ベクター?誰それ、俺真月   作:野球男

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こんにちは。
最後の遺跡篇導入回となっています。

皆さんはプロテクターは貰いましたか?
私はハムスターでした。欲しいのはお前じゃないんだ…
レベル制限しかなかった猫、それに同名通常が加えられた兎、はてさてハムスターはどんな効果になるのやら?
それでは。


遺跡篇 ナッシュ&メラグ
第86話


真月 LP1050

手札 1

モンスター 1

セイクリッド・ビーハイブ

魔法・罠 1

リビングデッドの呼び声(セイクリッド・ビーハイブ)

 

遊馬 LP1500

手札 2

モンスター 2

ガントレット・シューター 攻撃

ガガガザムライ 守備

魔法・罠 0

 

「俺のターン、ドロー‼ セイクリッド・ソンブレスを召喚‼」

「げっ」

俺のフィールドにソンブレスが現れると遊馬がそんな声を出す。

「ソンブレスの効果発動‼ 墓地のセイクリッド・アクベスを除外し、セイクリッド・グレディを手札に加える‼ そして、ソンブレスの効果によりグレディを召喚‼ さらにグレディの効果により、手札のセイクリッド・カウストを召喚する‼」

「あっという間に3体かよ‼ でも真月、プレアデスは既に墓地だぜ‼」

「ならこうだ‼ 3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築‼エクシーズ召喚‼ 来い、さっき手に入れた俺のニューエクシーズ‼ ヴァイロン・ディシグマ‼」

 

ヴァイロン・ディシグマ

★4 光属性 天使族

ATK 2500

DFE 2100

レベル4モンスター×3

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる

相手フィールド上に表側攻撃表示で存在する効果モンスター1体を選択し、装備カード扱いとしてこのカードに装備する

このカードが、この効果で装備したモンスターカードと同じ属性のモンスターと戦闘を行う場合、ダメージ計算を行わずそのモンスターを破壊する

 

一際大きな爆発が起こると、爆煙の中から金と黒の巨大なロボットが現れた。

金の腕から伸びる鋭い刃がギラリと反射して光を放つ。

「ディシグマの効果発動‼ ORUを1つ取り除き、遊馬のフィールドのガガガザムライを装備する‼」

「ガガガザムライ‼」

 

ディシグマが両手を伸ばすとガガガザムライを掴み、黒いブラックボックスが開くとそこに取り込んだ。

 

ヴァイロン・ディシグマ 2500

 

「あれ、攻撃力が変わってねぇ?」

「ディシグマでガントレット・シューターに攻撃‼」

「なんかわかんねぇけど…ガントレット・シューターの攻撃力は2600‼ ヴァイロン・ディシグマじゃ突破できないぜ‼」

遊馬の言葉にガントレット・シューターが身構えた瞬間、ディシグマが片手でガントレット・シューターの腕を掴んだ。

「ディシグマは装備モンスターと同じ属性のモンスターとの戦闘の場合、ダメージ計算を行わずに破壊する‼」

「なんだって⁉」

「やれ、ディシグマ‼」

俺の言葉にディシグマが空いている腕を振りかぶるとそのまま一振りで貫き、破壊した。

「いけ、ビーハイブ‼」

「うわあああ‼」

 

遊馬 LP1500→0

 

「ふぅ…」

ARによる映像が0と1を表示しながら消えると俺は息を吐き、Dゲイザーを取り外した。

 

「くっそー…まさかあんなモンスターがいるとは思わなかったぜ」

「さっきパック開けたら入ってたんだ。手に入れてなかったら危なかったな」

そう言うと手を遊馬にさし出すと座り込んでいた遊馬は俺の手を掴み立ち上がった。

「じゃあもう一戦…」

 

「ここにいたのか」

遊馬が言いかけた言葉に被せるようにして声が聞こえ、そちらを見るとシャーク達がいた。

どうやら清掃活動を終えたらしい。

「今日はここまでだな」

「おう」

そう言うと俺達もシャーク達に近付く。

 

「勝った?」

「ああ。途中ひやっとする展開もあったけど」

そう言うと璃緒はニッコリとする。

 

「ああ、そうだ。シャーク」

「なんだ?」

「これ」

そう言うと俺は1枚のカードをポケットから取り出して見せた。

「…これは?」

「少し前のフォートレスの礼。この間手に入れたんだけど、俺よりもシャークの方が使えるだろうと思って」

 

揃えるのが難しいのがたまに傷だが、シャークなら多分使いこなせるだろう。

 

「…わかった。貰っておく」

「ああ」

 

「ねえ、零君。私には?」

「え?」

璃緒のまさかの言葉に思わずたじろいでしまう。

シャークには用意していたが…

 

「私もこの間、頑張ったわよ?」

「う…」

そこを突かれると辛い。

何か…何か…あっ。

「じゃ、じゃあ…璃緒さんにはこれを」

 

そう言うと俺は先程のパックに入っていた1枚のカードを璃緒に渡した。

「ダイヤモンド・ダスト?」

「ああ。璃緒さんのデッキともシナジーがあるだろうし」

「…そうね。それにこの効果なら凌牙の対策にもなるわ。ありがとう、零君」

そう言うと璃緒は先程と同じくニッコリとした。

「あはは…気に入ってもらえてよかった」

…ホントにパック買ってなかったら危なかったな。

 

「じゃあナンバーズ探し、行こうぜ」

「ああ」

倒れている間に集まったナンバーズについては俺も聞いている。

 

No.44 白天馬スカイ・ペガサス

No.46 神影龍ドラッグルーオン

No.54 反骨の闘士ライオンハート

No.64 古狸三太夫

No.87 雪月花美神クイーン・オブ・ナイツ

 

今のところ、これだけのナンバーズが集まっている。

ジャッジ・バスターは話を聞く限りベクター…というよりも、No.96が持っているらしいので、残るは2枚。

 

そして、それらに加えバリアンが元人間という可能性。

いや、可能性ではなく事実というべきか。

 

…まあ、今はいい。

これまで通りならば、バリアンはきっと仕掛けてくるだろう。用心しなくては。

 

 

船に乗った俺達はいつもの通り、異次元空間を通り抜け記されたポイントへと向かった。

だが…

「酷い雨ね…」

 

璃緒の言う通り、強烈な雨風が窓を叩いている。

どうやら嵐のど真ん中に出てしまったようだ。

先程から船内に響く警報音がやかましい。

 

『…おかしい』

「おかしい?」

『ああ。今までは何か遺跡らしきものがあった。だが、今回はそれがない』

 

そう言われ、地上を確認してみたが、たしかに遺跡のようなものは見当たらない。

ただただ、荒れる海が広がるのみである。

…まさかこの嵐で遺跡が海に呑み込まれたか?

ナンバーズに問題はないとは思うが…しかし遺跡になんらかの問題が発生する可能性は高い。

『ともかく、ここは一度退避するべきだ』

「お、おう」

アストラルの言葉に遊馬が同意した瞬間、船の警報が止んだ。

 

「警報が…?」

止んだ?

「船の動力が…⁉」

小鳥の言葉に映し出される画面を見ると、動いていた船の動力が次々と停止した。

どうやら、俺達の意思はともかく船はここを離れるつもりがないらしい。

 

「…璃緒は何処だ?」

「え?」

シャークに言われて振り向くと、つい先程までそこにいたはずの璃緒が姿を消している。

 

「ついさっきまでここにいたはず…」

何処に行った?

『‼ 甲板に何かいるぞ‼』

「何⁉」

矢継ぎ早に問題が起こるな…‼ まさかバリアンじゃ…⁉

「璃緒さん…⁉」

 

甲板を映す映像には雨風に晒される璃緒の姿がある。

「アイツ何を…」

「待った、シャーク‼ 何か様子が…?」

璃緒はその場を離れフラフラとした足取りで歩き出す。

 

「一体何が…?」

「言ってる場合じゃねぇ‼ あのままだとアイツ落ちるぞ‼」

そう言うとシャークは甲板へと走り出した。

俺も後を追うようにして走り出す。

 

 

「璃緒‼」

甲板へと辿り着いた俺達は片腕で目元既に端に程近い璃緒を見る。

璃緒はシャークの言葉も聞こえないのか、フラフラと前へ前へ歩いている。

 

落ちるまで後3歩もない…‼

「璃緒さん‼」

 

2歩

間に合え…‼

 

1歩

間に合え‼

 

0ーーー

「っとぉ‼」

踏み出した璃緒が落ちるまさに寸前でなんとか腕を掴み、こちら側へと引き寄せる。

「璃緒さん‼」

「………」

視線は相変わらず宙を彷徨っており、心ここに在らずといった様子だ。

やはり璃緒は操られている…‼

こんなことをしそうな奴は

 

「何処かにいるのか⁉ ベクター‼」

こういうやらしい手を好んで使うとするなら、まず間違いなくベクターだろう。

何処かで糸を引いているはずだ。

 

「真月‼ 璃緒は⁉」

「何かに操られてる‼ 多分、何処かにベクターがいるはずだ‼」

「なんだと…⁉」

そうやって俺達が璃緒を囲むようにして周りを見回していると

 

ーおいでー

 

「…?」

 

ーおいでー

 

「…おい、真月。何か言ったか?」

「いや…でも今たしかに」

何処からか俺達を呼ぶ声が聞こえる。

その声はどういうわけか、嵐により大声を出さなければ互いの声すら聞き取れない状況下にもかかわらず、いやにハッキリと聞こえてくる。

 

「ッ⁉ 璃緒さん…⁉」

俺達を押す璃緒の力が突然強くなる。

「璃緒…⁉ くっ、どうなってやがる‼」

 

ーおいでー

 

「まさか、この声遺跡の…? うわっ‼」

「真月‼」

雨に足を取られ、落ちかける俺にシャークが手を伸ばす。

 

「‼ シャーク‼ 真月‼」

遅れてやってきた遊馬とアストラルの姿が視界にちらりと映る。

 

ーおいでー

 

『まずい‼』

「‼ 璃緒‼」

俺の横を璃緒がまっすぐに嵐の海へと落下していく。

「くっ…‼」

俺は視線をシャークから璃緒へと映すと壁面を思いきり蹴った。

勢いがつき、そのまま璃緒へと近付くと抱き寄せる。

 

「「真月‼」」

遠くから遊馬とシャークの叫び声が聞こえたのを最後に俺と璃緒は海へと叩きつけられるように落ちた。

 

ーおいでー

 

? …なんだあの…大、男は……シャーク…?




いかがでしたでしょうか?

今回のシリーズが今後への分岐ポイントとなります。
一応、もう展開は決めましたが…さて、どうなるかな?
それでは。

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