闘神都市RPG【魔を滅する転生闘】   作:月乃杜

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第22話:私達の戦争を始めましょう的な

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 カーツウェルより新たな道を見付けたと報告は受けていたし、ユートは一人で地獄に降りて往く。

 

 当然ながらカーツウェルには休みを与えているし、今頃は奥さんと宜しくヤっている事だろう。

 

 まあ、心が壊れていた時に一発かましてしまってはいるが、幸いにもユートはデキ難いから妊娠にまでは至らなかった。

 

 それは兎も角として……新しく女の子モンスターを喰いながら進んで行くと、変に複雑な迷宮となる。

 

 仕掛けを解除しながらも進めば、ナースホルンなるモンスターに行き先を邪魔されてしまい、都合にして三回も戦う羽目になった。

 

 更に進むと恐らく階層の繋ぎと云える場所。

 

 所謂、ボスの間とも呼べる開かれた所だ。

 

「さて、こんな場所ならば小ボスが出そうだが?」

 

 部屋に入るユート。

 

「お待ちなさい!」

 

 其処へ待ったが掛かる。

 

 凛とした声。

 

 バサリと白い二枚羽を羽ばたかせ、降りてきたのは金髪をドリルな形に結わいた女性だった。

 

「これ以上を進む事は許可出来ません。早々に御下がりなさい!」

 

「僕はこの先に用事があるから来たんだ。出来たら、通して貰えないか?」

 

「それは出来ません。通るとあらば排除するのみ!」

 

「……仕方が無いのかな」

 

 カードを挿入しバックルを腰へと当てる。

 

 シャッフルラップが伸びてベルトとなり、待機音が部屋に鳴り響いた。

 

「変身!」

 

 ターンアップハンドルを引くと……

 

《TURN UP》

 

 バックルが一八〇度回転して、オリハルコンエレメントが目の前に顕れる。

 

 それを潜るとその姿が、精霊の夜刀神十香スタイル――プリンセスの姿でありながら、スカートではなくズボンとなるそんな服装に変化をした。

 

 神威霊装・十番(アドナイ・メレク)と呼ばれているスタイル、仮面ライダーブレイブ改め仮面ライダーアルビオンの現在の基本的なフォームである。

 

 だが、所詮は基本。

 

 ユートはすぐにも新しいカードを、左腕に付けられたラウズ・アブソーバーへと装填した。

 

《ABSORB QUEEN》

 

《EVOLRUTION KING》

 

 再び顕れたオリハルコンエレメントを潜り、その姿をまたもや変化させる。

 

《Vanishing Dragon Balance Breaker!!》

 

 電子音声が鳴り響いて、龍を模した人型の白いフルプレートアーマー姿。

 

 背中には蒼い光の翼。

 

「我が名は白龍皇ユート、推して参る!」

 

「剣の天使ハサエラ・ラビ……天使喰いよ、覚悟!」

 

 やはり何か勘違いをされている気がした。

 

 どうして【天使喰い】と勘違いされるのだろう? ユートは確かに一度は奴――元市長アプロスから確かに天使喰いとなる術を受け容れてはいる。

 

 然しながらそれは内部でズタズタにし、喰らい尽くしているから肉体に変化など無い筈なのに。

 

 事実、ユートは神殺しではあるが天使喰いでは決して無かった。

 

 にも拘らず、ラベルケースやサハエラ・ラビだけでなく、闘神の館に囚われていた天使達もユートの事を天使喰いと称した。

 

 まあ、ラベルケースは後に誤解も解けたから良い。

 

 見た目からして元カラーであり、額には処女を示す赤い宝石が輝いていた。

 

 天使や悪魔に成ったら、処女を散らしても宝石には変化がなくなるが、ラベルケースは確りと処女だったから中々に美味しい相手。

 

 この性交で誤解は解けたのである。

 

 何しろ、天使喰いというのは天使とヤって力を吸い上げるのだから、ヤっても喰われなければそれこそが何より潔白の証。

 

 という訳で、ユート的には誤解を解くべく天使とは闘い、そして抱く。

 

 半ば犯す様なものだが、相手が友好的でない以上は仕方が無いのだから。

 

「はぁ!」

 

 手にしたのは鏖殺公(サンダルフォン)……夜刀神十香が戦いでいつも使っていた大剣型の天使。

 

 それのコピーだ。

 

 とはいえ、それは十香と五河士道が同時に鏖殺公を使ったみたいなもの。

 

 性能は変わらない。

 

 そんな鏖殺公にブレイドの重醒剣キングラウザーと同じ機能、オートラウズ・システムが搭載されているのが変化といえば変化か。

 

 そして通すのはラウズカードとは違う物。

 

《ZAPHKIEL》

 

「来い、【刻々帝(ザフキエル)】ッッ!」

 

 鏖殺公とは違い、カードに能力として封じられている時崎狂三の天使。

 

 天使に対して天使でとは皮肉が利いたものだ。

 

 因みに、ユートは本来は消されていた筈の時崎狂三のアバターの一人を上手い事確保し、手懐けてしまっているからとても協力的に天使――【刻々帝】の力を齎らしてくれた。

 

「【二の弾(ベート)】」

 

 放たれる弾丸はハサエラ・ラビが諸に喰らう。

 

「キャァーッ!?」

 

 然し痛くない。

 

「? こ〜〜〜ん〜〜〜な〜〜〜の〜〜〜い〜〜〜た〜〜〜く〜〜〜な〜〜〜い〜〜〜!?」

 

 余りにのんびりした口調に驚くハサエラ・ラビ。

 

「はっ!」

 

 バキッ!

 

 ドカァァァン!

 

 刃の腹で殴り付けると、ハサエラ・ラビが壁にまで吹き飛ばされた。

 

「うっ、いったい何が?」

 

「こいつは【刻々帝(ザフキエル)】。時計の数字の弾丸を放つとそれぞれ特殊な能力を発揮する。さっきのは【二の弾(ベート)】、撃たれた相手は動きが鈍くなってしまう」

 

「ば、莫迦な……」

 

 然し、先程の自分を鑑みれば嘘とは思えない。

 

「【七の弾(ザイン)】」

 

 七の数字から弾丸を生成して再び放たれた。

 

 その効果は時間停止。

 

 ハサエラ・ラビは見事に動きが停まる。

 

刀舞天象(ソードダンサー)ッッ!」

 

 何処ぞの赤いガンダムのファングの如く、幾つもの短刀が放たれてハサエラ・ラビの傍までくると停止。

 

「そして刻は動き出す」

 

 ザクザクザクザク!

 

「イヤァァァァアッ!?」

 

 身体中を刻まれた為か、悲鳴を上げて倒れた。

 

「うっ……」

 

 ダメージが大きくてフラつくが、それでも何とか立ち上がって剣を構える。

 

「終わりだ」

 

 五枚のカードをオートラウズしていく。

 

《SPADE TEN》

 

《SPADE JACK》

 

《SPADE QUEEN》

 

《SPADE KING》

 

《SPADE ACE》

 

 ギルドラウズカード化したカードにより、いつものコンボを極めるユート。

 

《ROYAL STRAIGHT FLASH》

 

「ウェェェェイ!」

 

 スペードスートの10〜Aが顕現し、そのカードを通して斬撃を放った。

 

「アアアアアッ!?」

 

 所謂、非殺傷設定みたいなモードで放った為に生きてはいるが、凄まじいまでの衝撃に壁まで吹き飛び、大穴を穿ってハサエラ・ラビは気絶をしてしまう。

 

 ユートは拘束魔法で手首を拘束し、壁に繋げる形で寝転がせておいた。

 

「ほれ、起きろ!」

 

 バシャッ!

 

 いつまでも寝かせている意味も無く、水をぶっかけて起こしてやる。

 

「ケホケホッ!」

 

 いまいち状況を理解出来ないハサエラ・ラビだが、すぐに自分が両手を拘束されているのに気付いた。

 

「うっ!? 天使喰い!」

 

 さっきまでの威勢などはまるで無く怯える瞳。

 

「わ、私を食べるの?」

 

「そうだな」

 

 性的に。

 

「イヤ、ヤメテ! お願いだから許して!」

 

「問答無用で襲い掛かってきたのはそっちだ。ならば敗ければこうなっても文句は言わせん。最早、問答は無用ってやつだ」

 

「イ、イヤァァァァァァァァァァァァァッ!」

 

 悲痛な悲鳴を上げながらハサエラ・ラビは、ユートによって初めての痛みを与えられるのであった。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 ハサエラ・ラビとの闘いから帰ってきたら……

 

 

「きゃるん! 精霊って何なんですか?」

 

 スワティが本当に唐突に言ってきた。

 

「精霊? モノによっては違うのを指しているから、いったいどれの話だ?」

 

「ユートさんが変身した時に着てる紫が基調の服装、あれが精霊と関係してるって言ってました」

 

「ああ、そっちな」

 

 世界の理的な精霊ではなくて、異界から顕現をする一種の聖霊の事だ。

 

 ユートは“彼女ら”の様な存在を聖霊と定義する。

 

「ユートさんが変身してる仮面ライダーアルビオン、あれって二種類の形態が在るんですよね?」

 

「ああ、ブレイド系ライダーの主役たる仮面ライダーブレイドに似せたタイプ、それからスワティが聞きたがっていた精霊の神威霊装の十番を僕用にカスタマイズしたタイプだね」

 

「神威霊装?」

 

「精霊が神霊力で創り上げている戦闘装束だよ」

 

 高位の術師なら可能とするエネルギーの闘衣化。

 

 彼女らともなれば態々、術式を編まなくても必要とあらば幾らでも、戦装束をその身に纏う事が出来た。

 

「君が纏うそれと同じだ」

 

 そう、スワティが纏った女神装束も実は本人が神力(デュナミス)によって成構築したモノ。

 

 裸になりたければ、別に服を着たければ装束を解除してしまう形になる。

 

 スワティは未だに処女を捧げる勇気は無かったが、それでも最近は裸になってユートの布団に潜り込む。

 

 その際、スワティは服をパッと神力の粒子に還し、唯一普通に穿いている秘所を隠す白い布、ショーツを脱ぎ捨てている形だった。

 

 因みに、前はショーツを身に付けて無かったからといってノーパンではなく、褌にも近い布を宛がっていたりする。

 

 一年間でスワティとの仲は可成り近くなった。

 

 三度に亘る縁があったとはいえ、会わなかった時間と傍に居た時間の長さ的に河村耕平を思い出す事も少なくなったし、現状で還る術も無いのが諦感を生み出しており、傍で沢山の女性を侍らせているとは云えど温もりをくれるユートに、スワティは徐々に懐く様になっていく。

 

 人間と触れ合える肉体を手にしたのも、スワティが改めて温もりを知る切っ掛けとなり、河村耕平の時とは違うフィジカルな接触に感情が昂ったのもある。

 

 それにユートは女の子との触れ合い、温もりを感じるのが好きだとはいえ嫌がるなら手を出さない辺り、スワティ的に好感が持てたというのもあるし、逆説的に自分には全く手出ししないクセに他の娘にはそれこそセ○クスまでしているという事実に、ちょっと嫉妬をしたというのもあって、一年間の内に自らがデートに誘い、最後までは逝かないまでも自分の肢体を堪能させた上で、御手々によるユートの分身を弄る行為で射精()させるまではヤっていた。

 

 それにユーキが色々と教えてくれていて、次はお口でとか男の子の気持ち良くなる事を知識としている。

 

 つまり、だいたいユーキの所為であっと云う。

 

 尚、純真無垢な相手には中々手を出さないユート、アーシア然りクライア然りであり、スワティはそんな相手には見ていない。

 

 それでも手を出さないのは単純に、まだ河村耕平へ想いを残していたからだ。

 

 それに女神としては分け御霊だから処女とはいえ、スワティは本来だと弁財天――サラスヴァティが元となる為、大元たる女神には夫たる創造神ブラフマーが存在する負い目もあった。

 

 処女なのに夫が存在する女神が大元、スワティ本人は気にするのだけどユートは気にならない。

 

 処女厨ではなかったし、閃姫にするしないに拘わらず千を越えてヤっており、孕ませた数もそれなりだという事もあるが、未亡人や下手すれば人妻まで相手にしただけに、今更ながら拘ったりはしないから。

 

 確かに初めてを貫くのは嬉しい、無垢なアソコへと自分の分身を分け入らせ、自分色に染める行為に滾るのも嘘ではないのだ。

 

 だが然し、他人色だった相手を自分色に染め直すのもまた興奮を覚える。

 

 だからスワティのそれは気にし過ぎだった。

 

「此方に来る何個か前での世界、其処は精霊と呼ばれる存在が空間震という災害を引き起こしながら現界をする世界だった」

 

 しかも精霊とは皆が皆、うら若い可憐な少女の姿をしていたのだ。

 

「ただまあ、最初の印象は最悪に近かったかな?」

 

「どうして?」

 

「僕が世界を渡った瞬間、一個部隊が空から攻撃を仕掛けて来てね。しかも中でも白髪の女の子が執拗で、面倒臭いからぶちのめしてやった上で、権能を使って無理矢理に引き込んだ」

 

「ああ……」

 

 この世界でも何度か使った【まつろわぬ神】を殺して簒奪した権能、つまりは神の能力そのものを白髪の女の子に行使したのだ。

 

 まつろわぬペルセウスから簒奪したその権能は――【闇を祓いて娶る美姫(プリンセス・アンドロメダ)】と云う。

 

 神話・英雄譚に在りき、ペルセウスは戦女神アテナより恩寵を賜り、ゴルゴンの怪物たる三女メドゥーサを討ち斃す。

 

 ペルセウスは凱旋するべく帰り道、エチオピア王のケフェウスと王妃カシオペアの娘、美しいアンドロメダ王女が鎖に絡め取られ、大岩に括り付けられているのを発見。

 

 訳を訊いてみれば娘自慢が過ぎ、海神の怒りを買った為に自分を生け贄に怒りを鎮める心算だとか。

 

 ペルセウスは姫を救うべく動き、大海獣をメドゥーサの生首を使って石化して討った後、アンドロメダ姫を娶って幸せになりましたというもの。

 

 まあ、実際にはペルセウスはケフェウスに海獣を斃した後の報酬に姫を望んで約束した後で討ち斃していたり、ケフェウスも結婚をさせない為に兵士を差し向けたり偽装結婚させようとしたり、ドロドロな展開だったりしたらしいが……

 

 【カンピオーネ!】世界の解釈では、そもそも英雄が怪物を討ち取り美姫を娶る所謂、ペルセウス・アンドロメダ型神話というのは怪物自体が美姫であって、斃す……調伏した怪物であり美姫を自分のモノにする事は、一種の英雄たる存在としてのステイタス。

 

 実際、ペルセウス自身がそんな事を言っていた。

 

 ユートの権能はソコからイメージされているが故、何らかの勝負に勝利をした相手を自分のモノにする、そんな感じに構築される。

 

 とはいえ、洗脳ではなく優先順位の変動らしくて、元々の彼氏が居たとしても嫌いになるとか無関心になる訳ではなく、ユートの方を優先するだけの様だ。

 

「けど、無理矢理って……ユートさんはその、強姦は好きじゃないのでは?」

 

「うん、好きじゃないよ。けどそれは飽く迄も本来は無関係な相手を、欲望の侭に犯す行為がって話だな。敵対して襲って来た相手にしてやる配慮は無い」

 

 しかも明らかに殺しに掛かって来た相手、身の程を弁えさせる為に可成り手酷くぶっ倒したものだった。

 

 使っていた装備品に関しては剥ぎ取り、今後の参考にするべくアイテム・ストレージに仕舞って、白髪の女の子が嫌がるのを無理繰り押し倒して奪ってやる。

 

 その後はチョロいレベルで堕ちた。

 

 昔の想い出よりユートが優先された結果である。

 

「ま、精霊に関しては封印に協力して力を回収したり若しくは、封印自体は他の奴がやった後に力だけ回収させて貰ったりしたんだ。結果、精霊全員の神威霊装と天使を手に入れた」

 

「天使……? それは?」

 

「精霊が扱う武器だね」

 

 ユートは言いながら大剣を取り出す。

 

「それは仮面ライダーに成った時に使ってる……」

 

鏖殺公(サンダルフォン)――神威霊装・十番(アドナイ・メレク)と共に精霊の夜刀神十香が持つ力」

 

 但し、本物がスカートなのに対して此方は調整してズボンであったと云う。

 

 ユートがその世界――【デート・ア・ライブ】世界だと後にユーキから教えられたが、其処に出た瞬間にどうやらまだ名前すら持たなかった精霊が、空間震と共に顕現したらしくユートを精霊だと勘違いしたらしいのは、彼女らの会話から何とか理解はした。

 

 彼女らが精霊に対して、並々ならぬ思いを持つのも理解出来たし、勘違いしたのなら誤解を解けば良いと考えたユートは、取り敢えず高町式OHANASHIにはなるが『話を聞け』と提案はしてみている。

 

 要するに戦いながら会話をしていた訳だが、ユートはこの行為事態に否定的なタイプだ。

 

『お話を聞いてよ』

 

『お話ししなきゃ判んないでしょ?』

 

 などと言ってみた処で、そもそも襲って来た方からすれば勝てば官軍であり、戦闘を止める意味を見出だせないのだろう。

 

 場合によれば負けるにしても退けない理由がある事だって、そうなれば話し合いなど絶対に成立しない。

 

 だからユートは話し合いをしながら、その実は相手を討ち果たして屈伏させる事を考える。

 

 勿論、話し合いに相手が応じるならそれも良し。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「だから、僕は精霊ってのじゃないと言ってる!」

 

「それは有り得ない。貴女が顕れたと同時に空間震が起きた。つまり貴女が顕れた事で空間震は起きてる。貴女が精霊だから」

 

 淡々と言う白髪少女。

 

 何やら機器を身に付け、身体にはフィットしているレオタードに近い服。

 

 しかも彼女らが扱うのは魔法に似ている。

 

 意志の力で現実に干渉、それを具現化する武装という事だろう。

 

 顔立ちは可愛らしいが、精霊とやらに相当な御立腹みたいで、精霊だと思い込んでいるユートを、親の仇だと謂わんばかりの憤怒に歪めているのが勿体無い。

 

 因みに、後から聞いた話では実際に精霊が親の仇であるとか。

 

「チィッ、面倒な!」

 

 然しながらどうにも彼女の科白に違和感が……

 

 ミサイルやビームソードみたいな物を使ってきてはいるが、根本的なのは意志の力という装備品。

 

 折角だから鹵獲しておきたいと考え、故に手加減をしながら闘っていた。

 

「がっ!?」

 

 バリアフィールドみたいなものを展開しているが、ユートからすれば紙装甲と変わらない。

 

「そ、そんな……」

 

 精霊との戦闘でも充分な効果を発揮する筈なのに、ユートがあっさりと抜いて来たから驚愕する少女。

 

 少女の纏う武装、それはCRユニットと呼ばれている対精霊武装で、魔術師とされる彼女らの精霊と戦う上での最上たる物。

 

 防護服――着用型接続装置(ワイヤリングスーツ)を身に付けて、顕現装置(リアライザ)が搭載されている戦術顕現装置搭載(コンバット・リアライザ)ユニット――通称CRユニットを喚び出して戦っている。

 

 基礎顕現装置を起動すれば随意領域(テリトリー)を自分の周囲へ数メートルに亘り展開が出来、仮令それが精霊による攻撃であろうとも通常のものなら充分に弾けるバリアフィールド。

 

随意領域(テリトリー)が抜かれるなんて……!」

 

 然し幾らフィールドを張っても無意味。

 

「哈っ!」

 

「ぐっ!?」

 

 ユートなら蜥蜴座(リザド)のミスティや、海馬(シーホース)のバイアンが使う空気の膜や、牡羊座(アリエス)の使う結晶障壁(クリスタルウォール)でさえ静かに抜いてしまえる。

 

 集中力が可成り必要で、理論上は抜けても牡羊座のムウ辺りが使う結晶障壁であれば、流石に抜くのは難しいのだが……

 

 だけど聖闘士でもなく、戦闘も未熟な経験足らずの小娘程度、簡単にフィールドを抜いて攻撃可能

 

 双子座は精神や空間への干渉を得意とする聖闘士、その御多分に漏れずユートもそれを特技とした。

 

 異界次元(アナザーディメンション)という技が在るが、これは敵を異次元へ放逐するのを通常としているのだけど、応用技として空間移動にも扱える。

 

 テレポーテーションとは原理が違うから、アテナの結界すらすり抜けてこれは移動を可能としていた。

 

 そのちょっとした応用、集中力を懸けて小さな穴を作り出し、敵のフィールドの向こう……本体へ直接的な攻撃を行う小技だ。

 

 故に……

 

「嗚呼っ!?」

 

 全身を(つんざ)く雷撃を簡単にぶつけ、少女から意識を奪うのに成功した。

 

「ふぃー」

 

 取り敢えず相手の戦力の分析をしていたから躊躇っていたが、全てのデータを収集すれば最早用は無い。

 

 肉体へと雷撃を当てる、つまりスタンガンを押し当てたみたいなものだから、少女は肉体の構造上からも耐えられず、気絶する事を余儀無くされてしまう。

 

「大分、離れたな。それならそれで都合は良いか」

 

 少女を抱えて異次元へと引き篭り、其処へ設えていたログハウスに入る。

 

 緊急避難用に麻帆良から移築したもので、中も空間を湾曲して拡がりを持たせたものだ。

 

「先ずは……剥ぎ取りか」

 

 モンスターとか獣を斃したら必ずやる剥ぎ取りを、ユートは少女の身に纏った装備品で行った。

 

 まあ、アイテムストレージに移動しただけだが。

 

 顕現装置や露出過多な服を剥ぎ取り、素っ裸になった少女に覆い被さると……

 

「我は東方より来たりし者也て闇を祓う燦然と耀ける存在。照らし出す曙光にて竜蛇を暴き、我は汝を妃として迎えよう」

 

 聖句を唱えた。

 

 それは即ち【闇を祓いて娶る美姫(プリンセス・アンドロメダ)】。

 

 割と使い易い権能だが、制限として勝利の暁となるから、何らかの勝負をして勝たなければ発動しない。

 

 その点、少女とは戦闘をしてこうやって勝った。

 

 条件は満たしている。

 

「――う?」

 

 意識が戻ったらしい。

 

「これは……」

 

 裸の自分。

 

 年齢の平均よりも小さなおっぱい、雪の如く白い肌を晒している自分。

 

 ショーツすら着けていないから、秘裂が薄い陰毛から覗いている自分の痴態。

 

「っ!? 何を!」

 

 そして自分に覆い被さるのは、先程まで戦っていた顔だったが……

 

「男の人?」

 

 胸板と股間に反り返った肉の棒は間違いなく男。

 

「まさか、女の子だと思われていたのか?」

 

「精霊は皆、女の筈……」

 

「人間だからな」

 

「そんな!?」

 

 何がショックだったのか驚きに満ち溢れた顔。

 

「私をどうする気?」

 

「ムカつくから殺しても良かったが、この世界の情報を得る為に生かしておく。とはいえ敵だから、先ずは小細工をしようとね?」

 

「っ!」

 

 ナニを仕出かす心算かは簡単に理解出来た。

 

「私には……」

 

 その昔に自分の為に動いてくれた少年が居たから、いつかは会いたいと思いながら数年間を生きた少女。

 

 異性だったから上手くすれば仲好くなれる。

 

 それを鑑みればこれは避けたい事態だが、まだ身体がまともに動かせない。

 

「やめて……」

 

 その願いも空しく響き、ユートは少女のスレンダーで美しい肢体を貪る。

 

 その後、ユートは少女――鳶一折紙から彼女の知る全ての情報を、本人の名前と共に得るのであった

 

 

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