞を唱え始める。

 

「行くわよ!

レベル4の【不知火の宮司】にレベル4チューナー【ユニゾンビ】をチューニング!」

 

その場に座っていた【宮司】は立ち上がり、【ユニゾンビ】は更に熱唱し始める。

2体のモンスターは粒子となって消え、2本の輪となる。

重なった2つの輪は8つの輪に姿を変え、その中心を光が走った。

 

「戦士の祈りは炎に宿り、敵を切り裂く神となる!!

シンクロ召喚!!」

 

GerberaWarriorの感情にリンクするかのよう、先程とは比べ物にならない程の轟音が響き渡る。

地面を揺らすほどの音は近くの建物も震え上がらせ、遠くにいるデュエリスト達にもここで何かが起こっている事を知らしめる。

 

九霄(きゅうしょう)にて炎の刀を掲げよ、【戦神-不知火】!!」

 

光の輪はモンスターの形を作り出し、透明だったモンスターは炎に包まれながら己の存在を確立させる。

右手に握られた刀は悪しきものを切る炎を宿し、左手に握られた剣は暗闇を照らす炎を宿す。

風と共に長髪が揺れ、燃えるような眼がハノイの騎士を貫いた。

 

「攻撃力3000のモンスターか……!」

 

彼女の場には攻撃力2400と3000のモンスターが並んでいる。

しかも自分の場には伏せカードがなく、あるのは裏守備表示で召喚したモンスターだけ。

このターン、GerberaWarriorは通常召喚を行ったためこれ以上モンスターを召喚出来ないはずだ。

だが、GerberaWarriorは声を張り上げる。

 

「【戦神-不知火】の効果発動!

このカードが特殊召喚に成功した時、墓地の【不知火】を除外し、除外した【不知火】の攻撃力を得る!」

 

「何だと!?」

 

「私が除外するのは攻撃力1500の【宮司】!

これで【戦神】の攻撃力は4500よ!」

 

【戦神】が持つ刀と剣が纏う炎は勢いを増し、フィールドの周りにまで炎が走り始めた。

空気が燃える音が聞こえる中、ハノイの騎士は一歩だけ後ずさった。

 

「バトル!

【不知火の武士】で裏側守備のモンスターに攻撃!!」

 

【武士】は鞘から素早く刀を抜き、目にも止まらぬ速さで裏側守備表示のモンスターを切り刻む。

現れたのは守備力600の【クローラー・デンドライト】。

リバース効果を持ち、デッキからモンスターを墓地に送る効果を持つ。

だが、そんなもの関係なかった。

守るモンスターも、頼りになる伏せカードも何もない。

無防備であるハノイの騎士に冷たい眼差しを向けるGerberaWarriorは声を張り上げた。

 

「【戦神】!!

やれ!!!」

 

怒りに任せた声を響かせる主の命に、【戦神】は静かに頷き、持っている刀を振り上げた。

刀でハノイの騎士に切りかかり、左手に持つ剣で彼を貫いた。

 

「うわぁああああ!!!!」

 

ライフポイントを超える攻撃を受けたハノイの騎士は激痛を感じながら建物に叩きつけられる。

その時の衝撃は凄まじく、すぐには立てないようで震える体でなんとか立とうとしていた。

雑魚を見下すように睨みつけるGerberaWarriorは、すぐにハノイの騎士の横にあるStarEaterを抱きかかえる。

 

「約束通り、StarEaterを返してもらうわよ。

あと、ワクチンプログラムは渡さないから」

 

「な、何?」

 

今にも血を吐きそうな表情を浮かべる男に、彼女は冷たく言い放つ。

そういう約束でしょ?と。

首を傾けながら告げられた言葉に、ハノイの騎士は目の前が真っ暗になる。

体中に走る痛みと、ログアウト出来ない事実、緊張感が限界を突破したのか、そのまま彼は気を失ってしまった。

 

「StarEater、大丈夫?」

 

「あぁ、私は平気だ。

それよりStarPrayerは?」

 

「分かんない。

でも大丈夫よ、私の弟でお父さんの子だもの」

 

あぁ、きっと大丈夫。

これはあくまでVRなのだ、現実世界に影響はないはずだ。

震える体から目を逸らしながら、GerberaWarriorはStarPrayerの元へ向かおうとする。

すると、第三者の声が響いた。

 

「あれぇ、もう終わっちゃってる??」

 

前から聞こえてきたのは、この緊張感に包まれた場にそぐわない声だ。

顔をあげて新たに登場した人物の姿を確認すると、そこには黒と緑のスーツに身を包み、鮮やかな緑の瞳を持つアバターがいた。

彼の姿をGerberaWarriorは知っている。

 

「Playmaker……?」

 

一瞬、何故ここにLINK VRAINSの英雄がいるのかと思ったが、彼がハノイの騎士と敵対している事を思い出した。

成程、ハノイの騎士が現れたと情報があれば彼がこの場に駆け付けるのは当然か。

納得していると、Playmakerのデュエルディスクにいる紫色の小人が不思議そうに彼を見上げる。

 

「Playmaker様、あっちのハノイ伸びちゃってるみたいだけど……

どうする?」

 

「拘束して色々聞きだす。

その前に、お前に聞きたいことがある」

 

「え、何?」

 

大丈夫だったか?等の身を案じる言葉が出てくると思ったが、まさかの質問だ。

何故Playmakerに尋ねられるのか分からなかったが、自分と彼の関係だろうか。

尤も、敵意を向けられていないため仲間だとは思われていないようだ。

 

「何故ハノイの騎士とデュエルをしていた?」

 

「何故って……

どうしてそんなことを聞くの?」

 

「理由は3つある。

1つ、ハノイの騎士の目的はこいつを持っている俺だ。

2つ、俺を探すため、旧型のデュエルディスクを持っているデュエリストが狙われている。

3つ、お前のデュエルディスクは新型、ハノイの騎士が狙う理由はない」

 

彼が3つの指を立てながら口にした言葉は実に分かりやすい。

少し遠回しにも思えるが、これは彼の癖なのだろうか。

自分達が狙われた理由に関しては、彼が望む答えを返せなかった。

眉を下げて困った顔を浮かべるGerberaWarriorは唇に指をあてながら答える。

 

「そんなの私達が聞きたいくらいよ。

ただデュエルをしていたら、急に仲間のデュエルディスクを奪われたの。

だから取り戻すためデュエルしていただけ」

 

「仲間のデュエルディスク?」

 

それが旧型だったのだろうか。

しかし、それなら「仲間のデュエルディスクが旧型だった」と言えば良い。

分からないという返答はこないはずだ。

Playmakerとハノイの騎士が探すイグニス、Aiは彼女が大事そうに抱きかかえている左腕を凝視した。

 

「それか?

だが、それも新型のようだが……」

 

「Playmaker様、そのデュエルディスク、中に誰かいるぜ」

 

「何?」

 

ハノイが彼女の仲間を狙った理由を考察しようとすると、左腕から聞こえた言葉に目を見開く。

Aiの言葉は事実だと示すように、デュエルディスクの液晶部分から1匹のドラゴンが現れた。

その姿に目を見開いたが、LINK VRAINSにはカエルやハトの姿をしている人達がいる。

ドラゴンの姿をアバターにしているデュエリストがいてもおかしくはない。

 

「恐らくだが、私と貴様を間違えたのだろうな」

 

「お前は?」

 

「私はStarEater。

彼女達の保護者だと思ってもらえれば良い。

デュエルの邪魔にならないよう、デュエルディスクに身を置いていたのだが……」

 

「あ~、成程。

それで俺の事をあんまり知らないおバカさんが間違えたってわけか。

ハノイの連中、そこんとこきちんと教育してないのかよ。

雑だな~」

 

「全くだ」

 

今回の1番の被害者と思われる彼は、盛大なため息をついた。

心なしか疲労がたまっているようにも見える。

苦笑を浮かべるしかないGerberaWarriorはStarEaterの頭を撫で、その小さな唇を動かそうとする。

 

「貴様っ!」

 

「え?」

 

後ろから聞こえた声に振りかえれば、先程気絶していたはずのハノイが襲い掛かってくる。

GerberaWarriorは反射的に拳を握り締め、硬そうと思われる仮面に叩きつけようとした。

だがそれより先に腕を引っ張られ、視界に緑が広がった。

 

「大丈夫か?」

 

「あ、はい」

 

頭上から聞こえてくる低い声にGerberaWarriorは混乱する。

足元ではハノイの騎士が地面と仲良くキスをしており、自分は片腕で抱きかかえられている。

流石はLINK VRAINSの英雄、他人を助ける姿がスマートすぎる。

まさか自分より早く動けるとは思わず、思考が停止しかかった彼女は感情の籠っていない返事をしてしまった。

Aiの「Playmaker様イケメ~ン」という言葉に激しく同意しよう。

 

「あ、Playmaker様、ハノイが逃げた!

仲間がいるみたいだぜ!」

 

「何!?」

 

勢いよく地面に顔を向ければ、仲間と思われる男2人が彼を引きずっている。

一応それ相応の仲間意識はあったようで、再び気絶している彼を見捨てず、2人はその場から逃げ去る。

Playmakerは表情を一変させ、逃がさないとでも言うかのように走り出す。

 

「っ、逃がすか!」

 

「え、ちょっと!」

 

待ってと声をかけようと手を伸ばしたが、Playmaker達はあっという間に姿を消してしまう。

取り残されたGerberaWarriorはそれ以上言葉を発することが出来ず、行き場を失った手を下ろした。

 

「……お礼、言い損ねちゃったね」

 

「あぁ」

 

**

 

それからすぐに現実世界に戻った3人は、聖星に異常がないか確認していた。

聖星は左腕を何度も動かし、いつもと比べて違和感がないか確かめる。

 

「どう、聖星?」

 

「うん。

特に何も問題はないよ」

 

LINK VRAINSではある程度の衝撃を受けると、現実世界に戻った時フラッシュバックが起こるという。

いつものように穏やかな笑みを浮かべる弟の姿に、やっと安心できたのか、聖歌は彼の左腕を握り締めた。

そして、聖星の肩に額をつけて黙り込んでしまう。

 

「姉さん?」

 

「ごめん、ちょっとこうさせて」

 

「分かった」

 

流石に元気が1番の取り柄である聖歌でも、目の前で弟があんな目に遭うのはこたえるようだ。

もう大丈夫だ、安心して欲しいと伝えようと思っても1度受けたショックは中々直らない。

自分より少し柔らかい髪をとくように頭を撫でながら、聖星は思い出したかのように呟く。

 

「そうだ、Playmakerについてなんだけど……」

 

「え?」

 

ハノイの騎士に襲われそうになった姉を助けてくれたのだ。

そして星龍と聖歌はろくにお礼を言えていないという。

掲示板に書き込むという手段もあるが、出来れば顔を合わせてお礼を言いたい。

聖星はPCを立ち上げてPlaymakerについて調べ始めた。

 

「あった。

藤木遊作、Den Cityで1人暮らししている高校生……

って、この人、よく行くホットドッグ屋にいるバイトだよ」

 

「え?」

 

「彼がPlaymakerだったのか!?」

 

あっさりとPlaymakerの正体を突き止めた聖星は、画面に表示された写真に目を見開く。

聖歌と星龍も画面をのぞき込み、本当に彼が例の恩人だという事を知った。

まさか有名人がこんな間近にいるとは思わず、3人は互いの顔を見て無言になった。

そんな中、最初に口を開いたのは星龍だ。

 

「どうする、直接会って礼を言うのか?」

 

「でも、現実世界で言ったら怪しまれるし、マナー違反だよね」

 

「だよなぁ。

けど、LINK VRAINSで会えるとも限らないし……」

 

お礼を言いたいから特定しました、近くにいたから会いに来ました。

例え感謝の意を伝えるためとはいえ、遊作側からしてみれば迷惑な話でしかない。

だからといっていつ現れるか分からないLINK VRAINSで待つというのも効率が悪い。

それに彼がLINK VRAINSに現れる=ハノイの騎士がいる=危険な目に遭う可能性があるという事に繋がるのだ。

 

「あ、そうだ。

こういうのはどう?」

 

良い案があるのか、聖歌は両手をポンと叩き、とある事を提案する。

その内容に男2人は首を捻ったが、まぁ、何もしないよりはマシだと結論付けた。

 

**

 

「すみません、ホットドッグとジュースを3つずつください!

あ、1つはマスタードなしでお願いします」

 

「あれ、珍しいね。

今日はお兄さんと弟さんじゃなくてお姉さんが注文かい?」

 

「はい!」

 

外から元気な声が聞こえてきたと思えば、ここ最近常連になっている双子の片割れがいた。

草薙と遊作は珍しいと思いながら注文されたホットドッグを彼女に渡す。

トレーの上に置かれている出来立てのホットドッグを嬉しそうに見下ろす聖歌。

すると、彼女は思い出したかのようにあるものを草薙に差し出した。

 

「あ、そうだ。

店員さん、実はクッキーを作ったんです。

もし良ければどうぞ」

 

「え、良いのかい?」

 

「はい!

いつも美味しいホットドッグを作ってもらっているお礼です!」

 

店を構えず、キッチンカーで運営していると客との距離感が近い。

そのため、常連となった人からこのような差し入れを貰うこともあるのだ。

眩しいほどの笑顔を浮かべられた草薙は、素直に「ありがとう」とお礼を良い、手作りクッキーを受け取る。

真っ白な袋に黄色のリボンが結ばれ、何かの花を模したシールが貼られている。

 

「あの~、お兄さん」

 

彼女は草薙のことを店員さんと呼んでいる。

つまり、このお兄さんと呼ばれているのは遊作ということだ。

遊作は鉄板から顔をあげ、にこにこと笑っている少女を見下ろす。

 

「これ私の自信作なんです、絶対に食べてくださいね!」

 

そう言い終えると、お釣りとトレーを持った彼女はすぐに席へと向かって行った。

ゆっくりと小さくなっていく背中を見つめる遊作は、何故自分があのように声をかけられたのか考えた。

双子の弟から「あの人は食べなさそう」とでも言われたのだろうか。

まぁ、どうでも良いことかとソーセージを焼く作業に戻ろうとすると、横から楽しそうな声が聞こえてくる。

 

「やだ、もしかしてあの子、遊作ちゃんに気があったりして~」

 

「黙れ。

そもそも俺と彼女がまともに顔を合わせたのは今回が初めてだ。

気がある理由がない」

 

人型ではなく、デュエルディスクで引っ込んでいるAiの言葉を遊作は一刀両断する。

ここで注文を行うのは基本的に聖星か星龍のどちらかだ。

星龍がヒューマノイドのため、観察の意味を込めてこちら側から彼女達を見る事はあった。

しかし遊作の言う通り、聖歌ときちんと顔を合わせたことなど1度もない。

つまらないが事実を述べる少年に、Aiはこの場にいるもう1人に声をかける。

 

「どう思う、草薙ちゃん?」

 

「どうって……」

 

話を振られる予感はしていたが、いざ振られると返答に困ってしまう。

草薙としては、Aiの読みは外れており、単純に彼女が人懐こい性格をしているから奥にいる遊作にも声をかけただけと考えている。

 

「それで、草薙さん。

彼女の行方は分かったのか?」

 

「いや、それがさっぱり……」

 

「そうか……」

 

遊作がいう彼女とは、数日前LINK VRAINSで偶然遭遇した少女の事だ。

ハノイの騎士の勘違いで仲間を襲われ、それに激怒した少女はハノイにデュエルを挑み、勝利した。

そのあと遊作とAiは逃げるハノイを追いかけたが、この後トラブルがあったのだ。

ハノイの騎士を捕まえようと捕食形態になったAiが勢いよく襲い掛かり、ハノイの腕を食いちぎったのだ。

ここまでは良かったのだが……

 

「まっずぅううううう!!!」

 

「Ai?」

 

「なにこれまずい、お腹痛い、頭痛い!!」

 

「っ、貴様、何のプログラムを使った!?」

 

6本の腕を激しく動かし、苦しそうにじたばたと転がりまわるAiの様子に、Playmakerの表情が険しくなる。

以前もウイルスを食べてしまったが、ここまで酷い様子ではなかった。

地面に転がっているハノイの胸倉を掴んで聞き出そうとしたが、返ってきた言葉は意外なものだった。

 

「違う、俺じゃない!

さっき俺とデュエルした女がいただろう!

そいつが俺に使ったプログラムだ!」

 

「何だと?」

 

詳しく聞くと、仲間を取り返すため、ハノイの騎士がログアウト出来ないプログラムを使ったのだという。

苦しそうにもがくAiは涙をぽろぽろ流しながらPlaymakerに抱き着き、先程の少女を思い出した。

 

「うへぇ、あの子、可愛い顔して作るプログラムえげつない」

 

そのあと、Aiには悪いが思考を切り替え、目ぼしい情報がないか探ってみた。

しかしイグニスについてよく知らない相手だ。

ハノイの騎士の中でも下っ端の下っ端達、ろくな情報を入手できなかった。

すぐにログアウトした遊作は、草薙の協力を得てAiの中にあるプログラムを除去しようとした。

 

「プログラムの殆どは除去できた。

だが、どうしても一部だけが解除できない……

デュエルディスクから出られないくらい辛いんだろう、Ai?」

 

草薙の言葉にAiは強く頷いた。

別にいつものように人型の姿を取って遊作をからかう事は出来る。

しかし、正直それをやりたいと思えるほどの元気がない。

 

「頭は痛いし、関節っていうの?

そこもズキズキする。

人間でいう酷い風邪状態だぜ」

 

Aiは一般的なAIとは比べ物にならない程高性能であるため、時間がたつにつれてウイルスの除去は進んでいる。

しかし、完全に除去するにはもう少し時間がかかるだろう。

だから彼女を探し出し、ワクチンプログラムを貰おうとしているのだ。

残念ながらあの日以降、彼女と保護者であるStarEaterがログインしている形跡はない。

特定しようと思っても、見事に痕跡を消しており、現実世界の彼女に会うこともできない。

早く見つけなければと焦りながら、遊作と草薙は解析したプログラムを思い出す。

 

「だが、どうやったらあんなプログラムを思いつけるんだ……

遊作、仮に彼女と会ったら少し教えてもらってくれないか?」

 

「時間があればそうする」

 

END




ここまで読んでいただきありがとうございます!
おかしいなぁ、聖星より聖歌が目立ってる。
まぁ、聖星はデュエル出来ない状態だから仕方ない。

そして、まさかの2万8千字を超えるという!!
書いている途中に「長い!!デュエル削る!!」と決めました。
本来ならこの後GerberaWarrior VS Playmakerのデュエルがあったんです。
けど、長い……

Aiはあの状態で星龍の体をスキャンできるのか。
私の設定では出来るんだよ!!(暴論)

聖星のデッキはタイトル通り【魔導書】デッキです。
それに対して聖歌のデッキはかなり悩みました。
初期案では【ヴェルズ】だったのですが(シンクロ次元出身なのに)、当時と比べて面白いカードが増え、【不知火】にしました。
だから、彼女のアバターも若干和風チックです。
アカウント名はがっつり洋風ですが。

リアルに双子の姉弟の距離感は知らないのですが、まぁ、現実にこんな双子の姉はいないよね!
聖歌の性格は元気いっぱい&ブラコン傾向です。

プログラムの精度ですが、永久機関がある世界の出身者とVRがある世界の出身者と比べたらこんな感じでしょうか。
どうしても父親が遊星だから、プログラムや機械関係にはチート気味にしてしまう。

ちなみに、Aiが星龍のような体を欲しいと言ったのは、現時点では単純な好奇心です。
当然遊作から却下されました。
もし交流が進めばSOLtiSより先にヒューマノイドのボディが貰えるかもしれない。
やったね、Aiちゃん!
この点で考えても、SOLテクノロジー社のクイーン達に目を付けられるかもしれない。

2人のアバター姿は時間があれば設定かこちらに載せます。

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