遊戯王GX~不動の名を継ぐ魔導書使い~   作:勇紅

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聖星が飛ばされた先がZEXALではなくARCVだった場合
21話を見て書きたくなりました

注意書き
聖星と真澄が恋人
聖星と真澄が恋人
大事な事なので2回書きました


世界よはじめまして、エクシーズとペンデュラムって何?

マルコ先生等LDS関係者の襲撃事件が立て続けに起こって数日たつ。

未だに有力な情報はつかめず、第二の被害者であるマルコを慕う真澄の顔には日に日に焦りの色が濃くなっていく。

それを間近で見ている聖星は彼女が危険に巻き込まれないよう、なるべく一緒にいるようにしている。

 

「はい、真澄。

喉乾いただろう?」

 

「ありがとう」

 

近くの自販機で買ったジュースを微笑みながら渡し、聖星は彼女を見下ろしながら隣に腰を下ろす。

いつも以上に険しい顔を浮かべる恋人の手を握り、自分達の目の前に映る映像を見上げた。

そこにはLDSの文字が大きく映し出されている。

すると前から見慣れた2人が歩いてきた。

聖星と同じシンクロコースの刃とエクシーズコースの北斗だ。

刃はトレードマークとなっている竹刀を肩に置きながら尋ねてきた。

 

「なぁ、真澄、聖星。

お前ら、今日も探しに行くのか?」

 

「当然よ。

何としてでもあの黒マスクの男を探し出して、マルコ先生の事を聞きださなきゃ」

 

以前、聖星と真澄が見かけた黒マスクの男。

第一の襲撃事件が起こった倉庫で出会った彼は見た事がないデュエルディスクを身に着けていた。

しかも恰好が格好だ。

明らかに怪しい人物にしか見えない。

会った事がある真澄の言葉に2人は不満そうな顔を浮かべ、冷静に言葉を放つ。

 

「けど、そいつが犯人なのか?」

 

「エクシーズ使ったところ、見てないんだろう?」

 

「犯人かは分からないけど、エクシーズ使いであることは間違いないぜ」

 

「え?」

 

自分達は素良という少年の策にまんまとはまり、マスクの男を見逃してしまった。

あんな幼稚な手に引っかかるとは聖星もまだまだという事だろう。

それをネタに自分をこの世界に連れてきた精霊にからかわれたが、少年のデュエルが普通ではない事を踏まえると見失って良かったかもしれない。

聖星はともかく真澄は一般人なのだ。

断定した聖星の言葉に北斗は問いかける。

 

「何でわかるんだよ、聖星」

 

「匂い、かな」

 

「はぁ?」

 

「北斗やエクシーズコースの連中と一緒の匂いを感じたんだ。

ま、確固たる証拠じゃないけどね。

ただのデュエリストの勘だと思ってくれればいいよ」

 

「なんだい、それ。

君お得意の情報収集の結果じゃないのかよ」

 

聖星は遊星のスペックを見事に受けつぎ、機械に関して滅法に強い。

それに比例しているのか情報収集を集めるのも長けている。

だから無限にあるネットワークの情報から確信したと思ったのだが、ただの勘と言われてしまい北斗は深いため息をつく。

 

「勘を舐めないほうが良いぜ。

勘っていうのは、今までの経験をもとに組み立てて導き出される答えだ。

理論的な事は言えないけど、経験上断言できるのさ」

 

「聖星、勝率は俺の次だけど場数は踏んでるからな」

 

「(本当は【星態龍】がエクシーズモンスターの気配を感じる、って言ったから確信しただけで、正直に言ってもわかんないよなぁ)」

 

「とにかく、見つけ出してエクシーズを使うか確かめる!

行くよ、聖星!」

 

「あぁ。

じゃあ刃、北斗。

また明日」

 

飲み終えた缶ジュースをゴミ箱に捨て、聖星は真澄を追いかけた。

2人の背中を見送った北斗と刃はやれやれというかのように手を上げた。

 

 

**

 

 

「本当にここなの?」

 

「俺の情報が間違った事あった?」

 

「いいえ」

 

最初に向かったのは、KEEP OUTというテープが張り巡らされている道路だ。

あまり交通量がない場所で物静かだが黄色のテープが異様な雰囲気を出している。

聖星はお得意の情報収集でLDSの関係者がここで消息を絶った情報を得た。

何か手がかりがあるだろうと思い足を運んだのだが……

 

「(【星態龍】。

何か感じる?)」

 

「微かに力が残っているな……

だが、以前見た黒マスクの男とは違う。

恐らくここで起こった襲撃事件の犯人と黒マスクの男は別人だ」

 

「(つまりLDSを襲っている奴は複数いるって事?

……面倒だな)」

 

「しかもお前と同じで異世界から来た人間だ。

だが聖星、お前と奴らの決定的な違いは力を持っているかいないかだ」

 

「(……あぁ、そうだな)」

 

あの時見かけた黒マスクの男もこの世界にとっての異端者だったが、ここで騒ぎを起こした者も同じ世界の者だろう。

この世界は異世界の人間の侵略が密かに行われているのだろうか。

それなら実力者であるLDSの関係者を襲うのは納得いくが、何故他のプロデュエリストに被害はないのだろうか。

 

「え?」

 

「真澄?」

 

自分の前を歩いている真澄の声に聖星は彼女を見る。

真澄は傍を通っている道路を見上げており、釣られて聖星もそちらに目を向けた。

 

「おいおい……

凄い跡だな」

 

そこには獣のような爪痕が生々しく残っており、コンクリートが抉られている。

削り取られた一部はその真下に転がっており、その量にどれほど深いのか嫌でも分かった。

あんなもの、アクションデュエルでもない普通のデュエルで起こるわけがないし、受けてしまえばただでは済まない。

 

「ここでトップチームのメンバー達が……」

 

みるみる顔が蒼くなっていく真澄に聖星は手を握った。

握った時彼女の真紅の瞳が激しく揺れ、落ち着かせるよう握る手に少し力を入れた。

 

「おい、そこで何をしている!」

 

「っ!」

 

「真澄、こっち」

 

「えぇ……」

 

背後から聞こえた大人の声。

恐らくLDSの関係者で今回の事を調査しているのだろうが、立ち入り禁止の場所に入っているのだ。

見つかってしまえばお説教どころでは済まない。

聖星は彼女の手を引っ張りその場から離れた。

2人の背中を見つめながら【星態龍】は険しい表情を浮かべ、コンクリートを抉る爪跡を見る。

 

「(あれから感じる力……

襲撃犯はサイコデュエリストか?)」

 

サイコデュエリスト。

彼らはデュエルのダメージが実体化し、対戦相手や周りの物を破壊する事が出来る存在。

シグナーだったアキもかつてはその力に悩まされたと聞いている。

それは聖星も思っていたようで、犯人がどんな力を持っているのか興味を持ちながら、マスクの男と接触した時あの場にいた柊柚子と素良という少年少女を思い出した。

特に柚子はあのマスクの男と初めて会うような感じではなかった。

きっと彼女なら何か知っている。

 

 

**

 

 

それから聖星の行動は早かった。

デュエルディスクを使って彼女の居場所を特定し、先回りした。

何故こんな場所に来たのかは疑問だが、柚子と素良は港にある倉庫がある場所に居た。

そして聖星は2人に微笑みながら挨拶する。

 

「こんにちは、柊柚子さん、紫雲院素良君」

 

「貴方達は光津真澄に……

不動聖星……!?」

 

「LDSのお兄さん達じゃん。

何か用?」

 

可愛らしい少女の柚子は自分達の前に現れた2人の登場に驚きを隠しきれない。

それに対し素良はいつも通りの態度だ。

まさか自分の行動をネットワークや監視カメラを利用して特定されたなど思いもしないだろう。

 

「今、この舞網市の中で何が起こってるか知ってる?」

 

「何がって?」

 

「謎のデュエリストによる連続襲撃事件」

 

「連続襲撃事件?」

 

まるで理解できないとでもいうかのような表情を浮かべる柚子。

今まで様々な人達の表情を見てきた聖星が見た限り、彼等が嘘を言っているようには見えない。

彼女は本当に知らないのか?

傍にいる素良も含め、表情変化を見逃さないよう凝視する聖星に対し真澄は言葉を述べる。

 

「被害者は全てLDSの関係者。

……でも彼らは真実を語らない。

何故なら皆消えてしまったから」

 

「消えた……?」

 

「どういう事?」

 

襲撃された者達が消える。

この言葉から2人は何を連想しただろう。

聖星は微笑みながら優しく教える。

 

「最初の犠牲者である沢渡以外、皆行方不明なんだ。

それで唯一無事な彼は犯人を遊矢って証言しちゃってね。

でも、彼が俺達といる間に襲撃事件は再び起こった。

これで考えられる事は2つ。

1つ目は、真犯人は別にいて、沢渡が逆恨みで彼を犯人に仕立てようと偽りの証言をした。

2つ目は……

犯人は複数存在し、榊遊矢はそのうちの1人という事」

 

「なっ、ちょっと貴方!

まだ遊矢の事疑ってるの!?

遊矢は犯人じゃないわ!」

 

「ごめん、ごめん。

疑っている、と聞かれたら微妙なところかな。

ただあくまで1つの可能性を示しただけさ」

 

マルコが襲われたのは自分達が遊勝塾でデュエルをしているとき。

彼は確かにあの場にいた。

最初の犠牲者は無事に安否を確認でき、以降の犠牲者は確認できない。

だからあれ以降の事件の犯人は彼ではない。

だが関わりがないとは言い切れない。

そう口にした聖星を柚子はきつく睨み付けた。

 

「聖星の言う通り……

襲われて、消えたらしい……

聖星がネットワークを駆使しても、どこにいるのか分からないんだ」

 

トップクラスの人達は口を揃えて会えない状態だと言っていた。

一体どんな状態なんだと疑問を浮かべながらも、マルコの安否を心配する真澄は真っ先に聖星に情報を集めるよう頼んだ。

可愛い恋人の必死な頼み事を断れるわけもなく、聖星はすぐに情報を集めた。

 

「最初は怪我をして入院しているかと思った。

けど、彼らがどこかの病院に入院した情報なんて一切無かったぜ」

 

「お願い、あいつの居場所を教えて!

知ってるんでしょう!?」

 

「あいつって……」

 

「あの時貴方達と一緒にいた黒マスクの男よ!」

 

素良と対峙していた紫と黒髪の少年。

見た事もないデュエルディスクに漂わせている雰囲気。

間違いなく彼は今回の襲撃事件に関係している。

真澄は強く拳を握りしめ、柚子を睨み付けた。

 

「あの時ちゃんと捕まえていれば、その後の事件は防げたのに……

貴方が逃がしたせいよ!」

 

「そんな、私は知らないわ……」

 

「嘘をつくな!

マルコ先生が消えてしまったんだ……

あんなに強くて優しかったマルコ先生が……

今もどこかで苦しんでるかもしれないんだ……

だから……」

 

次々と思い出すマルコの姿。

いつも優しく真澄を指導し、他コースの聖星にも嫌な顔1つせず平等に接してくれた。

誰よりも尊敬し、敬愛した彼が苦しんでいるかもしれない。

早く助けなければ。

しかし現実はそう簡単ではなく、何の情報もない。

時間がたつにつれ最悪な事ばかりが脳裏をよぎり、非力な自分にさえ腹が立ってくる。

悔しくて、悔しくて仕方がない。

 

「だから一刻も早く見つけなくちゃいけないんだ!」

 

唇を噛みしめた真澄は勢いよく顔を上げ、柚子に怒鳴るように叫ぶ。

そんな彼女の目には涙が浮かんでいた。

 

「早くあいつの居場所を教えなさい!!」

 

「だから、知らないって言ってるでしょう!」

 

「ならなんで最初の事件の現場にあいつと一緒にいた!?

しらばっくれるならデュエリストらしく、デュエルで聞き出してあげるわ!」

 

真澄は足に着けているホルダーに手を伸ばし、青色のデュエルディスクを出す。

デュエルで決着をつけると言い出した彼女に柚子は怯むが、素良は笑みを浮かべながら言い放つ。

 

「LDSの融合召喚なんて大したことないよ。

ちょちょいとやっつけちゃえば」

 

「…………は?」

 

素良の言葉に聖星はつい声が低くなった。

しかしそれに気付かない素良はさらに言葉を続けた。

柚子は融合の力を手に入れ、以前より強くなった。

きっと今の柚子なら真澄に勝てる。

生意気ながらも自信満々に言う少年の言葉に、聖星は表情を消して嘲笑うかのように言った。

 

「今の彼女はあの時と違う、ねぇ。

どう違うのか証明してほしいな。

少なくとも俺の目には以前よりは強くなったけど、相変わらず弱く見えるけど」

 

「なっ、どういう意味よ!」

 

すぐに問いただしてくる柚子。

聖星は冷静になりながらも以前の彼女を思い出す。

あの時の彼女は傍から見ても酷く動揺しており、正直見ていられなかった。

今は多少なりとも見る事が出来るようになったが、どこか無理しているように見える。

そんな中途半端なデュエリストが真澄より強い?

そんなこと、あるわけがない。

 

「言葉通りさ。

君が前回真澄と戦った時、君は真澄を見ていなかった。

今はちゃんと見ているようだけど、君……

無理してるだろう?」

 

「っ……」

 

「やっぱり。

例えデュエルの実力はあっても、心に迷いがあるデュエリストが俺の真澄に勝てるわけがないだろう」

 

「聖星……」

 

「百歩譲ってLDSの融合召喚が君の言う通り、劣っているとしよう。

使い手の彼女が幼稚じゃ意味ないぜ」

 

「ふぅん。

お兄さん、随分とそのお姉さんを信頼してるね。

じゃあ早く2人のデュエルを見ようよ。

そうしたらお兄さんが信じてるお姉さんの融合が大したことないって証明できるからさ」

 

融合が大したことない。

その言葉に真澄の目が一気に鋭くなり、彼女の雰囲気が一気に冷たくなった。

彼女が誇りにしている融合召喚は敬愛するマルコとの思い出がたくさん詰まったもの。

それを貶されて平気なわけがない。

 

「その言葉……

私に融合召喚を教えてくれたマルコ先生の侮辱!!

先にお前を叩きのめしてやる!!」

 

「え、僕とデュエル?

止めておいた方が良いと思うよ。

余計自信なくしちゃう」

 

「うるさい!

LDSこそ最強だ!

それを思い知らせてやる!

行くわよ、聖星!!」

 

「あぁ。

……流石にここまで言われると腹が立つしな」

 

聖星は融合召喚をあまり使わない。

だが、使えないわけではない。

そんなにLDSを、マルコの教えを、真澄を侮辱するというのなら聖星は全力を出すつもりだ。

この場に相応しいデッキをケースから取り出し、聖星はデュエルディスクにセットした。

 

「っ!?

この感じは……!!

聖星、来るぞ!!」

 

「え?」

 

不意に感じた違和感に【星態龍】は姿を現す。

その違和感は明らかに自分達に敵意を向けているもので、【星態龍】の言葉に聖星は真澄の前に出た。

【星態龍】が何処を見ているのか聖星には分からないが彼と同じ方角を睨み付ける。

 

「ちょっと、聖星?」

 

「真澄、下がって」

 

「え?」

 

怪訝そうな表情を浮かべる真澄。

彼女は聖星を見上げ、彼の視線の先を見る。

それは柚子と素良を捉えず、何もない空間を見ているように見えた。

 

「お前達もLDSか?」

 

「きゃっ!」

 

低く、怒りに満ちた青年の声。

同時に風のように男が現れ、傍を通過された柚子が倒れる。

その時彼女のデッキが散らばるが、青年は見えていないのか聖星と真澄を凝視している。

 

「LDSなら、俺が相手だ!」

 

サングラスをかけている青年は荒っぽい声色で左腕を差し出し、嵌められているデュエルディスクを起動させる。

そのデザインはマスクの男と同じもので、聖星は目を細めた。

 

「彼と同じデュエルディスク……

っていう事は君が襲撃犯の共犯者?」

 

「…………」

 

「答える気はない、か。

良いぜ、やろう。

ついでにどうしてこんな事をするのかも聞き出してやる」

 

真澄を侮辱した素良達を叩き潰すために取り出したデッキ。

しかし、彼が相手ならこのデッキを使う理由にはならない。

別のデッキを取り出した聖星はデュエルディスクを起動させる。

 

「待って聖星!

こいつは私が……!」

 

「真澄。

あそこに出来た傷跡を見ただろう。

こいつのデュエルは普通じゃない。

俺が時間を稼ぐ。

その間にLDSに連絡しろ」

 

「だけど……」

 

「こういう時くらい、かっこいい事させてくれよ。

な?」

 

大丈夫、俺は負けない。

そう言い聞かせるかのように聖星は微笑んだ。

彼女には傷ついてほしくないし、聖星なら【星態龍】の加護により彼の力に対抗できる。

彼らの力で傷つかない事に気付いた青年はどんな反応するだろう。

怒りに身を任せているように見える分、焦った時の反応が楽しみだ。

 

「気を付けろ、聖星。

あの男、恐らくだが対戦相手をカードに封印する力を持ってる」

 

「(そんな事が分かるなんて、流石【星態龍】)」

 

「ふん。

仮にも高位の精霊だ。

それくらい見ただけで把握できる」

 

「(うん、頼りにしてる)」

 

「行くぞ!」

 

「あぁ、来いよ」

 

「「デュエル!!」」

 

END

 




隼が真澄にデュエルを申し込む姿を見た時、書かずにはいられなかった


ARCV設定
LDSシンクロコース所属
勝手に国籍を偽造してLDSに入塾
真澄に一目惚れして猛アタック、紆余曲折あったが晴れて恋人に
持ってきたカードは【星態龍】しかなかったが、すぐに以前持っていたデッキと似ているシンクロデッキを作る
だが融合もあまり浸透していない状況なのでパーツの入手が困難
頭は刃よりは良いが、実技は刃より下
ZEXALの時と違い、エクシーズ召喚もすんなりと受け入れ使ってみたいという思いがある
持っているデッキ
【ドラゴン族】
【幻竜族】
【ジャンク竜星】
【シャドール魔導】
【ジュノン軸魔導】

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