IS~Infallible Shield~   作:高見

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初めまして初投稿、なのかな?違う気もするがそんな感じです。
耀亮と名乗っております。まあ、気が向いたら書いていくんで不定期でやっていきます。よろしく願います。


入学

 異常なほど分厚い、六法全書のような参考書を閉じると、机が揺れた。とはいっても、振動を感じるくらいだから大げさかもしれない。そろそろ時間だと思い参考書は閉じたが、元は左右、後方合わせて、180度の29+αの視線から逃れるための勉強という名の現実逃避だったので、逃避から戻るとそれはもうイタイイタイ。29の視線が突き刺さる突き刺さる。始業間際なのか廊下のギャラリーの視線がなくなっていたのが良かった。

 居心地の悪さで正気が保てなくなっていると、機械音と共に教室前方の入り口が開いた。やっぱりすごいなIS学園。教室の出入り口が自動ドアってなかなかないだろ。

入ってきたのは小柄な女性で、両腕の中には名簿らしきものがある。このクラスの担任だろうか。服のサイズが少し大きいようでさらに小柄に見えるが、双子山ははっきりと主張している。かなりでかい。

「全員揃ってますねー、それではSHR始めまーす」

 穏やかなしゃべり口調の彼女は、山田真耶と名乗った。副担任の立場で、担任教師は遅れてくるそうだ。

「それでは一年間、よろしくお願いします」

 返す声はない。そりゃそうだ。誰しも入学初日は緊張するものだ。

「じゃ、じゃあ自己紹介お願いしますね。出席番号順で」

 うろたえている山田先生を見ていると、小動物を見ている気分になってくる。俺だけでも反応を返したほうがよかったか。

「次は織斑君、お願いします」

 俺の番か……、面白い事言おうとして引かれるのは困るし、無難に行こうかな。

 入室から一度も離さなかった椅子と尻を使いまくった磁石を離すようにして立ち、先生に軽く会釈してから全員のほうを向く。

「えっと、……織斑、一夏です」

 いったんここで区切ると、29の両の眼が輝いた。お嬢様方はさらなる情報をお望みらしい。

「三年前まで剣道やっていたので、未だに竹刀とか振っています。一応はそれが趣味かな。初の男性IS操縦者とか言われているけど、参考書+αを読んだ程度の知識しかないから、そこら辺はこっちも頑張るけど理解してほしい。まあ、こんな感じで一年間よろしく」

 趣味とかいらんかったかもなあ。

 席に着こうとすると誰かが教室の入ってきた。その姿は女性。背中中程まで伸びた、綺麗な黒髪を首あたりでまとめた、切れ長の目の持ち主。

 …………ああ、なかなか帰ってこなかったのはそういうことか。

「山田先生、すまない遅れた」

「あ、織斑先生。会議はもう終えられたんですね」

「ああ、押し付けてすまなかったな」

「いえ、担任が出れない時の担任業務は副担任の仕事ですからっ」

 我が織斑家、長姉、織斑千冬の登場であった。

やっぱり俺の姉は教職に就いていたのか。うーむ、こう、スーツをビシッ!!と、来ている姉というのは、新鮮だな。帰ってきた時なんか、玄関で既にだらだらしたいって気持ちが伝わってくるし。あ、いやでもなかなか帰ってこないのはなんでだ? 一回納得しちゃったけど納得とか無理だわ。教職ってそんなにきついのか?

「姉さん、教師やってたんだ」

 瞬間、黒く平べったいもの、――名簿を面ではなく線で振るってくる。俺は両手首を合わせ、交差させて防ぐ体勢を作る。

「……ここでは織斑先生、だ。馬鹿者」

「――はぅっっ」

 ため息を付いたかと思うと、逆の手で肘の神経を打ってきた我が姉。肘を抑え、崩れ落ちる俺。ひ、肘が……!! 俺の肘がっ!!

「諸君、私が織斑千冬だ。君たちを一年で使えるようにするのが私の仕事だ。私が言ったことは理解しろ。理解できなければそれでいい、ただし、忘れる事のないように体で覚えろ。刻み込め。それでもできないものはできるまで指導してやる。逆らうのも君たちの自由だが、私の問にはYesかはいで答えろ。いいな」

 暴論すぎるだろ、家の姉は暴君か何かなのか。

「ちょいと暴論過ぎやしま」

「キャ――――! 千冬様! 本物の千冬様よ!」

「ずっとファンでした!」

「私お姉さまに憧れてこの学園に来たんです! 北九州から!」

 俺の姉に対する発言は、後ろからの声の波状攻撃によってかき消された。つーか、女子高生ってこんなもんなのか? バイタリティ溢れすぎだろ。そして北九州さんのあだ名は北九州さんに決定。絶対変えない。これは決定事項だ。

「……毎年毎年、よくもまあこれだけの馬鹿を私の元に集めるな。ん? 何だ、嫌がらせか?」

 ひでぇ物言いだなホント……。慕ってくれる人に対してそれはどうかと思うぞ、弟として。

「きゃああああああっ! お姉さま! もっと叱って、罵って!!」

「時には優しくしてっ!!」

「でも、つけあがる事のないように調きょ――躾をしてくださいッ!!」

  前  言  撤  回  。

 ………………こいつらはやばい。最後は特にやばい。大切にする必要なんかねえ、徹底的に雑に扱わなきゃ大変なことになるぞ!!

「いつまでも机に突っ伏しているな、馬鹿者」

「姉さんも大変だね」

 ふっ、今度はヘマはしない。肘の守りは万全だ。

「頭だ、馬鹿者め。それと、織斑先生だ。次に間違える時があれば、その瞬間からお前のはないと思え」

 いってえ……不覚だった。てか、何が!? 何がなくなんの!? 魂か!? それとも玉か!? どっちにしても本質死か実質死じゃねえか。恐えよ。

「……すみませんでした。織斑先生」

 睨みを効かせていた目の力が、ほんの少し、弱まった気がした。

「え? 織斑くんって千冬様の弟さんなの?」

「世界最強と血縁者……、……男性でIS動かせたのと関係有るのかな」

 ああ、バレちまった。ニュースでも食いつきそうなのに、どこも放送しなかったことだから知られることはないと思ってたけど。まあ、遅かれ早かれバレるかもしれなかったんだ。あんまし問題ないだろ。

 一応説明をしておけば、俺、織斑一夏は、世界で唯一ISを動かすことのできる男性ということでここ、IS操縦者育成機関、IS学園にいる。IS学園というのはつまり、世界のお国から「テメェのとこの技術者が作ったモンのせいで世界混乱してんだから、操縦者育成のための機関作ってしっかり管理しやがれ。ああん!?、資金だあ? んなもん決まってんだろうが、自分で用意しろや」と言われて、お国が泣きながら国家予算を削って、土地確保して作られたIS操縦者のための学校である。いや、ホントに泣きながら作ったのかは知らんけど。

 んで、なんで俺がこの学園にいるかというと、以下回想。

 

 

 

 

 

 2月初旬から中旬の間。これまでの成果を発揮する一般受験の日がやってきた。会場が遠いので早めに出たが早すぎたような気がする。てか、去年カンニングがあったって言っても、本来の学校から電車で三十分のとこでやるか普通。近いし学費安いってことで藍越学園にしたのに、なんで受験でそんな遠くまで行かにゃならん。

 受験生がホントに一人も見当たらない時点で、早すぎたと俺は泣いた。ぶっちゃけ、藍越学園の出題傾向と出題予測は中二の時点でゆるりと始めてたから、模試は常にA判定で余裕なんだな、これが。だから最後の勉強はほんとに最後までしなくても何とかなるからここまで早く来る意味はなかった。ようするに、暇。

 てなわけなんで、この現代アート(笑)とかいう建物を軽く探検してる。道がごちゃごちゃしすぎてて迷路とか言われても気づかんだろうな。

「はははっ、すげえやここ」

 冷や汗が垂れてくる。唾を飲みこみ音が鮮明に聞こえる。どこを見ても同じ入口。

「迷子……」

 どこだしここ。

 

 探しに探した結果、見つからないので次に開けた扉が俺の受験会場ということにした。多分当たらない。

「………………よし、ここでいいだろ。合ってる。合ってるはずだ。間違いなわけがない」

 開ける開けるぞ。開ければ俺は合格なんだ。卒業後まで保証された安定した生活が待っているんだ。姉さんに養って貰う必要がなくなるんだ。

 合っていてくれ……っ!!

 

 

 

 

 

 と、まあこんな感じで開けた先は見事に外れていて、藍越学園の受験会場ではなく、IS学園の受験会場で、しっかりと俺のことを確認しなかった職員が準備始めちゃって、俺も流れで準備始めちゃって、IS間近で見て触ったら起動したっていう流れ。その後は一瞬だったね。いつの間にか入学が決まっていて分厚い参考書渡されて今だよ。

「さて、SHRはこれで終わりだ。諸君らには、これから半月で理論を頭のなかに叩き込んでもらう。そしてその後は実習だが、半月で基本の動きはすべて体で覚えろ。理解できれば返事をしろ。私の発言にはさっき言ったとおり、Yesかはいで答えろ。いいな」

 独裁政治でもするつもりなのかあの悪魔は。Noが許されないとかどこの軍隊だよ。

「なにか言ったか、織斑一夏(馬鹿者)

「イイエ、ナンデモアリマセン」

 姉が怖い。

 

 




こんな感じです。次はいつになるのだろう。自分もわからんので3月までには一、二回更新したいと思ってます。(多分実行されることはないでしょう)
まあ、こんな感じで頑張ってやっていきます。

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