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「あの……」
「どうした? クライア」
クライア・カラーが小さく挙手、それを見たユートが首を傾げて訊ねる。
「その、ですね。エッチな事をする必要はあったんでしょうか?」
顔を真っ赤にして頭からは蒸気を噴き、こんな話題がとても恥ずかしかったのだろいが、遂には両手で顔を隠してしまう始末。
とはいえ、ユートに懸想する女の子達からすれば、此処は聞き逃せない案件だったらしく耳がダンボだ。
「無いな」
全員がピシリと凍る。
正確にはユーキを除いての話だが……
「あの権能で必要となるだろうアクションは、謂わば粘膜による直接的な接触。確かにセ○クスで僕の分身が折紙の秘裂内に挿入したなら、条件を満たす事にはなるんだけどな。それならキスで舌を絡めればお手軽に権能を使える。実際に、グィネヴィアやランスロットに使った際にはキスだけで済ませたからな」
「グィネヴィア?」
「ランスロット?」
知らない名前だったが、この場で名前が挙がったならつまり女だろう。
クライアとスワティが、その名を反芻した。
「権能を得た世界で神祖とまつろわぬ神とされていた二人でね、どちらも英国では知らぬ者は居ないくらい有名人ではある」
飽く迄も通り一遍な伝承に過ぎないが、アーサー王と円卓の騎士ではある意味で有名人だった。
だけど【カンピオーネ!】世界、ユートの再誕世界は型月のランスロットだったから普通に男だったが、湖の騎士サー・ランスロットは彼処では女神。
鎧兜で正体を隠している様は型月なランスロットっぽいが、中身は可憐とも云える美女である。
実質的に神話も名前すら喪った流浪の女神であり、軍神アレスと深い縁を持つアマゾネスの系譜にして、とっても珍しいであろうが女性の【鋼】だ。
一応、名前が無いのも困るから鎧兜を脱いだ場合は別の名前を付けた。
何しろ、ヤる時にランスロットでは流石に萎える。
正確には自らヒュッポリテーで良いと言った。
ヒュッポリテーというのはアマゾネスの女王であるオトレレと、軍神アレスとの間に生まれた娘である。
このランスロットの原典……らしい。
軍神アレスは言わずもがなギリシア神話体系に在るオリュンポス十二神の一柱であり、戦争の神とされるユートの世界でもアテナが嘗て闘った相手。
然るにヒュッポリテーと名乗るランスロットとは、アーサー王伝説に列なったケルト神話体系。
何がどうしてこうなったのかは兎も角、神話らしく渾然としたものであった。
「というかさ、この世界の人間っていうかカラーであるクライアはまだ判るが、何で地球の女神の一柱たるスワティが違う神話体系とはいえ、ランスロットとか識らないんだ?」
「きゃるん!?」
スワティは日本に於ける弁財天、元々はインドでの神話……ヒンドゥー教に於ける創造神ブラフマーの妻であるサラスヴァティ。
サラスワティなのだ。
因みに、ブラフマー自身は仏教で梵天と呼ばれる。
はっきりきっぱり地球の神でありながら、地球での伝承に疎いのは如何なものであろうか?
「話を戻そうか、脇道に逸れてしまったから」
「は、はい……」
取り敢えずお茶でも飲んで喉を湿らす。
ユートは珈琲だ。
「さっきも言ったけどね、この権能はキスすれば普通に発動するから、折紙との性交は行き成り襲われたんでムカついたから敵対者への懲罰的にヤった。それにバトってちょっと興奮気味だったし、折紙の容姿って君らに充分匹敵するだけのものがったからね」
不意討ちでそれを聞いて全員が真っ赤になった。
「ん? でもでも、権能を使った後なら普通に抱かせて貰えたんじゃ?」
「いや、問答無用で洗脳をしてるんじゃないんだし、ヤらせろと言ってオッケーを出す訳が無いだろ?」
「きゃるん、そうなんだ」
「優先順位が最高位になるだけだからね。とある人物の忠実な下僕だったとしても優先順位が変わって僕の言葉を聞く様にはなるし、そのとある人物を恰かも裏切った感じにだってなる。だけど、そのとある人物を嫌う訳でも憎む訳でも無いんだし、ちゃんと好感度を上げないと身体を許すまではいかないよ」
「? そうなんだ……」
「まあ、優先順位が最高位だから無理矢理にヤっても許されはするけどね」
「――は?」
所謂、恋人の如く付き合っている状態から好感度を上げ、セ○クス可能なまでにならないと『抱きたい』と言っても嫌がる。
然しながら、強姦にも等しく無理矢理にヤった場合は嫌がりはしても、最終的には許してくれる訳だ。
まあ、ユートは言葉巧みにヤれるだろうけど。
実際、この場の瑞原葉月と小早川 雫はその権能を受けた存在で、各々が愛した男を友人として思ってはいるが、ユートの事は最初は兎も角として今は愛情を持って接している。
「それで、ユート様」
「何かな? 雫」
「ユート様が顕れた際に起きました空間震? あれはいったい何が原因でしたのでしょうか?」
「僕が変身時に使っている
夜刀神十香――あの世界の主役とも云える五河士道が初めて認識した精霊。
本来ならユートがこました鳶一折紙の想い人となる予定――依存していただけだが――の少年だったが、権能によって優先順位が変わっており、そこら辺でのイベントも潰れた。
但し、前述した通り嫌う訳でも無関心になる訳でも無いが故に、士道を誤射というか、十香を庇った事で射ち抜かれた際の衝撃とか十香の報復攻撃とかは普通に起きている。
「色々とあった末に、僕はラタトスク機関のフラクシナスの司令官、五河琴里に呼ばれたという訳だ」
「いつかことり……女の子ですよね?」
「ああ」
スワティの問い掛けに対し首肯して答えるユート。
「序でに言えばジャックフォームで使った
「ああ、あの! 恥ずかしい格好ですね?」
ガクリ……
膝を付いてしまう。
スワティに悪気は無いのだろうが、ユートは基本的に神威霊装・十番以外には自分用の調整をしていなかったし、今回のあれにだって加える予定は無かった。
だから未調整の侭に使ってしまい、精霊化した琴里ならまだ似合う霊装でも、男のユートが使うと痴態にしかならない格好に。
尚、本人はそう思ってはいるのだが、ユートの顔は女性寄りの中性であるが故にか? 中腰になる男も居たかも知れない。
それだけ刺激的な格好だったからだ。
「あの、プリンセスフォームとかイフリートフォームというのは?」
珍しく口を出してきたのは羽純・フラメル。
「精霊には人間側で仮に名を付ける。それが姿や能力なんかで色々とね」
「色々と?」
「神威霊装・十番の十香は【プリンセス】、神威霊装・五番の琴里は【イフリート】だね。他に
一万人を殺害した事が、
とはいえ、一万人という
のは飽く迄も把握されている人数との事。
「ラタトスク機関に行った後は、司令官である琴里の『私達の
ユートが封じた事もあったのだが、取り敢えず殆んど全員分の神威霊装や天使は確保している。
未調整ばかりだけど。
話も終わって、ユーキが白夜と話し合いをしているのだが、どうにも深刻そうなものではないらしい。
ユーキは興奮をしながら白夜と愉しそうに会話中、なのでユートとしては手持ちぶさたというやつだ。
そこでアルビオンバックルの調整と、いつか若しかしたら手に入った場合用に新しいバックルも造ってしまおうと製作開始。
システム的にはレンゲルバックルで、カードも造り終えてみたがそもそもそれに対応する力が今は無い。
「ドライグバックルか……優世からドライグを奪えば使える様にはなるな」
そしてよく考えたなら、狼摩優世は赤龍帝ドライグを宿している。
奪って手に入れたなら、このドライグバックルも使えるだろう。
「あ、兄貴。作業が終わったんなら次にいくよ?」
「何の話だ?」
「新しい仮面ライダーを造る話だよ」
「新しい……ねぇ。クウガにアギトに龍騎にファイズにブレイドにヒビキにカブトに電王にキバにディケイドにWにオーズは造った。次となると?」
一応、オーズ系列までは完成をしている。
「実は白夜さんから面白そうな仮面ライダーを教えて貰ってさ、先にそっちを造ってみたいなって」
「面白い?」
「ゲームライダー」
「――は?」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
仮面ライダーエグゼイド――二〇一六年の秋頃から放映をしたらしい。
ゲーマドライバーというベルトに、ガシャットと呼ばれるゲームの特別製の物を装填して変身するとか。
最初はズングリムックリな【レベル1】な姿だが、ドライバーの操作ですぐにレベル2になれる。
また、上位のガシャットを使ってレベル3やレベル5やレベル10や20といった具合にレベルアップをしていく。
最終的にはレベル99やレベル100、レベル自体を超越したガシャットとかも登場したし、今時……と言われてもユートには解らないが、珍しくなくなったレジェンドライダーのガシャットも存在するとか。
「ディケイドみたいな変身が普通になるのか?」
「違うよ兄貴。Wのガイアメモリにレジェンドライダーのメモリが出たりしたと思うけど、実際に劇場版や何かで変身したりもしているらしいよ?」
「ほう?」
「白夜さんから預かってた仮面ライダーのアレ、実はアレもレジェンドライダーに変身するのが在るんだって言われたし」
「そうなのか? 白夜」
「はい、優斗様。鎧武系のロックシードにも、レジェンドライダーロックシードが在りまして、それで過去のライダーに近い姿に変身が出来るんです」
ガイアメモリは商品が出ただけで、実際にW系統の仮面ライダーがレジェンドライダーの力を得たりする映像は無かったが、遂にはレジェンドライダー化なんかも視野に入ったらしい。
「まあ、兎に角さ。主役の宝生永夢が使うガシャット……マイティアクションXから順次造ろうよ」
「ま、ユーキがやる気ならそれも良いかな」
義妹として恋人として、そして仲間としても大切なユーキ、ならばやりたい事をちょっとは叶えたい。
「じゃ、いつも通りに」
「ボクが出力するドライバーを造る。兄貴は【至高と究極の聖魔獣】で仮面ライダーの本体を創る」
ユーキは科学力を用い、仮面ライダー用のベルトや付随するアイテムを造り、ユートは神器の禁手を使って聖魔獣による本体創り。
但し、それがカードとかだと魔導具となるが故に、ユートがそれらを造った。
特にブレイド系統だと、封印用のカードもプライムベスタもユートが造るしかなく、ユーキは力を出力する為のバックルのみを作製
していた。
魔法球内の工房でユーキが急ピッチで造る【ゲーマドライバー】と【マイティアクションX】のガシャットだが、ガシャット自体は仮面ライダーエグゼイドの本体となる聖魔獣が封入をされて初めて機能する。
仮面ライダー用の聖魔獣とは中身ががらんどうで、ツール内に粒子化状態にて封入されており、変身して出力されるとベルト装着者に重なり着込む形だ。
十三種の神滅具の中でも四種の
それは幾ら強大な魔獣を創造しても、創造主が貧弱では狙われて終わる点。
後は、余程の妄想力(笑)がないと大した魔獣も創れない点であろう。
現に元の持ち主であったレオナルド、禁手で巨獣を創る程度しか出来なかったとか、本人を狙って仕留めれたとか容易い相手でしかなかったのだから。
まあ、巨獣もそれなりには強かったのだろうけど、禁手で創ったからにはあれが限界だったし、ユートが創造した聖魔獣はどれもがレオナルドの魔獣を容易く葬れるくらい。
というか、|破滅の覇獣鬼《バンダースナッチ・アンド・ジャバウォッキー》とか亜種の禁手は、
ユートの場合も亜種ではあるが、余りにも自由度が高過ぎる禁手である。
仮面ライダーやデジモンを創造したり、果ては人体創造すらも視野にあった。
「兄貴ぃ、ガシャットの方が出来たからエグゼイドを封入しといて」
「了解」
【マイティアクションX】のガシャットに、ユートは粒子化した聖魔獣であるエグゼイドを封入。
専用ツール【ゲーマドライバー】に装填した上で、ドライバーを然るべく操作すれば仮面ライダーエグゼイドに〝変身〟が可能だ。
更に時間が経つ。
「ゲーマドライバー完成」
白夜の知識に存在してたゲーマドライバー、それをユーキは無事に完成させてみせる。
次の試合の事もあるし、余り遅くならない様に完成させたのだった。
魔法球内は可成り広大に造ってある為、こういった物の実験にも丁度良い。
ユートはユーキから受け取ったゲーマドライバーを腰に装着、ライダーガシャットを右手に持ってスイッチを押した。
「変身!」
《ガシャット!》
左手に持ち変えて装填。
《マイティアクション・エェェェックス!》
セレクトして変身開始。
《レッツゲーム! メッチャゲーム! ムッチャゲーム! ワッチャネーム!? アイム ア カメンライダー!》
解ってはいたが……
「ズングリムックリだな、レベル1だと」
仮面ライダーという感じでは無かったと云う。
いよいよ準決勝。
ユーキVS岳画 殺だ。
岳画 殺の武器は基本的に近代兵器である。
ミサイルランチャーや、サブマシンガンなどを駆使して戦うヒロインだった。
「始めるよ。何気に初めての強化変身……悪いけど、実験に付き合って貰う」
「よく判らんが、私は勝ちに往くのみ」
龍のコーナーからユーキが現れ、虎のコーナーからは岳画 殺が現れて観客は二人の小さな少女の揃い踏みに興奮度MAX。
マキシマムガシャット、それをユーキは使う。
《マキシマムマイティエェェックス!》
ガシャットのスイッチを押すと流れる音声。
《マキシマムガシャット》
ガシャットをドライバーへと装填し……
「MAX大変身!」
ユーキがゲーマドライバーのバックルのレバーを、右側に開きながら叫ぶ。
《レベル・マーックス! 最大級のパーワフルボディ! ダリラガーン! ダゴズバーン! 》
ガチャッ! ゲーマドライバーに差し込んだマキシマムガシャットのスイッチ……頭部となっている部位を押してやる。
《マキシマムパワー・エェェックス!》
空中に顕れた巨大な顔、マキシマムゲーマに呑まれる仮面ライダーエグゼイドのレベル2。
それは試験的に変身したユートがレベル1な姿――ずんぐりむっくりなのとは違う等身大なモノ。
尚、ユーキの身長は低いけど変身すると普通に長身な姿となる。
「身体が顔ってさ、何だかデスピサロだよねぇ……」
マキシマムゲーマが展開された姿は、元々の形が顔なだけあって変身後には、エグゼイドの身体の部位に巨大な顔が付いた感じか。
パンチ力:99。
キック力:99。
ジャンプ力:99m。
走力:100mを0.99秒。
能力が99に関わるという平成仮面ライダーとしてみると、実に仮面ライダークウガ・アルティメットフォームに匹敵。
根本的にユートが創った仮面ライダーは聖魔獣。
能力もイメージによって形作られており、仮面ライダーエグゼイドは狼摩白夜から得た記憶がイメージ元となっていた。
記憶の取得はおでこ同士をくっ付けて行うのだが、もっと明確に記憶を取得したい場合は、セ○クスした際の絶頂で互いがイク時にやり取りをする。
絶頂時の僅かな時間で、それこそ仮面ライダーエグゼイドの全話を視聴しただけの記憶を手に入れた為、このマキシマムガシャットも構築が出来た。
「君の運命はボクが変えるよ!」
他のパワーアップ形態もちゃんと可能ではあるが、【大悪司】の戦闘メンバーは何気にハイスペック。
レベル2や3では追い縋る可能性があり、かといってレベル5はイメージし過ぎて暴走するし、マイティブラザーズXXは二人になるから駄目。
というか、マイティブラザーズXXはユートみたいな二重人格なら未だしも、ユーキでは〝もう一人〟が聖魔獣頼りになる。
ユートが変身した場合、やはりというか優雅がもう一人のエグゼイド。
始まる戦闘ではユーキがガシャコンキースラッシャーを手に、さっちゃんだと何処から出しているのか? 近代兵器を取り出しての戦いとなり。
(チィ、さっちゃんの特典は近代兵器の自由自在な取り出しか? 特典の一つは由女だろうけど、ポイントは10で1しか使わない。残り9で獲た特典かな?)
しかも本来よりパワーアップをしているらしくて、仮面ライダーエグゼイド・レベルマキシマムな状態でダメージを喰らう。
「死ぬが良い」
無表情な侭、さっちゃんが足踏みをするとミサイルランチャーが発車。
どうやらスイッチを足で押したらしい。
複数の小型ミサイルが、ユーキ目掛けて飛ぶ。
「はっ!」
ガシャコンキースラッシャーを振り、全てのミサイルを撃墜してやった。
「ぬ!?」
「舐めないで欲しいかな。見た目に鈍重そうだけど、コイツは100mを1秒足らずで走破が可能なんだ」
某・男物パンツ君みたいなムキムキでスピードダウンは無い。
ガシャコンキースラッシャーの射撃をするものの、さっちゃんはその小柄さをスピードに変え、簡単に躱してしまう辺りスペックがやっぱり高い。
「だとしても!」
ユートの為にも敗けるなんて心算は無かった。
(おかしい……)
ハイスペックなのは理解していたが、さっちゃんがレベル99なエグゼイドに追い縋るのは予想外。
レベル5くらいまでなら予想もしたが、これは幾らなんでも有り得ない事。
(何か秘密があるね)
恐らくは転生特典だ。
彼女が獲たのは由女と、近代兵器を取り出すなり造るなりと考えたが、由女でコストが1なのは間違いないだろう。
なら近代兵器は?
それがコスト9だとは思えない……となると、このハイスペックを越える能力は残りコストで獲たモノ。
(まったく、大変だねぇ)
ユーキは仮面で判らないのだが、その口角を吊り上げながらそう思った。
ユートは現在だと所謂、VIPルームで闘神大会の試合を観戦している。
元々は嘗ての市長だったアプロスが使っていたのをユートに使い易く、しかも好都合な様にリフォームをしているVIPルーム……
ソコでは淫靡な音が響き渡っていた。
艶やかで美しく長い黒髪をストレートヘアに流し、頬を情欲で朱に染めながら和服を着た美人が、胸を丸出しにし跪き露わとなったユートの分身を挟み込みながら上下に動かしている。
胸を使ったプレイ。
別にユートが命じた訳ではなく、彼女が自らヤってくれているのだ。
女性の名は姫島朱璃。
闘神大会でWシュリとして新たな名物と化したり、色々と噂となっている。
元から受付嬢をしているシュリは、試合が始まったら司会進行兼審判役をしているが、朱璃は特に仕事が無いからVIPルームにて観戦をしており、折りを見てはこうしてえちぃプレイをしてくれていた。
とはいえ人妻。
冥闘士・天暴星ベヌウの朱璃としてユートの配下をしているが、実は【ハイスクールD×D】世界に於いて堕天使幹部バラキエルの妻だったりする。
このプレイは不倫にならない程度にえちぃ事をしているらしく、愛する相手は間違いなくバラキエルなのだと云う。
実際に、朱璃とユートは一度足りと寝ていない。
肝心要な部位だけは決して赦さず、胸や口や手といった一部で抜くだけ。
とはいっても、抜けるだけ最高だとも考えられる。
朱璃は人妻であるが故、決して堕ちない相手でありながらスゴい美女、正しく未婚なら大和撫子の見本といった純日本人とな容貌と人格者だから、普通ならば一部分での奉仕すら夫以外には行わない貞淑さも持ち合わせていた。
にも拘らず、命令も無しに奉仕している理由は主としてではなく恩人として。
若し、バラキエルという特定の夫が居なければ全部を赦した程の感謝を。
だが然し、生き返れたのは姫島朱乃の母親だったからであり、バラキエルとの結婚で朱乃を生んでいなければそもそも死ななかったであろうし、接点は存在すらしなかっただろう。
結局は出逢いすら有り得なかっただけ。
だいたいにして当時からの実年齢にして、姫島朱乃が一七歳~一八歳の頃の事だから生きていたら朱璃は明らかに四十路。
それでも美女は美女だろうが、今の冥王配下な状態と違って色々と衰えてもいた筈の年齢だった。
冥王配下……生き返り、ユートの支配下となっているだけに、朱璃は堕天使として残り数千年……数十世紀を在り続けるバラキエルと共に居られる肉体を与えられており、朱璃は生き返ってから既に百年以上の時を見た目に二十代中盤程度で暮らしている。
堕天使ハーフで転生悪魔な朱乃も、寿命は一万年とも言われている訳だから、何もしなくても後九千年は生きる筈だし、本来であれば朱璃は逸うに死に別れていたであろう。
それを思えば身体の一部で男の性欲解消くらい安いもので、最後の一線だけは越えないまでも菊門までは既に赦していた。
「ん……」
ユーキがマックス大変身をしてから暫くが経って、ユートの欲望の塊が朱璃の顔を汚す。
備え付けのシャワールームで綺麗にし、再び戻ってきたら何故かユーキが苦戦を強いられていた。
「これは……いったい?」
仮面ライダーエグゼイド・レベル99とされる形態になり、スペックだけなら平成仮面ライダーの中でも五指に入る筈の状態。
仮面ライダーはスペックが全てではないにしても、普通の人間では決して有り得ない戦闘力だった。
「特典……か」
「特典?」
「今大会は這い寄る混沌が何人も転生者を送り込んで来たが、彼女らみたく存在は転生特典を与えられているんだよ」
「転生特典……ですか」
「パートナーも転生特典。コストは1だと聞いた」
這い寄る混沌ナイアルラトホテップ――ニャル子が採用した特典を付ける為のシステムがコスト制。
10というコストを与えられ、その範囲内でならば好きな特典を獲られる。
ユートの【白龍皇の光翼】も別の転生者が、可成りのコストを支払って手に入れたものらしい。
確か8ポイント。
因みに、上位神滅具ともなるとコストは10とか。
あのアッシュブロンドで小柄な少女……岳画 殺とか呼ばれていた彼女は普通にパートナーを獲ていて、つまりは1は使っている。
「残り9ポイントだけど、あの近代兵器を取り出すか創り出すかの力、あれって実はポイントが低いのか? だとしたら2~4もあればイケそうだな。残りを使って何を獲た?」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「くっ、何て強さだよ! 小日向仁義みたく聖闘士になる修業をしていた訳でもあるまいし、いったいどんな特典を獲たんだ?」
【大悪司】の主要メンバーは仮面ライダークラス、だけどそれは第一段階での話であり、強化変身をした状態程ではない筈だ。
それがまさかのマックス大変身したエグゼイド級。
「私の特典か? パートナーに由女で1。私が前世で使っていた兵器の量子化と復元及び、メンテナンスフリーでポイント3」
「やっす!?」
安いとは思ったものの、可成りの低コスト。
「残り6ポイントは神憑依という」
「神憑依? ワイルドカリス付きと同じポイント?」
ジャキッ!
「黒い大鎌?」
「私に宿る神の武器だ……私はこれをくれた存在に、性欲の殆んどを差し出したのだが、理由はこの神憑依を使うとな……」
頬を朱に染めたさっちゃんの瞳、其処には情欲に満ちたものが混じる。
「性欲が昂るからだ」
神憑りという能力は普通にも存在するが、トランス状態となって神を自らの内に受け容れるものだ。
そして大概は一部を降ろすだけで済ます。
だが、さっちゃんは神を完全に降ろしていた。
【禍祓い】を持っていた万里谷ひかりは、斉天大聖を降ろしても無事に済んでいたけど、神憑りのスキルを持つ清秋院恵那でさえも本来は危険な術。
況んや、さっちゃんみたいな人間が神を降ろしたら平気な訳がない。
さっちゃんの場合は性欲の増大らしく、人間の理性を持った侭だと今から自慰を始めたくなるくらいに。
「そろそろ拙い。だから、代わらせて貰うぞ……」
ガクンとブレイカーが落ちたみたく、さっちゃんの頭が下を向いた。
「あはは……」
次に頭を上げたその表情は歓喜、そして狂気に満ちていたのだと云う。
「やっと出てこれたよ! メティスは現世に再臨したんだ! アハハハハ!」
「メティス?」
それは嘗て、【カンピオーネ!】な世界でユートが性的に、そして食欲的にも喰らったまつろわぬ神――闇の母メティスであった。
.
移転が終わらない。