今回はデュエル直前までです。
私の今のお気に入りは「レ」ことラフェールのファンデッキです。
装備ビート強いヤッター! …ハマればな。
序盤で引けないと大体の場合エアトスが腐り、ラストはデスサイス頼りのごり押しに。
案の定、友人の【忍者】にやられてしまいました。
アイエエエエ! ニンジャ⁉ニンジャナンデ⁉
それでは、どうぞ。
「………」
小鳥が遅い。
基本的に小鳥は口にしたことを余程のことがない限り、曲げたりはしない。
それは頑固ともとれるが、しかし小鳥が一本芯の通った人物であるということなのだろう。
そんな彼女が遅いということは…
「…何かあったか」
そう呟くと俺は立ち上がり、小鳥が歩いていった方向に歩き出した。
少し歩くと小鳥の後ろ姿が見える。
「………」
「小鳥…じゃなさそうだな、誰だ」
ただならない雰囲気に俺がそう問いかけると小鳥は振り向いた。
目には生気が宿ってはおらず、こちらを見ているが、俺を捉えているかどうかは怪しい。
「…見付けた」
見付けた?
「見付けたぞ…‼ 狂気の王‼」
そう言うと小鳥は俺を親の仇でも見るかのような目で睨んだ。
それと同時に空が曇り、辺りが暗くなる。
「…何を言っている?」
狂気の王?
「我らに行った悪逆の数々‼ 知らないとは言わせないぞ‼ 狂気の王、ベクター‼」
「ベクター…⁉」
ベクターの姿を元に構成された俺の姿は、たしかにベクターと同一のものだ。
それこそ、黙っていれば違いはわからない。
しかし…
「ちょ、ちょっと待ってくれ。俺はベクターじゃない」
狂気の王云々はおそらくベクターの生前のことだろう。
つまり、ここは奴の遺跡だったということだ。
あの、怨嗟についてもまあ納得はできる。
だが、それを向けられるのは遺跡の中にいるであろうベクターだろう。
いくら同一だとはいえ、ベクターに間違われ、ベクターの尻拭いをさせられるなどたまったものではない。
「それで己が罪から逃れられると思っているのか‼」
そう言うと俺と小鳥の周囲を村の炎が囲った。
どうやら、逃がしてくれるつもりはないらしい。
『霊とは想いの強さで強くなる』
とある週刊誌のシャーマン系主人公の持ち霊の言葉だ。
よくはわからないが、想いの強さが精神的な強さに繋がるのだろう。
ならば、ベクターを怨む霊の想いの強さはどれほどのものなのだろうか。
確実なのは、このまま小鳥をほったらかして逃げることはできないということだろう。
なら、俺にできることは1つ。
「デュエルだ。俺が勝ったら小鳥を解放しろ」
バリアンの力でなら強引な手段でなんとかできるのだろうが、生憎俺には力の使い方がわからない。
なら、デュエルで小鳥から霊を祓う。
「いいだろう。お前の命、刈り取らせてもらう‼」
「上等だ。やれるもんならやってみろ‼ デュエルディスク、セット‼ Dゲイザー、セット‼」
「ぐっ…‼」
どれほど落下したのか、理解する前に俺は開かれた穴から石畳の床に落ちた。
外へと続く道には鉄格子があり、自分が今牢屋にいることがわかる。
試しに触ってみるが、はめ込まれており、とてもではないが抜けそうにない。
「シャーク‼」
「遊馬か‼」
「凌牙もいるのね」
どうやら、俺・遊馬・璃緒と横並びで牢屋に閉じ込められているらしい。
「どうやら、罠にかかってしまったようですわね」
「ここは一体何処なんだ?」
そうやって暗がりの奥を見ようと目を凝らしていると
「…クックックックッ…」
という耳触りな笑い声が聞こえてくる。
同時に壁の燭台に火が灯り、室内全体が明るくなった。
「久しぶりじゃねェかァ、遊馬君よォ」
奥から声が聞こえ、見た先には真月が…いや、姿だけは真月と全く同じ、ベクターが座っていた。
「ベクター…‼」
遊馬の声に、僅かながらに怒気が含まれる。
「おやおや、寂しいねェ。もう真月とは呼んでくれねェのかァ?」
「うるせぇ‼ そんな姿をしたって、お前は真月じゃねぇ‼ 大体、本物の真月はお前が仕掛けた罠のせいで…‼」
「罠?」
と、そこでベクターはきょとんとした表情をしたが、すぐにまた先程と同じ悪どい顔付きになった。
…どういうことだ?
「まァいい。早速だが悪い知らせだ。ナンバーズは既にいただいた」
「何⁉」
一足遅かったってのか…‼
「だが、せっかくここまで来たんだ。このまま帰るってのも白けるしなァ…どうだ? お互いのナンバーズを賭けたデュエルってのは」
「上等だ‼ 受けて立つぜ‼」
遊馬がそう返すとベクターの頭上から何本もの鎖が降りてきた。
「では遊馬、お前には特別室へご招待だァ」
そう言い鎖を1本引くと遊馬のいる牢屋の鉄格子が引っ込み、床が傾いた。
「うおわぁ⁉」
『遊馬‼』
そのまま転がりながら突き出した場所まで到達すると、戻れないよう片面だけ鉄格子が伸びる。
「その場所はなァ、こちらから操作しない限り出ることはできなァい。遺跡の情報はナンバーズから全て得た。当然、この悲鳴の間の仕掛けの情報もなァ」
「ふざけんな‼ こんなことしなくたって」
遊馬は立ち上がり、ベクターを睨みながらそう返す。
「慌てンなよ。デュエルをするのらお前じゃねェ。アストラルだ」
遊馬ではなく、アストラルだと…?
たしかに手っ取り早くナンバーズを収集するならアストラルを倒すのが1番だ。
勝つことができたなら、1枚残らず回収できるだろう。
『勝てれば』の話だがな。
アストラルは遊馬よりも数段上の実力を持っている。
対するベクターの暴走していたゼアルに負ける程だ。
少なくともアストラルよりも強いという印象はない。
そんなベクターがアストラルに勝てるとは…
『いいだろう。私が受けよう』
そう言うとアストラルは遊馬から離れ、中央まで移動した。
『さあ、降りてこい』
「慌てンじゃねェって言っただろ? デュエルをするのは俺じゃねェ。お前達がよく知る奴だ」
そう言うとアストラルの対角線の位置に黒い靄が現れた。
段々と形になると、それはあのサルガッソでの戦いの暴走したアストラルのような姿になった。
「お前は…‼」
『No.96‼』
No.96…? あれもナンバーズなのか?
『久しぶりだな、九十九遊馬。アストラル』
そう言うとNo.96は1枚のカードを裏側のまま、ヒラヒラとさせた。
『ナンバーズはここにある』
『…バリアンと手を組んだというのか』
『俺はただ、縋り付く手を優しく握り返してやっただけだぜ?』
そう言うとNo.96はニヤリと笑みを浮かべた。
『さあ、デュエルだ。アストラル‼ 今度こそ、この俺が貴様を倒す‼』
そう言うとNo.96の腕にデュエルディスクが現れた。
身体からカードの形をした暗く光る物体が次々にデッキをセットするスペースに納まっていくと、1つのデッキが完成した。
『いいだろう、No.96。お前を再び回収する‼』
そう言うとアストラルの腕にもデュエルディスクが現れた。
『遊馬、君のカードを借りるぞ‼』
「おう‼ そんな奴やっつけちまえ‼」
そう遊馬が返すと、遊馬のデッキケースからカード型の白く光る塊が次々とアストラル目掛けて飛び、収まったそこにはデッキがあった。
「いくぞ、亡霊共‼」
「来い、狂気の王よ‼」
『いくぞ、No.96‼』
『きな、アストラル‼』
「『デュエル‼』」
いかがでしたでしょうか?
次回から、デュエルパートです。
今回は何話かかるのやら。
今回書いていてふと気付いたんですが、シャークさんとNo.96って初対面でしたね。
…ノーヒントで黒いアストラルを見て、ナンバーズだってわかるかなぁ?
それでは。