遊戯王GX~不動の名を継ぐ魔導書使い~   作:勇紅

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第三十九話 選ばれなかった者の意地

 

聖星が自室謹慎になってから数日、証人保護プログラムの書類作成は予想通り難航しているようだ。

事情を知っている鮫島校長や十代達は聖星が謹慎している状況に対し焦った様子はないが、聖星が査問委員会に連れていかれた事しか知らない明日香達の心境は穏やかではない。

アカデミアの島で降っている片時雨は、彼等の間にある温度差を的確に表現している。

そして、絶えず降っている雨と光風を浴びながら登校した取巻は、デュエルフィールドの上で腰に手を当てていた。

 

「いや、分かってた。

あぁ、分かっていたさ、留学生はブルー寮所属だからこういう可能性は十分にあるって」

 

そう、同じ寮の者同士でデュエルを行うのが月に1度行われるテストの基本ルール。

だから取巻の相手は明日香や慕谷、胡蝶、寺岡等が候補に挙がる。

当然、とある生徒もその候補に挙がるのだが、ブルーの生徒数を考えると対戦する可能性は限りなく低いだろう。

それに付け加え、今の自分の実力では彼の相手が務まるとは思えないという先入観もあった。

だが、その先入観を嘲笑うように神様とやらは現実を叩きつけてくる。

 

「何で俺の相手がアンデルセンなんだよ!?」

 

顔を伏せていた取巻は勢いよく顔を上げ、過去のアホな自分を殴る勢いで声を張り上げた。

一方、友人の突っ込む姿を目の当たりにしたヨハンは慣れているのか、ハハハと笑みを浮かべながらデュエルディスクにデッキをセットする。

 

「何だよ、取巻。

俺がデュエルの相手じゃ不満か?」

 

「不満じゃなくて、作為的なものを感じるんだよ」

 

留学して初めて行われる定期テストだ。

慣れない異国の地でリラックス出来るよう、それなりに交流がある生徒と組ませたという意図が見える。

しかし、それならば取巻ではなく明日香でも良かったのではないかと、この対戦を決めた教師へ恨めしそうに目をやった。

取巻の叫び声が聞こえ、自身に向けられる感情を読み取ったクロノス教諭は心外だと言うように首を横に振る。

 

「失礼なノ~ネ。

このクロノス・デ・メディチ、誓ってそんな事はしないノ~ネ」

 

「遊城と万丈目、俺と不動のデュエルはどう説明するんですか?」

 

「あれはイエローの昇格を賭けたデュエル。

例外なノ~ネ」

 

「……随分と都合のいい逃げ道がありましたね」

 

昇格を賭けたデュエルならば意図的に対戦相手を決めるのは当然だ。

定期テストのようにある程度のランダム性が必要とされる場合と比べるのは不適切だったか。

2人の会話に本校のシステムをまだ完全に理解しきれていないヨハンは首を傾げて尋ねてきた。

 

「例外?」

 

「遊城と不動が入学した最初の月1デュエルは、遊城と不動のイエロー昇格を賭けてブルーだった万丈目と俺でデュエルしたんだよ」

 

尤も、クロノス教諭は2人、特に十代をイエロー寮に昇格させるつもりはなく、彼等にこの学園の厳しさを叩きこむために組まれたデュエルだったが。

結果は誰もが知っている通り、誇り高いブルーの生徒が落ちこぼれのレッドの生徒に全敗とう形で幕を閉じた。

当時はあまりの屈辱に数日はまともに勉強が手につかなかったものだ。

いやぁ、あの頃の自分は実に青かったと懐かしんでいると、ヨハンは別の疑問が浮かんだのかそれについて聞いてくる。

 

「すげぇな、入学して最初のテストで昇格を賭けたデュエルって。

それにしても、それをするくらいなら何で十代と聖星がレッド寮だったんだ?」

 

「不動に関しては謎だが、遊城はシンプルに座学がヤバい。

どれくらいヤバいかと言うと、フィアンセの意味を知らないくらいヤバい」

 

「……マジ?」

 

絶句とはこの事である。

聖星達と親しくなってから十代の勉強会に強制参加させられている取巻の言葉には確かな重みがあった。

そして、例に挙げられたエピソードを聞かされたヨハンの表情は固まっており、十代がどれ程座学を苦手としているのか正確に伝わったようだ。

 

「十代の奴、進級できるのか?

進級のテストって実技だけじゃなくて筆記もあったよな」

 

「テスト前には俺と不動やイエローの生徒が集まって遊城に勉強を教えているから、年間成績はギリギリ平均点に届くか届かないかだ。

だから多分大丈夫だと信じたい」

 

「取巻、俺も手伝うぜ」

 

「頼む」

 

ヨハンとしても、留学して出会った友人、しかも自分と同じ精霊が見える少年が留年するなど見過ごせない。

音に聞く実力者だから留年の危機があるとは思わず、意外だなぁと軽く考えていたが、フィアンセの意味を知らないと聞かされた以上最悪なケースを想定してしまう。

実技最高責任者のクロノス教諭は他の生徒達のデュエルを見守るためか、ヨハンと取巻のデュエルフィールドから立ち去る。

それと入れ替わるよう、あまり親しくないブルーの生徒達が2人の姿を見て雑談を始めた。

 

「何だ、取巻の相手は留学生のヨハンか?」

 

「可哀そうになぁ、取巻。

あいつ、いつもレッドの十代に負けてるのに、十代に勝ったヨハンが相手だぜ」

 

「勝ち目のないデュエルかぁ、俺なら絶対に嫌だな。

成績が下がるの確定じゃないか」

 

「あれ、早くイエローに降格しろって遠回しに言われてるも同然だろ」

 

瞬間、先程まで取巻に同情の眼差しを送っていたヨハンの表情が険しいものになる。

2人の耳に届かない声量で話しているのならばヨハンは文句を言わない。

だが、これからデュエルを始めるヨハンと取巻に聞こえるように話すなど明確な悪意を感じる。

一言言ってやろうかと思ったが、目の前にいる友人が涼しい顔でデュエルディスクを構えていたため、ヨハンは口を噤んだ。

それに、ヨハンの対戦相手に対して可哀そうと口にする生徒はアークティック校にもいたと自分に言い聞かせてデュエルを始めようとするが、それより先に別のブルーの生徒達の会話が耳に入る。

 

「そういや、いつも一緒につるんでる聖星はどうした?

姿が見えないけど」

 

「謹慎中だとよ。

風の噂だが、犯罪に関与していたから退学処分を受けるとか受けないとか」

 

「げ、マジかよ」

 

彼等が話しているのは定期テストに顔を見せていない聖星の事だ。

倫理委員会が聖星を連行する際、その理由をカイザーやヨハンの前ではっきりと述べていた。

早朝ではあったがブルー寮の前で行われた事なので、あの場を目撃した生徒がいてもおかしくはない。

嫌な風に噂が広まっているなぁと苦々しい気分でいると、その後に続く会話に耳を疑った。

 

「あぁ、それなら倫理委員会に連れていかれるあいつを見たぜ。

いつも笑っているあいつの顔が真っ青で、見ていて腹抱えて笑いそうになった」

 

「良いなぁ、俺もそのシーン見たかった」

 

「っ!?」

 

こいつ等、本気か?

聞き間違いではない、彼の不幸な状況を楽しんでいる旨の発言にヨハンは一瞬だけ思考を止めた。

しかし、その間にも傍にいる生徒達は楽しそうに雑談をしており、次々にこの場にいない聖星への無礼な言葉を続ける。

 

「そもそもレッドの奴がブルーまで這い上がって来る時点でおかしいんだよ。

もしかしたら聖星の奴、金を積んで八百長試合してたんじゃないのか?

あいつ、色々なレアカード持ってるから実家太そうだし」

 

「あり得るかもな。

って事は、アカデミアに入学してきたのも裏口だったりして」

 

「ひぇ~、なんか闇を見た気分だぜ」

 

「っ!!」

 

ついに頭に血が上ったヨハンは勢いよく振り返り、声を荒げようとする。

だが、それより早く取巻の大声がデュエルフィールドに響いた。

 

「アンデルセン!」

 

背中から聞こえた名前を呼ぶ声に、ヨハンは蛇に睨まれた蛙の如く縮こまる同級生達から取巻へと視線を移す。

柳眉を逆立てているヨハンは心底ご立腹なようで、緑色の瞳は何故と問いかけてきていた。

彼等の会話を聞いていた【宝玉獣】達も次々にデッキから現れ、赤、青、藍、緑の宝玉達はヨハンに寄り添い、紫、黄色、橙色の宝玉達は同級生達を冷たい眼差しで睨みつける。

精霊を見ることが出来ない取巻は真っすぐヨハンの目を見つめ、諭すように言葉を放った。

 

「無視しろ、相手にするだけ時間の無駄だ」

 

「だけど、取巻」

 

「アンデルセン。

言いたくないが、成績によって寮を分けられたら自然と他人を見下す環境が生まれるんだ。

そしてここにはイエローからブルーへ昇格しても仲間とは認めない連中が多い。

特に不動はブルーに昇格する前からブルーの連中と何度か衝突していたからな」

 

ある時は聖星の持つ【ブラック・マジシャン】のカード欲しさにアンティルールを持ち掛けたり、待ち伏せしたり、褒められたものではない事を多々してきた。

また、これは人伝に聞いた事だが、取巻の【レダメ】が盗まれた時もブルーの生徒に喧嘩を売ったという。

最近では、聖星はカイザーと同等の実力者、アークティック校への留学等、自分達とは絶対的に違う強者だと理解され始めていたが、やはり不愉快で生意気な同級生だと思っている連中が多い。

眉間に深い皺を刻んでいるヨハンは低い声で嫌々納得したように尋ねてくる。

 

「……つまりあいつ等にとって聖星は仲間じゃないって事か。

だからって、あそこまで言うか?」

 

「言うさ。

気に入らなければ例え相手がどれ程の実力者であろうと下に見る。

凝り固まったエリート思考っていうのはそう簡単に治らないんだよ」

 

「本校の上下関係は厳しいって聞いてたけど、想像以上だな。

こんなんじゃあ楽しいデュエルなんて出来ないだろ」

 

アークティック校にいたとき、聖星に本校の様子を聞いた事はある。

その時にアカデミアの寮制度について教えてもらったが、平気で他人を侮辱するような連中が多い学園だとは夢にも思わなかった。

 

「ルビ~……」

 

久しぶりに本気で怒っている家族の様子に【ルビー】は頬を摺り寄せた。

そして、最低な言葉を放った生徒達を睨みつけている【アメジスト・キャット】、【アンバー・マンモス】、【トパーズ・タイガー】は低い声で感想を言い合う。

 

「倫理委員会に連れていかれた時点で聖星は彼等にとってかっこうの玩具ってわけ、良いご身分ね」

 

「将来、彼等のような者達がプロデュエリストになると思うと頭が痛くなるな」

 

「せっかく留学してきたんだ、あいつ等の根性叩き直すのも悪くないんじゃないか?」

 

彼等が言葉を交わす中、低い唸り声も微かに聞こえてくる。

こういう時、自分達の姿がヨハン達にしか認識されないのが歯がゆくなる。

もしブルーの生徒達が精霊の姿を見る事が出来れば、自分達がどれ程ヨハンや精霊の怒りを買ったのか理解できただろう。

背後と腰から感じる精霊の怒気にヨハンは冷静さを取り戻し、深呼吸を繰り返す。

 

「まぁ良い、あいつ等全員の顔は覚えた。

取巻、早くデュエルしようぜ!」

 

「覚えてどうするんだよ」

 

聞きたくはないし、答えは分かり切っているのだが一応聞いておこう。

取巻からの問いかけにヨハンはただ笑みを浮かべるだけ。

答える気はないのだと察した取巻はデッキケースからデッキを取り出した。

聖星から身の上話を聞かされた時から今日のために練りに練ったデッキである。

頼んだぞ、俺のデッキ。と心の中で呟いた取巻は顔を上げ、ヨハンに宣言する。

 

「それと、アンデルセン」

 

「何だ?」

 

「さっきあいつ等は俺が負けるとか言ってたけど、俺は負けるつもりはない。

当然、勝ちにいく!」

 

「あぁ、そうこないとな!」

 

取巻からの勝利宣言にヨハンは先程まで浮かべていた険しい表情を消し、満面な笑みで強く頷いた。

そう、デュエルとは楽しくて魂と魂をぶつけるゲームだ。

雑念を全て追い出し、今は目の前のデュエルを楽しみたい。

上手く感情を切り替えたヨハンに対し、取巻は静かに心の中で呟く。

 

「(……アンデルセン、選ばれる側のお前に俺の気持ちなんて絶対に分からないだろうな)」

 

2人のデュエルディスクが起動し、赤い光が輝く。

カードをセットする部位にも光が宿り、ライフのカウンターが4000と表示された。

 

「「デュエル!!」」

 

「アンデルセン、先攻は貰うぞ!

俺のターン、ドロー!」

 

勢いよくデッキからカードを引いた取巻はカードの名前を見て戦略を組み立てる。

残念ながらこの手札ではこのターンに大型ドラゴンを召喚して牽制するのは難しいだろう。

引いたカードを手札に加えた彼は別のカードを手に取った。

 

「手札から【兵隊竜】を守備表示で召喚。

俺はこれでターンエンド」

 

「がぁう!」

 

「【兵隊竜】かぁ。

確か俺が魔法、罠、モンスター効果を発動した時、デッキからレベル2以下のドラゴン族を特殊召喚するカードだったな」

 

「あぁ」

 

ヨハンが述べた通り、取巻が召喚した竜は1ターンに1度、デッキからレベル2以下のモンスターを特殊召喚する能力を持つ。

これだけの説明ならば有用かもしれないが、トリガーが相手のカードの発動であるため積極的に使うデュエリストは多くない。

だが、目の前に立っているのはアカデミアでエリート街道を歩んでいるオベリスクブルーの生徒だ。

どのような策略が隠されているのか考えながらヨハンは自分のターンに入った。

 

「俺のターン、ドロー!

手札から魔法カード【宝玉の絆】を発動!

デッキから【宝玉獣】を1体手札に加え、異なる【宝玉獣】1体をデッキから選び、宝玉として俺の場に出す。

俺は【宝玉獣アンバー・マンモス】を手札に加え、【ルビー・カーバンクル】を宝玉にする」

 

「この瞬間、【兵隊竜】の効果発動!

デッキから【兵隊竜】を守備表示で特殊召喚する」

 

2人が発動したカードの光がフィールドを包み込む。

取巻の場には黄色の光が輝きだし、そこから巨大な斧を持った竜が現れた。

それに対しヨハンの場には赤色の輝きから小さな宝石が現れた。

 

「魔法カード【天使の施し】を発動。

デッキからカードを3枚ドローし、2枚捨てる」

 

「2体目の【兵隊竜】で3体目の【兵隊竜】を守備表示で特殊召喚する」

 

「このままカードを発動しても壁モンスターは増えるか」

 

「それなら、これでターンエンドするか?」

 

「まさか!」

 

ヨハンの手札には家族のやる気を現すかのように様々なカードが舞い込んでいる。

取巻とのデュエルを楽しみたい家族と自分のためにこれでターンを終了するという選択肢はない。

だからヨハンは次のカードを掴んで発動する。

 

「手札から装備魔法【金科玉条】を発動。

デッキから【宝玉獣】を2体選び、魔法・罠ゾーンに置く。

そして俺の墓地から【宝玉獣】を1体特殊召喚する」

 

「墓地の【宝玉獣】?

さっきの【天使の施し】か」

 

「当たりだ、取巻」

 

「それなら【金科玉条】が発動した瞬間、【兵隊竜】の効果発動!

デッキからレベル2の【ミンゲイドラゴン】を守備表示で特殊召喚する!」

 

「俺は【コバルト・イーグル】と【トパーズ・タイガー】を魔法・罠ゾーンに置き、【アンバー・マンモス】を選択する。

来い、【アンバー・マンモス】!」

 

「はぁ!」

 

「……」

 

デッキから選択されたのは独特な模様を体中に刻み、木製のような質感を持つドラゴン。

取巻の前に召喚された【ミンゲイドラゴン】は民芸品をモチーフにしているためか、一言も鳴くことはなく、両翼を目の前にクロスさせ、静かに鎮座した。

一方、【アンバー・マンモス】はマンモスという名に恥じない力強い声を上げながら場に現れ、小さなドラゴン達を見下ろす。

3体の【兵隊竜】は圧倒的な攻撃力を持つモンスターを前に脅えた様子を見せず、しっかりと【アンバー・マンモス】を見据えている。

 

「更に手札から魔法カード【宝玉の契約】を発動!

【ルビー】を俺の場に特殊召喚する!」

 

「ルビッ!」

 

「【ルビー】、ルビー・ハピネス!」

 

「ルビィ~!」

 

【宝玉の契約】より放たれた光は赤色の宝石を包み込み、まるで新しい命が生まれるかのように宝石が割れる。

その中から勢いよく飛び出した【ルビー・カーバンクル】は尻尾を高く上げ、ヨハンを守っている家族を目覚めさせた。

 

「【コバルト・イーグル】、【トパーズ・タイガー】を特殊召喚!」

 

「呼ばれて颯爽と登場ってな!」

 

「お前だけじゃないぞ、【イーグル】!」

 

2つの赤い光は青と黄色の宝石を照らし、その光の中から巨大な鷲と虎が現れる。

攻撃表示で召喚された2匹は守りを固めているドラゴンを見た。

守備力はそこまで高くはないが、主を守る心意気は本物のようで、ここを通す気はないと彼等の目が訴えている。

向けられる敵意に闘争心を煽られたのか、【コバルト・イーグル】と【トパーズ・タイガー】は実に良い笑顔を浮かべた。

 

「いやぁ、それにしてもまだ2ターン目なのに相手の場も良い具合に埋まってるなぁ」

 

「モンスター4体は確かに厄介だが、守備力はたったの800と200だ。

俺達の敵じゃないだろ、ヨハン」

 

「あぁ。

取巻はドラゴンを4体も並べたんだ。

だったら俺は5体並べないとな」

 

家族から向けられる言葉にヨハンは頷く。

それは期待ではなく、出来て当然という信頼。

今まで積み重ねて深めた絆があってこその発言はとても暖かい。

一方、ヨハンが【宝玉獣】達とどのような会話をしているのか分からない取巻は唯一理解出来た言葉に反応する。

 

「5体?」

 

「俺は手札から【サファイア・ペガサス】を召喚!」

 

「はぁ!」

 

「そうだ、まだアンデルセンは通常召喚をしていない……!」

 

まだ召喚されるモンスターに取巻は眉間に皺を寄せる。

ヨハンが召喚した【サファイア・ペガサス】は煌めく光の中から現れ、純白の翼を広げて存在感を強める。

頭部に生える宝石と同じ目を持つ【サファイア・ペガサス】はヨハンに振り返り、今すぐ駆けだせるように一歩前に出る。

 

「まさかこうも早く呼んで貰えるとはな。

だが、相手の場を見れば私を呼びたくなるのも当然か」

 

「頼りにしてるぜ、皆」

 

これでヨハンの場にはモンスターが5体。

取巻の場に存在する3体の【兵隊竜】と【ミンゲイドラゴン】を撃破し、ダイレクトアタックが出来る。

 

「【サファイア・ペガサス】の効果発動。

サファイア・コーリング!」

 

【サファイア・ペガサス】は召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、デッキ・手札・墓地から【宝玉獣】を宝石として場に出す能力を持つ。

当然、モンスターゾーンを圧迫しない効果を使わないという選択肢はなく、ヨハンはデッキで今か今かと待ち構えている家族を選び、デュエルディスクにセットする。

同時に場に緑色の宝石が現れ、取巻はあれが誰なのかすぐに理解した。

 

「緑色の宝石……

【エメラルド・タートル】か」

 

「あぁ。

それじゃあ取巻、バトルフェイズだ!

【ルビー】で【ミンゲイドラゴン】に、【コバルト・イーグル】、【アンバー・マンモス】、【トパーズ・タイガー】で【兵隊竜】に攻撃!!」

 

【ルビー】は攻撃力300という攻撃向きのモンスターではない。

しかし、取巻の場に存在する【ミンゲイドラゴン】の守備力はたったの200。

他の【兵隊竜】に関しては記さなくても分かるだろう。

4体のモンスターの攻撃によって取巻の場には爆風が吹き荒れ、取巻は破壊されるモンスター達を見る事しか出来ない。

爆発と共によって生じた黒煙が晴れる中、ヨハンの声が響く。

 

「【サファイア・ペガサス】、ダイレクトアタック!」

 

「ぐっ!!」

 

「カードを1枚伏せてターンエンド」

 

空から急降下してきた【サファイア・ペガサス】の攻撃は取巻の体を貫き、彼のライフを1800奪った。

ダイレクトアタックの衝撃で数歩下がった取巻はすぐに体勢を立て直し、真っすぐヨハンを見る。

ヨハンが先制した事で周りの生徒達は盛り上がり、大勢の声がデュエルフィールドに響く。

そんな中、自分達のテストを終えた十代、万丈目が観客席へやって来た。

特に十代は見知った顔がデュエルしている事に目を輝かせ、近くで見ようと最前列まで駆け寄っていく。

 

「おっ、始まってる!

ヨハンと取巻がデュエルしてるのか。

あ~、最初から見たかったなぁ~!」

 

「ふん、取巻の相手はヨハンか。

取巻も運がないな」

 

「何だよ、万丈目。

取巻の事応援してやれよ、友達だろ」

 

「誰が友達だ、誰が!」

 

一体十代は以前の万丈目と取巻を見て、何故友達という評価をしたのだろうか。

以前の2人は権力者と権力者に媚を売っている者で、良好ではあったかもしれないが友好的な関係ではなかった。

歪な関係がなくなりはしたが、だからといって好転したわけでもない。

その意味合いを込めて怒鳴るが、当の十代は本気で言っていたのか、きょとんとした表情を返される。

十代に理解を求めた自分が愚かだったと思い直した万丈目は数年前を振り返った。

 

「だが、あいつとは中学の頃からの付き合いだ。

取巻の実力はお前よりも知っている。

はっきり言おう、あいつには無理だ」

 

「マジでひでぇな、万丈目」

 

「そういう十代こそ、あいつがヨハンに勝てると思うのか」

 

確かに、百歩譲って取巻のデュエルの腕が向上しているとしよう。

強者とのデュエルで得た経験の積み重ねは確実に取巻を強くしている。

だが、その強さはあの場に立っているヨハンをはじめ、万丈目や十代を超える強さではない。

そう含めた問いかけをしたところ、十代は不敵な笑みを浮かべて返した。

 

「思ってるさ」

 

「何故だ?」

 

「何故って、当然だろ万丈目」

 

そう、十代にはしっかり伝わっていた。

もし取巻が逃げ腰でヨハンとデュエルをしていれば、取巻の敗北が濃いと判断しただろう。

しかし、あの場に立っている取巻の目は違う。

相手がヨハンだからと負けるつもりはない、勝つという強い意志を宿しているのだ。

 

「デュエルってのは、最後の最後まで誰が勝つか分からないもんだぜ」

 

そう笑った十代は万丈目からヨハンと取巻へと視線を移した。

上記のような会話が繰り広げられている事を知らない取巻はデッキからカードを引く。

 

「俺のターン、ドロー」

 

今、ヨハンの場には【宝玉獣】が5体。

低い攻撃力を持つモンスターが攻撃表示になっているのはヨハンとしても都合が悪い。

そして彼の場には1枚の伏せカード。

あれが何のカードなのか簡単に予想がつく。

では、あのカードに怯えて除去カードが来るまで守りに徹するかと聞かれると、答えはノー。

 

「俺の場にモンスターが存在しないとき、【ミンゲイドラゴン】は墓地から特殊召喚できる!

【ミンゲイドラゴン】を特殊召喚!」

 

「……」

 

「さらにこいつはドラゴン族の生贄召喚に使用する時、2体分の生贄になる!

【ミンゲイドラゴン】を生贄に捧げ、【タイラント・ドラゴン】を生贄召喚!」

 

「グォオオオ!!」

 

無言を貫く小型のドラゴンは風を纏いながら次元の彼方へと消え去り、代わりに額に宝石を埋め込まれた西洋風のドラゴンが場に現れる。

その攻撃力は2900と、ヨハンの場のモンスターを簡単に蹴散らせる数値だ。

更に【タイラント・ドラゴン】は自身を対象にする罠カードを無効にして破棄する効果を持つ。

 

「(アンデルセンはデッキに相手のカードを破壊するカードを入れていないと言っていた。

なら、この状況でモンスターを守るカードといえばカウンター罠の【攻撃の無力化】か、バウンス系のカード。

そのほとんどが相手モンスターを対象にする効果。

【タイラント・ドラゴン】にはそんなカードは通用しない!)」

 

だから、滅多な事ではない限りこの攻撃は通るはずだ。

さらに【タイラント・ドラゴン】は相手の場にモンスターが存在する時、追撃する効果も持つ。

攻撃力2900の【タイラント・ドラゴン】で攻撃力1700の【アンバー・マンモス】と攻撃力300の【ルビー・カーバンクル】を攻撃すれば、ライフの殆どを削る事が出来る。

 

「【タイラント・ドラゴン】で【アンバー・マンモス】に攻撃!」

 

「罠発動【和睦の使者】!」

 

発動されたのは、ヨハンへのダメージを0にし、モンスターの破壊を無効にするカード。

【タイラント・ドラゴン】を対象にしてはいないため、無効にして破壊する事が出来ない。

 

「そう簡単に通してくれないか。

カードを2枚伏せてターンエンド」

 

「俺のターン、ドロー。

【強欲な壺】を発動。

デッキからカードを2枚ドロー」

 

新たに引いたカード達を見下ろしたヨハンは考える。

【ミンゲイドラゴン】が特殊召喚された時点で取巻が上級ドラゴンを呼ぶことは分かっていた。

普通のデュエリストならば厄介な相手となるドラゴンの召喚を阻害しただろう。

だが、ヨハンはカードによる破壊ではなく、真正面から叩き潰す事を好む。

故にそれを可能にするカード達が手札に来てくれた。

 

「魔法カード【野生開放】を発動!

【サファイア・ペガサス】の攻撃力は守備力分アップする!」

 

【サファイア・ペガサス】の攻撃力は1800、守備力は1200。

つまり、【タイラント・ドラゴン】の2900を超えた3000になる。

 

「バトル!

【サファイア・ペガサス】で【タイラント・ドラゴン】を攻撃!」

 

「罠発動、【バーストブレス】!!」

 

「げっ!!」

 

赤いオーラに包まれた【サファイア・ペガサス】が【タイラント・ドラゴン】に攻撃しようとすると、取巻の場に伏せられたカードが発動した。

そこに描かれているのはカード名に相応しく、ドラゴンがブレスを吹いている姿だ。

あのカードは取巻の場に存在するドラゴン族モンスターを生贄に捧げる事で、その攻撃力以下の守備力を持つフィールドのモンスターを全て破壊する効果を持つ。

早い話が、ヨハンの【宝玉獣】達全員は取巻に牙を向ける前に破壊されるのだ。

大丈夫だとは思うが取巻はヨハンに尋ねた。

 

「効果の説明はいるか?」

 

「いや、大丈夫だ。

けど良いのか、せっかく召喚した【タイラント・ドラゴン】を生贄に捧げて」

 

「あぁ、問題ない」

 

【タイラント・ドラゴン】は墓地から蘇生する時にある制約がかかる。

【ミンゲイドラゴン】の効果によって生贄に捧げたモンスターが1体だけだったとはいえ、高い攻撃力を持つモンスターをあっさりと手放す決断力は褒めるべきだろう。

 

「(ま、ここで【バーストブレス】を発動しておかないと、皆のダイレクトアタックでデュエルが終わっちまうからな)」

 

先程は絶対に勝つと宣言されたのだ。

それなのにあっさりとデュエルが終わってしまうなど心底つまらない。

まだまだ続くデュエルに楽しくなってきたヨハンは不敵な笑みを浮かべ続ける。

自分の場のモンスターを全て破壊されるというのに焦りの色を見せないのは、【宝玉獣】達の性質があるからだろう。

【タイラント・ドラゴン】の口から放たれた炎によって【宝玉獣】達は焼き払われ、何体かは宝石になろうとする。

すると、未だにフィールドに残る炎がじょじょに黒くなり、取巻の場に集まっていく。

ソリッドビジョンの様子にヨハンは口角を上げ、何が出てくるのか凝視した。

 

「何だ?」

 

「フィールドのモンスターが対象をとらないカードの効果で破壊された時、手札からこいつを特殊召喚する」

 

「!」

 

「現れろ【ブラック・ホール・ドラゴン】!」

 

そのカード名が宣言された瞬間、場に集まった黒い炎が輝きだす。

光さえ飲み込む闇は突風を生み出し、全てを吸い込む穴が大きくなっていく。

と思えば、その中から1対の手が現れ、巨大な顔がヨハンの場を覗き込むかのように現れた。

頭部に白い光を宿す鋼のドラゴンはゆっくりと降臨し、敵であるヨハンに威嚇として咆哮を上げた。

 

「グォオオオオオオ!!」

 

「すげぇ、かっけー!!」

 

体中を震わせる咆哮は殆どの者の戦意を喪失させるだろう。

だが、彼を見上げているヨハンは根っからのデュエルバカ。

例え恐ろしいモンスターが対峙しようと、ヨハンは目を輝かせながら声を弾ませる。

相変わらずな少年に破壊された【宝玉獣】達は苦笑し、【トパーズ・タイガー】はため息を零しながら声をかけ、【コバルト・イーグル】は【トパーズ・タイガー】の背中をぽんぽんと叩いた。

 

「おい、ヨハン。

俺達全員破壊されたんだぞ、何呑気に感動してるんだ」

 

「まぁ、まぁ。

確かにあれはカッコいいから見とれたってしょうがないって」

 

「あぁ、【タイラント・ドラゴン】も正統派ドラゴンでかっこよかったけど、こいつもかっこいいぜ。

俺は【サファイア・ペガサス】、【トパーズ・タイガー】、【ルビー・カーバンクル】を宝玉として場に残す」

 

5体の【宝玉獣】のうち場に残されたのは3体。

ヨハンの場に並ぶ青、黄色、赤の宝石を見ながら取巻はカード処理を行う。

 

「それなら俺は【ブラック・ホール・ドラゴン】の効果を使う。

このドラゴンが自身の効果で特殊召喚に成功した時、デッキから【ブラック・ホール】を手札に加える」

 

「へぇ、手札に【ブラック・ホール】か。

これは警戒しておかないとなぁ」

 

【ブラック・ホール】はデュエル初心者でも知っているほど有名な全体破壊カード。

まさかあのカードに専用の効果を持つモンスターが存在したとは知らなかった。

これだからデュエルは奥が深いのだと笑ったヨハンは次のカードを発動する。

 

「手札から【レア・ヴァリュー】を発動。

相手が選んだ【宝玉獣】を墓地へ送り、俺はデッキからカードを2枚ドローする」

 

「俺は【ルビー・カーバンクル】を選択する。

(【ルビー・カーバンクル】は特殊召喚された時、他の【宝玉獣】を目覚めさせる効果を持つ。

後の事を考えるとこのまま場に残すのは得策じゃないな)」

 

「すまない、【ルビー】。

俺はカードを2枚伏せてターンエンド」

 

赤色の宝石と入れ替わるように2枚の伏せカードが場に現れる。

さて、あれはどのようなカードなのだろうか。

今までの経験と既存の手札で出来る事を考えながら取巻は自分のターンを始める。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

引いたのは1枚のドラゴン族モンスター。

思い入れのあるそのカードに取巻は不敵な笑みを浮かべた。

当然、真正面にいるヨハンにもその表情は読み取れ、これから反撃が始まると察した。

 

「手札から【サファイアドラゴン】を召喚!

そして、【サファイアドラゴン】をゲームから除外し、手札から最強のドラゴンを特殊召喚する!」

 

「最強のドラゴン!?

【ブラック・ホール・ドラゴン】と【タイラント・ドラゴン】を超えるドラゴンがまだいるのか!?」

 

「あぁ、紹介するぜ、アンデルセン。

俺のエースだ」

 

「取巻のエース!」

 

場に現れたのは高等部に進級する前から愛用している宝石のドラゴン。

光を反射して煌めく【サファイアドラゴン】はすぐに闇へと引き込まれる。

【ブラック・ホール・ドラゴン】が特殊召喚された時とは違う闇の輝きは一筋の光となり、燃えるような赤が輝き始めた。

エースという単語に更に目を輝かせたヨハンは幼い子供のように様子を見守る。

 

「【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】!!」

 

「グァアアアアア!!!!」

 

赤い光を纏いながら特殊召喚された【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】は大きく翼を広げ、【ブラック・ホール・ドラゴン】の隣に舞い降りた。

取巻がエースと称する程の威圧感はあり、【ブラック・ホール・ドラゴン】とも【タイラント・ドラゴン】とも違う美しさは見る者を魅了する。

そして心なしか取巻の表情が得意げだ。

見たこともないドラゴンの登場にヨハンは楽しくて仕方ないという表情を浮かべ、冷静に場を整理した。

 

「攻撃力2800かぁ。

これはちょっと厳しいなぁ。

罠発動、【粘着落とし穴】!」

 

「なっ!?」

 

「悪いが【レッドアイズ】の攻撃力は半分になってもらうぜ」

 

伏せられていたカード名に取巻の自信満々だった表情が驚愕へと変わる。

【粘着落とし穴】はヨハンが宣言した通り、特殊召喚されたモンスターの攻撃力を半分にするもの。

せっかく召喚したエースを弱体化されてはそのような顔になるのも無理はない。

一気に攻撃力が1400まで下がってしまったエースを見上げながら取巻は顔を顰め、カードの効果を発動する。

 

「だが、【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】の強さは攻撃力だけじゃない!

【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】の効果発動!

【兵隊竜】を墓地から守備表示で特殊召喚する!」

 

「がぁう!!」

 

「【死者蘇生】内蔵のドラゴンか!

確かにエースに相応しい効果だな」

 

耳に届いたヨハンの言葉に取巻は眩しそうに目を細める。

普通のデュエリストならば、壁となるモンスターがいない状況で攻撃力3000のモンスターと特殊召喚効果を持つモンスターを並べられたら、臆して険しい表情を浮かべるだろう。

しかし、カードを交えている目の前のデュエリストは違う。

焦りの汗1つさえかかず、心の底から楽しそうにこの場にいる。

それは元々のヨハンの性格故か、それとも、もう1枚の伏せカードが逆転に繋がるカードだからか。

 

「(きっと、両方なんだろうな。

アンデルセンはそういうデュエリストだ)」

 

別に取巻はヨハンの事を十代のように太陽のような眩しい男と評価するつもりはない。

しかし、目の前にいる少年は間違いなく皆の前を走っていく、時代に選ばれた側の人間だ。

どれ程手を伸ばしても、やっと背中を掴めたと思っても、次の瞬間にはさらに前に進んでいる少年。

以前の取巻ならば彼等はそういう人間なのだと納得し、さも当然だとその背中を見つめるだけだった。

静かに目を閉じた取巻は先日の事を思い出す。

2人に強引に連れていかれ、大人達の目を盗んで聖星の部屋を訪れたあの夜を。

 

「(アンデルセン。

お前は不動から鍵を託された時どう思った?

俺はお前が羨ましくて、悔しくて、情けなくて仕方なかったさ)」

 

別に聖星がヨハンを頼った事を間違った選択だと口が裂けても言うつもりはない。

誰が見ても、留学してくる程の実力者であるヨハンに鍵を託すのが正解だ。

だが、あの場面を見たとき確かに取巻は絶望にも似た何かを抱いた。

 

「(あぁ、自業自得だ。

俺は今の強さに満足してお前達には勝てないと決めつけ、遊城や万丈目のように次の領域に行こうとしなかった。

強くなろうとしなかったから、不動はこの時代に来てから付き合いの長い俺じゃなく、たった数週間しか過ごしていないお前を頼った)」

 

その現実をどうしても許せなかった。

親しい友人の信頼を、ぽっと出の男が自分以上に得ている。

確かに、自分と聖星は最初から仲が良かったわけではない。

それでも自分達は日々を積み重ね、頼る事も頼られる事もあった。

だから聖星は取巻の事を信頼して未来の人間である事を打ち明けてくれた。

しかし、聖星はヨハンを選んだ。

何故自分を選んでくれなかった、どうして彼を選んだ。

八つ当たりでしかない感情が心の奥底からあふれでる度に、弱いくせに欲しがる自分の惨めさを自覚して嫌になっていく。

 

「バトル!!

【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】で攻撃!」

 

「グォオオ!!」

 

「っ!!」

 

取巻の攻撃宣言と共に【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】の口から炎が放たれる。

宝玉の壁をすり抜けた炎はヨハンの体を包み込み、彼のライフを4000から2600へと削った。

ダメージを負ったヨハンはすぐに笑みを浮かべ、真っ直ぐ前を見る。

その瞳に宿る煌めきはとても美しい。

 

「(だから決めた、俺はお前達より強くなってやるってな!)」

 

ヨハンばかりずるいと駄々をこねるなんて情けない真似はしたくない。

頼って貰えないのなら頼って貰えるほど、いや、俺を頼れと宣言できるほど強くなれば良い。

それが今の自分に出来るシンプルな答え。

以前の自分が今の取巻を見たらバカみたいに熱くなっている彼を嘲笑っただろう。

それでも良い。

過去の自分が何と言おうと、未来を決めるのは他の誰でもない現在の取巻だ。

 

「【ブラック・ホール・ドラゴン】でダイレクトアタック!!」

 

【ブラック・ホール・ドラゴン】の攻撃力は3000。

ヨハンの残りライフは2600。

彼等のデュエルを見守っていた十代と万丈目は少しだけ席から立ち上がり、取巻を凝視する。

 

「この攻撃が通れば取巻の勝ちだ!」

 

「まさか、あいつ……!」

 

「デッキから【宝玉獣アメジスト・キャット】を墓地に送り、【宝玉割断】を発動!」

 

「っ!?」

 

「【ブラック・ホール・ドラゴン】の攻撃力を半分にし、取巻はデッキからカードを1枚ドローする」

 

「それなら俺は【兵隊竜】の効果でデッキから【ミンゲイドラゴン】を特殊召喚する!」

 

伏せられていた最後のカードが表になる。

そのカードの効果は先程ヨハンが使用した【粘着落とし穴】と似ている。

違うのは発動するタイミングと相手に手札増強を許してしまう点か。

ヨハンへと突撃した【ブラック・ホール・ドラゴン】は彼のライフを2600から1100へと削ったが、その表情はどこか悔しそうだ。

モンスターと同じ表情を浮かべている取巻は静かに拳を握りしめ、デッキから加わったカードを見下ろす。

 

「(アンデルセンのモンスターの攻撃力は総じて低い部類が多い。

破壊カードなしで相手モンスターを倒すのなら攻撃力を増減するカードを使うのは予想がつく。

けど、2枚も半減カードを引くか?

いや、いい、今はデッキからドローさせてくれたと考えろ)」

 

そして取巻は【宝玉割断】をトリガーとして特殊召喚された【ミンゲイドラゴン】を見下ろす。

 

「これはバトルフェイズ中の特殊召喚だから、【ミンゲイドラゴン】も攻撃できる。

【ミンゲイドラゴン】でアンデルセンにダイレクトアタック!」

 

「ぐっ!!」

 

【ミンゲイドラゴン】は大きく口を開け、ヨハンへ噛みついた。

攻撃力は400と低いが、ヨハンのライフを風前の灯火にするには充分すぎる。

【ミンゲイドラゴン】が取巻の場に戻った事を確認したヨハンはゆっくりと汗を拭う。

 

「危ない、危ない。

【兵隊竜】を攻撃表示で特殊召喚されていたら俺の負けだったな」

 

「【兵隊竜】の攻撃力は700。

アンデルセンのライフも700。

守りを固めず、攻撃に徹すれば良かったってわけか」

 

万が一の事を考え、壁として並べようとした意識がここで足を引っ張るとは思わなかった。

だが、今のところ場もライフも取巻が優勢だ。

焦るなと自分に言い聞かせながら彼は【ブラック・ホール】を除く残りの手札全てを伏せる。

 

「カードを2枚伏せてターンエンド」

 

「俺のターン、ドロー!

手札から【死者蘇生】を発動!」

 

「させるか!

カウンター罠【神の宣告】!

【ルビー・カーバンクル】は蘇生させないぜ」

 

今、ヨハンの場には宝玉が3つ。

【サファイア・ペガサス】と【トパーズ・タイガー】はドラゴン達を戦闘破壊出来る攻撃力だ。

彼等が特殊召喚されるのは願い下げである。

ライフを犠牲に妨害されたヨハンは頬をかく。

 

「あちゃ~、やっぱカウンター伏せてたか。

それなら、魔法カード【宝玉の恵み】を発動。

墓地に眠る【宝玉獣】2体を宝玉として復活させる」

 

「(【宝玉獣】を2体?

これでアンデルセンの魔法・罠ゾーンは全て宝玉で埋まった。

これじゃあアンデルセンは魔法カードを発動できない。

モンスター効果を使おうにも【宝玉獣】モンスターは7体のみ。

そいつら全員魔法・罠ゾーンか墓地にいる。

どうするつもりだ?)」

 

ヨハンの場には赤と紫の宝玉が置かれる。

つまり、【ルビー・カーバンクル】が魔法・罠ゾーンに置かれた。

しかし、先程取巻が考えた通り、ヨハンが出来ることはないように思える。

 

「それなら俺は、【兵隊竜】の効果で【デコイドラゴン】を守備表示で特殊召喚する」

 

彼が何をしようとしているのか読めないまま【デコイドラゴン】を特殊召喚すると、答えを教えてくれるようにヨハンはデュエルディスクのある場所を開く。

 

「俺は手札からフィールド魔法【虹の古代都市-レインボー・ルイン】を発動!」

 

「しまった、フィールド魔法を忘れていた……!」

 

自分もフィールド魔法【山】を散々使っていたというのに、そこを見落とすとは情けない。

驚きの表情を見せてくれた取巻に対し、ヨハンは自信満々に効果を説明する。

 

「【レインボー・ルイン】は俺の場に存在する宝玉の数で効果を得る。

俺の場に宝玉が4つ以上ある時、俺はデッキからカードを1枚ドロー出来る」

 

「ドロー効果があるフィールド魔法だと!?」

 

「当然俺は、この効果を使う」

 

「それならアンデルセンがドローした瞬間に罠カード【無効】を発動!」

 

「!?」

 

取巻が発動したのはフードを被った男が待ったをかけているカード。

そのカードの名前にヨハンは効果を知っているのか、厄介なものを見るような眼差しを送っている。

 

「カードの効果によってドローしたカードを互いに確認し、そのカードは全て墓地に捨てる。

さぁ、何のカードを引いたか見せてもらおうか」

 

「へぇ、良いカード使うじゃん。

俺が引いたのは【宝玉の氾濫】だ」

 

ヨハンが引いたカードを見た瞬間、取巻は安堵の息を零す。

煌めく宝石が描かれたカードはその外見にそぐわぬ強力な能力を持っており、先日でも十代とヨハンのデュエルでヨハンを勝利に導いていた。

それを覚えている万丈目と対戦相手だった十代は椅子に座ったままそれぞれ呟く。

 

「確か、ヨハンの場に存在する【宝玉獣】を4枚墓地に送るのが発動条件だったな。

今、ヨハンの魔法・罠ゾーンは埋まっているからあのカードを発動出来ないが、手札に加えられるよりはマシか」

 

「いやぁ、あぶねぇなぁ、取巻。

もし【無効】がなかったらこのターンで決着ついたかもしんねぇし」

 

「は?」

 

「え?」

 

何を言っているんだ、お前は。

隣の席から聞こえてきた言葉に少年達は同時にお互いの顔を見合わせる。

周りにいる生徒達もとある疑問を浮かべたようで、全員が十代を凝視していた。

そう、万丈目が先程呟いた通りヨハンの魔法・罠ゾーンは全て【宝玉獣】で埋まっており、【宝玉の氾濫】を発動する事が出来ない。

だというのに十代はこのターンで決着がついたかもしれないと述べた。

普通のオシリスレッドならば初歩的な勘違い故の発言だと捉えられたかもしれないが、十代の実力は隣にいる万丈目もよく知っている。

何故ヨハンが勝ったかもしれないという結論に至ったのか尋ねようとする直前、ヨハンが【レインボー・ルイン】の効果を発動した。

 

「だけど、【レインボー・ルイン】の効果はまだまだある。

俺の場に宝玉が5つある時、魔法・罠ゾーンの宝玉を1体特殊召喚する」

 

「ここで特殊召喚効果!?」

 

「当然、俺が選択するのは【宝玉獣ルビー・カーバンクル】!」

 

「ルビ~!」

 

青空が広がる石造りの会場の中で、眠っていた【ルビー】が目覚める。

気のせいだと思うが、【ミンゲイドラゴン】が【ルビー】の登場に驚いたかのような反応を示す。

再び特殊召喚された【ルビー】は先程と同様、尻尾を高く上げた。

 

「集え、俺の家族達!

ルビー・ハピネス!」

 

「ルビビィ~!」

 

「【アメジスト・キャット】、【トパーズ・タイガー】、【サファイア・ペガサス】、【エメラルド・タートル】!!」

 

次々にヨハンの宝石にひびが入り、数ターン前のように彼の家族が取巻に立ちはだかる。

5体のモンスターは取巻の場に存在するドラゴン達を睨みつける。

特に最も攻撃力が低い【ミンゲイドラゴン】へ突き刺さる視線はとても鋭い。

ライフが残り1100の取巻は、【トパーズ・タイガー】の攻撃を受ければ敗北してしまう。

殆どの生徒が終わったと嘆く中、取巻はデュエルディスクのボタンを押した。

 

「悪いが、お前の家族には退場してもらう!

【激流葬】発動!」

 

「なっ!?」

 

「これでアンデルセンと俺のモンスターは全て破壊される!」

 

カードが表になった瞬間、【レインボー・ルイン】に設置されている入場口から怒涛に波が押し寄せてきた。

狂瀾怒濤の中に飲み込まれたモンスター達は悲鳴を上げる暇もなく砕け散り、無情にも破壊されていく音さえ聞こえない。

この世の全ての音をかき消していた濤声が鳴りやみ、ゆっくりと波は消え去っていく。

そして、再び宝玉に戻った家族達から取巻に視線を移したヨハンは自分の目を疑った。

 

「あれ?

なんで【ブラック・ホール・ドラゴン】が残ってるんだ!?」

 

そう、【激流葬】はフィールドの全てのモンスターを飲み込む。

現に【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】を含む4体のドラゴンの姿は跡形も残っていない。

しかし、間違いなく彼の目の前には白い光を宿す漆黒のドラゴンが佇んでいた。

 

「【ブラック・ホール・ドラゴン】は破壊の闇から出現するドラゴン。

あらゆる破壊効果は無意味。

こいつにとって【激流葬】は、波の出るプールで遊んでる感覚なんだよ」

 

「なるほど、だから遠慮なく【激流葬】を発動できたっけわけか」

 

納得した表情を浮かべたヨハンは相も変わらず不敵な笑みを崩さない。

だが、取巻にはその笑みがただの強がりにしか見えなかった。

そう、今この瞬間、ヨハンが出来る策は尽きてしまった。

 

「(アンデルセンの手札は0。

場に残っているのは何もできない【宝玉獣】とフィールド魔法のみ。

ドロー効果も特殊召喚効果も既に使い切った。

そしてアンデルセンのライフは残り700)」

 

あぁ、うるさい、自分の心臓の鼓動がバカみたいにうるさい。

それは顔を顰めるような騒音ではなく、とても心地いい凱歌の前奏だ。

強くなると決め、夜の目も寝ずにデッキと向き合い、このデュエルに臨んだ。

その結果がこの瞬間である。

まさか強くなりたいと願って、すぐに結果を残せるとは思えなかった。

別にこれで自分がヨハンより強いだなんて自惚れるつもりはないが、それでも今までの取巻にとってこの勝利はとても大きい。

早くターンエンドの宣言をしろと願い、逸る感情を必死に抑えながら心の中で叫ぶ。

 

「(勝てる、アンデルセンに!!!)」

 

「墓地から魔法発動」

 

「……え?」

 

ヨハンの口から放たれた言葉は、取巻が想像していたものではなかった。

落ち着いた声で紡がれた単語を彼の頭は一瞬だけ拒絶するが、これが現実だと見せつけるようにヨハンは1枚のカードを墓地から回収する。

 

「【宝玉の加護】。

俺の場に宝玉が置かれた時、墓地に眠るこのカードを除外する。

そして、【ルビー・カーバンクル】をもう1度俺の場に特殊召喚する」

 

「は?」

 

彼の手にあるのは見た事もない魔法カード。

そこには今にも羽ばたこうとしている【コバルト・イーグル】が描かれていた。

自分の知らないカードの発動に取巻は必死にこのデュエルを思い出す。

 

「嘘だろ、いつそんなカードを……」

 

確か、ヨハンは後攻1ターン目に【宝玉獣】のカードを揃えるため多様な魔法カードを使っていた。

しかし、何度振り返ってもあのカードを使用した記憶がない。

一体何が抜け落ちているのか焦る思考で振り返っていると、あるカードの存在を思い出す。

 

「(【天使の施し】か!)」

 

あぁ、確かにあの瞬間、ヨハンは【アンバー・マンモス】と一緒に何かのカードを墓地に捨てていた。

ヨハンのデッキに投入されているモンスターは7体。

それら全ては墓地で発動する起動効果を持っていない。

付け加えると墓地で発動する魔法・罠カードはそこまで一般的ではなく、可能性として除いていた。

自分の未熟さを目の当たりにした取巻は歯噛みするしか出来なかった。

先程と同じように輝きながら復活する【宝玉獣】達の光に照らされ、取巻の悔しそうな表情はヨハン達の目にしっかりと映る。

 

「……取巻」

 

ヨハンが【宝玉の加護】を発動するまでは、誰もが取巻が勝ったと思うだろう。

取巻自身、勝利というゴールテープを切るのは自分だと確信していたはずだ。

だが、これが現実である。

 

「バトルだ!

【トパーズ・タイガー】で【ブラック・ホール・ドラゴン】に攻撃!!」

 

「グアァア!!」

 

【トパーズ・タイガー】は相手モンスターに攻撃する時、攻撃力を1600から2000へアップする効果を持つ。

彼は【宝玉割断】の効果で攻撃力が1500まで下がっている【ブラック・ホール・ドラゴン】を簡単に葬り去った。

取巻のライフは1100から600まで削られ、無防備な彼が【宝玉獣】達の前に晒される。

 

「【アメジスト・キャット】、ダイレクトアタック!!」

 

「ニャア!!」

 

「ぐっ!」

 

ヨハンの場から勢いよくジャンプした彼女はそのまま取巻を押し倒し、鋭利な爪を出す。

そして、顔に激しい痛みが走った。

情けない悲鳴と共にライフが0へとカウントされ、デュエル終了のブザーが鳴り響く。

消えていく青空を眺めながら取巻はゆっくりと立ち上がった。

 

「……まぁ、気持ち1つで強くなれば苦労しないか」

 

少なくとも、数日前の自分よりは健闘していた。

今はそれで満足しよう。

次は墓地に送られたカードをきちんと把握する、そして守りに徹さず攻撃に重きを置く。

改善点を冷静に記憶しているとヨハンが駆け寄って来る。

 

「楽しいデュエルだったぜ、取巻!」

 

「あぁ、そうだな」

 

向けられる満面の笑みに釣られ、取巻も少しだけ笑みを零す。

 

「っていうか、取巻、どこがまぁまぁなんだよ、充分強いじゃないか!

最後のターン、マジで手に汗握ったぜ!

ま、俺の方が1枚上手だったけどな」

 

「何1つ言い返せないのが悔しい」

 

しかし、実に良いデュエルが出来た。

あそこまで熱が入ったデュエルをしたのは久しぶりな気がするくらいだ。

少しだけ耳障りな会話も聞こえてくるが、それら全てを無視して先程のデュエルの感想を言い合っていると遠くから名前を呼ばれた。

 

「ヨハン、取巻~!」

 

「お、十代達だ。

あいつらもテスト終わったんだな。

ほら、クロノス教諭にデュエルの結果報告しに行こうぜ」

 

「あぁ」

 

ヨハンはそう言ったと思ったら十代の方へと向かっていった。

真っ先に合流した2人は楽しそうに話しこんでおり、遅れてやって来た万丈目と取巻の視線が交わる。

相変わらず鋭い目つきだと他人事のように眺めていると、万丈目が口を開いた。

 

「ま、お前にしては健闘したんじゃないか。

次は頑張れ」

 

「あぁ、今度こそ勝つつもりだ。

それで、遊城と万丈目は誰が相手だったんだ?」

 

「そこら辺のレッドの生徒だ。

まるで話にならん」

 

「だろうな」

 

**

 

「ってな感じで、ヨハンが勝ったんだぜ」

 

「良いな~、俺も2人のデュエル見たかった」

 

薄暮の部屋で今日のテストの内容を聞いていた聖星は、心底残念そうな表情を浮かべながら十代の言葉を羨む。

当初は十代達の接触を禁止されていた聖星だが、証人保護プログラムの保護対象のため身分詐称に違法性はないと判断され、直接会わなければ友人との交流が許された。

ベッドに寝転びながら熱く語られたデュエルは本当に見応えがあったものだろう。

特に最後のターン、お互いの手札を全て使い切った攻防の熱気は凄かったと十代は語る。

画面に映る十代の横には万丈目、取巻、ヨハンもおり、ヨハンのドヤ顔が凄い。

 

「(あれ、そういえばヨハンって墓地で発動するカード持ってたっけ?)」

 

聖星の記憶が正しければ、【影霊衣魔導】を使用した時、ヨハンは墓地から発動された【影霊衣の降魔鏡】を見てたいそう驚いていたはずだ。

そしてアークティック校でも【宝玉の加護】を使用した記憶はない。

創作意欲が駆り立てられたペガサスが新たに作ったのだろうか。

後で聞いてみようと考えていると、ヨハンが話しかけてくる。

 

「それで、聖星。

今日は何してたんだ?」

 

「え~っと、次の授業用のデッキ編集と、シンクロ召喚のプログラムを組んでた」

 

「また新しいデッキ組んだのか!?

なぁなぁ、それ、どんなデッキなんだ??」

 

「次の授業のお楽しみさ」

 

「よし、じゃあその時は絶対に俺とデュエルしろよ!」

 

「待った、ヨハン!

聖星、その時のデュエルの相手は俺がするぜ!」

 

「よ~し、十代!

次の授業、どっちが聖星とデュエルするか勝負だ!」

 

「望むところだ!」

 

目の前で唐突に始まったデュエルに聖星は微笑んだ。

本当に楽しそうにしている彼等を眺めていると、不意に寂しさを覚えてしまう。

早く書類が完成する事を願いながら聖星は2人のデュエルを見守った。

 

END

 




ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
ヨハンVS取巻ですが、この対戦を予想していた方はいらっしゃいますか??

アニメの取巻は万丈目とつるんでいた時、そこまで向上心が高いキャラではないなぁと感じていました。
太陽という良い名前をもらっているのに、苗字が彼の運命というかキャラクター性を決めてしまっているというか……

悔しさをバネに強くなるのは王道ですよね。

そして最後のターンですが、どれだけ足掻いても取巻の勝ち目はないデュエルでした。
【神の宣告】はともかく【無効】は【レインボー・ルイン】の3つ目の効果で無効に出来ますし、そうすれば魔法・罠ゾーンが開いて【宝玉の氾濫】が発動。
【ブラック・ホール・ドラゴン】は破壊耐性しかないから容赦なく墓地に送られます。

これがメインキャラとそうじゃないキャラの運命力か~と書いていてしみじみと実感しました。

少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
さぁ、次は誰と誰のデュエルを書こうか。


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